2018年11月18日 (日)

GAFAの下落

GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の株価の下落が目を引きます。

この4社に、ネットフリックス(N)、エヌビディア(N)を加えた6社。

これらがピーク時に比し、どのくらい値を下げたのかを見てみましょう。

ちなみにカッコ内はピーク時の株価とその年月。

*  *  *  *

グーグル ▲17% (1,285ドル、今年7月26日)

アップル ▲16% (231ドル、今年10月3日)

フェイスブック ▲36% (217ドル、今年7月25日)

アマゾン ▲22% (2,039ドル、今年9月4日)

ネットフリックス ▲32% (418ドル、今年7月9日)

エヌビディア ▲43% (289ドル、今年10月1日)

ダウ平均 ▲5% (26,828ドル、今年10月3日)

*  *  *  *

これを見ると、GAFA+NNの6社も必ずしも同じような形で売られているわけではないことがわかります。

とくに酷いのが、エヌビディア、フェイスブック、ネットフリックス。

GAFA+NNの6社の中で、ウォーレン・バフェットが買っているのは、アップルのみ。

そのアップルのやられ方が、6社のなかでは一番少ないのは、「さすがバフェット」と言うべきなのでしょうか。

ちなみバークシャーの株価を上と同じ基準で書いてみると・・

バークシャー ▲2% (335,630ドル、今年10月9日) 

うーん、さすが、です。

*  *  *  *

(追記)

「ピーク時と比べても、あまり意味はない」との指摘はあると思います。

そもそもエヌビディアだとかネットフリックスの株は、これまでかなりのピッチで上げてきたので、「要はボラティリティ(変動率)の高い株に過ぎない」との見方もあると思います。

言うまでもなく、ポイントは、これから先、1年、2年と見たときに、上記6社はどうなっているのかにあります。

とくにGAFAの4社は、人工知能を使ったスマートスピーカー、ターゲット広告、自動運転車、映像や音楽配信・エンタテイメント、クラウド・サービスなど似たような分野に進出してきています(要はバッティングしてきている)。

また優秀な人材の獲得、さらには引き抜き合戦も上記4社の間では激しく行われています。

このため、これから先は、上記4社の間でも優劣が鮮明になってくるような気がします。

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2018年11月12日 (月)

ここがおかしい? 日本企業

現代ビジネス(現代ISメディア)インタビュー記事、第4回目(『こちら』)。

今回で最後です。

この連載の第3回で、若い人が身につけておくべき武器として、①英語、②ファイナンス、③コンピュータープログラミングの3つをあげました。

このうち「ファイナンス」については、企業価値創造や株価決定のメカニズムなどを含む幅広い概念だと申し上げましたが、実は日本の多くの企業人は必ずしもこれを身につけていません。

   Stockmarketboard_2

    (Source; Wikimedia Commons; Author Katrina.Tuliao)

その一つの例として、株主優待をあげておきましょう。

日本では上場企業の36%が株主優待を行っていますが、たとえばアメリカのダウ平均銘柄に採用されている企業で株主優待を行なっているところは1社もありません。

企業は株主のものであり、株主優待とは、株主が自分の資産を取り崩して自分に支払う行為です。

つまり会社から財産が流出したら、それは株主の負担になるということです。

ですから基本的には「行って来い」の関係で、株主優待を行なおうと行なうまいと、経済効果は等しい(タコが自分の足を食うような関係)のですが、配当金(現金)と違って優待の内容から得られる便益は大部分の株主にとっては現金以下の価値しかありません。

また株主優待を行なうことの事務コスト(郵送料、労働コスト)も馬鹿にならず、その分も株主にとっての企業価値が毀損されることになります(つまり理論的には優待実施後には「優待の経済価値+アルファ」分だけ株価が下がります)。

この結果、アメリカで企業が株主優待を行おうとすると、株主価値を毀損するとして、場合によっては「経営陣が株主から訴えられる」なんていうことも起こり得ます。

たとえ訴えられなくても、株価に対しては下落の圧力を働かせてしまう。

だから、アメリカでは株主優待を行なう企業がほとんどないのです。

このように日本の株式式市場では、「日本の常識は世界の非常識」といった状況がまかり通ってしまっています。

そしてその結果、株価形成を歪んだものにしてしまっています。

株主優待の他にもいろいろあるのですが、それはまた別の機会にお話しします。

現代ビジネス(現代ISメディア)インタビュー記事は、『こちら』です。

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2018年11月 1日 (木)

