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2012年1月28日 (土)

ほんとうに定年後にラーメン屋を始めますか

定年後にラーメン屋を始めたい、あるいはコーヒーショップをやりたいという方がたくさんいます。

私の高校時代の同級生のK君は、定年というわけではないのですが、2~3年前、コーヒーショップを都内で始めました。

ということで、本日の『集まれ!ほっとエイジ』(毎週土曜日、夜9時、日経ラジオ)では、「定年後にラーメン屋を始めると失敗する(その2)」と題して、具体的な起業の例を考えてみました。

       Photo

最初に「いったい幾らくらいの資金が必要か」という問題にぶつかります。

たとえば小さなラーメン屋を始める場合、カウンター席が10席で、テーブル席が全くないといったところでも、10坪、33平方メートルくらいのスペースは必要です。

場所にもよりますが、家賃は月に15万円~40万円くらいのレンジに収まるとしましょう。

問題はこれを借りる場合、家賃の10倍から場合によっては15倍もの敷金・保証金が必要になることです。 商業用不動産を借りて事業をするのは、住宅用不動産を借りるのとは訳が違うのです。

次に、店の内装や厨房設備にお金が必要になってきます。

とくにラーメン屋さんの場合には、厨房関連の工事費、設備費がかさみます。

もともとラーメン屋さんをやっていた店が廃業した後を居抜きで借りるのであれば、前の事業者の設備を使えますが、 そうでない場合、

内装関連の工事費だけで、400万円前後、

さらに厨房設備関連の工事で200万円前後、

これに厨房器具・空調設備などを加えると追加で100万円~200万円。

要は最低でも900万円前後の費用が掛かります。

場合によって、2000万円近くかかってしまったという人も少なくありません。

つまり退職金をまるまる使ってしまうことになりかねません。

それで仮に10席の店をオープンしたとして、これが5回転すると仮定します。

つまり1日のうちに1席に客が5人つく、こう想定すると、1日50人の客が入ることになります。

ラーメン1杯650円、トッピングや飲み物も注文する客もいるので、平均の客単価が750円とすると、1日の売上げが3万7500円です。

材料費が35%として、材料費控除後の収入が、1日2万4000円。

月額にして、72万円です。

ここから家賃と水道光熱費、広告宣伝費、などを払っていきます。

その残りがラーメン屋さんを始める人と奥さんの人件費ということになります。

数字を並べていくと結構厳しいことがお分かり頂けると思います。

ポイントは2つです。 現役時代に外食産業に従事していた人は別にして、そうでない人は、ラーメン屋さんやコーヒーショップは、「知らない分野」です。

お客さんとして「知見」があることと、実際に事業者としての「知見」があることとは、違います。

ただでさえ起業にはリスクが伴います。

「知らない分野」で起業すれば、失敗するリスクがぐんと増します。

もう1つのポイントは、ラーメン屋さんやコーヒーショップを始める場合、開業に際しての資金負担が大きいということです。

退職金を使ってしまって、失敗すれば、あとが無くなってしまいます。

起業の際はできれば資金負担があまり必要ない分野での起業を選びたいところです。

ただ、それでもラーメン屋さんを始める人が多いのが実情です。

実は、全国で1年間に新規開業するラーメン屋は4000店と言われています。

一方でそれと同じ数の店が毎年閉店しているとも言われています。

番組では、「それでもラーメン屋さんを」と考える人にとって、参考になる点を2~3、ご紹介しました。

ラーメン「トライアウト」などのコンテストの話。そして「らーめん塾」や「ラーメン学校」などの学校の話です。

詳しくはぜひ番組をお聞きになってください。定年後に起業を考える方にとって参考になると思います。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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なお iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です。

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2012年1月27日 (金)

アラブの春

アラブの春(『こちら』)では、フェイスブック(FB)やツイッタ―のはたした役割が大きいと言われていますが、日本でもいろいろなニュースがFBやツイッタ―で伝わります。

本日、FBの「シェア機能」で数多くの方にシェアされて、私のところにも伝わってきたのが、この写真。

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    (画像はクリックすると大きくなります)

