« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »

2007年6月27日 (水)

ベアによる資金拠出は半分で済むかもしれない(サブプライムローン問題;その2)

今から一時間ほど前のニュースです。

昨日のサブプライムローンの話の続きですが、ベアスターンは、

① 2つのファンドのうち、最初のファンドへの資金拠出は32億ドルも必要なく16億ドルで済む

②2つ目のファンドに対する救済(資金拠出)は必要ない

旨を、発表。

ベアの株価も昨日は上げています。

詳しくは、『 こちら 』をどうぞ。

続きを読む "ベアによる資金拠出は半分で済むかもしれない(サブプライムローン問題;その2)"

| | コメント (0)

2007年6月26日 (火)

サブプライムローン問題の再燃(サブプライムローン問題;その1)

サブプライムローンとは、信用度の低い借り手(主として低所得者層)に対して米国で行われている住宅ローンのことです。

この種のローンの焦げ付き急増は以前から指摘されていたところですが、米国で第 5 位の投資銀行である Bear Stearns 傘下のヘッジファンドの問題が表面化してきました。

Bear 傘下のヘッジファンド2社はこの種のサブプライムローンの債権を証券化して金融商品の形で売買していたのです。

「そもそもこの種の証券化商品(Collateralized Debt Obligation - CDO と言っています)は、一般に認識されているよりもリスクが高かったのではないか」

とか、

「SEC(米国証券取引委員会) は、そもそも何故Bear 傘下の High-Grade Structured Credit Enhanced Leverage Fund が、4月の運用成績を再度報告し直すことになったのか に関心を寄せている」

といったニュースが伝わってきます。

危機に瀕していると伝えられる Bear 傘下の2つのヘッジファンドのうちの一つに対してBear は、32億ドル(約4000億円)の拠出を発表。

98年のロングターム・キャピタル以来の救済劇です。

(これが先週金曜日までのニュース。)

昨日のニューヨーク市場では、Bear は二つのヘッジファンドの内の、もう一つの方にも救済を行うのではないかと噂され、Bear の株価は急落。

以下、ここ5日間のBear の株価です。(グラフをクリックすれば大きくなります。)

Bsc

そもそも32億ドルかけて救済しようとしている最初のファンドは、今年の1月から4月にかけて5%下落した。

それが、今回救済が噂されている2つ目のファンドは、より多くのリスクを取っていた結果、同期間23%下落していたと伝えれています(詳しくは『こちら』)。

この種のモーゲージは過去にも米国の証券業界を苦しめてきました。

キダー・ピーボディーとか、ペインウェーバーとか、今となっては無くなってしまった投資銀行の名前を思い出される方も多いかもしれません。

昨日のニューヨーク株式市場では、ベアスターンズ(▼3.2%)だけでなく、ゴールドマン(▼2.5%)、リーマン(▼2.1%)など、投資銀行の株価は、軒並み、「総崩れ」といった状況でした。

続きを読む "サブプライムローン問題の再燃(サブプライムローン問題;その1)"

| | コメント (0)

2007年6月19日 (火)

スティール対ブルドック問題の本質

スティール・パートナーズ対ブルドックソースの攻防。

連日のように新聞紙上を賑わしています。

スティール・パートナーズがブルドックソースの株式を保有していることが最初に判明したのが、2002年12月。その直前のブルドックの株価はほぼ600円。

株式市場は、ブルドックソースの企業価値(ここでは簡略化のため、株主価値=企業価値と置きます。後述するようにブルドックの借入金は殆どありませんので、本件では株主価値=企業価値と置いても特段の問題はありません)を、

600円×19百万株(ブルドックの株数)=114億円

とみていた訳です。

ブルドックの営業利益や経常利益は9~10億円のレベルであったので、DCF (Discounted Cash Flow) で算出しても (あるいは超簡便法で年間の営業利益の10倍という方法をとっても)、まあ、株式市場は、それなりに妥当にブルドックの企業価値を把握していたのだと思います。

一口で言えば、年間9~10億円を稼ぎ出す会社ということです。

ところが、スティール・パートナーズはここで、ブルドックの損益計算書ではなく貸借対照表の方に着目したわけです。

『何やってんだ!この会社は!』

スティール・パートナーズのリヒテンシュタイン氏はおそらく、こう叫んだのではないでしょうか。

2002年3月末のブルドックは、現預金21億円、投資有価証券66億円を保有。合計で、87億円。

一方、借入金はゼロでした。

114億円の企業価値のうち、現預金・有価証券が87億円を占めている。

要は、これだけの資金が無駄にされていて、収益にあまり結び付いていない。

非常に効率の悪い経営をしていたわけです。

(ファイナンスの理論に従えば、資産は収益を生み出す為のコストです。ブルドックの場合、コストを使って、それに見合う収益を生み出していなかったわけです。)

