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2009年10月30日 (金)

M&Aと株式投資(その2)

「この業界でM&Aが起きるかもしれない」と予想して、買われる銘柄を先に仕込んでおく。

そうしますと、いざ買収となった際には、ターゲットとなった会社は一般に4割から7割程度のプレミアムが付けられて買われることが多いので、(あなたの株式投資は)その程度のリターンを出すことが出来ます。

しかし買われる会社というのは、問題があるからこそ買われる、株価が低迷している、といった場合も多いのです。

予想に反して、誰もその会社を買わないとなると、投資家として損をしてしまうこともありえます。

個人的には株式投資の醍醐味は、投資した会社の株が4~5年で数倍、10年くらいの長いスパンで、10倍、場合によっては100倍に値上がりするところにあると思っています。

例えば、1983年に任天堂の株式を100万円投じて買ったとします。その100万円が2007年には1億円近くになった(拙著149頁)わけです。

このような成長エンジンを持った会社というのは、M&Aの際には買われる側になるよりも、逆に買収する側に回ることが多い。

そういった目で見ていくとどうでしょう。

例えば、ユニクロや楽天などの企業は、これからもM&Aを使って企業買収を手がけ、株価を高めていくのではないか・・・。

ユニクロは今月に入って過去最高値の株価となり、もう十分株価が高くなってしまったと思われる読者も多いかもしれませんが、それでもユニクロの時価総額はスウェーデンのH&Mの4分の1です(拙著251頁)。

まだまだ企業価値を高めることが出来る余地はあります。

JT(日本たばこ)にしても、アルトリア(フィリップモリス)とBATとの間で世界の覇権を争っているのですが、いずれは誰かが世界4位のインペリアルを買収することになると思います(拙著223頁)。。

また、これから電気自動車が主流になっていくことを考えると、先日のブログ記事でも書きましたが、株価が安いまま放置されている日産自動車も面白い。

もっともGEなどの異業種の企業がM&Aによって電気自動車に進出してくることも考えられます。

GEも傘下のGEキャピタルが金融危機の影響を受け、株価が低迷(現在、ピーク時株価42ドルの3分の1の14ドル)していることもあり、狙いめかもしれません。

さらにM&A関連で言うと、鉄鋼の分野はこれからも更に合従連衡は進むでしょう。

世界最大のアルセロール・ミタルといえども、世界シェアは7.7%のみです。

ミタルから身を守るため、新日鐵は住友金属工業や神戸製鋼との合併を検討すことも考えられうる。

またミタルは韓国のポスコを狙うかもしれない。

ポスコの株や、買収者となると予想されるアルセロール・ミタル、あるいはGEなどは、何れもNYSEに上場されていますので、日本の投資家の方でも比較的簡単に株式を買うことが出来ます。

いずれにせよ、M&Aという視点から株式投資の世界を見ていくと、今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。

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2009年10月29日 (木)

M&Aと株式投資(その1)

M&Aで買収される会社の株を事前に予測して買い込んでいれば、実際M&Aが行われた場合、値が上がる・・このように考える方が多いようです。

FactSet Mergerstat(→『こちら』)などを使えば、これまで実際にどのくらいのプレミアムがついてM&Aがなされてきたのか知ることが出来ます。

日本でも同じようにプレミアムの研究をしている学者の方やアナリストの方もおられると思います。

牛角(レックス・ホールディングス)やサンスター、サイバードなどのMBOでは、経営者が売り主と買い主の2つの顔を持ってしまう(しかも往々にして買い主としての立場を優先してしまう傾向にある)から、何が適切なプレミアムなのかを巡って裁判にまで発展しています。

これまでの主なMBOにおける、TOB価格とプレミアムの関係については拙著でも表にしてまとめています(125頁)が、MBOという特殊な事例を離れて、広く一般のM&Aの時の買収価格とプレミアムの関係となると、上記のような、より幅広いデータベースをあたっていく必要があります。

さて話が少しそれましたので元に戻します。買収される会社の株を事前に予測して買い込んでいくという投資戦略は上手くいくでしょうか?