税と年金の一体改革 ― といっても、この不公平感をキープしたままの改革なんてありえません。

政治が正面からこの問題に答える必要があります。 (この辺は拙著『定年後 年金前』でも書いたのですが、上記のような一枚の画像の方がインパクトがあります)。

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自社株買い

アメリカでも企業による自社株買いが活発です。過去1年ちょっと(厳密には15か月)の間に、S&P500の企業のうち、380社が自社株買いを行ったとか・・。

しかしこのうち84社は株価の高いときに自社株買いをしていて、安値で買ったのは60社だった・・

自社株買いを行ったあとの企業のパフォーマンスも悪い方が多かった・・

こういった内容のレポートが発表されました。詳しくは『こちら』のCNBCのニュースをご覧ください。

自社株買いについては、多くの場合、日本でも投資家は次のように考えてきました。

『自社株買いを行うのは、経営陣が “自社株式は市場によって不当に低く評価されている” と考えるからだろう → 

市場よりも情報を多く持っている経営陣がそう考えているのであれば、投資家としては、市場の評価よりも経営陣の評価を信じた方が良いかもしれない』

さきほどのCNBCの記事でいえば、Investors often equate buybacks with management’s belief that the company is undervalued by the market で表現される考え方です。

それが 「実はそうではなかったようだ」 というのが、この記事の趣旨。

日本でも自社株買いが株価にどう影響を与えたか、理論的には中立なんでしょうが、実際はどうだったかのレポートが出てくると面白いと思いました。

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2012年1月26日 (木)

本日の日経新聞

第28面です。

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(画像の上でクリックすると大きくなります)。

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2012年1月25日 (水)

アナリストの予想を打ち砕く

2~3日前ですが、経済誌の記者が来られて、株式投資を話をしました。

欧州通貨危機が深刻化するなど投資家にとっては難しい時期。

私は、

「といっても、世界の人口は毎年7500万人のペースで増えているし、人々は豊かになりたい、良いモノが欲しいと思っています。

たとえば私は2010年5月にアップル株を261㌦で買いましたが、それが今年1月で430㌦にまで上昇しました。

為替の変動を考慮に入れても円ベースで36%の上昇になります」

と話しました。

アップル株購入については当時『こちら』のブログに書いた通りです。

こうコメントした時、実は一抹の不安が頭の中をよぎりました。

『24日の米国市場終了後、アップルが第1四半期の決算を発表する。アナリストはかなり高めの予想をしている(前年同期($6.43)比58%増の$10.16のEPS(一株当たり利益))。

このアナリストの予想を少しでも下回ればアップル株はかなり下落してしまう。

現にグーグルは1月19日に四半期決算を発表。増収増益だったがアナリストの予想を下回ったとして、株価は一日で8%強も売り込まれた。

はたしてアップルはアナリストの高い予想を更に上回る結果を上げれるだろうか』

そうしたちょっとした不安はあったものの、8割くらいは「アナリストの予想さえ上回る結果をあげれるのではないか」と見ていました(だからこそ1月19日にアップルが史上最高値の431ドルをつけても売らずにキープしていたのですが・・)。

結果は、『こちら』の通り。

アナリスト予想のEPS10.16ドルを上回る13.87ドルを上げました。

アナリスト予想を完全に打ち砕くこの結果に株価は After Hour Trading で8%上昇($420→ $452)しています(『こちら』)。

地域別にみるとアメリカ市場の売り上げがとくに好調でした。

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アカデミー賞

つい先ほどアカデミー賞のNominations が発表されました(『こちら』)。

作品賞のNominationsは次の9作品。

「アーティスト」 "The Artist"
「ファミリー・ツリー」  "The Descendants"
「ヘルプ 心がつなぐストーリー」 "The Help"
「ヒューゴの不思議な発明」  "Hugo"
「ミッドナイト・イン・パリ」 "Midnight in Paris"
「ツリー・オブ・ライフ」 "The Tree of Life"
「戦火の馬」  "War Horse"
「マネーボール」  "Moneyball"
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」  "Extremely Loud & Incredibly Close"

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以前にこのブログでご紹介(『こちら』)した Margin Call は脚本賞(Writing (Original Screenplay))に nominate されています。

なお Margin Call のDVDは2月3日発売。

すでにアマゾンで予約できます(『こちら』)。

Nominateされた作品の中からアカデミー賞が決まりますが、これは2月26日です。

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2012年1月22日 (日)

経営とは連続性

昨日の『集まれ!ほっとエイジ』(毎週土曜日、夜9時、日経ラジオ)では、「定年後にラーメン屋を始めると失敗する(その1)」と題して、定年後起業を失敗させないための方策をご紹介しました。

