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2014年11月29日 (土)

一日で10%下落

OPEC総会(生産調整せず)の結果、原油価格はたった1日で10%以上も急落。

以下はここ2日間のWTIのチャート。

Wti

ここまで急に落ち込むと、エクソンモービルなどの原油関連株も急に落ち込み(1日で4%の下落)、昨日の米国株式市場は、まだら模様の様相を呈して取引を終えました。

以下はここ10年間のWTIチャートです。

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2014年11月23日 (日)

富の移転

ここ1ヶ月の株価推移を見ますと、米国も日本も順調に推移してきています(下図の折れ線グラフは過去1ヶ月の米S&P500推移)。

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この背景の要因としては(もちろん幾つかあるのでしょうが)、「原油価格下落」もそのひとつ。

下図は過去6か月間の原油(WTI)価格推移。

6月下旬には101.89ドルを付けていたものが、11月14日には73.27ドルまで下げました(下落率▲28%。なお現在は76.51ドル)。

Wti

原油価格の下落にはその理由として幾つか指摘されています。

①欧州、中国などの経済情勢がいまひとつパッとしない(需要が伸びない)

②米国を中心に起きているシェールガス革命(シェールオイル、シェールサンド)

③リビアの原油生産量回復

④サウジが(8月には生産調整を行ったがそれ以降)減産の姿勢を見せていない

さらには真偽のほどは分かりませんが、イスラム国(ISIS)の資金源となっている原油販売。

これを叩き潰すために米国が中心となって原油価格下落を誘導しているといった説も・・。

いずれにせよ原油価格下落は「富が産油国から消費国に移転」することを意味しますから、日本にとってはプラス。

円安で輸入価格が上がっても原油価格下落が相殺(ものによっては相殺以上)してくれるといった効果も・・・。

さらにはこれから冬を迎えることを考えると、灯油価格など燃料費がさほど上がらない(場合によっては下落)ことも考えられ、生活実感としても少しは楽になることが期待されます。

もちろん今週木曜日(27日)のOPEC総会(第166回通常総会)で生産調整が実現してしまうと、原油価格が上昇に転じてしまう可能性もあり、注意が必要です。

* * * * *

さて話はがらりと変わりますが、下記の本(『こちら』)が昨日ようやく書店に並び始めました。

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以下、目次と各項目です。

第1章 今から20年後の世界人口は87億人。一方でシビアな状況を迎える日本

 ・自分の将来を見通してみる

 ・今の仕事を続けていていいのだろうか

 ・しがらみとどう決着をつけるか

 ・ゆでガエルを避けるためのイメージ・トレーニング

 ・20年後に東京都一個分の人口が減っている

 ・日本の住宅の4割が空き家になっている?

 ・代ゼミははじめから撤退するつもりだった!?

 ・巨艦の進路変更には時間を要する

 ・恐怖の人口ピラミッドを直視せよ

第2章 勃興する成長産業に目をつけろ

 ・2020年、コンピューターは人間の知性を超える?

 ・人間の脳をスキャンしてアップロードする技術

 ・遺伝(G)、ナノ(N)、ロボット(R)で革命が起きる

 ・グーグルが進める人工知能研究開発

 ・グーグル米国本社で活躍する38歳の日本人

 ・流通を制するものは世界を制する?

 ・勃興する産業は、実はレッド・オーシャン?

 ・地ビールレストランの起業も検討した楽天の三木谷浩史   

 ・企業の変身「コーポレート・トランスフォーメーション」とは?

 ・トランスフォーム(変身)することで常に時代の最先端をいく

第3章 パイ(売上高と営業利益)が大きくなる企業の見抜き方

 ・投資家の視点を持て ・銀行の審査部の視点とは?

