2020年11月27日 (金)

産業の新陳代謝

これはS&P500に採用されている500の企業を産業別に区分したもの。

時価総額で見ると、IT関連の会社が全体の27.4%を占めていることが分かります。

Sp500

出所は『こちら』です。

S&P500に採用されている500社の時価総額は、米国で上場されている企業全体の時価総額総計の8割を占めます。

つまりこのグラフは米国全体の上場企業の時価総額ベースの構成比に概ね等しいことが分かります。

ITが全体の4分の1を上回るというのは、改めて米国の産業構造の変化に感嘆させられます。

ちなみに日本の場合、情報・通信業の東証1部に占めるシェアは13.5%(『こちら』)。

ただしおそらくは日米で産業区分の定義も違うかもしれませんし、両者を単純比較するのは正確性に欠けるかもしれません。

むしろ比べるべきは、時系列における変化です。

ここ10年間で、上記の米国の数字は下記のように変化してきました。

IT 18.5%(10年前)→ 27.4%(20年10月末)

エネルギー産業 10.9%(10年前)→ 2.0%

米国のおける凄まじいばかりの産業の新陳代謝。

本日の日経新聞コラム記事は、斯様な状況を念頭に書きました。

『こちら』です。

なお上記記事と同じものが29日に発売となる日経ヴェリタス紙にも掲載されます。

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2020年11月22日 (日)

「第七回 構想力の倫理」勉強会(エコシスラボ・サロン)

昨日は、紺野登多摩大学大学院教授主催の「第七回 構想力の倫理」勉強会(エコシスラボ・サロン)に参加しました(Zoomです)。

スピーカーは中国ビジネス研究所代表の沈才彬先生(多摩大学大学院フェロー)。

トッピクスは「中国の構想力について」。

沈先生は、1944年 中国江蘇省海門市の生まれ。1981年、中国社会科学院大学院修士課程(日本経済史)修了、同大学院講師 。1984年、東京大学客員研究員、早稲田大学客員研究員、1987年、中国社会科学院大学院助教授 。1989年以降、御茶ノ水女子大学客員研究員、一橋大学客員研究員、三井物産戦略研究所中国経済センター長 などを歴任し、2008年、多摩大学教授・・といった経歴の持ち主。

武田薬品工業など日本の大手企業の中国事業アドバイザーなどを務めた経験もあります。

昨日は(1)AIIB設立、(2)ファーウェイ(華為)、(3)阿里巴巴集団(アリババグループ)を例に講演が進められました。

私にとって印象に残ったのは、たとえばAIIB。

アジアのインフラ需要は年間8,000億㌦。

それに対して、世銀とADBによる融資はそれぞれ100億㌦程度。

日本や米国にしてみれば、『その隙を突かれた』ということでしょうか・・。

現在では、AIIBの参加国は102ヵ国・地域にも及びます。

もう一つの例のファーウェイ(華為)。

創業者、任正非CEOは、すでにかなり前から米国との衝突を意識。

米国と衝突するようなことになれば、ファーウェイは負けるだろうと考え、2003年、米モトローラに自社を売却することを決断。

売却額は100億㌦。

しかしモトローラCEOの突然の交代劇で、このM&Aは最後のところで頓挫。

自社の売却を諦めた任CEOは「10年後にアメリカと激しい衝突を迎えることになるので、準備する必要がある」とし、プランBを指示。

2004年より、秘かに数千人規模の社内チームを発足させ毎年巨額の資金を投入。コア技術の自主開発に励みました。

具体的には最先端の半導体チップと基本ソフト(OS)の自主開発を開始したのです。

* * *

講演を聞き終わって、沈先生の最新刊『中国新興企業の正体』を読んでみようかと思いました。

  China

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2020年11月18日 (水)

