2018年6月16日 (土)

アセット・アロケーションとリバランス (その4)

前回記事の訂正というか、新しいデータに基づくアップデートが、一つあります。

9日の記事でアップルのROEを37%と書きましたが、これは昨年12月までのデータをベースとするもの。

今年3月末までのデータ(先月1日に発表)を入れて再計算すると、アップルのROEは41%になります(同じようにコカ・コーラのROEも最近時データを入れると少し変わってきます)。

それにしてもアップルのROE。

なんと41% とは!

ちなみに日本の主な企業で見てみると・・・

経団連会長を輩出している日立のROEは12%(『こちら』)。

日本最大の時価総額を持つトヨタのROEは11%(『こちら』。)

(注:どういうわけかトヨタは18年3月末ベースのROEの数字を載せていなくて、これは1年前の数字)。

改めてアップルの決算書(『こちら』)を覘いてみましょう。

売上高総利益率が38%。

売上高純利益率が23%。

単純計算すれば、10万円のiPhone のうち、なんと 2万3000円がアップルの儲け(税金などを払った後のベース)ということになります。

さらにアップルのバランスシートに目をやります。

アップルが持つ現金の額はなんと約5.0兆円。

このほかに短期の市場性のある有価証券を4.7兆円も持っています。

現在アップルの時価総額は102.7兆円。

ドルベースで『1兆ドルに、あと一歩』のところまでやってきました。

* * *

さてアップルの話はこのくらいにして、話をアセット・アロケーションとリバランスに戻します。

『長期的には株式のほうが債券よりもずっとリターンが高く、リスクも低い』(ジェレミー・シーゲル教授及びバートン・マルキール教授)。

だとすると、株式にだけ投資していればよくて債券には手を出す必要などなさそうですが、両教授の著作を読むと、これがどうやらそんなことはないらしい・・。

少なくとも両教授とも「投資家はアセット・アロケーションをはかれ」との意見です。

とくにマルキール教授の方は、この辺、明快です。

Asset_allocation

上図はマルキール教授の『ウォール街のランダム・ウォーカー』(私の持っている原書第8版の翻訳本)の409頁の図。

マルキール教授は、このように個人投資家の年齢に応じて、株と債券のアセット・アロケーションを図れと主張しています。

シーゲル教授の方はどうでしょう。

教授の論拠は1802年から2012年までの210年間の実証研究です。

次の図(『株式投資』の原書『Stocks for the Long Run』(第5版)102頁)を見てください。

Asset_allocation_2_3

シーゲル教授のこの図が言わんとしていることは、30年持つのであれば株を100%持つと年率平均7%近くのリターンを期待できる。

債券を100%持つ場合(30年間保有)は年率平均3%強のリターン。

しかし株を68%、債券を32%とする割合が、リスク(リターンが下方に振れる確率)をいちばん小さくすることができる。

といっても、「株68%、債券32%」のときのリターンは5.6%程度。

株100%に比べて、リターンがずいぶんと犠牲になりますが、図を見て分かるようにリスクの削減効果はさほど高くはありません。

Asset_allocation_3_3   

そこで教授の『株式投資』(原書第4版の翻訳本)では、リスクをある程度許容できるのであれば、「30年保有する場合、株式100%でもいい」とまで言っているのですが・・・(なお上図で100%を超えるケースは信用取引などで借金をして株式の比率を100%以上にせよ、との意味です)。

ちなみに、この最後の図は、後に出版された原書第5版では削除されてしまっています。

このようにシーゲル教授は債券と株とのアセット・アロケーションについて、やや歯切れが悪い・・・(少なくとも私にはそう思える)。

以上が両教授の見解ですが、一般に米国では、

「リターンが下方に振れる確率を少しでも抑え込むとの観点に立てば、株式だけでなく債券を交えてポートフォリオを組むことが有用である」

と考えられています。

それに20年、30年という長期にわたって金融資産を保有するつもりでいても、長い人生、何が起こるか分かりません。

途中でポートフォリオを取り崩さざるをえなくなることもあり得るわけで、「結果的に」保有期間が5年で終わってしまう可能性もあるわけです。

ですから、「アセット・アロケーションとリバランス」(その1)で述べたように、

株式の割合は「120マイナス年齢」(例:35歳の人は85%)くらいを株式の割合にして残りを債券にする

というのが、一般的に妥当だと考えられている資産配分法なのです。

さてまた長くなってしまいました。

まだ書いていないことを上げておくと、

1)株式の中でのアセット・アロケーション(先進国株と新興国株など)