11月になりました

フォーチュン誌が「レッド・オクトーバー」と形容(下記)した10月も終わりました。

The U.S. Stock Market's Red October Is Over. (By Fortune)

そう言えば、昔、そんな題名の映画もありましたね。

脱線ついでに・・・

Hw

上の写真は昨晩の渋谷です。

さて・・・

日本では早くも11月。

アメリカでは11月早々大きなイベントが目白押しです(以下いずれもアメリカでの時刻)。

  • 1日 アップルの決算発表
  • 6日 中間選挙
  • 7-8日 FRB FOMC(連邦公開市場委員会)
  • 30日-12月1日 G20

今回の雇用統計は、仮に数字が市場予想を上回るとすると、

「やはり米国経済は強い」ということが確認されて、

「FRBの利上げのスタンスを強めることにもなりかねない」とばかり、

マーケットに嫌気されるリスクもあります。

かと言って、市場予想を下回れば、経済のファンダメンタルズの悪化が嫌気される・・。

マーケットにとっていちばん望ましいのは、「市場予想とあまりずれない」ことなのかもしれません。

7-8日 FRB FOMCについては、下記の表をご覧ください。

Fomc_2

今年の3回の利上げ(3月、6月、9月)は、いずれも青でシェイドされた月に行われています。

青シェイドの意味するところは、

Meeting associated with a Summary of Economic Projections and a press conference by the Chair.

ということで、「経済予測と議長による記者会見」が予定されている月。

ちなみに、これらの月は、前年の段階から、あらかじめ決まっています。

ですから、11月は青シェイドではないので、常識的に考えれば11月の利上げはありません。

ポイントは12月(今年最後の青シェイド)に利上げがあるかどうかで、そのヒントが11月8日のStatement (発表文)に出てきます。

このような意味合いで、7-8日 FRB FOMCは、市場関係者に注目されています。

FRBが発表するこの「Statement (発表文)」の文章によって、市場が大きく動く可能性さえあります。

そして、もちろん中間選挙(11月6日)の結果も、市場に大きなインパクトを与える可能性が・・。

最後に、中国の習近平氏とトランプ大統領は今月30日から始まるG20で面談することが予定されています。

米中貿易摩擦がどうなるのかも、今月の大きなテーマ。

①雇用統計、②決算、③FOMC、④選挙、⑤米中貿易摩擦と、

材料目白押しの11月ですが、はたして市場はどう動くのでしょうか。

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2018年10月22日 (月)

社内にアイディアが育まれるプロセスというのは、意外にぐちゃぐちゃなもので、頭に電球がともる瞬間などありません

これはアマゾンの創業者、ジェフ・ベゾスの言葉。

アマゾンにしろ、グーグル、アップルにしろ、IT業界の巨人たちは熾烈な競争を演じています。

雌雄を決するポイントはイノベーションを起こせるかどうか。

そのために経営者たちはあれこれと試行錯誤しながら、必死で格闘しています。

日本企業の経営者たちも、「イノベーション」とか「創造的破壊」といった言葉を好みますが、

では、そのためにいったい何をしているのか

というと、意外と実行が伴わないこともあるようです。

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* * *

・・・そんなことをお話ししていたら、インタビュー記事になりました。

現代ビジネス(現代ISメディア)です。

よろしかったらご覧になってみてください。

『こちら』です。

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2018年10月15日 (月)

シアーズ猫事件

シアーズといえば米国シカゴに本社を置く小売大手。

1893年(明治26年)の設立。

つまり日清戦争の前年です。

歴史ある会社なのですが、革新性にも富み、世界の民間企業の中で、最初に円建て外債(サムライ債)を発行したのもシアーズ。

これは1979年のことです。

私が興銀のシカゴ駐在員をやっていた時も、シアーズは重要な取引先でした。

当時私はまだ20代。

シアーズのAT(Assistant Treasurer)とは、一緒にリグリーフィールドにカブス戦を見に行ったりしました。

      Sears_tower

        (シアーズタワー;出所:Wikimedia Commons)