ときめきの株式投資

片付けのノウハウ伝授で世界的に有名になったコンマリさん。

彼女によると、モノを捨てるかキープするかは、ときめきを感じるかどうかで、決めるのだとか。

株式投資においても、たとえばポートフォリオに10銘柄持つ場合、ときめきを感じない株には見切りをつけるというスタンスが重要かもしれません。

過去に幾らで買ったとか、現在の含み益、含み損は幾らかというよりも、ときめくかどうか・・。

言い換えると、これから先、上がっていくかどうかという視点がいちばん重要なように思います。

* * *

さて、昨晩は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

『混迷下の株高どこまで』というテーマで、大統領選の結果が出て上昇を続ける株式相場について話しました。

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質問)今回の米大統領選をどのように見たか?

答え)

マーケットの立場からすると、いちばん望ましい選挙結果となった。

なぜ望ましいと考えるか、ポイントは2つある。

一つは上院では共和党が勝ちそうだということ。

来年の1月のジョージア州の決選投票でジョージアの上院2議席が確定するまでは、なんとも言えない。

しかし2議席とも共和党が失うとは考えにくい。

この結果、上院を共和党が制すれば、バイデンが今後、仮に極端に左派的な政策を取ろうとしても、上院でこれを否認出来る。

二つ目は、バイデンが選挙人数300を超えたところで勝利したこと。

270ギリギリだと、トランプが抵抗し、場合によっては逆転するとか、ゴタゴタがずっと長く続く可能性が高かった(もちろん今でも分からないが)。

逆にバイデンが選挙人400を超えるような大差で勝つと、民主党内の左派の要求を受け入れる傾向が強くなる。

今回のような結果だと、バイデンとしても、「米国で半分の人がトランプに入れた」という事実を無視できない。

つまり極端に左に振る政策は取りづらい。

質問)米国経済はバイデン政権下でどう変化していくか。

答え)

トランプは、それまでは35%だった法人税率(注:厳密には大企業、中小企業等で税率が異なった)を一気に21%にまで下げた(2017年)。

バイデンはこれを28%にまで上げると言っていた。

ただ上院で共和党が過半を占めることが予想され、たぶんこうした増税は簡単には出来ないだろう。

つまりバイデンが比較的中道的な政策を進めるとの前提に立てば、米国経済は順調に拡大していく。

日本にはバイデンを警戒する向きもあるが、彼はオバマ政権下で8年間、副大統領をやっていた人。

オバマが大統領に選ばれた時(08年11月4日)からトランプが選ばれるまで(16年11月8日)を比較すると、この8年間で米国の株価は1.9倍になっている(9,625→18,332)。

つまりマーケットの視点からすると、バイデンになったからといって、そんなに恐れることはないだろう。

質問)この株高はどこまで続くか。

答え)

足元で見ると確かに過熱感はある。

しかし勢いがあるので、ダウは3万ドルを超え、3万1千ドルを展望する展開になるかもしれない。

ただ少し引いて、10年とか20年の長い目で考えてみると、

たとえば12年前にオバマが選挙で買ったときと比べると、現在の株価は3倍になっている(9,625→29,950)。

ということは、これと同じことがもし起きるとすると、これから更に12年経って株価は現在の3倍になっている可能性もあるということだ。

つまりダウ9万ドルというレベルになるということなのだが・・。

ウォーレン・バフェットもこれから先、10年もしくは20年の間にはダウは10万ドルを超えるといった趣旨のことを言っている。

米国経済はGDPがきちんと伸びっていっているし、人口も増えている。それに相俟って企業業績も拡大していくだろう。

質問)今後、マーケットの焦点は何に移っていくか。

答え)

