« 世界遺産 | トップページ | 運動がビジネスにもたらすメリット »

2013年6月17日 (月)

長期金利

長期金利の動向が最近新聞紙上をにぎわしています。

ここ3カ月間の10年もの国債の利回りは下図のように推移してきています(ブルームバーグ『こちら』より)。

Jgb3_4

黒田緩和が4月4日に発表された後の翌5日、 10年もの国債の利回りは一時0.315%をつけました。

これは10年ものとしては、歴史上世界でもっとも低いレートと言われています。

しかし長期金利はその後上昇し、5月23日には一時1%台を付けるに至っています。

この間の推移をグラフ化した上の図を見るとたしかに金利は急上昇。

「いったいどうなってしまうのか」と心配になってくる方もおられると思います。

しかし、上と同じグラフをもう少し過去にまで遡って、スパン(期間)を長くして見てみると違った様相になります。

たとえば過去5年間の動きを見てみるとどうでしょう。

下図は10年もの国債の利回り推移を過去5年間にわたってプロットしたもの。

Jgb5

この図からも今年4月から5月かけての金利上昇の様子が(グラフの右端で)見てとれますが、昨年の春以前は、10年もの国債の利回りが1%を超えているというのはさほど珍しいことではなかったことが窺えます。

むしろここ5年の間では長期金利は1%を超えるときの方が多かったと言えます。

さて、ここからが本題です。

それではなぜ最近の長期金利の動向がこれほどまでに騒がれるのでしょうか。

それは長期金利がこの段階(2013年5月)で1%を超えるようになるとは、政府・日銀は想定していなかったからだと思われます。

黒田緩和により、日銀が買う長期国債は毎月7兆円。

新発債の発行額の7割に相当します。

本来ならば日銀によるこうした大規模購入で長期国債の需給が引き締まり(値段が高くなり)、長期金利の低下要因となるはずなのですが、金利は逆に上昇してしまったのです。

意に反した動きが出てしまったわけです。

この理由については

(1)日銀の大規模購入を起因とする流動性低下によるボラティリティ上昇である、とか

(2)民間銀行が将来の金利上昇(債券価格下落)リスクを嫌って保有国債の平均残存期間(デュレーション)を短期化したため

などと言われています。

いずれにせよ政府・日銀があまり想定していなかったことが起きてしまったことから、黒田緩和は大丈夫なのか、といった懸念が出てきてしまいました。

金利の急激な上昇は金融機関に巨額の評価損を発生させ得ます。

日銀は『金融システムレポート』の中で、1%の金利上昇によって銀行に6.6兆円の評価損が発生するとの試算を示している(全期間の金利が上昇する場合)とのこと(『こちら』)。

日経新聞(5月19日付)は、「48兆円の国債を持つ三菱UFJの場合、金利が0.1%上昇するだけで国債価格の下落で1500億円の評価益が吹き飛ぶ」と報じました。

今から2~3年後。

黒田緩和が奏功すれば2%のインフレが達成していることになります。

そのとき長期金利は2%を超える水準になっているはずです。

しかし現在はまだデフレが継続中。5月31日に発表された消費者物価指数は前年同月比▲0.4%。

6か月連続のマイナスでした。

デフレ下での長期金利の急激な上昇は、それがたとえ0.8~0.9%の水準であったとしても経済に与えるネガティブな影響が大きいことが懸念されます。

とくに日銀がこれをコントロールする有効な手だてを持っているとは考えにくいだけに、長期金利の動向が大きなニュースになりうるのです。

なお長期金利の上昇によって住宅ローン(固定金利もの)も若干ですが上昇してきています。

すでに5月の段階で、大手行は期間10年の固定金利ローンを、0.05%引き上げ、年1.40%(最優遇金利)としています。これは昨年10月以来7カ月ぶりの高い水準とのこと。

さらに6月にはこれを0.2%引き上げ、年1.60%としています。

もっとも変動金利ベースの住宅ローンは、連動する対象の金利が短期プライムレート(無担保コールレート翌日物に連動)であるため、今のところ変更はありません。

なお住宅ローンの実際のローン金利は上記の最優遇金利とは異なると考えられ、各銀行のサイトをあたるか、『こちら』のようなサイトを参考にする必要があります。

|

« 世界遺産 | トップページ | 運動がビジネスにもたらすメリット »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 世界遺産 | トップページ | 運動がビジネスにもたらすメリット »