仮に、現在296円と評価されている日立が買収されると仮定した場合、買収者はTOBでプレミアムを付けてくるでしょうから、もしも40%のプレミアムが付けられれば、414円ということになります。

実際鉄鋼メーカーで世界最大の売上高を誇っていたアルセロールをミタルが2006年に買収した時は、直前の市場価格に比し、82%のプレミアムがついてTOBが成立しています(TOB価格は2度にわたって上方修正されました。拙著234頁参照)。

このように考えていくと、M&A銘柄を探して事前に仕込んでおくという投資戦略は考えかたとしては、あり得るでしょう(私は個人的にはあまり賛成していません。その理由は次回以降に書きます)。

例えばミタルによる次の標的との噂も出たことのある韓国ポスコの株。

   Posco

昨日のNYSEベースでは、3月の株価に比し、約2.5倍になっています。

結果、ポスコの時価総額は2.9兆円(1ドル=90円、NYSE株価ベース)で、新日鐵の時価総額2.3兆円を26%も上回るに至っています。

以下、次回以降では、このようなM&A銘柄はどうやって探したらよいのか、なぜ私は個人的にこの種の投資スタイルを取らないのか、などについて書いていきます。

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2009年10月26日 (月)

日産自動車

ブログを読んでいる知り合いの方から『岩崎さんが株を買おうかどうか迷っている段階でブログ記事を書いて欲しい』と言われることがあります。

迷っている段階というのは、(1)持っている情報が正確でない可能性がある、あるいは(2)引っかかりがあって決断できないなど、いろいろな状況があって迷っているということです。

従って、書きにくいのですが、以下、現在迷っていることを書いてみます。(必ずしも情報が正確でない可能性もありますので注意して読んでください)。

* * *

いま考えているのは、日産自動車の株を買うかどうかという点です。

まず各社の時価総額を並べてみます。

Photo_2

ハイブリットで遅れた日産の株はトヨタやホンダに比べてずいぶん安くなっています。

それともうひとつ。昨日のNHKスペシャルを見て朝日新聞の批評家の方が『お付きの人に傘をささせて歩くなんてセレブなんでしょうが・・』と皮肉って記事を書いていました(昨日付け朝日新聞)が、

ホンダやスズキの企業文化に比べると日産の企業文化には、『社内の偉い人がお付きの人に傘をささせて歩く』ようなところがあり、その分、損をしているのかもしれません。

しかし、トヨタのプラグイン・ハイブリット(これから先に次のプリウスに搭載されて出て来ます)がもしも『壮大な回り道』だとしたら・・?

リケンや他のピストンリング関係の会社など、エンジンやエンジンの部品メーカーと親しいトヨタは、もしかすると、日産や三菱自のようにドライにエンジンを止めて一気に電気自動車に行くとは決断しにくいのかもしれません。

いずれにせよ、プラグイン・ハイブリットが回り道だったとしたら、電気自動車で先頭を走っているメーカーが一気に自動車業界で覇権を取ることもあり得るのではないでしょうか。

ところで、電気自動車については懸念も報じられています。

そのひとつ。

携帯電話に積まれているリチウム・イオン電池は2年くらいで劣化してしまいます。

電気自動車に積まれるリチウム・イオン電池(5月15日付けブログ参照)も、同じような問題を抱えているのではないかと、電気自動車の信頼性に疑問を投げかけていたテレビのコメンテーターがいました。

しかし私の調べたところ(あくまでも伝聞で信憑性は保証できません)では、三菱のi MiEV(5月17日付けブログ参照)の電池は20年くらい持つらしい。逆に三菱はオーバースペックになっているから、あんなに小さいクルマであるのに値段が高い。

同じ電気自動車でもテスラー(5月13日付けブログ参照)ならもっと安く出来る。

そもそも昨日のNHKスペシャルでは、中国では一台13万円の電気自動車が売られていると言います(高速道路は走れない)。

話はそれましたが、日産の電気自動車は三菱のIMIEVよりも車体も大きく、かつ値段も買いやすいものに設定されてマーケットに出てくるでしょう。

そもそも日産は電池部分はリースにして電気自動車を売るらしい。

消費者としては電池部分がリースになっていようとあまり抵抗はない。

かりに自動車に搭載される電池が20年は持たずに10年で寿命になるとしたら、その時(10年後)には、もっと優れた電池が市場に出ている可能性も高いからその段階で買い替えればいい。

電気自動車の懸念、その2。

パソコンのリチウムイオン電池は時折火をふくといった事件が報道されたことがあります。

そんなものをクルマに積んで衝突したらどうなるのでしょうか?