2つあって、ひとつは、マーケットとしてはトランプ陣営による訴訟の行方が気になる。

もう一つは、新しい政権の布陣。とくに財務長官が誰になるかが関心事。

今となっては、ブッシュ政権の時の財務長官がもし仮にポールソンでなかったとしたら、リーマンショックは起こらなかったという人も出てきている。

斯様に財務長官が誰になるかによってマーケットは大きく左右される。

ニューヨークタイムズは「左派のエリザベス・ウォーレン上院議員が財務長官になるかもしれない」と報じたが、もしそうであれば、マーケットとしては一気に引いてしまう。

しかし私が見るところ、財務長官がウォーレン上院議員になる可能性はほとんど無いと思う。

前のFRB議長のイエレンさんや、JPモルガンのダイモンCEOの名前も候補者として出てきているが、彼らのような人をマーケットは歓迎するだろう。

つまり、ウォール街と親和性のある人であって欲しい。

質問)ここから年末ラリーの可能性もある。個人投資家はどのような投資戦略が必要だと思うか。

答え)

確かに相場は過熱気味だ。予想PERはダウも日経平均も共に24。

歴史的にはPERは14位なので相当高い。

しかしFRBは思い切って資産を拡大した(金融政策)。

そして財政政策としては、CARES Act で2.3兆ドルの財政支出を行った。

さらにバイデンが勝ったので、追加の財政支出が2兆ドル前後行われると考えられている。

つまり過剰流動性によって支配された相場が続いているので、PERが高くなっていると見ることが出来る。

ただ個人投資家としては、一気にここで買いを入れるのではなくて、12月、1月、2月といった具合に、ある程度の時間分散を図った方が良いだろう。

また日本の場合は、(1)円高リスクや(2)少子高齢化といった日本固有のリスク、(3)さらには中央銀行が株式を購入しているという特殊事情もある。

日本だけに投資するというスタンスよりも、米国株などにも投資することでリスク分散しておくべきだと思う。

* * *

以上、詳しくは『こちら』の動画をご覧ください。13分30秒です。

次の10年、20年を牽引することになる「ときめきの株」はどこなのでしょうか。

やはりGAFAなのでしょうか。

それとも全く別の新しい名前なのでしょうか。

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2020年11月10日 (火)

DX(デジタルトランスフォメーション)熱狂相場の終焉?

昨日(月曜日)の米国。

朝6時45分(日本時間20時45分)にファイザーが『開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で9割以上の被験者に感染防止効果がみられた』との初期データを発表しました(『こちら』)。

すると取引時間開始前にも係わらず、株価(Before Market Trading)が一斉に動き始めます。

ズームはいきなり500ドルから430ドルまで急落。

ダウは上昇。

取引開始後もこの流れは加速し、ダウ平均は一時1,610ドル高の29,933ドル(史上最高値)となりました(月曜日の終値29,157)。

一方のたとえばズームですが、一時は402ドルまで下落(前日比▲20%)、最終的に413ドルで引けています。

以下、引け値(前日比)で主なものをピックアップすると:

【上げたもの】

ダウ 29,157(+2.95%)

S&P 3,550(+1.17%)

ウーバー 48.18(+7.38%)IPO後、最高値(ウーバーイーツよりもライドシェアの部分に注目)

トリップアドバイザー 24.31(+21.67%)

ディズニー 142.59(+11.87%)

【下げたもの】

ズーム 413.24(▲17.37%)

ネットフリックス 470.50(▲8.59%)

NVDIA  545.23(▲6.40%)ー  ゲーム機、ゲーム用PCにはNVIDIAのエンジン(GPU)が搭載されています

アマゾン 3,143(▲5.06%)

フェイスブック 278.77(▲4.99%)

窓の外に目をやれば、米国では新規感染者や死者数も相変わらず凄い勢いで伸びているのですが、

「マーケットはコロナ後の世界を見て動き始めた」ーそんな気がする月曜日の相場でした。

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2020年11月 1日 (日)

コロナ株高の崩壊?