1週間前の14日(土曜日)には、70歳でヘッジファンドを始めた人の話などをしたのですが、番組を聴いておられる皆さん方のなかには、『ヘッジファンドといった「だいそれた」ことではなくて、定年後は小さなコーヒーショップとか、こじんまりとラーメン屋を始めたい』とおっしゃる方もおられるようです。

しかし、ちょっとひねくれた見方かもしれませんが、私はコーヒーショップやラーメン屋の方がむしろ危ないと思っています。

ヘッジファンドを始めたバートン・ビッグスは70歳まで現役で金融の世界にいました。 あくまでも、彼はこれまでやってきたことの延長線上で起業したわけです。

一方、定年後に小さなコーヒーショップとかラーメン屋を始めたいという方で、今まで飲食業とくに外食産業にかかわってきた人であれば別ですが、そうでない方がやると、失敗する確率がぐんと高まります。

やはり定年後の起業は(もしやる場合には)現役時代にやってきたことの延長線上で考えた方が安全だと思うのです。

* * * * * *

さて、よく芸能人やスポーツ選手が飲食店を始めたという話とか、そういったお店に結構行列が出来ている、数ヶ月待たないと予約がとれない、といったニュースを目にします。

しかしこういった店が成功するかというと、それがそうでもないのです。

かつて「経営とは連続性である」と言った経営者がいましたが、行列が出来るというような一過性の人気を博することと、それを繰り返し実践し、連続できることとは全く別のことです。

実現するための仕組みづくりこそが、いわば経営の要なのです。

知名人でなくても、一過性の人気を得るのであれば、メディアを上手に使えば、なんとか実現できます。

最近ではPRエージェントといった、その種の話題を専門的に作り出すことを仕事にしている人たちもいるのです。

しかしそうして話題になった店も、それが長続きしないと、経営的には苦しくなります。

客足がだんだん遠のき、収入が減っていきます。

一方で、コストの方、特に固定費のところは、収入が減ったとしても、なかなか減少していきません。

結果として、収益、これは「収入」マイナス「コスト」ですが、この収益の方が厳しくなってしまうのです。

* * * * * *

ところで、経営とは連続性であるとして、その「連続性」を実現する上でのポイントは何でしょうか。

ラーメン屋の場合、立地と味、そしてコスト、この3つがポイントとなるでしょう。

立地については、番組の中では、相川プロデューサーが記者時代にヤマダ電機の山田会長にインタビューしたときの話なども紹介されました。

ヤマダ電機とダイエーの違い、ヤマダ電機の店舗展開で徳島県が遅れた理由など、私にとっても興味深い内容でした。

番組を聞き逃された方は今からでもポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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なお iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です。

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2012年1月15日 (日)

70歳でヘッジファンドを始めた人

早いものでもう1週間がたちました。

昨日の『集まれ!ほっとエイジ』(毎週土曜日、夜9時、日経ラジオ)では、70歳でヘッジファンドを始めたバートン・ビッグスをご紹介しました。

金融の世界におられる方は、彼のことをよくご存じだと思います。

私も今でも海外に出張し、ブルームバーグやCNBCのチャネルを見ると、彼がコメントを発していたりするのを目にすることがあります。

また彼のことは以前にこのブログでも紹介したことがあります(『こちら』)ので、覚えておられる方もいるかもしれません。

彼の著書 『ヘッジファンドの懲りない人たち』 は日本でもずいぶんと多くの人に読まれ、新刊本のあと、文庫本にもなりました。   

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アマゾンの書評(『こちら』)を見ると、星2つのレビューが1件しか載っていませんが、これは文庫版の方だからです。

オリジナルの新刊本はすでに在庫が版元になくなっていますが、こちらが出た時には、多くの読者が高評価を与えています(『こちら』; なお新刊本も文庫版も同じ内容です)。

運用、もしくは投資の世界にいる方、あるいは外資系投資銀行にいる方はぜひとも読んでみるとよいと思います。

バートン・ビッグスは、かつてモルガンスタンレーのパートナーを務めていた人です(モルスタがパートナー制を敷いていた時代です)。

彼はモルガンスタンレーに30年間務め、会社のチーフ・ストラジストとしても活躍しました。

さらに彼は、モルガンスタンレーでチーフ・ストラジストを務めながら、投資顧問会社タイガーマネージメントの取締役(これは日本で言う社外取締役に該当するのですが)に就任していたこともあります。