しかしエンジンを動かすガソリンは同じように発火しやすく、現在のクルマはそのガソリンを積んで走っているわけですから・・・

電気自動車の懸念、その3。

電気自動車の一回の充電で走る走行可能距離はクルマの中を冷暖房することでガクンと落ちることはどう考えればよいのでしょうか?

これも何人かの方に聞きましたが、一説によると走行可能距離は約半分に落ちることもあると言います。

逆に言えば『そんなもんだ』とわり切って途中で充電するということでしょう(高速道路のサービスステーションで一幅しているうちに充電するとか・・)

以上このように考えていくと、日産の電気自動車は意外といけるかもしれない。

だとすると株価が安い今がチャンスなのかもしれません。

  (日産自動車 5年の株価推移)

Photo

  (日産自動車 1年の株価推移)

Photo_2

と、こんな風に今考えているのですが、上記の話は識者と称される方々から聞いた伝聞によるところが多く、必ずしも正確ではないかもしれませんので、どうかそういった前提でお読みになってください。

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2009年10月25日 (日)

コマーシャル

すみません。本のコマーシャルです。

都心の本屋さんの店頭にようやく『M&A新世紀』が並び始めました。

        Photo_3      

この本は、タイトルにM&Aとあるため、M&Aの専門書と間違えられて、本屋さんの棚の中で、『企業再編』、『社会・法務』といった棚に置かれてしまっているケースもあるようです。

書店で見当たらなかったら店員さんに聞いてみてください。

アマゾンの頁(『こちら』)に記された本書の内容紹介や目次の抜粋からもお分かり頂けるように、私としては、この本を極めて普通のビジネス書として書いたつもりです。

最後の章から一部抜粋してみます。

* * *

確かなことは、この地球という惑星には今や68億人が居住していて、日本の人口はそのうち僅か1億2000万人を占めるに過ぎないということだ。

日本は内にこもって生きることはできない。

それでなくても少子化・高齢化で日本の市場は縮小するばかりなのだ。

本来、グローバル資本主義の言わんとしていることは、資本主義というルールの下で、オープンでフェアな競争をしようということだ。

世界のどんな貧しいところで生れた人にもチャンスを与えようということである。

それは各国が保護主義や閉鎖主義、ブロック主義に走ることと相容れない考えだ。

(以下略)

先に述べたことだが、「M&A新世紀」で頭角をあらわしてきた企業は、必ずしも大国の企業ではない。

ビールのインベブはベルギー、SABは南アフリカだ。

衣料品店の「H&M」はスウェーデンで、鉄鋼のミタルはインドである。

かつて戦後の焼け野原に生れたソニーやホンダのような会社が世界企業へと羽ばたいていったように、これらの会社もまた知恵と才覚と戦略によって世界の表舞台へと躍り出てきたのだ。

私はそこに、小国、尾張の田舎侍、織田信長が旧来の因習にとらわれず、新しい考え方を大胆に取り入れ、天下統一を進めていった姿と共通するものを見る気がする。

インドの田舎町で牛小屋のような土壁造りの家屋に生まれ、インドネシアへ飛び出していって電炉のスクラップ製鉄工場を始めたミタル。

その彼が一代で世界一の鉄鋼王になることができたというのが、グローバル資本主義の醍醐味だ。

ミタル氏こそは、ある意味で戦後の日本そのものではないか。

私にはそう思えてきたのである。

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2009年10月24日 (土)

資本主義の将来

昨日は午後に予め入っていた予定を全て変更して、『資本主義の将来』と題するシンポジウム(詳しくは『こちら』)を聞きにいきました。

シンポジウム・パネリストの一人がスタンフォード大学ビジネススクール前学長ということもあって、私は、その前の晩、パネリストたちを歓迎する夕食会に招かれていました。

そして昨日のシンポジウム。

4時間超に及んだシンポジウムでは3人のパネリストたちの『資本主義の将来』に対する見方がかなり違っていることが鮮明に出て非常に面白い内容になりました。

おそらくこれは人間に対する見方の違いから出ているのだ思います。

一番人間に対して肯定的に見ていたのは、資本主義の将来は『should be bright』と言って持論を展開したスタンフォード大学のJoss教授でした。

なお当日のシンポジウムの詳しい内容は11月初旬の朝日新聞とasahi.comに掲載されるそうです。

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2009年10月22日 (木)