昨晩は満月が綺麗でした。

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ハロウィンが満月になるのは46年ぶり。

次のハロウィン満月は38年後の2058年。

生きていれば105歳ですが、ちょっと難しそうです。

* * *

さて株式市場の話題。

率にしてみれば▲6.5%なので、それほどたいしたことではないのですが、

ここ1週間でダウは1,833ドル下落(28,335ドル→26,501ドル)。

そして、いよいよあと数日で大統領選に突入。

お読みになった人も多いかと思いますが、

先週号のエコノミスト誌(10月26日発売)は、

『コロナ株高の崩壊』と題して、衝撃的な内容の特集(詳しくは『こちら』)。

表紙には、

NYダウ失速、日経平均2万円割れ、円高100円割れも

といった文字が踊ります。

Economist

頁をめくって、各記事の見出しだけ列挙してみると:

■金利上昇で沈むハイテク株 11月にダウ5000ドル暴落も

■米バブル 下落局面への転換点

■米大統領選 勝敗予想 バイデンの「雪崩的勝利」も

■日本株 海外投資家は売り姿勢

■円高 来年後半に100円割れへ

■機関投資家の相場観「ハイテク株への追い風は止まる」

といった具合。

トランプが勝つか、バイデンが勝利するか、未だ分からないときに、

バイデン勝利前提で特集号を組むのは勇気ある行為だと思います。

しかし投資家としては、どちらかに賭けて動くというのは難しいと考える人が多いのではないでしょうか。

* * * * *

話はもう一度大きく変わりますが、ジェフ・べゾスと離婚したマッケンジーさん。

離婚協議の内容は

【1】ワシントンポスト紙とブルーオリジン(航空宇宙事業)はすべてジェフにあげる("happy to be giving him")

【2】ジェフ・べゾス夫妻が所有していたアマゾンの株式の75%をジェフにあげる(議決権については100%をジェフにあげる)

というものでした(『こちら』)。

つまり彼女は夫婦所有のアマゾン株の25%を貰っただけなのですが、それでもSECへの届出書によると、19.7百万株。

現在の株価で計算して、6.2兆円。

ここから先がマッケンジーさんらしいのですが、

彼女はこれをほとんどすべて寄付してしまうと宣言。

彼女の言葉で言えば、「金庫が空っぽになるまで(until the safe is empty)」(『こちら』)。

まぁ、たとえ99%を寄付したとしても、「それでもまだ620億円以上が手元に残る」などと庶民は考えてしまいがちですが・・。

今年7月に彼女が書いたブログには、すでに総額1,750億円の寄付がなされたことが記されています。

そしてこれから何年もかけて寄付を続けていくとして、116もの団体名が明記されていました(『こちら』)。

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2020年10月25日 (日)

一昨日、紹介した記事ですが・・

本日発売の日経ヴェリタス紙に掲載されています。

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2020年10月23日 (金)

投資力を磨こう

これまで「投資力を磨こう」とのテーマで日経ヴェリタス紙にコラムを書いてきました(注:日経電子版にも掲載されます)。

連載に当たっての趣旨は、スタンフォード大学ビジネススクールで教えられている「株式投資論」の講座をベースに、出来るだけ平易に、投資に係わる理論的なフレームワークを説明していこうというものでした。

第1回 3月29日 大恐慌やリーマンショックに学ぶ(危機に際しては分散はあまり意味を持たない)

第2回 5月3日   分散投資の効果と投資家ケインズの手法

第3回 6月7日    株価の変動幅は正規分布を示すのか

第4回 7月12日  サルに運用させた方が成績が良いとは?