2)平均回帰性とリバランス

3)平均回帰性と効率的市場仮説、経済物理学、ベキ分布

このようにいろいろと書きたいことがあるのですが、またの機会にさせて下さい。

| | コメント (0)

2018年6月 9日 (土)

アセット・アロケーションとリバランス (その3)

ジェレミー・シーゲル教授の言う『長期的には株式のほうが債券よりもずっとリターンが高く、リスクも低い』とはどういうことなのでしょう。

詳しくは教授が著した『株式投資』ご覧になって頂きたいのですが、下図をご覧ください。

1_3

これは iPhoneで撮影したものを載せているので、やや見にくいかもしれません(クリックすると拡大します)。

教授の『株式投資』の原書『Stocks for the Long Run』(第5版)95頁の図です。

ちなみに原書の第5版は2013年に書かれたもので、リーマンショック後のデータを含みます。

一方、翻訳本の方は第4版の翻訳。リーマンショック前の2007年に書かれたものです。

さて上図は1802年以降2012年までの(なんと!)210年間の期間を対象に、保有期間(1年、2年、5年、10年、20年、30年)ごとに、株式、長期債、短期国債の実質リターン(インフレ調整後)の最高値と最低値を示したものです。

保有期間1年に限ってみると、いちばん良い年には株式は66.6%のリターンをもたらしました。

しかし悪い年には▲38.6%ものマイナスになりました。

ここで株式のリターンとは、

Dividends plus capital gains or losses on a broad-based capitalization-weighted index of U.S. stocks

のことです。つまり配当とキャピタルゲイン(もしくはロス)です。

このように、1年しか持たないのであれば、株式は高いリターンをもたらすこともあるけれども、逆にうんと損をしてしまうこともあります。

しかし20年間持つとすると、どうでしょう。

様相がガラリと変わってきます。

1802年から2012年までの210年間。

この210年間の『どの20年間を取っても』、株式投資はマイナスになることはありませんでした。

たとえ最悪の20年間を選んだとしても、少なくとも実質ベースで年率1.0%のリターンを確保し得たのです。

それに比べて長期債、短期国債の実質リターン(インフレ調整後)は選んだ時期によっては、期間20年間でマイナス3%あるいはそれを下回ることもあったのです。

『長期期間持てば株式のほうが債券よりもずっとリターンが高く、リスクも低い』というシーゲル教授の主張はこうした実証研究から導き出された結論だったのです。

実は似たような主張はバートン・マルキール教授の『ウォール街のランダム・ウォーカー』の中にも見られます。

私の持っているのは原書第8版の翻訳本なので少し古いのですが、下図はその396頁に出てくる図です。

Photo

対象となっている期間(1950〜2002年)やポートフォリオ(この場合S&P500)などの諸点でシーゲル教授のデータと異なるのですが、言っていることは同じです。

以下、引用です。

『典型的な株式ポートフォリオのリターンは、ある年には52%を超えたかと思えば、別の年には26%以上ものマイナスになっていたりする。

ある1年間をとってみて、確実に満足のいくリターンを稼げる保証はどこにもない』(395頁)

『しかし、もし25年間株式を持ち続けられるなら、話は全然違ってくる。

どの25年間をとるかによって多少の違いはあるかもしれないが、その差は大きくない。

上のグラフの対象期間中に25年間株式を持ち続けたとすると、年平均10.5%のリターンが得られた。

もし1950年以降、株式投資にとって最悪だった25年間をとったとしても、年平均リターンはそれより約3%低かっただけである』(396頁)

ここでひとつ注意点があります。

だったら株式で運用しようと即断してはいけません。

シーゲル教授もマルキール教授もアメリカの株式市場について言っているのであり、残念ながら日本は違います。

1989年12月29日に38,915円だった日経平均株価は、20年後に10,546円、25年後には17,450円だったのですから、いくら長期間持っても米国のようにプラスのリターンになることはなかったのです。