このときマスコミを賑わせていたのはシアーズ猫事件。

アメリカでは、飼っている猫が雨に濡れると,洗濯の乾燥機(ドライヤー)に入れてやる人が結構多くいました。

いつもは飼い猫を乾燥機に入れていたAさんは、どういうわけか、

『乾燥機じゃなくて、電子レンジでもいいんじゃないか』

と考えて、濡れた猫を電子レンジに入れて、チン。

恐ろしいことです。

猫は電子レンジの中で爆発したようになってしまい、亡くなってしまった・・・。

そこで彼女は電子レンジの製造販売元のシアーズを訴えました(その電子レンジは、今でいうところのシアーズのプライベートブランドでした)。

「責任はシアーズにある」

「猫を入れるなとは使用説明書に書いていない」

結果、シアーズは訴訟に負け、多額の賠償金を払うことに。

それだけでなく、以降の使用説明書には「猫を入れるな」と書かされるようになったと言います。

シアーズのATからこの話を聞いて、私は「アメリカという国は恐ろしい国だ」と思いました。

弁護士がたくさんいて、何でも訴訟にしてしまうからです。

さて、そんな思い出のあるシアーズ。

そのシアーズが経営破綻して、本日(15日)、連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請しました。

怖いのは訴訟だけではない。

アマゾン恐るべしです。

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2018年10月11日 (木)

大統領のイライラ

ダウは800ドル以上(3%)も下げ、NVIDIA、ネットフリックス、アマゾンなどのテック株も総崩れ。

アマゾンはAfter Hours で1737ドルに。

ピーク時(2050ドル)に比して、15%安。

中間選挙を控え、大統領のイライラ感が伝わってきます。

『こちら』 のWSJ記事。

   Wsj

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2018年9月26日 (水)

米中貿易戦争の行方

昨晩の日経CNBCテレビ「日経ヴェリタストーク」ですが、『こちら』でご覧になれます。

    Veritasu

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2018年9月25日 (火)

中国 落日の足音

今晩は、日経CNBCテレビ「日経ヴェリタストーク」に出演しました。

24日、トランプ政権は対中制裁関税第3弾を発動。

2,000億ドルに10%の追加関税を課しました。

すでに発動されていた第1弾(340億ドル)と第2弾(160億ドル)とをあわせて、合計2,500億ドルが追加関税の対象に。

米国が中国から輸入する5,000億ドルのうち、半分が対象となったことになります。

さらにマーケットでは、「残りの半分、すなわち追加で2,500億ドルにも制裁関税が課されるかもしれない」と囁かれるに至っています。

これに対抗する中国の方はどうでしょうか。

中国はもともと1,500億ドルしかアメリカから輸入していませんので、報復措置にも限度があります。

米国の一連の動きを受けて、中国株(上海総合)は年初来17%ほど下落。

為替も1ドル6.51元(年初)から6.86元の元安に。

   Photo 

リーマンショック後には、4兆元の景気対策で世界経済を下支えした中国。

しかしこの結果、過剰債務を抱えることになり、中国政府としては、過剰債務問題に取り組み始めた矢先に襲ってきたのが、今回の「トランプショック」です。

それだけに中国としては影響が甚大だと言えるでしょう。

さて、我々はこうした米国の動きをどう見れば良いのでしょうか。

これは「米国中間選挙に向けての政治的パフォーマンス」に違いない。

米国も返り血を浴びるから、いずれは中国との間で妥協点を見いだそうとするはずだ・・。

― もしこう解釈するのであれば、年内にも落ち着くところに落ち着きそうです。

しかし、どうやら話はそう簡単でもなさそう。

というのも、米国では、「いずれ中国が米国を抜いて世界一の経済大国になる」と囁かれているからです(『こちら』)。

つまりこの問題の背後にあるのは、「世界経済の覇権」を巡る争い。

だとすれば、この問題は長く尾を引きそうです。

それに、そもそも米国の貿易赤字は5,660億ドルにも上ります(2017年;対前年比+12%)。このうち対中国で、3,429億ドルもの赤字。

一方で、中国は4,225億ドルの貿易黒字。

一国が恒常的に赤字を続け、もう一国が恒常的に黒字というのは、世界貿易の健全な姿ではありません。

米国から見ると、5,660億ドルを産み出す雇用(日本のGDPの12%に相当)が、米国の外に移ってしまったと見ることも出来ます。

とすると、米国としては、中国との間で簡単には着地点を見つけ出すことが出来ないのかもしれません。

中国からすれば米国はいちばんの輸出先。

全体の19%を占めます(『こちら』)。

仮にこの部分すべてに追加関税をかけられてしまうというのであれば、影響はかなり大きいと言わざるをません。

取りあえず中国としては、米国以外、すなわちEUや日本との貿易を活発化させようとするのでしょう。

しかし欧州も米国同様に中国に対しては危機感を抱いています。

中国が行うべきは小手先の解決策を講ずることではありません。

まずは、①知的財産権の保護、②外資に対して閉鎖的な国内市場の開放など、WTOの求め(『こちら』)に従った形での「改革」を進めること。

このことこそが、複雑化しつつある問題を解決に導く第一歩であるような気がします。

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2018年9月16日 (日)