国家安全保障上の問題だ

『これは国家安全保障上の問題だ』

このような記事がアメリカの経済紙『ウォールストリート・ジャーナル』に昨年6月載りました。

気がついてみたらアメリカ最大のビール会社のアンハイザー・ブッシュ(バドワイザーのメーカーです)も、2位のミラーも、3位のクアーズも

全てが外資(アメリカ以外の国の資本)に買収されるか、外資の傘下に入ってしまったのです。

American_beer_market

もう少し詳しく見てみますと、上の図で1位から5位までの全て(全米市場の87%以上を占めます)が外資の傘下に入ってしまっています。

日本酒や焼酎をほとんど飲まないアメリカ国民は、1人あたり日本人の1.7倍のビールを飲んでいます。

この極めて身近な飲み物が、ほとんど全て外資に渡ってしまうということは、アメリカ人にとって『国家安全保障上の問題』に匹敵すると、ウォールストリート・ジャーナルの記者は(大袈裟と分かっていて)書きたてたのです。

キリンはどの辺に位置しているのかというと:

World_beer_market_2

上のグラフの一番右です。

一番左の背の高い会社がベルギーの会社。

2番目に背の高いのが南アフリカの会社です。

世界市場で起きている大きな地殻変動。

これはアメリカやドイツや日本などの大国の企業が世界市場を制覇するということでは必ずしもなくなってきているということです。

ビールではベルギーと南アフリカ。

鉄鋼ではインド(登記上アルセロール・ミタルの本社はルクセンブルグで、ミタル氏はイギリスに居住していますが・・)。

さらに上の2番目のグラフを見ていくと、キリンとサントリーとの経営統合は、世界市場で進む合従連衡を意識して行われようとしていることが理解出来ます。

『M&A新世紀』ではビールだけでなく、たばこ、製鉄、小売り、アパレル、金融などの世界でいったい今何が起きているか、日本のマスコミが伝えていない(伝えることに成功していない)現実を明らかにしたいとの思いで書いたものです。

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2009年10月21日 (水)

有価証券報告書とiMac

先日FT500や日経NETを使うと、企業のことをいろいろ横断的に比較することが出来ると書きましたが、

さらにもう少し詳しく調べてみたいという方は、その企業のホームページ(Website)に行き、投資家情報、もしくはインベスター・リレーションズ(IR)と記されたタブをクリックします。

するとその企業の有価証券報告書、アニュアル・レポート、投資家説明会の資料などが出てきます。

NYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場している企業は、米SECへの届け出資料も開示していて、(英語になりますが)この資料が一番参考になることも少なくありません(私の経験では例えばNTTドコモの海外投資の状況を調べた時にはドコモがSECに提出した資料が一番参考になりました)。

企業によっては情報の開示が親切でないところも多く、有価証券報告書の代わりに、金融庁のEDINETのトップページだけに案内される場合もあります(その場合には、EDINETの中で有価証券報告書を見つけていくことが必要になります)。

逆に投資家に非常に親切な企業もあります。例えばキリン。

キリンのホームページから、キリン食品文化研究所のページに行くと世界のビール業界の事情などの調査レポートがたくさん出てきます。

同じくJTのファクト・シート(Fact Sheet)というページも情報満載です。ここから世界のタバコ産業のデータを取ることが出来ますし、さらにそれぞれのデータには出所が明らかにされているので、直接その出所をネット検索をかけて探し出すことも出来ます。

以上、こういった方で、企業や業界の情報をつかんでいくと、その企業の将来像がかなり分かるようになります。

これに要する時間は、1企業あたり20分から1時間。

たとえばあなたが株式投資をする場合。それなりの額の現金をリスクさらすわけですから、このくらいの時間を投資するのは有益だと思います。

ところでウィルスソフトを搭載した結果、パソコンの反応速度が落ちてくると、この種の調査も結構苦痛になってきます。10~20のウェブサイトを同時に開けながら各種データを比較検討するといったことに、パソコンが耐えきれなくなっているケースも少なくありません。

私の場合もそうでした。取りあえずメモリを目一杯増設しましたが、それでも少し改善しただけでした。

そこで、アップルのiMacを買いました。

   Overview_hero1_20090303

ウィンドウズはウィンドウズで便利なのでウィンドウズのPCはそのまま残していますが、ウェブページの検索にはiMacの反応が圧倒的に速く、病み付きになります。

なによりもパソコンが(スリープ状態から)瞬時に立ち上がる快感。

机の上にウィンドウズとiMacが2つ並び、やや格好悪いのですが、iMacはスリムなので思ったほど気になりません。

     Buystripimac20090828

最後はアップルの宣伝になってしまい恐縮ですが、今度の本の原稿を作るに際しては、私自身iMacを使って一度に10~20のウェブサイトを同時に開けながら各種データを比較検討することを行いました。iMac には随分世話になったというわけです。