ということで、経営のやり方さえ変えれば株価は上がる筈だと、スティール・パートナーズは考えたのだと思います。

(実際に計算してみれば分かることですが、現預金・有価証券:87億円のうち、57億円を使って、ブルドックが自己株購入・消却にあてれば、収益はほぼそのままで、株数は約半分になるので株価は約2倍に上がります)。

スティールがブルドックの株式を買っているのが判明すると、スティールが目をつけたのと同じことに株式市場も次第に気づくようになります。

そして、ブルドックの株価は、このことを確認するように上がっていきます。(この間、ブルドックの収益はさほどは変化しません。)

そして株価は当時の倍を超える1340円前後まで上昇(今回のTOB直前の1ヶ月間の平均株価)。

この段階で、スティールが18%のプレミアムをのせて、TOBを行うことを発表したという次第です。

もうお分かりですね。

スティールがやったことはファイナンスの教科書通りのことです。

株式市場も教科書通りの反応をしてフォローしてきました。

この問題の本質は、ファイナンスの理論と違った経営を、これまで取ってきたブルドックの経営陣の方にある訳で、多額な現預金と有価証券を抱えながら、これを収益に活かしてこなかった(収益に結び付けてこなかった)。

これが第一の問題です。

次に第二の問題点。

ブルドックの経営陣が行ってきた(あるいは行ってこなかった)資金調達の方法も、ファイナンスの理論に反するものでした。

以下、もう少し、この第二の点につき説明します。

企業価値とは、企業が生み出すキャッシュフローの現在から将来にわたる『総和』(全て足していったもの)です。

このキャッシュフローを生み出す為に、企業は負債と株式の双方を使って、資金を調達します。

この場合、負債と株式とでは、負債の方がコストが安い(詳しくは拙著『サバイバルとしての金融』参照)のですが、安いからと言って、際限無く、負債の比率を高めていくと、倒産確率が高くなり、やがては企業価値を毀損させてしまうことになります。

すなわち企業価値を極大化させるような負債比率がおのずと存在するわけです(『サバイバルとしての金融』参照)。

ブルドックの経営陣は、こうしたファイナンスの理論に反して、コストの安い負債は一切利用せずして、コストの高い株式のみに依存して資金を調達してきたのです。(別言すれば株式市場から必要以上に資金を集めすぎてしまった。)

こうして、ファイナンスの理論に反する経営を行い、必要も無い資金を高コストの株式市場で集めすぎてしまったからこそ、ブルドックは株式市場が期待する収益を上げることが出来ないでいた。

ゆえにブルドックの株価は、本来達成されるべき価値である一株1500~1700円のレベルに達せず、600円のレベルで低迷していたのです。

ブルドックの経営陣は、本来であれば、こうした点を指摘してくれ、株価を旧来の600円から現在の1600円のレベルにまで押し上げてくれた当社の筆頭株主(議決権ベースで約11%保有)であるスティールに感謝すべきなのでしょうが、何を勘違いしたのか、よく訳の分からない買収防衛策を発表。

これについては、昨日の日経金融新聞と14日の日経新聞などに批判する記事が出ていますので、ここでは敢えて触れません。

ただ例えて言うと、こういうことですね。

例えば民主国家で、現政権(=現経営者)である自民党を支持しないという理由で、あなたの一票が、自民党を支持する人に比べて差別されて扱われたらどうでしょうか。

『なんだ、そんな良い方法があるのか。』と、参議院選挙を控えた安倍晋三首相が、ブルドックのアドバイザーになった野村證券と西村・ときわ法律事務所を、自民党のアドバイザーに雇うかもしれません。

冗談はさておき、スティールが主張している『株主平等主義』というのは、当たり前のことだといえます。

経営者の方々は、敵対的買収を防ぎたいのであれば、事前警告型だとか、種々の買収防衛策を弄するよりも、まず第一に、ファイナンスの理論を学ぶことを行うべきです。

(2~3時間、机に座って本を読めば出来ることです。)

かつて『WACCって何のことですか』と質問する、ある日本の経営者の方がいました。

アメリカでは、上場企業の経営者たちが機関投資家を招いて事業説明会を開催するようなことをよく行っています。(例えば Semiconductor Conference には半導体関係の企業のCEOの方々が殆ど参加します。)

私は、こうした会議に何度も出席して、数多くのアメリカ企業のCEOたちが事業見通しや経営戦略を語るのを聞いてきましたが、少なくともWACCとは何のことか分からない経営者は一人もいませんでした。