アメリカの210年間の全ての期間で言えたことが、なぜ日本には当てはまらないのでしょうか。

これはひとつには日本の資本主義がまだ発展途上にあるからです。

1980年代後半から90年初め、日本がバブルだった頃には、日本企業の経営者の多くは株主から預かったお金、つまり株主資本を「借金と違って返す必要のない無コスト資金」と勘違いしました。

結果、多額の転換社債、ワラント債が発行され、巨額増資も行われました。

資本は無コストどころか、借金の場合の金利よりも高いコスト(資本コスト)を負っているにもかかわらずこうした間違いをおかしてしまったのです。

「これではダメだ。企業は国際標準に近い利益を上げて株主に報いよう」とばかり、伊藤レポートが発表されたのが2014年8月。

これは今からほんの4年ほど前のことです。

伊藤邦雄一橋大学大学院商学研究科教授の名を冠したこのレポートでは「資本勘定(自己資本)に対して少なくとも8%の利益をあげるべき」との呼びかけが企業に対してなされました。

ちなみにこの比率は自己資本利益率(ROE)と呼ばれるものですが、アップルのROEは37%。

「少なくとも8%」と言っている日本の比ではありません。

コカ・コーラの過去13年間のROEは20%~42%のレベル。中央値は 27%です。

日本の資本主義がまだ発展途上にあることは他にもいろいろな点に現れているのですが、ここではもう一つだけ挙げてみましょう。

株主優待です。

アメリカの企業は若干の例外を除き株主優待を行いません。

たとえばダウ平均株価採用銘柄の30社で株主優待を行っているところは一つもありません。

これに対して日本では上場企業の36%もが株主優待を行っています。

企業は株主のものであるという意識が徹底しているアメリカの資本主義においては、株主優待とは、株主が自分の資産を取り崩して自分に支払う行為です。

つまり会社から財産が流出したら、それは株主の負担になるということです。  

ですから基本的には「行って来い」の関係で、株主優待を行おうと行うまいと、経済効果は等しい(タコが自分の足を食うような関係)のですが、

配当金(現金)と違って優待の内容から得られる便益は大部分の株主にとっては現金以下の価値しかありません。

また株主優待を行なうことの事務コスト(郵送料、労働コスト)も馬鹿にならず、その分だけ株主にとっての企業価値は毀損されます(つまり理論的には優待実施後には「優待の経済価値+アルファ」分だけ株価が下がります)。

このように企業にとっても投資家にとっても、株主優待はマイナスの意味しか持たないのですが、

日本では企業は株主のものであるという意識が乏しく、経営者も株主から与えられた資金を使って「利益をあげる」=「価値を創造する」という意識に乏しいことから、いびつな慣行がまかり通ってしまっています。

このほかにも日本の株式市場は「ちょっとおかしいぞ」というところがあるのですが、話がそれていってしまうので、ここではこの辺にしておきます。

いずれにせよ、こうしたことから日本の株式投資家は(アメリカの株式市場に投資してきた投資家に比べて)、きちんとしたリターンをあげることができなかったといえます。

このため『長期期間持てば株式のほうが債券よりもずっとリターンが高く、リスクも低い』の法則は(残念ながら)日本には当てはまらない法則となってしまっています。

さて以上を踏まえて、もういちど 『金融資産は株と債券で持て。その比率は「100(もしくは110、120)マイナス年齢」で株式を持て』 といったアセット・アロケーションのルールを考えてみることにしましょう(長くなったので次回にします)。

| | コメント (0)

2018年6月 2日 (土)

アセット・アロケーションとリバランス (その2)

アメリカでは 『金融資産は株と債券で持て。その比率は「100マイナス年齢」で株式を持て』 と言われてきました。

それがなぜ最近は 「110マイナス年齢」 あるいは 「120マイナス年齢」 といったように株式の比率が多めに変わってきたのでしょうか。

その理由は 『こちら』 の記事にありますように、

(1)平均寿命が延びてきたこと(20年前に比しアメリカ人の平均寿命は3年も延びている)

(2)低金利化で従来の「100マイナス年齢」で株式を持つようにすると、債券部分がじゅうぶんなリターンを生まず、結果的に資金ショートになる(老後しばらくしてから資金が足りなくなる)恐れが出てきた