このとき投資顧問会社タイガーマネージメントの社外取締役には、バートン・ビッグスのほかに、英国のサッチャー元首相なども就いていました。

つまり彼はサッチャー元首相などと肩を並べて、投資顧問会社の社外取締役の任に就いていたのです。

彼には「悠々自適」どころか自分のクルーザーで世界一周を旅するといったような「非常に優雅なリタイヤ生活」が約束されていました。(それはそうでしょう。パートナー制の時代から会社の持ち分を有していたのですから・・)

しかし彼は自らが築き上げた富や名声を投げ打って、70歳にしてモルガンスタンレーを退社し、ヘッジ・ファンドを立ち上げる決意をしたのです。

番組ではこのほかにかつてゴールドマンサックスのトップ、CEOにまで上り詰めたジョン・コーザイン氏についても紹介しました。

ジョン・コーザイン氏は47歳の時にゴールドマンサックスのCEO(会長)になります。

その後、53歳にしてゴールドマンサックスを辞めてアメリカ合衆国の上院議員になります。

そして59歳で上院議員を辞めて、ニューヨークの隣のニュージャージー州の州知事になります。

2010年にコーザインは63歳で州知事を辞めた後、再び金融の世界に戻り、MFグローバルという金融の会社の会長(CEO)になります。

しかしこの会社は欧州各国の国債に積極的に投資し、欧州危機のさなか、昨年10月31日、経営破綻します。 コーザインが築き上げてきた社会的地位、名声は一気に無くなってしまったのです。

MFグローバルの破綻に関連してはいろいろなスキャンダルが報じられていることは、皆さんご存じのとおりです。

そういった意味でビッグスとコーザインを同じ番組で紹介したことにはお叱りを頂戴するかもしれません。

ただビッグスにしても、コーザインにしても、定年後、自らの大型クルーザーを船員に操縦させながら、フランス・イタリアのリビエラあたりまで繰りだし、毎晩のように船上パーティーを行う、そういった優雅な引退生活を送ることには興味が無かったのだと思います。

お金の世界にいながら、彼らには「お金が重要ではなかった」のではないかと思えてきます。

ビッグスがヘッジ・ファンドを立ち上げようと苦労していた時の話です。

彼は当時70歳。

70歳の老体にムチ打ちながら、彼は、ファンドに投資してくれる投資家の資金を集めるために、自ら全米中を奔走します。

彼は当時も金融の世界では有名人だったのですが、投資家に「資金を出して欲しい」といったところ、意外にも機関投資家や富裕層から断わられ続けます。

投資家の視点からすると、70歳を過ぎてからファンドを始めるような人に、自分の貴重な財産を預けることに不安を感じたのだと思います。

ビッグスは、それでもめげず、毎日毎日、自分の孫のような年の投資家を相手にプレゼンテーションをし続け、最終的には、なんとか資金を集めることに成功します。

それでもモルガンスタンレー時代とは違って、ずいぶんと貧しいオフィスで業務を開始することになります。

たとえばビッグスのオフィスはビルの4階で、薄暗く汚れた部屋でした。

モルガンスタンレー時代の高層ビルの大きく清潔なオフィスとは雲泥の差だったのです。

それでもビッグスは「窓を開けて外の空気を吸える」ことに満足したといいます。

ビッグスやコーザインに共通するのは 「このままリタイヤして一生を終えたくない」 「ずっと現役で仕事を楽しみたい」 という思いだと思います。

よくどういう人が定年後の起業に向いて、どういう人が再就職とか再雇用に向くのかという質問を受けます。

人それぞれですが、起業か再就職か、どっちに向いているかは、私は意外と簡単なところで見極められるような気がしています。

薄汚いビルや狭いマンションの1室でも、ビッグスのように「窓を開けて外の空気を吸える」ことに幸せを感じるか、

あるいは、たとえ部付部長や専門部長といったようなタイトルであっても、大企業の名前が入っている名刺を持ち続けたいか・・・。

なお番組では金融の世界にあまり詳しくない大宮アナウンサーからいろいろな質問を受けました。

「そもそもヘッジファンドって何ですか」

「チーフ・ストラジストって何をする人?」

その辺についても分かりやすく説明しましたので、ぜひ聞いてみてください。

今からでもポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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なお iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です。

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2012年1月12日 (木)

起業に年齢は関係無い?