第5回 8月16日  401Kにより米国人の老後収入は日本の2倍

第6回 9月20日  フィッシャーが教える成長株投資の極意

さて、これまで説明してきたような基礎的かつ理論的なフレームワークはもちろん重要です。

しかし現実の世界では多くの人がちょっとした落とし穴のようなものに嵌まってしまっていることに気づかされます。

どういうことでしょうか。

数年前の話ですが、ある上場企業からM&Aの件で相談したいと言われて社長を訪問しました。

初めてお会いする社長を前に「かつて興銀で働いていた」と私が自己紹介すると、社長の顔色が見る見るうちに変わり始めました。

「バブルの頃、興銀のA氏に言われて節税目的でヘリコプターに出資したんだ。ひどい目にあった。今日はもうお引き取りください」

実際のところ、こういった話はよく聞く話です。

富裕層相手に節税商品を売ることは今でもよく行われています。

たとえば1年ほど前まではマーケットでは航空機リースが盛んに組まれていました。

複雑なリースの仕組みの中で、航空機の部分所有者になることで、投資家は航空機の減価償却を享受でき節税に繋がります。

私自身、富裕層からこの種の相談を受け「やめた方がいい」とアドバイスしたりしていました(昨年11月のことです)。

そして今となっては感謝されています。

というのは、

とくにコロナ禍の現在では航空機が世界的にダブついてきているからです。

航空会社の倒産や債務不履行によってリースが途中解約されると投資家は大きく傷つく可能性が出てきます。

今回の日経ヴェリタスのコラムでは、「番外編」ということで、投資の世界に隠れ潜むこうした「落とし穴」について書いてみました(注:ただし航空機リースの話などについてはいっさい触れていません)。

紙の日経ヴェリタス紙の発売は10月25日(日曜日)ですが、一足早く、日経新聞電子版に掲載されています。

『こちら』です。

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2020年10月18日 (日)

株主優待について考えてみる

日本では株主優待は好ましいものと考えられています。

実際、マネーや株式投資関係の雑誌や新聞のページをめくると、

「A企業の株主になるとこんな特典がある」

といった記事が目を引きます。

はたしてどのくらいの企業が株主優待を行っているのでしょうか。

   Jal

     (上記はJALのウェブサイトより)

少し前の記事ですが、日本では上場企業の36%が株主優待を行っている旨が報じられていました(日本経済新聞 2018年1月13日)。

一例をあげてみます。

自動車会社スズキのウェブサイトにはこうあります。

『当社は、株主の皆様の日頃のご支援に感謝するとともに、当社株式の魅力を高め、長期保有の促進を目的として株主優待制度を実施しております。

100株(1単元)以上の当社株式を決算期末(3月末)現在保有する株主様を対象として、当社が所在する静岡の産品「静岡茶2本セット(80gリーフタイプ及び60gティーバッグ)」を株主優待品としてお届けいたします』

株主になることで、静岡茶がもらえる!