お礼の意味合いも込めてご紹介しておきます。

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2009年10月19日 (月)

M&A新世紀

『M&A新世紀』が既にアマゾンで予約注文できるようになっています。

私自身、気がついたのはほんの1時間ほど前なのですが、すでにかなりの方が注文してくださっているようで、本当に有り難い限りです。

本の内容については追ってブログでも紹介していきますが、1点。この本はこれまでの本に比して、3倍以上の時間を投入して書きました。

図版(表、グラフ)の数も(まだ数えていませんが)恐らくは100点を超えるのではないかと思います。

いま印刷屋さんで刷って製本して頂いている段階ですので、今週末から来週にかけて書店に並ぶと思います。

アマゾンのページでは、本の表紙の画像が載っていませんでしたが、下記のような感じです(下記は画像の上をクリックすると大きくなります)。

Photo_2

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20年前とこれから始まる『新世紀』

断食道場から戻りました。体重は2.5kgほど減りましたが、今後これを維持していくのが大変です。

さて先日来20年前について書いてきましたが、これは日本でバブルがピークの頃だったからです。

20年前というと、ベルリンの壁が崩壊し東西冷戦が終結した時でもあります。

この時、東ドイツだけでなく、他の東ヨーロッパや旧ソ連の国々でも雪崩のように旧体制が崩壊していきました。

しかし朝鮮半島ではこの世界的な流れを呼び込むことが出来ず、ドイツで起きたような『壁の崩壊』を起こせませんでした。

その後、ドイツは、東と統合したことで、失業率の増加、財政の悪化などに苦しみますが、それでも人々の生活には冷戦時代には見られなかった政治的な安心感が漂い始めます。

そして欧州では通貨統合、単一通貨ユーロの導入(99年1月)といった道を進み始めます。

先日「ドイツではベルリンの壁崩壊に向けて、それよりかなり以前から着々と準備を進めていた」といった話を書きましたが、ヨーロッパの動きを見ていくと試行錯誤を繰り返しながらも、歴史の方向性を見据え、非常に戦略的に動いてきているように感じます。

一方日本は、戦略の道しるべが無いまま、1989年を境に「失われた10年」が始まり、気づいたら「失われた20年」になってしまいました。

これから先も少子高齢化の進展など見通しは必ずしも明るくありません。

しかし、『失われた○○年』というのは、ここで終わりにして、2009年から日本にとっての『新世紀』が始まる、そんなつもりで気持ちをポジティブに切り替えていくことが必要です。

もちろん「気持ち」だけではなく、将来を見据えた戦略的思考が、政治の世界でも、企業経営の世界でも必要になってくるのは言うまでもありません。

あと20年もしたら、恐らく街を走るクルマはガソリン車から電気自動車や燃料電池車などに置き換わっていることが予想されます。

ネットの世界でも、マイクロソフト、ヤフー、グーグルに続く動きがどんどん起きています。20年後にこの世界でリーダーになっているのは、おそらくは全く別の会社なのではないか。そんな気がしてきます(Kleiner Perkins が 出資した Cooliris 社などのテクノロジーでは3次元的世界がネット上に出現します。例えばページをぱらぱらとめくるように画面上で本が読めるようになります)。

いまを起点に将来を見据えた戦略的思考を始める。そのことで『失われた20年』に終わりを告げ、新世紀に向けて走り始めたい―断食中にヨガをして瞑想していたら、そんな思いがしてきたのですが、これはやはりシロウトで「瞑想になっていなかった」ということなのかもしれません。

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2009年10月16日 (金)

断食道場

仕事の合い間を縫って、今日(金曜日)から伊豆高原の断食道場に行ってきます。

2007年に行った時は1週間のコースだったのですが、今回は、金~月の4日間。

前回参加した時の感想は『こちら』のブログに書きました。

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2009年10月15日 (木)