2012年最初の『集まれ!ほっとエイジ』(毎週土曜日、夜9時、日経ラジオ)は、1月7日に放送されました。

今回の私のコーナー(夜9:45~10:00)のタイトルは「起業に年齢は関係無い?」。

この番組は毎回プロデューサーの相川浩之さんとアナウンサーの大宮杜喜子さんが質問して、それに私が答えていくという形で進められていきます。

7日の放送では、冒頭相川さんから次のような話がありました。

『大前研一さんは著書のなかで、「起業家として成功した人は例外なく20歳代、おそくとも30歳代には決断し、決行している」と書いている。

25年間も会社に飼いならされている人、すなわち50代、60代になっても会社に残っているような人はそもそも起業に向いていないとのことだ。

これに対して、先週岩崎さんは「そんなことはない」と反論していたことが印象に残った』

私は、たとえ長い間、同じ会社でサラリーマンとして勤務してきた人であっても、それだけで「起業に向いていない」とは言えないと思います。

要は、会社の中で自分が主体的に行動してきたかどうか、です。

若いときに起業するのも一つの生き方ですが、一方、大きな組織の一員でなければ出来ない仕事もあります。

たとえばオーストラリアの天然ガスを液化して日本にもってくるといったことは、商社などに勤務して初めて可能になることです。

20代、30代には「起業して小さな会社を経営する」よりも、社会的にもインパクトのある大きな仕事をしたいという人も多いと思います。

そういった大きな仕事をしてきた人たちが、定年後は人生の第2ステージとして、今度は自分で会社を興して、自分でやりたいことを行うといった道もあると思います。

農業で一毛作、二毛作といった言葉がありますが、私は人生やキャリアにも「二毛作」的な側面があっていいと思います。

アメリカでもアップルのスティーブ・ジョブズやマイクロソフトのビル・ゲイツのように若くして起業する人たちもいますが、一方で50代以降に起業する人たちもたくさんいます。

マクドナルド・ハンバーガーの世界的なチェーン店網を起業したのは、レイモンド・クロックというアメリカ人です。彼が​52歳のときです。

ミルクシェイク用のミキサーのセールマンであったクロックはカリフォルニア州の「あるレストラン」​から8台ものミキサーの注文を受けます。

8台ものミキサーの注文をいっぺんに受けたクロックは「どんなレストランなのだろう」と思って実際に行ってみました。

すると、このレストランはメニューを何種類かのハンバーガーとポテトフ​ライと飲み物のみに絞り込んでいたのです。

このレストランは、ディッ​ク・マクドナルドと、マック・マクドナルドという兄弟が経営して​いました。

52歳のクロックはマクドナルド兄弟に、「ぜひ一緒にこの店を​アメリカ中に展開しよう」と説得します。

そしてクロックはマクド​ナルドという会社を作り、会社を設立してから5年後、この会社が​マクドナルド兄弟から「兄弟が発明したシステムを全米にフランチ​ャイズ展開する権利」を買い取ります。

一方、カーネル・サンダースが自分のレストランでフライド・チキンを​提供しはじめ、いまのレシピを完成させたのが、39歳の時。

しか​しこの後、彼は店を手放さざるをえなくなる状況に追い込まれます​。

新しいハイウェイが出来て、クルマの流れが変わり、客が来なくなってしまったのです。

このとき彼は65歳。

ちょうど今の日本では年金がフルに支給される年です。

65歳にして店を手放すことになったサンダースは、店は失ったけれども「フライド・チキンの調理法」という目に見えない「資産」を持っていることに気が付きます。

そこで彼は一念発起。

「フライド・チキンの調理法」を教える代わりに売れたチキン1羽につき5セントを受けるというフランチャイズビジネスを始めます。

車で全米各地を回りながら粘り強くフランチャイズを開拓していき、73才の時にはチェーンは600店を超えるに至りました・・・。

7日の放送を聞き逃された方は今からでも iTunes で聞くことができます(無料です)。『こちら』です。

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2012年1月11日 (水)

2012年、新興国は・・?(日経ヴェリタストーク)

昨晩は日経CNBC『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

2012年の新興国。経済成長率見通し(IMF予測、実質GDP成長率見通し)は中国9%を皮切りにインド、インドネシアと高い成長を見通すところが並びます。

これから先、仮に欧州危機が深刻化するとした場合、新興国はそれでも成長することができるのでしょうか。

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リーマンショック(2008年9月)の時は、2か月間(2008年9-10月)で米国の株価は2割下落(11,516ドル→9,325ドル)。欧州の株価も2か月間の下落率は同じく2割に達しました。

