『死ぬ前にどう生きるか』 (その6)
Steve Jobs のスピーチ。 前回からの続き(第6回)です。 これで最終回になります。
* * *
あなたたちの時間は限られている。
だから自分以外の他の誰かの人生を生きて無駄にしてはいけない。
他の人たちの考えた結果とともに生きていくという教義に惑わされてはいけない。
他の人たちの意見という雑音によって、自分の内面から生じる声を消されないようにしないといけない。
そして最も重要なことだが、自分の心や直感に従って行動するという勇気を持つことだ。
心や直感は、どういうわけかあなたが本当になりたいことを既に知っているんだ。
だからそれ以外のことは全て、二の次でいい。
私が若い頃、"The Whole Earth Catalog(全地球カタログ)"という素晴らしい出版物があった。私の世代のバイブルの一つだった。
これはここからそう遠くないメンローパークでスチュアート・ブランドという人によって製作されたもので、彼の詩的なタッチによって生き生きしたものに仕上がっていた。
60年代後半のことだったので、パソコンやデスクトップによる印刷が普及する前のことだ。したがってそれはタイプライターとはさみ、そしてポラロイドカメラで作られていた。
それはペーパーバック版のグーグルのようなものだった。グーグルが出現する35年前のことだが・・。その出版物は理想主義的で、素敵な道具と偉大な考えで溢れていた。
スチュアートと彼のチームは The Whole Earth Catalogue を何号か出した後、やがて最終号を出した。
70年代半ばのことだ。
当時、私は今のあなたたちと同じ年頃だった。
最終号の裏表紙には、朝早い田舎道の写真が載っていた。
冒険の好きならそこでヒッチハイクでもしていそうな、そんな写真だ。
その写真の下にはこんな言葉があった。
「Stay Hungry, Stay Foolish.(ハングリーであれ。利口ぶらずに馬鹿げたことでも熱狂しろ)」。
それが出版を取りやめるに際して彼らが残したお別れのメッセージだった。
Stay Hungry. Stay Foolish.
私自身、常にそうありたいと願ってきた。
そして今、卒業して新たな一歩を踏み出すあなたたちに私は同じ言葉を贈りたい。
Stay Hungry! Stay Foolish!
* * *
【注】このスピーチ(2005年)の後、Jobs は健康問題を抱えながらも次々と画期的な製品を世に送り出した。Apple TV、iPod Touch、iPhone・・・。そして2010年1月4日、Wall Street Journal紙は、タブレット・デバイスがこの3月にも出荷されると報じた(『こちら』)。20歳でアップルを立ち上げてから35年、Jobsほど不屈の精神で革命的製品を世に出し続けた人はいないだろう。
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