という2点にあるようです。

実際のところ、1980年代初頭の10年物国債(10 year Treasury Notes) の利回り(yield)は15%を超えていました(下図;出所は『こちら』)。もちろん当時はインフレ率も高かったのですが・・。

10_yr_3

政策金利を取ってみても、『1965年から2000年の政策金利は平均7%超あった』(イエレン前FRB議長)ものの、最近では『これから先、3%程度で打ち止めにする』案が出てきている(5月29日、日経)と言います。

いずれにせよ「債券という比較的安全な資産に資金を置いておくことの報酬」(=金利)が少なくなってきた(『こちら』)ことから、アセット・アロケーションの配分比に関する考え方が変わってきたという事情があるようです。

アメリカでさえこうした状況になっていることを考えると、「ゼロ~マイナス金利」の国(下図参照)に住む我々日本人はどのようにアセット・アロケーションを考えたらよいのでしょうか。

10_yr_jgb

2000万円の金融資産を持つ人がアセット・アロケーションを考え、2割を日本国債に置くとして、10年物の日本国債の金利は現状0.04%(『こちら』)。

たとえ手数料を勘案しなくとも、

2000万円×2割×0.04%=1,600円

20年置いても1,600円×20年=3万2000円。

こう考えると債券部分のリターンはあまり意味がありません。

メガバンクに定期預金で置くと、金利は0.01%(三菱UFJ)

ネット銀行では取引開始に際してはキャンペーン金利が適用になることがありますが、それも1年まで。

通常はたとえば期間5年で年0.03%がやっと。

いずれにせよ債券や預金から金利をもらうこと自体、あまり意味のない世界に入っていってしまいます。

もちろんそういった環境下であっても、(アセット・アロケーションといった考え方を取るかどうかは別にしても)、

金融資産のうち価格変動に曝される 株式は『一定割合に抑えておく』(他は定期預金だろうと普通預金だろうと、そんなに大差ない)という考え方自体は重要でしょう。

ところで日本の特殊事情はさておき、『長期的には株式のほうが債券よりもずっとリターンが高く、リスクも低い』と主張する(とされている)シーゲル教授はアセット・アロケーションについてどう考えているのでしょうか。

次回は教授が著した名著『株式投資』の視点からアセット・アロケーションについて考えてみましょう。

| | コメント (0)

2018年5月27日 (日)

アセット・アロケーションとリバランス (その1)

人生100年時代に備え如何にして自分の資産を形成していくか・・。

アメリカで一般的に言われているのは、「アセット・アロケーションとリバランス」という考え方。

『90% of long term wealth creation happens through correct asset allocation decisions』という人もいます(『こちら』)。

まずアセット・アロケーションのところですが、いままでは「100マイナス年齢」と言われていました。

どういうことかと言うと、金融資産は株と債券で持て。その比率は「100マイナス年齢」で株式を持て、というもの。

つまりあなたが30歳の場合は70%は株式で、30%は債券で持つ。

年齢が行って、リスクが取りづらくなるに従い、債券の比率を増やしていく・・。

65歳になれば35%は株式で、65%は債券で、ということになります。

もっとも最近は「110マイナス年齢」あるいは「120マイナス年齢」といった考えに基づき金融商品が組成されるように変わってきていると言います(『こちら』)。

さて40歳のあなたが「120マイナス年齢」に従い、ポートフォリオを組みました(株80%、債券20%)。

半年後(あるいは1年後)、株式の値上がりが著しく、ポートフォリオを時価評価したところ、株が95%、債券が5%の比率になっていました。

これを元の比率に戻すため、株を売って債券を買うことを「リバランス」と言います。

バランスを元に戻すといったイメージです。

リバランスの背景にはいろんな考え方があります。

一般的な考え方はリバランスせずに放置すると、ポートフォリオのリスクが増大していってしまうというもの(下図)。

Vanguard_3

      (上図の出所は『こちら』)   