 ・カネボウと資生堂を比べてみる――その①:CM編

 ・カネボウと資生堂を比べてみる――その②:沿革・経営者編

 ・「スカトルバット」を入手しろ

 ・最後は株価に収斂する

 ・グーグルやアマゾンの道筋がヒントになる

第4章 なくなる職種、絶対なくならない職種、新たに求められる職種 

 ・20年後、65%の人が今は存在していない職業に就く

 ・20年後のケース①――証券マンや証券レディはどうなるか

 ・20年後のケース②――生保の営業マンや営業レディはどうなるか

 ・ネット、コンピューター、ロボットによる代替

 ・アマゾンのドローンの衝撃

 ・公務員ははたして絶対なくならない職種なのか

 ・新たに求められる職種とは何か

第5章 狩猟的職業選択のススメ、定住的職業選択のリスク ・上り坂か、下り坂かを常に意識せよ

 ・迷った時は難しい道を選べ

 ・安易な転職を勧めない理由

 ・必ず「次の職場を決めてから」にせよ

 ・ヘッドハントする側はなにを見ているか

 ・狩猟的職業選択と定住的職業選択のどちらを取るか

 ・決断を遅らせれば選択肢が減る

 ・もう一人の自分と対話せよ

 ・先から考えて、「将来こうなるためには」との発想には無理がある

第6章 バイリンガル的な語学力は必須、そのうえで差がつくスキルとは  

 ・英語に関してコンプレックスをもっていた

 ・英語は道具に過ぎない

 ・行けばなんとかなる

 ・72億人に世界が広がる

 ・薄っぺらい「語学屋」になるな

 ・英語は自転車や水泳と同じ

 ・もう一つの「武器」も必須

第7章 未来情報を織り込むマーケットと向き合い、胆力と察知力を身につける方法

 ・なぜマーケットと向き合うことが重要か

 ・グローバル資本主義から逃れられない

 ・時価総額を注視せよ

 ・時価総額は武器になる   

 ・あなたの会社が中国企業に買収される日

 ・猛威を奮うグローバル資本主義

 ・リスク・コントロールの4原則

 ・エクイティの威力

 ・タイガー・ウッズはなぜ世界富豪ランキングに登場しないのか

 ・エクイティの破壊力を身をもって感じた経験

第8章 年収1000万円超になっても、「激務」だけが残る働き方を目指すべきではない

 ・東大卒、30歳キャリア官僚の給料の中身

 ・月300時間を超える残業

 ・年収1000万円超はわずか3.8%の〝限られた世界

 ・不眠不休で働くというのは、なにも日本だけのことではない

 ・高額な年収は、魂を金で売ることの代償なのか

 ・ある日、鏡で自分の顔を見て、退職を決意

 ・100メートル走の速さでマラソンを走りきることはできない

 ・4つの信号がどう点滅しているかでチェックせよ

 ・燃え尽き症候群はこうして防げ

第9章 「働きがい」を因数分解しながら、さらなる成長を目指せ

 ・人が働くのは「自己実現」のため?

 ・成長する、チャレンジする、守りに入らない

 ・27歳、結婚直後だったが大手企業を飛び出したケース

 ・言い続けていると実現する ・目をつぶれば音楽が見える   

 ・三木谷の一言が本城の進路を変えた

 ・お金があっても、深いところには手が届かない

 ・起業後、福島へ

第10章 苛烈な資本主義(レッド・オーシャン)に取り込まれない働き方が起業であるとの逆説

 ・ある50代独身女性の貧困

 ・アジア諸国とのボーダレス化が日本を苛烈な状況に追い込む

 ・寄らば大樹の陰とは、実は平時に通用する言葉?

 ・あなたの20代をグーグルやマッキンゼーで無駄にするな!?

 ・起業では自分自身がエンジンとなる必要がある

 ・人生の苦労に比べれば起業の苦労などたいしたことない

 ・大企業に勤めていようと起業しようと、成功する人は成功する

 ・失敗したって命を取られるわけじゃない

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2014年11月17日 (月)

舞台裏の話

【その1】

日本では、60歳以上の人が個人金融資産の8割を握っています(若い人は住宅ローンを抱えていてネットベースの金融資産はさほど多くありません。一方、60歳や65歳になると退職金を手にする人が増えます)。

しかも60歳以上の人というのは、すでに日本の全人口の3分の1を占めています。

結果として、新聞や雑誌、テレビなどは、人数もたくさんいて、お金(購買力)もある彼らを対象とすることが多くなります。

具体的には、マネーと健康をテーマにしたものが多くなります。

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日経新聞だけでなく、朝日などの一般紙でも「なるほどマネー:リタイアに備える」といったコラムを連載し、テレビは「駆け込みドクター」、「健康カプセル」といった番組を流します。

【その2】

出版の世界も例外ではありません。

編集者の方たちから私のところに持ち込まれる話も、50~60歳以上の読者を対象としたマネー・資産運用といったものが少なくありません。

【その3】

しかし書く方にしてみれば、同じようなテーマで本を書くことに対しては、正直なところ、あまり食指が動きません。

そんな中、今年の4月、編集者のYさんから私のところに送られてきたメールが目を引きました。

「『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』という名著がありますが、ああいったコンセプト、形式で岩崎さんなりに書いていただくのは、どうかと考えました」

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【その4】

それから何度かYさんとの間でメールのやり取りが行われました。

私からYさんにメールにして送ったのは、

「埼玉大学や秋田国際大学などによばれて講演した時の経験からすると、最近の若い人たちは、我々の世代の成功体験よりも、失敗談の方に興味があるのではないか」

といった点。

その後、1か月以上かけて、私はYさんとの間で、幾度となくメールのやり取りを行いました。

これはいわば企画として煮詰めていくプロセス。

と言っても、私はYさんのメールに答えただけで、実際の作業はほとんどが編集者であるYさんの方で行われます。

【その5】

こうして最終的に本の企画としてまとまってきたのは、6月に入ってから。

「ビジネスマン・・・」といった当初の切り口は消えつつも、基本コンセプトは継承。

新たに「20年後の世の中を見据えて・・」といった視点が加わりました。

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想定している読者層は主として20代~40代で、最近の「50~60歳以上をターゲットとする」といった世間一般の流れとは完全に逆を行くもの。