経営者がファイナンスの考え方の基礎となるWACCを理解するだけでも、多くの企業は敵対的買収から身を守ることが出来ます(WACCを忘れた方は、拙著『サバイバルとしての金融』を参照)。

少なくとも今回のブルドックはこのことがピタリと当てはまるケースでした。

続きを読む "スティール対ブルドック問題の本質"

| | コメント (14)

2007年6月17日 (日)

世界の人口の20%の人々が、世界中の食べ物の80%を食べている

このところ毎月のように米国に出張していましたが、仕事とは別のところで気がついたのが、

アメリカ人に体の大きな人が多くなったということです。ウェスト・サイズが優に 1 メートルは超すのではないかと思われる人たちです。

私が高校時代にアメリカに留学したのは今から36年前。大学院に留学したのが今から29年前です。

当時も日本ではあまり見られないような大きな体の人はいたのですが、現在のようには多くなかったように思われます。代わりに、足が長くて、格好のよい美男・美女が多く、日本人の私は羨ましく思ったりしました。

それが、今のアメリカでは、街を歩いていても、こういった美男・美女はあまり見受けられなくなり、むしろ日本に戻ってくると街を行く日本人たちのスタイルの良さが目につくようになりました。

もっともアメリカで起きたことは10~20年後には日本でも起きると言われています。(最近の新聞の経済面を賑わすの M&A の動きなど まさに そんな感じですね。) そう言えば、日本でも 肥満気味の子供たちが増えてきた といったニュースを目にするようになりました

一説によると、『世界の人口の20%の人々が、世界中の食べ物の80%を食べている』 と言います。

過食は体にとって良いものではありません。

『節度ある食生活を心がけたい』 と自戒の念を改めて強くしました。

続きを読む "世界の人口の20%の人々が、世界中の食べ物の80%を食べている"

| | コメント (1)

2007年6月 6日 (水)

大株主が上場会社を支配することの問題

NECは子会社NECエレクトロニクスを上場させ、引き続き65%の株式を所有し続けています。

これに対し、NECエレクトロニクスの海外株主2社が、NECの持分割合を5割未満にするように要求したとの報道がなされています。

NECの側に立てば、『もともとNECが5割超の株式を持っているのを分かった上で、NECエレクトロニクスの株を買ったじゃないか。何を今さら・・』 ということなのでしょう。

しかし、海外株主の側に立てば、『上場した以上は、Public Company でしょう。少数株主の利益も考えて行動して下さい。本当にNECが5割超を持ったままで、少数株主の利益もきちんと考えてくれるフェアな経営が期待できるのですか』 ということになります。

こういった問題は、何も親子上場に限った問題ではありません。

東証第一部上場の保土谷化学工業の場合。

昨年3月の時点では、東ソー㈱が同社の株式24%を所有していました。

保土谷化学は、日本ポリウレタン工業の株式を65%所有していて、保土谷の企業価値のうちのかなりの部分を(保土谷の)連結子会社である日本ポリウレタン工業 (以下 “日ポリ” ) が占めていました。(日ポリは非上場です。)

要は、

東ソーは保土谷の24%を所有。 保土谷は日ポリの65%を所有

という関係です。

さて昨年4月に何が起きたか。

東ソーは保土谷から日ポリの株を一部買取、一方、保土谷に対して第三者割当増資に応じる形で出資比率を増加させます。

詳しくは保土谷が発表した プレスリリース (←こちらをクリック) をご覧下さい。

その結果、こうなりました。

東ソーは保土谷の33.34%を所有。 保土谷は日ポリの48%を所有。(日ポリの52%は東ソーが保有。)

日ポリという価値あるものが、保土谷から東ソーに移転してしまった。少なくとも、株式市場はそう解釈したようで、それまでは600円台~800円台のレンジにあった保土谷の株価は以降300円台~400円台のレンジで推移するようになってしまいました。

過去2年間の保土谷の株価推移がこのことを如実に物語っています。

Photo_3

(機関投資家ではなくて)事業会社(この場合は東ソー)が大株主になっている会社の株を買う場合は、本当に少数株主の利益が守られることになるのか、投資家としてよく考えてから投資を決めることが必要です。

(いわんや親子上場における上場子会社の株式を購入する場合には、この種のリスクを見極めなくてはなりません。)

実は、私自身、そこまでは考えが及ばず、一昨年の5月に保土谷の株を買いました(購入株価550円)。その後、上図のとおり株価は一時 823円を付けたりしたのですが、昨年4月以降ずっと含み損を抱えたままの状態になっています。

続きを読む "大株主が上場会社を支配することの問題"

| | コメント (2)

« 2007年5月 | トップページ | 2007年7月 »