もう一つの考え方は次のようなものです。

『株の比率が高まったということは、株価が高くなりすぎたということに違いない。このときに株を売って、より安全な資産の債券に乗り換えておく。

逆に株の比率が低くなりすぎたということであれば、株価が安くなりすぎたということ。このときは債券を売って安くなった株を買っていく』

米国ではこうしたリバランスを自動的に、しかも極めて安価にやってくれる金融商品が増えています(たとえば『こちら』)。

もちろん日本でも自動リバランス機能を持つ商品があり、手数料も(米国ほどではないですが)かなり安くなっています(たとえば『こちら』)。

次回では、アセット・アロケーションとリバランスについて、もう少し別な観点から考えてみたいと思います。

| | コメント (0)

2018年5月22日 (火)

オーロラ

Aurora Borealis とは北極に近いところで見られるオーロラのことを言うんだそうです(南のオーロラはAurora Australis)。

ノルウェー、Senja のAurora Borealis Observatory では、4日以上泊まった人は100%の確率でオーロラが見えるんだとか・・(『こちら』)。

(注:今の時期は夜がじゅうぶんに暗くならないのでオーロラは見えません。上記サイトでは9月1日以降の宿泊予約のみを受け付けています)。

Norway

首都オスロからバルドゥフォス(Bardufoss Airport)まで飛行機で1時間50分。

そこからクルマで約60キロ。

時間が許せば行ってみたいところの一つです。

『こちら』の動画は1分41秒。(ブラウザーの関係?で動画が出ない場合は『こちら』をお試しください)。

この動画はすでに3200万人が見たのだとか・・・。

| | コメント (0)

2018年5月14日 (月)

外資系投資銀行やコンサルタント会社で働くということはどんな感じなのか

Quoraに載った質問ですが、

What's it like to be an investment banker at Goldman Sachs?

その答えが『こちら』

3人が答えていますが、最初の人の答えがいちばん読むに値するかもしれません(読者の賛成票も、この答えが圧倒的に多い)。

最初の答えを読んでの私の感想は『昔も今もあまり変わっていない』というもの。

最初の答えは3年前のものですが、働き方改革とは無縁の世界・・・。

なお、こんな質問もありました。

What is it like to work for McKinsey or Goldman Sachs?

これにはMcKinseyで働いたことのある人など5名が答えていて、その答えが『こちら』

就職、転職を考えている人には、こういったサイトは便利かもしれません。

| | コメント (0)

2018年5月 8日 (火)

シュナイダーマン司法長官の辞任

米国では「ニューヨーク州のシュナイダーマン司法長官が辞任する」とのことで話題になっています(『こちら』)。

そもそもこの人は「反セクハラ運動」の擁護者、推進者だったはずなのですが・・。

あたかも、アメリカの人気テレビドラマ『グッド・ワイフ』(The Good Wife)で展開しそうな話が現実に起きたことで、かなりの驚き。

そう言えば、この『The Good Wife』ですが、すでに 2012年1月15日の放映で、「ビットコインの開発者を米財務省が訴える」との内容(注:あくまでもテレビドラマの中での話です)を扱っていました(『こちら』)。

マウントゴックスによるビットコイン消失事件(2014年2月)より2年以上も前。

あらためてアメリカの人気テレビドラマの脚本力に驚かされます。

(注:ちなみに1ビットコインは2011年には33セントだったとのこと。100ドルで333ビットコインが買え、それ(333ビットコイン)が現在では3百万ドル、約3億円になっています(『こちら』))。

| | コメント (0)

2018年5月 5日 (土)

1.4兆円の追加購入

このところ冴えない動きが続いていた米国の株式市場ですが、ウォーレン・バフェットが75百万株のアップル株を第1四半期に買い増ししていたことを開示。

アップルが史上最高値をつけ、つられて他のテック株(technology stocks)を中心に、米国市場全般が上がりました。

75百万株というのは、1株170ドル(推定購入コスト)、1ドル109円で計算して、1.4兆円。

追加購入の結果、バフェット(正確には投資会社のバークシャー)は、総計2.4億株のアップル株を保有していることに。

現在の時価で計算すると、アップル株だけで4.8兆円を持っていることになります(『こちら』)。

アップルの時価総額は102兆円。

バークシャーが保有しているのは、このうちの4.75%ということになります。

市場に鬱積していた「もやもやムード」を一掃。バフェットのパワーに驚かされます。

| | コメント (0)

2018年5月 3日 (木)

硬骨エンジニア

NHKテレビBS1で、『ブレイブ 勇敢なる者「硬骨エンジニア」』の再放送をしていました。

フラッシュメモリの発明者で、元東芝社員の舛岡富士雄さんと彼のチームメンバーたちの物語。

実は再放送というより3度目くらいの放映になるようなのですが、私は初めて見ました。 面白かったです!