10年前の記憶

「えっ。全株ですか。」

「そうです。全株、売ってしまってください。」

私は日本の証券会社に電話でこう指示した。

世界中を震撼させたリーマン・ブラザーズの倒産(連邦破産法11条申請)が明らかになった2008年9月15日。

前週末に3ドル65セントを付けていたリーマンの株価は一気に下落し、何と21セントにまで落ち込んでいた。

「寄付きで売りますか。それとも20セントあたりで指値しておきますか。」

電話の向こう側で証券会社の営業マンの声が空虚に響く。

こうなってしまったらどうでも良かった。

リーマン・ブラザーズの株価は前年2月には86ドルを付けていた。

この高値に比べれば株価は99.8%下落したことになる。

言ってみれば1,000万円の金が僅か2万円になってしまった訳だ。

経営が破綻したのだから当たり前といえば当たり前だろう。

私がリーマン・ブラザーズの株を持っていたのは、5年前まで私がリーマンの幹部、すなわちマネージング・ダイレクターであったからだ。

投資銀行は年収が高いと言われているが、幹部クラスになると給与や賞与は現金で貰う分に比べて、自社株式の形で支給される割合が高くなっていく。

業界用語でいうペーパーマネー。

すぐには現金化出来ないカネという意味だ。  

もちろん退職後5年を経過した今、私がリーマン・ブラザーズの株式を売ることについての制約は無くなっていた。

単に「自分が勤めていた会社の株」ということで思い出や記念の意味合いを込めて持っていたに他ならない。

それがまさか紙くず同然になろうとは、正直言って思いもよらなかった。

しかし、私などはまだましな方だ。

テレビではニューヨークのリーマン本社から私物を詰め込んでダンボールを抱えて出てくる社員の姿を映し出していた。

テレビ局のインタビュアーがマイクを向けて「社員の方ですか」と尋ねる。

「今朝までは社員だったよ。」

憮然とした表情で20代後半の若者がこう答えていた。

日本でもリーマン・ブラザーズの日本法人が東京地裁に民事再生法の適用を申請した。

負債総額3兆4千億円。

日本の経済史上2番目の大型破綻だ。

1,300人の従業員はどうなるのだろうか。

かつて一緒に働いていた同僚たちの顔が次から次へと目に浮かんでくる。

「岩崎さん、それでは今晩開くニューヨーク市場で売りの注文を出しておきます。」

証券マンの言葉に私は我にかえった。

これに続く一瞬の沈黙。

その間、証券マンは私に投げかける言葉を探していたのだろう。

私には余り適切な言葉とは思えなかったが、彼はこう言って電話を切った。

「それにしても随分と損をしましたね。」

受話器を置いて私は自分にとっての「一つの時代」が終わったように感じた。

退職後も私と投資銀行とを繋いできた目に見えない、ある種の結びつき。

それが株式の売却によって完全に無くなってしまったように感じたのだ。

      (以上、拙著『リーマン恐慌』17-18頁より)

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      (写真はリーマンブラザーズの株券)

* * * *

世界中を震撼させたリーマン・ブラザーズの破綻から1ヶ月半ほどした2008年10月末。

私はニューヨークに来ていた。

10月末だというのに夏時間がまだ続いていて、ニューヨークの朝は7時になっても空がまだ薄暗い。

それでも街は出勤してくる人で賑わい、オフィスビルの8割以上には灯りがつき、中では出勤した社員が熱心にパソコンのモニターを見入っていた。

リーマン・ブラザーズの本社ビルに行ってみた。

ニューヨークの7番街745番地。

私がリーマンに在籍していた時に幾度となく訪れたビルだ。

あのころ、投資銀行はこの街の主役だった。

睡眠時間を削り、顧客とはげしくやりとりをし、大規模な案件をまとめあげていく中で、経済は拡大していき、社会は豊かになっていった。

そんな実感がたしかにわいてくる、刺激的な職場だった。

そんな一抹の感傷をあざ笑うかのように、ミッドタウンにあるこの高層ビルは、いつもと同じように朝コーヒーを片手に出勤してくる社員を次から次へと飲み込んでいた。

唯一の違いはビルの入り口の看板から「リーマン・ブラザーズ」の文字が消え、「バークレイズ・キャピタル」の文字に替わっていたことくらいだ。

     (以上、拙著『リーマン恐慌』4-5頁より)