このとき新興国の株価は欧米以上に下落しました(インド、ブラジルは▲3割、中国、ロシア、インドネシアは▲4割)。

これは先進国マネーがこれらの国から引き揚げたためで、新興国は金融面では為替、株価ともに実体経済以上の影響を一時的に受けました。

換言すれば実体経済の方は表に現れるマネーの動きほどには傷ついていなかったため、たとえばブラジルでは2009年になると株価は一転上昇に転じ、2009年1年間で2倍近くになりました。

詳しくは今週号の日経ヴェリタスの1-4面をご覧になって頂きたいのですが、アジアや中南米の新興国は内需の比率も総じて高く、経常収支や外貨準備もまずまずの水準にあります。

すなわち世界経済の担い手の一角として頼もしい存在になりつつあるのです。

欧州危機が深刻化したとしても、(為替、株価など金融面では影響を受けるでしょうが)、それがアジア危機、中南米危機となって波及していくかというと、必ずしもそうでない ― むしろ意外と持ちこたえうるのではないかと思われます。

番組では、中国、インドネシア、トルコ、ブラジルなどの国を個別に取り上げ、その実態に迫りました。

見逃された方は再放送:1月11日(水) 17:45~ と 19:06~ をご覧ください。

さて最後にクイズです。

GDPの大きい順に世界の国を1位から6位まで並べてください。

答えは『こちら』 (2011年9月、IMF推測ベース)。

「米国、中国、日本、ドイツ」の1位~4位までは、みなさんすぐ分かったと思います。

5位は英国ではありません。

フランスです。

そして6位はブラジル。

だんだん発展途上国とか新興国などとは言ってられなくなってきました・・。

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2012年1月10日 (火)

スイス中央銀行総裁がインサイダー疑惑で辞任

一国の中央銀行の総裁が個人的な通貨取引にからむインサイダー疑惑で辞任するという、ちょっと信じられないことが起きました(『こちら』)。

総裁辞任後もスイス中央銀行はスイスフラン高に対しては徹底介入し、1ユーロ=1.2フランの上限水準を守ると発言(『こちら』)。

関連のプレスリリースがスイス中銀から4つも出ています。『こちら』です。

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2012年1月 6日 (金)

消費増税と社会保障の一体改革

本日、消費増税と社会保障の一体改革が閣議報告されました。

昨日のブログ記事にあった『消費税増税(5%→10%)により税収は約13兆円増えます。しかしこのうち社会保障の「充実」に回るのは1%分の2.7兆円。年金分はそのうち6000億円にすぎません』との表現について、

読者の方から『年金分(1/3→1/2)は消費税1%分くらいはあったのではないか』とのご指摘を頂きました。

ちょっと分かりづらいのですが、社会保障の「充実」としてカウントされている年金の6000億円とは:

最低保障機能の強化

具体的には、

・低所得者への加算

・障害基礎年⾦への加算

・受給資格期間の短縮

のことです(詳しくは『こちら』の別紙2の工程表4~5頁、別紙3の基本的枠組み2~3頁をご覧ください)。

基礎年金の国庫負担増(1/3→1/2)はたしかに消費税1%分に相当するのですが、これは社会保障の「充実」ではなく「機能強化」との位置づけ。

「充実」と「機能強化」は同じではないか、という疑問もわきます。

この辺は霞が関文学に任せることにして、そもそもの経緯を追っていきましょう。

実は、基礎年金の国庫負担増(1/3→1/2)は、その昔、2004年に決められました(当時の法律「年金制度改正法」で2009年度までに実施すると決められました)。

今から8年前、小泉内閣のときのことです。

なぜ2004年にそんなことが決まったのかというと、その理由は、もっと昔、1985年まで遡ります。

この年の年金改正で、厚生年金、国民年金、共済年金に共通する制度横断的な「基礎年金制度」が設立されました。

その後、国民年金の未納・未加入者が保険料を支払っていないことが問題化。

きっかけとなったのは、年金CMに起用された女優の方が年金保険料を払っていなかったというニュース。

その後、政治家も払っていないことが次々に発覚。

2004年当時、ヒット曲「だんご3兄弟」をもじって「未納3兄弟」などという言葉も流行しました。

そしてこのとき、未納・未加入のために生じている国民年金の赤字は、厚生年金、共済年金が肩代わりして埋めることが決まりました(そもそも1985年の基礎年金制度設立の目的が実は国民年金の財政支援にあったようです)。