アングロ・アメリカンに対する敵対的買収

エクストラータ社によるアングロ・アメリカンに対する敵対的買収の申し出ですが、エクストラータが申し出を撤回するとの話が伝わってきています(詳しくは『こちら』)。

確かアングロ・アメリカンサイドの買収防衛アドバイザーを野村證券(欧州)が(他の欧米の投資銀行とともに)務めていたはずです。

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「M&Aの魔術師」

「M&Aの魔術師」との異名があったブルース・ワッサースタインが昨日亡くなりました。

彼はファースト・ボストンの共同経営者を勤め、その後ブティークの投資銀行ワッサースタイン・ペレラを起業。

2001年にワッサースタイン・ペレラをドレスナー銀行に売却し、その後ラザード(Lazard Ltd.)のCEOを務めていました。

個人資産2300億円を築き上げ、ハーバード大学ロースクールに25億円の寄付をしたことでも知られています(いずれも1ドル=100円で換算)。

享年61歳でした。

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20年前

昨日、20年前の日本企業の時価総額を見ましたが、20年前、皆さんは何をされていましたか。

生まれていなかったという方もおられるかもしれません。

私はサラリーマンをしていて、興銀の審査部に所属しながら職員組合の副委員長をしていました。

オルグ(今となっては左翼的で懐かしい言葉です)と称して、組合幹部が手分けして全国の興銀支店を回るわけですが、支店の人たちからは人事部の回し者などと非難されたりしました。

人事部との人事折衝などでは実は激論を交わしていて、折衝の相手方であった人事部の偉い方からは、『今の副委員長の言葉はいいすぎじゃないか』と結構激しく怒られたりしていたのですが・・。

そういえば当時都市銀行と興銀の組合で市銀連というのを作っていたのですが、私の記憶では20年前の参加行は14行。

今ではネットで調べると4単組とか出てきますから、時代の移り変わりの激しさを感じます。

ベルリンの壁が無くなったのが20年前の1989年11月。

当時の興銀職員組合の委員長はドイツ駐在の経験のある方でした。

この歴史的なニュースが伝わると、『ドイツはこの日のためにずっと準備してきたんだ』と狭い組合事務室の中で解説をしてくれました。

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2009年10月14日 (水)

20年前のトップ5

昨日、日経ネットのご紹介をするとともに、日本の企業トップ5(時価総額ベース)を見てみましたが、ちなみに20年前のトップ5はこれ。

1989_3

トップ5のうち4社までが銀行でした。

NTTの時価総額は当時23兆円。

それが今や6兆円。

約4分の1です。

20年前というと、まさにバブルがピークの時でした。

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2009年10月13日 (火)

日経NET

FT500と同じように利用勝手がいいのが、日経ネット(NIKKEI NET)。

このサイトにある、ランキングの頁で日本企業の時価総額ランキングがわかります。

『こちら』です。

FT500が今年3月末の世界の企業の時価総額ランキングを比較するのに比して、日経ネットは毎日の時価総額が分かるのが特徴。

10月9日(先週末)現在のトップ5は:

2

なぜ時価総額ランキングにこだわるかというと、企業の相対評価を知る上で、売り上げ、営業利益とともに貴重な指標だからです。

投資銀行にいた時には企業の時価総額を算出して、いまこの企業は幾らで買える(買われてしまう)といったような議論をよくしていました。

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2009年10月11日 (日)

FT500

『FT500』というサイトがあります。

『こちら』です。

これはフィナンシャル・タイムス紙のサイトにあるものですが、世界の企業上位500社の時価総額順位(ランキング)が分かります(2009年3月末時点)。

しかも業種別にソートがかけられます(抽出が出来ます)ので便利です。

例えば世界の5大自動車メーカー(時価総額ベース)は:

Photo_3

                    (単位は10億ドル)

今年3月末というとGMが破綻する前ですが、すでにアメリカのビッグ3の名前はここにはなく、全て日本、ドイツ勢で占められていることがわかります。

しかも2位のVolkswagenが思ったより大きいこととか・・。

他の業種についても世界のメーカーはどんな状況なのかを知るのに便利です。

なおFT500は一定の範囲内であれば無料で利用出来ます。

この他にもFTにはいろいろなサイトがあり、無料「登録」すれば、利用できる範囲はもっと広がり、週3ドル程度を払えば、更に利用できる範囲が広くなります。

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2009年10月 6日 (火)