ちょっと得した気分になります。

それにスズキの立場に立って考えてみれば、地元の産品ですので、地元貢献にも繋がるといった利点があるのかもしれません。

さて、ここで視点を少し変えてみましょう。

あなたは一戸建てでなくて、マンションを所有しそこに住んでいるものとします。

マンションの理事会が、住民(区分所有者)全員に日本茶のセットを配ることを決めたとしたら、どうでしょうか。

自分たちのお金をそんなことに使ってほしくないとばかり、反対する住民(区分所有者)も出てきてそうです。

しかしスズキが配る静岡茶の場合はどうでしょうか。

マンションの理事会の決定には反対であっても、スズキの取締役会の決定には株主として歓迎するというのは何故でしょうか。

ちなみに米国では株主優待(shareholder perks と英語で言います)はほとんど行われていません。

2017年4月2日付けの日経新聞(『こちら』)によると米国で株主優待を行っているのは10社未満。

S&P500に採用されている会社だけでも500社もあるのですから、全体で10社未満というのはほとんどゼロに等しいようなレベル。

もちろんダウ平均株価に採用されている30社で株主優待を実施しているところは一社もありません。

なぜでしょうか。

先ほどのマンションの例を思い出してみてください。

企業は株主のものであり、株主優待とは、株主が自分の資産を取り崩して自分に支払う行為です。

つまり会社から財産が流出したら、それは株主の負担になるということです。

ですから株主優待を行うということは、基本的には「行って来い」の関係です。

つまり株主優待を行なおうと行なうまいと、経済効果は等しい(タコが自分の足を食うような関係)のですが、

配当金(現金)と違って優待の内容から得られる便益は大部分の株主にとっては現金以下の価値しかありません。

株主の中にはコーヒーを飲む方が好きな人もいて、全員が静岡のお茶を好きだとは限らないのです。

また株主優待を行なうことの事務コスト(郵送料、配送に伴う労働コスト)も馬鹿にならず、その分だけ株主にとっての企業価値は毀損されます。

つまり理論的には優待実施後には「優待の経済価値+アルファ」分だけ株価が下がることになります。

このように株式投資の世界では、

日本の常識=世界の非常識

であることが少なくありません。

追ってこれから先、こういったことを少しずつ紹介していきたいと考えています。

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2020年9月27日 (日)

財政の崖

今年3月、米国で CARES Act と称される経済対策が実施されました(『こちら』)。総額2兆2,830億ドル。

これはその後、Phase 3.5(日本語で3.5弾)によって拡充が図られています(下図1参照)。

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(出所:三井住友DSアセットマネジメント「市川レポート」20年8月4日『こちら』

しかし、これらの多くの支援策は順次期限を迎えるようになっています(下図2および下図3)。

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(出所:Financial Times 『US heads for fiscal cliff as stimulus fades』『こちら』

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(出所:三井住友DSアセットマネジメント「市川レポート」20年9月25日 『こちら』

弾切れになってしまっては、失業者、一時休業者の生活は一気に困窮します。

そして経済は壊滅的な影響を被ってしまいます。

いわゆる「財政の崖」の発生問題です。

これを回避すべくここ数ヶ月、与野党が協議を重ねてきていますが、第4弾を巡って、民主党、共和党、そしてホワイトハウスがなかなか歩み寄りを見せず、迷走が続いています。

民主党は第4弾として、これまでに3.5兆ドル案を提示、共和党はこれを拒否。

一方、共和党は0.5兆ドルを提案しましたが、民主党が反対。

トランプ政権(ホワイトハウス)は1.3ドル案を示していましたが、これに対して、民主党のペロシ下院議長が先週木曜日の夜、2.4兆ドルを提案。現在に至っています。

はてして崖は回避されるのか、それとも大統領選(11月3日)まで何も決まらないのか。

そうした中、3回予定されているトランプvs. バイデンのTV討論会の第1回目が今週火曜日、クリーブランドで開かれます。

政治の季節が本格化してきました。

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2020年9月21日 (月)

ドルが覇権を手放す日

1960年代、フランスの経済財政相だったジスカール・デスタン(当時;のちにフランスの大統領)は米ドルが支配する体制について、こう不満を漏らしました。

「米ドル支配は米国に法外な特権を与えている。これにより米国は他国から安い資金を調達でき、米国民は分不相応の生活水準を謳歌できるようになっている」(『こちら』)。

同じような話ですが1990年代。

当時のアメリカ財務長官のルービンは、クリントン大統領(当時)に対して、こう助言しました。

「大統領としていろいろとやりたいことがあるのでしょうが、歴史に名を残したいのなら、ドル高政策を進めることです」。

財務長官に就任する前の四半世紀をウォール街のゴールドマン・サックスで過ごしたルービンは、ドル高にすることで世界の資金を米国に集めることができると考えました。

輸出入といった「もの」の動きよりも、「お金」の動きを重視すべきだと考えたのです。

世界中から集まる資金をテコにして、アメリカの企業が積極果敢に投資を行い、経済を成長させていく・・・彼はこうしたダイナミックな資本主義のモデルが成功すると信じていました(『こちら』)。

* * *

さてこうした考え方がもはや違ってきているとの論評が米外交問題評議会が発行するサイト、FOREIGN AFFAIRSに載りました(『こちら』)。

いったいこれから先、どうなっていくのでしょうか。

今日発売された日経ヴェリタスではその辺のところを探っています。

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同紙48面は、「投資力を磨こう」のコーナーです(下記)。

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