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2010年7月 7日 (水)

ヘッジファンド

このところ、NHKスペシャル「狙われた国債~ギリシャ発・世界への衝撃」をご覧になった方たちから質問を受けたり、コメントを求められたりしています。

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例えば以下のような質問です(似たような質問なのですが、それぞれ別の方からです)。

(質問1)「ヨーロッパの混乱に乗じてヘッジファンドが巨額の利益を上げているというのは本当ですか」

(質問2)「NHKスペシャルでは、ギリシャ国債の『市場価格を操作し』、巨額の利益を上げたヘッジファンドの実態とその市場操作のメカニズムが紹介されていました。

ギリシャに次いで、スペイン/ポルトガルの危機がささやかれる中、ヘッジファンドは次に、EUの大国、フランスさえも標的にしているという不気味な予告もなされていて驚きました。

NHKスペシャルが報じていることは本当なのですか」

* * *

実は、私はNHKスペシャルを見ていなかったので、これらの質問には「コメント出来ません」とお答えしています。

ヘッジファンドは市場と実態(本質)とが乖離している時に、いずれ市場は実態(本質)に収斂していくだろうと考え、その動きを先取りして収益を上げることがあります。

たとえば、1997年のアジア通貨危機。

当時(通貨危機前)、例えばタイバーツ(タイの通貨)はUSドルにリンクされていました(ドルペッグ制)。

その結果、例えばタイに進出していた日本企業は、

ドルで資金を借り入れて、これを金利の高いタイバーツに代えて運用する→

ドル資金の返済期限が来れば、運用していたタイバーツをドルに戻して(為替レートはタイ当局の政策により同じ)、資金を返済する→

ドルよりも高い金利のタイバーツで運用していた分だけ日本企業は儲かる

といったようなことをしていました。

私はタイに出張した時、「濡れ手に粟的な、こういったことは長くは続かない。火傷しないうちに止めた方が良い」と現地の日本企業にアドバイスしたのを覚えています。

結果はご存知の通り、こういった非合理的な状況がヘッジファンドの目を引き、ヘッジファンドはタイバーツを売り浴びせ、バーツは下落。

この結果、当時日本企業は返済すべき金額が急速に膨らみ(下落したバーツで、高くなったドルを手配する必要が生じた為)、多くの企業が痛手を被りました。

* * *

さて最近のユーロの状況はどうなんでしょうか 。

ユーロが対ドルで、1.20を切り1.19ドル台に突入した時、ソロスは講演でユーロはもっと売り込まれるだろうとの「ニュアンス」の話をしました。

一方、その昔、ソロスと一緒に働き、その後、自分の道を行くことになったジム・ロジャーズは「今のユーロは売られすぎ」とコメントしました。

ここ10日間ほどの動きだけに目をやれば、ユーロは1.26台まで回復したので、取りあえずはジム・ロジャーズの勝ちですね。(これから先は分りませんが・・)

当然のことながらヘッジファンドも市場の動きを読み間違えれば大きく損をします。

少なくとも短期で見れば市場は論理的に動くとは限らない。

ただし、上記のタイバーツの例のように非合理的なこと(例えば日本企業が濡れ手に粟で儲けることが出来た)が、長期にわたって続くことはありえないと思います。

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コメント

いつもブログを楽しみにしております。
NHKの番組は僕も見ていろいろと勉強になりました。私用のために文章化したものがありますので、ぜひ岩崎さんにも見ていただければ幸いです。
http://www.geocities.jp/ishikorotaro/nhk-greece-crisis.htm

僕の腑に落ちないところは、CDSという比較的小さいマーケットがなぜ国債という膨大なマーケットにこれほど影響を与えることができたのかという点と、そもそも放送中の事実はどれほど真実かということです。

コメントがいただければうれしいです。

投稿: 石ころ太郎 | 2010年7月 7日 (水) 18時25分

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