NHKのサイトには、視聴者からの感想が寄せられていましたが、なかには

『こんなに興奮するドキュメンタリーは初めてです! 鳥肌が立ちました!』

といったものも。

舛岡さんの話は新聞や雑誌で読んで知っていましたが、この番組の凄いところは、当時の彼の部下などチームメンバーに丹念にインタビューを重ね、フラッシュメモリ開発に取り組んだチームの姿を描き出したこと。

* * *

「シリコンバレーのようにイノベーションを起こすにはどうしたらいいか」

講演やセミナーなどで、この種の質問を受けることがあります(たとえば『こちら』)。

しかし、なにもシリコンバレーにまで行かなくとも、答えはこの番組の中にあるような気がします。

49分の動画。

NHKオンデマンドでも見れます(216円)。

それにしても、舛岡さんが東芝を去らざるをえなくなってしまった後、彼のチームメンバーの多くも東芝を去ってしまいました。

残念です。

| | コメント (0)

2018年5月 2日 (水)

円安シナリオ再び

昨日のニューヨークでは一時、109円90銭を突破しましたが・・・。

昨晩出演した日経CNBCテレビ、日経ヴェリタストークで為替について話しました。

『こちら』でご覧になれます。

| | コメント (0)

2018年4月29日 (日)

グーグルやフェイスブックで働く人たちの平均年収(中央値)と為替レートの話

ウォールストリートジャーナル紙にグーグルやフェイスブックで働く人たちの平均年収(中央値)が載っていました。

分かりやすくするため「平均年収(中央値)」と書きましたが、要は「中央値の年収」です。

給与総額を従業員数で割って得られる「平均値」は、年収が極端に高い人がいると、その人の数値に引っ張られて、平均値まで高く振れることになってしまいます。

その点、「中央値」であれば、上から順に並べた人たちの中で、真ん中の人の数字なので、普通の人の実態に近くなります。

なおウォールストリートジャーナル紙が報じた平均年収(中央値)の記事は、『こちら』ですが、購読者以外は全文が読めないかもしれません。

モーニングスター社のサイトに同じ記事が載っており、『こちら』で全文が読めます。

これによると、グーグルの従業員の中央値の年収は $197,000。

1ドル=109円で計算すると、2,100万円になります。

フェイスブックの従業員の中央値の年収は  $240,000。円にして 2,600万円。

日本のIT企業である富士通はどうでしょう。

富士通の有価証券報告書(『こちら』)によると、従業員数3万3000人、平均年齢43歳、平均年収797万円。

ずいぶんと差がついてしまいましたが、為替レートを1ドル=80円で計算すると、現状のグーグル対富士通の2.6対1.0は、2.0対1.0くらいにまで改善します(ちなみに両者が等しくなる為替レートは1ドル=40円)。