しかし厚生年金、共済年金にしてみれば、「なんでおれたちが国民年金の赤字を埋めるんだ?」ということになってしまいます。

そこで、このとき厚生年金、共済年金を説得するため、基礎年金財源の国庫負担を増やすことが決められたと言われています。

こうして、2004年の「年金制度改正法」を受け、2009年6月、「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。

この法律の名前。

「・・の一部を改正する法律等の一部を改正する法律」とダブっていますが、キーボードを打ち間違えたわけではありません。

ほんとうにこのようにダブっている名前の法律です(平成21年法律第62号)。

この法律では、

(1)2009年度から国庫負担2分の1を実現するための所要の措置を講ずる

(2)2009年度、2010年度については特例的な繰入金を活用し、2分の1との差額を負担する

(3)その後は税制の抜本的な改革により2分の1を恒久化する

(4)恒久化までは臨時の法制上・財政上の措置を講ずる

といったことが決められました。

以上のような経緯で、基礎年金の国庫負担増(1/3→1/2)は、2009年度以降、実施されてきています。

政府の説明によれば、2009年~2011年度までの基礎年金国庫負担増は、特別会計の剰余金といった埋蔵金を充てて何とかやりくりしてきたとのことです。

しかし2012年度予算では国庫負担分が確保できているのは36.5%分のみであるとして、50%を維持すべく「年金交付国債」を2兆6000億円発行することにしました。

以上が政府の説明です。

もっとも国民の目線からすると、お金には色が無いわけで、「この分のお金はこれを財源にする」と言われても、なんか急にお金に色が付き始めた感じになり、分かりづらくなります。

いずれにせよ、消費税増税による税収増のうち消費税1%分は、このように基礎年金の国庫負担増(1/3→1/2)に充てられることになります。

しかし繰り返しになりますが、これはすでに8年前、小泉政権時に決まっていたことで、2009年度から実行されてきていることですから、現政権としては、消費税増税で社会保障の「充実」を図るという「充実」部分には入れにくいということなのかもしれません。

本日の閣議報告の報道では、基礎年金の国庫負担2分の1を「恒久化」と謳っています(新聞報道ベース)。

現段階ではあくまでも臨時財源、これが消費税増税によって安定財源化するので、「機能強化」、しかし便益を受ける国民からするとこれは社会保障の「充実」ではない、

というまさに「霞が関文学の金字塔」、言い換えれば「国民には分かりにくい表現」になっています。

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2012年1月 5日 (木)

人口ピラミッド

本の執筆は基本的に土、日と出勤前の早朝にするようにしています。

ただ年末年始は私が勤める会社(インフィニティ)の「海外の顧客」はクリスマス前から年末にかけて休暇入り、「日本の顧客」も28日頃から新年4日頃までは休みのところが多く、私にとっては執筆に回せる時間ががぜん増えます。

ということで、昨日まではひたすら本の原稿を書いて過ごしました。

もっともちょっとしたところに引っかかってしまうと、あちらこちら調べまわすことに陥り、筆が止まります。

たとえば消費税の増税。(ちなみに3月8日発売予定の今回の本は消費税増税について書いている訳ではありませんし、これに関連する項目もいっさいありません。たんにこういったことの基礎知識無しには本を書けないので調べているだけです)。

朝日新聞の12月31日1面には「国家破綻を防げ」という編集委員の方の記事が載っていました。

しかし消費税が10%になることで国の借金が減るのかというとそうでもない。(10%にせず5%のままならば借金はおそらくもっと増えるのでしょうけれど・・)

今後もプライマリーバランス(基礎的財政収支)は赤字のままで、2015年にこの赤字を半減させる目標さえ、この達成は「少し苦し」い(野田首相の発言)とか・・(政府目標は2020年度の基礎的財政収支黒字化です)。

では現状の財政収支はどうなのか。内閣府の資料にプライマリーバランス推移が見つかりました。

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(上表や下図はすべてそのうえでクリックすると大きくなります)

2004年度~07年度はまずまず良かったのですね。 内閣にすると小泉、安倍、福田内閣の時代。

そこをリーマンショックが襲ったので急激に悪化・・・と、欧州や米国と同じような道筋なのですが、財務省資料に下図がありました。

     財政収支の国際比較(対GDP比)

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リーマンショックの影響はヨーロッパの方が大きかったはずですが、日本の財政収支はドイツ、フランスなどに比して悪化の度合いがひどい。これを見るとリーマンショック後イタリアはむしろ頑張ってきていた・・?

