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2012年1月15日 (日)

70歳でヘッジファンドを始めた人

早いものでもう1週間がたちました。

昨日の『集まれ!ほっとエイジ』(毎週土曜日、夜9時、日経ラジオ)では、70歳でヘッジファンドを始めたバートン・ビッグスをご紹介しました。

金融の世界におられる方は、彼のことをよくご存じだと思います。

私も今でも海外に出張し、ブルームバーグやCNBCのチャネルを見ると、彼がコメントを発していたりするのを目にすることがあります。

また彼のことは以前にこのブログでも紹介したことがあります(『こちら』)ので、覚えておられる方もいるかもしれません。

彼の著書 『ヘッジファンドの懲りない人たち』 は日本でもずいぶんと多くの人に読まれ、新刊本のあと、文庫本にもなりました。   

     Biggs_3

アマゾンの書評(『こちら』)を見ると、星2つのレビューが1件しか載っていませんが、これは文庫版の方だからです。

オリジナルの新刊本はすでに在庫が版元になくなっていますが、こちらが出た時には、多くの読者が高評価を与えています(『こちら』; なお新刊本も文庫版も同じ内容です)。

運用、もしくは投資の世界にいる方、あるいは外資系投資銀行にいる方はぜひとも読んでみるとよいと思います。

バートン・ビッグスは、かつてモルガンスタンレーのパートナーを務めていた人です(モルスタがパートナー制を敷いていた時代です)。

彼はモルガンスタンレーに30年間務め、会社のチーフ・ストラジストとしても活躍しました。

さらに彼は、モルガンスタンレーでチーフ・ストラジストを務めながら、投資顧問会社タイガーマネージメントの取締役(これは日本で言う社外取締役に該当するのですが)に就任していたこともあります。

このとき投資顧問会社タイガーマネージメントの社外取締役には、バートン・ビッグスのほかに、英国のサッチャー元首相なども就いていました。

つまり彼はサッチャー元首相などと肩を並べて、投資顧問会社の社外取締役の任に就いていたのです。

彼には「悠々自適」どころか自分のクルーザーで世界一周を旅するといったような「非常に優雅なリタイヤ生活」が約束されていました。(それはそうでしょう。パートナー制の時代から会社の持ち分を有していたのですから・・)

しかし彼は自らが築き上げた富や名声を投げ打って、70歳にしてモルガンスタンレーを退社し、ヘッジ・ファンドを立ち上げる決意をしたのです。

番組ではこのほかにかつてゴールドマンサックスのトップ、CEOにまで上り詰めたジョン・コーザイン氏についても紹介しました。

ジョン・コーザイン氏は47歳の時にゴールドマンサックスのCEO(会長)になります。

その後、53歳にしてゴールドマンサックスを辞めてアメリカ合衆国の上院議員になります。

そして59歳で上院議員を辞めて、ニューヨークの隣のニュージャージー州の州知事になります。

2010年にコーザインは63歳で州知事を辞めた後、再び金融の世界に戻り、MFグローバルという金融の会社の会長(CEO)になります。

しかしこの会社は欧州各国の国債に積極的に投資し、欧州危機のさなか、昨年10月31日、経営破綻します。 コーザインが築き上げてきた社会的地位、名声は一気に無くなってしまったのです。

MFグローバルの破綻に関連してはいろいろなスキャンダルが報じられていることは、皆さんご存じのとおりです。

そういった意味でビッグスとコーザインを同じ番組で紹介したことにはお叱りを頂戴するかもしれません。

ただビッグスにしても、コーザインにしても、定年後、自らの大型クルーザーを船員に操縦させながら、フランス・イタリアのリビエラあたりまで繰りだし、毎晩のように船上パーティーを行う、そういった優雅な引退生活を送ることには興味が無かったのだと思います。

お金の世界にいながら、彼らには「お金が重要ではなかった」のではないかと思えてきます。

ビッグスがヘッジ・ファンドを立ち上げようと苦労していた時の話です。

彼は当時70歳。

70歳の老体にムチ打ちながら、彼は、ファンドに投資してくれる投資家の資金を集めるために、自ら全米中を奔走します。

彼は当時も金融の世界では有名人だったのですが、投資家に「資金を出して欲しい」といったところ、意外にも機関投資家や富裕層から断わられ続けます。

投資家の視点からすると、70歳を過ぎてからファンドを始めるような人に、自分の貴重な財産を預けることに不安を感じたのだと思います。

ビッグスは、それでもめげず、毎日毎日、自分の孫のような年の投資家を相手にプレゼンテーションをし続け、最終的には、なんとか資金を集めることに成功します。

それでもモルガンスタンレー時代とは違って、ずいぶんと貧しいオフィスで業務を開始することになります。

たとえばビッグスのオフィスはビルの4階で、薄暗く汚れた部屋でした。

モルガンスタンレー時代の高層ビルの大きく清潔なオフィスとは雲泥の差だったのです。

それでもビッグスは「窓を開けて外の空気を吸える」ことに満足したといいます。

ビッグスやコーザインに共通するのは 「このままリタイヤして一生を終えたくない」 「ずっと現役で仕事を楽しみたい」 という思いだと思います。

よくどういう人が定年後の起業に向いて、どういう人が再就職とか再雇用に向くのかという質問を受けます。

人それぞれですが、起業か再就職か、どっちに向いているかは、私は意外と簡単なところで見極められるような気がしています。

薄汚いビルや狭いマンションの1室でも、ビッグスのように「窓を開けて外の空気を吸える」ことに幸せを感じるか、

あるいは、たとえ部付部長や専門部長といったようなタイトルであっても、大企業の名前が入っている名刺を持ち続けたいか・・・。

なお番組では金融の世界にあまり詳しくない大宮アナウンサーからいろいろな質問を受けました。

「そもそもヘッジファンドって何ですか」

「チーフ・ストラジストって何をする人?」

その辺についても分かりやすく説明しましたので、ぜひ聞いてみてください。

今からでもポッドキャストで聴くことができます。

こちら(日経ラジオ)のサイトをクリックすると出てくる下記ボタンの「聴く」を押してください。(下記ボタンをいきなり押してもリンクされていません。必ず『こちら』をまずクリックしてください)

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なお iTunes でも聞けます(無料です)。

『こちら』です。

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