* * * * *

さて、先週1週間で一気に円安ドル高が進みました。

1_2

月曜日には107円台だったものが、ついに109円台に。

今年に入ってからずっと円高の傾向にあった(下図)のですが、ここにきて市場はドル円の金利差に着目。

円安に振れるようになったというのが一般的な解釈です。

2

* * * * *

現在のマーケットの関心事は、

先週から特に顕著となった円安ドル高の傾向がどこまで続くのか

にあるのですが、こうした為替の話になると、必ず出てくるのが実質実効為替レートの議論。

3年ほど前にこれをテーマにブログ記事を書いたので、ご関心のある方はその記事(『こちら』)をご覧になってみてください。

日銀が現在発表している実質実効為替レートのチャートは下図です (『こちら』の頁に入り、為替のボタンをクリック)。

3_2

これを見ると現在のレートは実質ベースでは1975年頃のレートに等しいことが分かります。

ちなみにこのときの名目為替レートは1ドル=300円前後。

つまり現在の円ドル(109円)は実質ベースでは超円安になっているということで、本当はもっと円高になってもおかしくないという議論です。

であれば、先ほどのグーグル、フェイスブックのドルベース年収も、実は、富士通とそんなに大差はないと見ることも出来ます。

* * * * *

もっとも為替の世界はこうした学者が論じるような理論で説明したところで、現実はそれとは違った要因で動いてしまうもの。

ただし、

『世界の投資家はこうした実質実効為替レートの議論も分かった上で、今後どうなるかを考えている』

ことに留意しておく必要があります。

たとえば、ロイターに掲載された佐々木氏のコラム(『欧州投資家が見る「歴史的円安」相場の持続力=佐々木融氏』)では、歴史的円安との表現でこの辺について触れています。

当然のことながら、円の実質実効為替レートについては米国の財務省も注目しています。

4月13日に米財務省は『Macroeconomic and Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States』(日本で為替報告書とよばれているもの)を米議会に対して提出しました。

このなかで、米財務省は、『実質実効ベースでは、円は2017年初めから今年2月にかけて2.4%切り下げられた。この結果、円の実質実効為替レートは過去20年の平均を25%も下回っている(25%も円安になっている)』と記述。

(上記の18頁。原文は、On a real effective basis, however, the yen depreciated by 2.4 percent from the start of 2017 through February of this year. This brought the real effective exchange rate to nearly 25 percent below its 20-year average.)

つまり佐々木氏が面談した欧州投資家や米財務省の視点からすると、

『日本はずっとデフレが続いてきたのだから、本来、円はもっと強くてしかるべき。

そうしたことを勘案すると現状は円安に振れ過ぎている』

ということになります(すくなくとも実質ベースに着目するとそうなる)。

* * * * *

繰り返しますが、実質実効為替レートで実際の為替が決まるのであれば、ことは簡単です。

しかし現実は違います。

需給が複雑に絡み合って現在の相場を形成しているのです。

たとえば:

・米国の長期金利が3%をつけ、この結果生じた日米の金利差に着目する投資家。

・円キャリートレードを考える投資家。

・武田のシャイアー買収だけで7兆円ものドルが調達されるかもしれないと考える投資家(日本の経常黒字額が21兆円であることを考えると、7兆円というのはインパクトある数字です)。

・4月から新年度に入り、日本の機関投資家による外債投資が活発化していると考える投資家。

これらの投資家の存在はすべて円安ドル高方向に相場がふれることを物語っています。

はたしてこれから先、為替はどう動いていくのでしょうか。

| | コメント (0)

2018年4月26日 (木)

日本の変化

シリコンバレーに移り住んで30年以上になるというBさんと先日お昼をご一緒しました。

Bさんにとっては久しぶりの日本訪問。

『日本も変わったね』

と言います。

『どんなところですか』

と尋ねると、

『QOL(Quality of Life;生活の質)が落ちてますね。

昔は日本のビジネスホテルに泊まって髭を剃ると、ホテルの部屋に置かれている髭剃りの切れ味の良さにビックリしたものです。

それが今回は全然剃れない。

肌を傷つけてしまいそうでした。

多分コストカットで中国製の髭剃りに変えたのかな。

細かいことですが、こういった小さなところで、日本が変わってしまったと残念に感じることが多々あります』

海外駐在10数年というCさんが日本に帰国して気づいたのは、地下鉄がよく遅れるようになった点。

『多分私鉄の乗り入れが増えたせいなのでしょうか。

ずいぶんと遅れることが多くなりました。

信号点検とか、体調不良の人が出たとか』

私鉄の乗り入れが増えただけでなく、地下鉄を利用する高齢者が増えて面倒を見るケースも増えたみたいで、これらが遅れの一因になっているのかもしれません。

そう言えば、高齢者だけでなく身障者の利用も、以前よりもよく見かけるようになりました。

乗客にやさしい地下鉄であろうとすると遅れることもあるような気がしてきます。

もっとも今週月曜日に乗った千代田線、10分くらい遅れましたが、「○○駅でお客様同士のトラブルがあったため」と車内アナウンス。

こういうのは困ったものです。

| | コメント (0)

«人生100年時代