さて政府は「社会保障と税の一体改革」の掛け声のもと、素案をまとめました。昨年12月30日です。このベースになったのは昨年7月1日の閣議報告(『こちら』)。

消費税増税(5%→10%)により税収は約13兆円増えます。しかしこのうち社会保障の「充実」に回るのは1%分の2.7兆円。年金分はそのうち6000億円にすぎません。

もともとお金に色は無いわけですから、13兆円はこう使われますといっても、あまり意味はない・・・・ですが、政治的には「消費税を増税して八ツ場ダム(総事業費4600億円。ただし大半を支出済み)を完成させるのに一部使います」などとは言えないのでしょうね、きっと・・。

ところで13兆円税収が増えるくらいでは社会保障の問題は解決しそうにもありません。

2050年の日本の人口ピラミッドを見ると唖然とします。

  2050

現役世代や将来世代に過度な負担をかけないためにも、いまから社会保障の支出は抑え込んでいかないと将来大変なことになります。

たとえば、言いにくいことですが、現在年金をもらっている方々の「もらい過ぎ」は是正しないといけません。

「けっしてもらい過ぎていない」、こう高齢者の方に怒られそうですが、年金の支給額は物価水準に応じて上下することとなっています。

しかし、現実にはデフレ下でも年金額を据え置くという「特例水準」が1999年に決められました。この結果、7兆円もの「年金支払い過ぎ」が発生しています。

これについては昨年末の「社会保障と税の一体改革素案」で解消すると決めたでしょう、と言われそうですが、すでに1999年以降現在までに支払済みの7兆円については手を付けない(換言すれば高齢者によるもらい得)が決まっています。

しかも今後3年間は支払過多を(額は減るものの)継続するとの案です。

当然のことながらこれら(7兆円+アルファ)の追加負担は、すべて現役世代、将来世代への負担となって先送りされていくことになります。

将来の人口ピラミッド(上の図)を見た時、われわれの前に立ちはだかる問題の大きさがわかってきます。

まだ先のことですが、いずれ生産年齢人口(15~64歳)1.3人で高齢者(65歳~)1.0人を支える社会がやってきます。

そのときにむかって持続可能な社会保障制度はどういったものか。

よく言われる「消費税を16~17%にすれば社会保障4経費を賄える」というのは、あくまでも2015年あたりの社会保障4経費を言っているわけです。

ベーシックインカムの議論にしても、国民1人に仮に月7万円配るとしても、なにせ稼いでいる国民はこのとき(2055年)約半数しかいません。残り半分は65歳以上か、15歳未満。

と、まぁ、こういったことをいろいろ考えていくと、なかなか「本の原稿を書く」という作業に入っていけなくなってしまいます。

本の中のたった数行の文章でも、調べて、悩んで、苦しんだ結果の文章であることが少なくありません。

それさえも編集者の「この部分は分かりにくいのでカットしましょう」の一言でばっさり切られてしまうこともあります。

それだけに本が完成して書店に並んだ時の嬉しさもひとしおなのですが・・

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2012年1月 1日 (日)

明けましておめでとうございます

北京の祈年殿で撮影した龍です。

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    (写真はクリックすると大きくなります)

今年はどんな年になるのでしょう。

私は学生時代にぶどう膜炎(虹彩炎)にかかり失明しかけたことがあります(『こちら』)。

その後も10年に1回くらいの頻度で再発して、最近では 2008年4月に再発。

それからしばらくの間は1週間に1回という割合で大学病院に通いました。

その後徐々に通院の間隔が長くなり、最近では4カ月に1回といった割合でした。

昨年のクリスマスイブ、12月24日に診察で病院を訪れた時、先生が

「次回の予約はもう必要ないでしょう。おかしいなと思ったらいつでも来てください」

と言ってくれました。

約4年ぶりの解放!

重荷が少しだけ取れて、今年は例年以上に頑張るぞ、そんな気持ちで新年を迎えました。

みなさん方もいろいろな思いで新年を迎えたと思います。

松下幸之助の言葉を2つ。

『悪い時が過ぎれば、よい時は必ず来る ・・・ あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ』

『失敗の多くは、成功するまでにあきらめてしまうところに原因があるように思われる』

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