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2012年8月19日 (日)

夏の読書(その3)

「私のような企業経営者にとって、政治批判はけっしてプラスなことではない・・だからこそ私も、これまで政治批判を慎んできた・・」

このように書くのは、ファーストリテイリング(UNIQLO)の柳井正さん。

『PHPのボイスVoice 9月号』に柳井さんが寄稿した『世界最低の「官僚社会主義」と訣別せよ』のなかの一文です。

   Voice

柳井さんと言えば、かつて朝日新聞のbe(毎週土曜日)に「柳井正の希望を持とう」と題するコラムを連載(ちなみにこれも本になりました→『こちら』)。

私は当時毎週かかさずこれを読んでいました。

その柳井さんが恐らくは(あくまでも私の推測ですが)かなりの怒りを込めて一気に書いたのが本稿、『世界最低の「官僚社会主義」と訣別せよ』であり 、読み応えのある文章に仕上がっています。

柳井さんはとくに日本のバラマキ型財政体質を批判。

消費税増税に際しても「財政再建に向けた具体的な説明がいっさいない」と指摘。

せっかくの増税も財政再建に結びつかずに、整備新幹線、国土強靭化法案、高速道路一部区間の無料化といったバラマキに繋がっていく可能性の高い現状を危惧しています。

(私も同じように心配しており先日ブログ記事に書いたところです→『こちら』)。

柳井さんの鋭い筆鋒は、責任を取らない日本的な組織の体質にも向けられ、「消えた年金問題、原発事故の責任者を処罰せよ」と主張。

返す刀で「保護されて伸びた産業はない」、「日本の官僚を海外でもっと勉強させよ」、「五十代以上は早期退職させて、若い人たちがもっと自由に力を発揮できる環境を整えたほうがよい」と提言しています。

たしかにファーストリテイリングのように大企業となった会社の経営者にとって、ここまで「歯に衣着せぬ」文章を寄稿するのは勇気がいったと思います。

これは緻密な論理構成で書かれた文章ではなく、「日本を何とかしなくては」との強い思いにかられた「勢い」で書かれた文章。

だからこそ一読の価値ある文章だと思います。

柳井さんは本稿を次のように締めくくっています。

「戦後の荒廃から日本を立ち直らせた主人公は、政治家でも官僚でもなかった。

ミカン箱の上に立って従業員の前で「世界一になる」と宣言した本田宗一郎や、ニューヨークの五番街に最初に日章旗を立ててやると誓った盛田昭夫のような起業家であった」

「当時、彼らにあったのは夢であり、志だけであった」

「活路は世界にある!」

「私は日本人の底力を信じている」

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コメント

消費税増税反対は同意できますが、他は世界中で失敗し、害悪を撒き散らした市場原理的な意見でがっかり。

①防災減災のインフラ整備を否定。
 市民を殺す気か?
 整備新幹線等、交通インフラの整備を防災減災とは違うだろうと批判している。
 太平洋ベルト地域に集中している人口、産業を比較的安全な地域へ疎開を促すには交通網の整備が不可欠。
それ以外に、もし、大地震、富士山噴火で東海道の交通網が寸断されたらば、東西の交通は麻痺し経済に大打撃が起こる。交通網のバックアップは必要。
(東日本大震災で実証されたでしょ)
財源は、60年償還の建設国債および、日銀とのアコードでよいのでは?
デフレの今は、問題ないのでは。
1930年代デフレを克服した高橋財政、米国ニューディール政策に活路を見出すべき。

②日本の破綻
 破錠の定義とは?
 今の日本で破綻はありえない。
 日本国債はすべて自国通貨建であり、かつ9割近く、日本の金融機関が購入している。
 最悪は、日銀が国債を引き取って通貨を発行し支払いに当てれば事足りるのでは。
日本国債は政府の借金だが、貸し方の日本国民の資産でもある。

③海外で稼ぐことに活路を見出せ。
 世界中がデフレに足を突っ込んでいる今は、無理じゃないですか。各国とも自国の国民の雇用を護るのに必死。日本の輸出を増やすことは相手国の雇用を奪うことと同義であり相手国にとって迷惑千万。それよりも、日本の内需に注視すべき。

④大企業への減税
 事実上政府へ保護を求める政策じゃないですか。
 今大企業へ減税しても、株主、経営陣の役員報酬(株主、経営陣の個人的な貯蓄へ変わる)および海外への投資に廻るだけ。
ちっとも日本にとって良くならない。

⑤民間の稼ぐ力が重要
 同意。もともと稼ぐ力が民間にあるのに、金融政策の誤り(公共投資の削減)から日本国内の投資が減り、内需が減り、給料が下がり稼ぐ力が弱まっている。
金利を下げても、海外への投資か、投機マネーに変わるだけ。
今は、公共投資及び、国内への民間投資を促す政策が必要じゃないですか。 

投稿: 抵抗勢力(笑) | 2012年8月21日 (火) 19時32分

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