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(写真はかつてのリーマンブラザーズのビル;08年10月撮影)

* * * *

リーマン破綻から10年。

当時書いた自分の本を読みなおしていました。

寝食忘れ、自分の寿命を削るような思いをして働いていた投資銀行時代。

そのとき得ていた報酬のかなりの部分はリーマンの株に置き換わっていたので、個人としてはかなりの経済的損失を被ってしまいました。

正直、10年前はショックだったのですが、今となっては、こうした経験は自分にとってプラスに働く面もあったように思えてきます。

リーマンショック前には見えなかったものが、見えるようになった、そんな気がしてくるのです。

あれから10年。

今年も東京で当時リーマンに勤めていた人たちの懇親会が開かれるとの連絡を受けました。

残念ながら私は出席できないのですが、幹事によれば200人近くが参加の予定とのことです。

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2018年8月26日 (日)

第2の敗戦

今から73年前。

1945年の敗戦が第1の敗戦であったならば、

平成の30年間は第2の敗戦、

それも経済的な意味での敗戦だったのではないか。

先週号の週刊ダイヤモンド『平成経済全史』を読んでいて、

ふとそうした思いが胸をよぎりました。

Market_cap_3

上の表は上記のダイヤモンド誌45頁に掲載された表の一部。

平成元年(左)から平成30年(右側)までの30年間の変化です。

注意すべきは左側は「日本でのランキング」を示したものではないということ。

左側も「世界ランキング」なのです。

日本の若い人にはこの事実がショッキングなようで、

『えっ!日本勢が世界1位から5位までを独占していたのですか』

といった反応も少なくありません。

なかには

『このデータは信憑性があるんですか』

といった疑問を呈する人もいます。

しかし、この表は事実です

(もともとは米ビジネスウィーク誌1989年7月17日号「The Business Week Global 1000」に掲載されたデータをダイヤモンド社が引いたもの)。

これを見て、

『あの頃はバブルだったから』

とか

『円高だったから』

とコメントする人がいます。

たしかに円高であったとすればドル換算の時価総額は

その分、高くなります。

しかし円高だったから、というのは事実ではありません。

実は、1989年は今よりもずっと円安でした(1年間の始値123.6円、高値 149.63円、安値123.6円、終値143.79円)。

バブルだった、というのは、その通りなのですが、

しかしそれでも、たとえばトヨタ自動車を見ると、

平成元年の時価総額541.7億ドルから

平成30年の時価総額1,939.8億ドルへと

3.6倍にも時価総額を高めています。

つまり元年がバブルだったからといって、

30年間もの長い間に時価総額を高められなかった言い訳にはなりにくい―

この間、3.6倍にも時価総額を高めた日本企業があるのですから。

この表にはいろいろな見方があるのでしょうが、一つ気がつくのは、

30年前には世界ランキング表には名前を見ることもなかった米国の西海岸の企業が

あっという間に躍進して世界のトップ1位から5位までを独占してしまった

という点です。

しかもこの5社のうち3社までが平成元年の時点では存在すらしていませんでした。

フェイスブックの創業者マーク・ザッカ―バーグ氏に至っては当時まだ5歳だったのです。

* * *

平成元年には世界のトップ30社のうち25社までが日本企業でした。

それが30年後、世界のトップ30社に入った日本企業は1社もありません。

でも、それがいったい何の意味を持つのでしょう。

そう思う人もいるかもしれません。

残念ながら、この30年間にわれわれの生活は少しずつ相対的に貧しくなっていきました。

たとえば世帯主が30代の世帯の平均年収はアメリカが990万円(注1)。

これに対して、日本はたったの560万円(注2)。

(注1)アメリカ合衆国国勢調査局「2016年:世帯の所得」(2017年8月10日)

  為替レートは昨年末のものを使用

(注2)平成28年 国民生活基礎調査の概況(平成29年6月27日、厚生労働省)11頁

* * *

いろいろな意味で日本は遅れをとってしまったのです。

なぜそうなったのか、どうしたら挽回できるのか。

これを考えないことにはますます差をつけられてしまいそうです。

公的セクターの力が強くなりすぎていないか、

あるいは民間の方も政府に頼り過ぎていないか・・・

世界のトップ1位から5位までが、いずれも首都ワシントンDCやニューヨークから遠く離れた西海岸の企業であることにも、何らかのヒントがあるのかもしれません。

いちばん避けなくてはいけないのは、『あの頃はバブルだったから』という言葉で片付けてしまうこと。

これは思考停止以外の何ものでもありません。

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