政治を理解する

私の参加している勉強会で先週、政治学者の飯尾潤さんをお招きしお話を聞きました。

『今日本で起きていることを踏まえ政治への理解を深めよう』との趣旨で企画されたものです。

飯尾さんは『新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)』の主査も務められる政治学者。

私自身、早稲田で政治学を専攻しましたので、飯尾さんのお話を大変興味深く聞きました。

飯尾さんは中公新書から『日本の統治構造』という本を出されており、この本は、『サントリー学芸賞』『読売・吉野作造賞』の2つの賞を受賞していますので、お読みになった方も多いと思います。

以下は同じ政治学者(日本政治外交史)の北岡伸一さんが飯尾さんの著書を評した文章の一部です(サントリー学芸賞のウェブサイトより抜粋)。

* * *

『日本の議院内閣制は、他の国々のそれと大きく異なっている。

著者によれば、それは第一に明治以来の「官僚内閣制」の伝統から来ている・・(以下略)

官僚内閣制は、新憲法で議院内閣制が導入されたにも関わらず、生き残った・・

* * *

北岡さんの書評は『こちら』をクリックすれば全文が記載されていますので、興味のある方は是非ご覧になってみて下さい。

Amazon のベスト500レビュアーの馬場伸一さんはこのように書いています。

* * *

これほど堅い内容でありながら、これほど面白い本は久しぶりだった・・(以下略)

特にエキサイティングだったのは、日本の官僚制を「省庁代表制」と喝破したことだ。

なるほど、日本官僚制がまったく民主的正統性を欠きながら「清潔で有能な官僚」という神話を享受できていたのは、そういう仕組みがあってのことだったのかと深く納得した。

おそらくは戦時中の国家総動員体制に発するのだろうが、省庁が国民生活の隅々まで統制できていた時代が確かにあって、それを前提とすることによって、官僚が「政治家は選挙区の利害しか代表していないが、われわれは、関連領域では日本全体の代表だ」(75p)と言うことができたのだろう。

しかし、「省庁代表制」が「代表」することができた「国民」とは、戦時中ないしせいぜい50年代までの利害集団であって、その後に発生した社会集団の利害が「代表」されることはなかった。

それはまさに官僚制が民主的制度の裏打ちがない閉じたサークルであったことの限界であり、高度成長以後に発生した重要な社会集団の利害を代表することに失敗している・・(以下略)

* * *

先週の勉強会でのお話でも強調されていたのですが、飯尾さんにとってのテーマは議院内閣制のあるべき姿です。

飯尾さんは英、米、仏など諸外国の政治制度に詳しく、大統領制と議院内閣制の長短を論じ、日本の進むべき道を洞察していきます(この辺は、本の中でも同じように議論が展開されていきます)。

飯尾さんのお話を聞いていて、私は政治でも経済でも、競争の原理を導入していくことが必要だとの思いを強くしました。

競争とは、消費者なり国民が選択できるということであり、この原理が働くからこそ、企業はより良い製品の開発やサービスの向上に励み、政党は民意をくみ上げることに注力する・・。

競争の原理が働かなくなると、企業は大企業病に陥り、政治は動脈硬化をきたす・・。

* * *

まあ、これ以上、私のつたない感想を述べるよりも、関心のある方は『日本の統治構造』という本をお読みになることをお薦めします。

菅直人や小沢一郎はなぜ英国に行くのかなど、今日本で起きていることがより良く理解できるようになると思います。

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2009年10月 1日 (木)

イランの写真

Aさんからメールでイランの写真をお送りいただきました。 

「イラン=砂漠」のイメージで固まっていた私にはこれまで想像することが出来なかった光景でした。

と同時に、イランに対する親近感が一気に増し、国家間の相互理解は「まず知ることから」、という思いを強くしました。

Aさんからメールで次のようなコメントを頂きました。

『イランは、全体としては砂漠/土漠の乾燥地帯ですが、このように素晴らしい景観もあります。

加えて、BC250頃のダリウス大王のペルセポリスや、アッバス朝(8-13世紀)時代の歴史文化遺産も豊富です。

文化史的には、ギリシャ/ローマの文化を、引き取り温め発展させて、十字軍を通じて、中世暗黒時代が終る頃のヨーロッパに返し、ルネッサンスに繋いだという、重要な役割を演じています。』

たくさんの美しい写真の中からここに載せるのを選ぶのには苦労したのですが、取りあえず以下に6点を載せます。

Iran1_4

Iran2

Iran3

Iran4

Iran5_2

Iran6 

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