【その6】

さて「20年後の世界を見据えて・・」となると、本来は未来学の知識が必要になってきます。

6月にYさんサイドで企画が固まって私に提示されて以降、私は1か月以上かけて未来学の本を読み漁りました。

しかしいざ本を書く段になってみますと、読者は私に未来学を語ることを期待しているわけではないことに気づきました。

あくまでも私なりの視点で20年後をどう見るか、がポイントです。

そして私はこの段階になって、あることに気がつきました。

【その7】

実は私が金融の世界で過去40年近くにわたってやってきたことは、「将来のキャッシュフローを引く」ということにほかなりません。

5年後、10年後、20年後の世界を予想してキャッシュフローを引く・・・。

興銀の審査部で西豪州の液化天然ガスプロジェクトやチリの銅山開発プロジェクトなどを審査したときも、20年以上にわたるキャッシュフローを引きました。

プロジェクト・ファイナンスの審査のポイントは大きく言って3つ。

①プロジェクト期間をカバーするだけの埋蔵量があるか

②開発コスト、採掘コストなどのコスト査定

③プロジェクト期間における収入見通し

埋蔵量やコスト分析については、興銀の審査部では地質学を専門とする大学教授や資源開発の業務経験豊富なエンジニアの方を技術嘱託として抱えていましたので、彼らとも議論しながら分析を深めていきます。

③の収入見通しの際のポイントとなるのは、油価(天然ガス価格が影響を受ける)や銅価の見通しで、これはたとえば20年後の消費国のGDPがどうなるかなどによって影響を受けます。

【その8】

つまり金融の世界で、私は業務の一環として、20年後の世界を予想しつつキャッシュフローを引くということをしてきたわけです。

であれば、こうした経験をベースに金融アナリストの立場から、「これから先」の世界を見通してみることができるのではないか・・・。

そしてそういった切り口に加えて、自らの失敗談なども交えながら、これからの時代のキャリアの積み方を語れば、20代~40代の方々にとって参考にして頂ける部分もあるのではないか・・・。

こう思って書き始めることにしました。

【その9】

4~5月 編集者との間で企画を煮詰めていく段階

6~7月 情報収集(とくに未来学)、どういった形で書物に落とし込むかの考察

7~10月 執筆

【その10】

こうして出来上がった本があと少しで発売になります(アマゾンで予約可能です;『こちら』)。

全体の構成(章立て)は以下のとおりです。

第1章 今から20年後の世界人口は87億人。一方でシビアな状況を迎える日本

第2章 勃興する成長産業に目をつけろ   

第3章 パイ(売上高と営業利益)が大きくなる企業の見抜き方   

第4章 なくなる職種、絶対なくならない職種、新たに求められる職種    

第5章 狩猟的職業選択のススメ、定住的職業選択のリスク     

第6章 バイリンガル的な語学力は必須 そのうえで差がつくスキルとは    

第7章 未来情報を織り込むマーケットと向き合い、胆力と察知力を身につける方法

第8章 年収1000万円超になっても、「激務」だけが残る働き方を目指すべきではない

第9章 「働きがい」を因数分解しながら、さらなる成長を目指せ    

第10章 苛烈な資本主義(レッド・オーシャン)に取り込まれない働き方が起業であるとの逆説  

【その11】

そう言えば、私のこのブログ、ニフティのサービスの一環として読者のプロファイリングが出てきます(といっても性別、年齢層などだけですが・・)。

ニフティがどうやって判断しているのか分かりませんが、読者層のうち男性95%、女性5%。

年齢層としては

10代:2%

20代:15%

30代:43%

40代:35%

50代以上:4%

つまりこのブログをご覧になっている層の方々にこそ、今回の本を手に取ってみて頂ければと思います(と言っても実際に書店に並ぶのは来週になりそうですが・・)。

 

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2014年11月16日 (日)

個人が売って、外人が買っている

日経平均が17,000円を超える水準を続けるようになって、胸をなでおろしている個人投資家も多いように思います。

私の周りにも、「昨年5月に高値掴みをして、ずっと含み損を抱えてきた」とか、「小泉政権の頃に買った株がずっと塩漬けになっていた」という人がいます。

こうした人たちにとっては、今回の相場上昇は「やっとのことで巡ってきたチャンス」なのでしょう。

最近の市場では個人投資家の売りが目立ちます。

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上図は東京証券取引所が発表しているデータ(『こちら』)をもとに作成したもの。

東証1部の株を誰が買って、誰が売っているかを、投資部門別の売買代金にして表したもの。

単位は億円。

青の棒は、10月27日~31日の週、エンジの棒は11月4日~7日の週のデータ。

左から「個人」、「法人」、「海外」、「自己勘定」です。

数字のゼロから下が売り越し額、上が買い越し額。

2週間続けてマーケットでは、「個人」が売り越し、「海外勢」が買い越していることが分かります。

東証のサイトからはこのようにいろいろなことが分かるのですが、もう少し簡単に概況を知りたいという人には、日経ヴェリタス紙の32頁が便利(日経ヴェリタスのデータはQuick調べ、2市場合計)。

これを見ると、例えば個人投資家と外人投資家の年ごとの売り越し、買い越し額は下記のとおり(▲が売り越し;単位:1000億円)。

     【個人】  【外人】

2014年 ▲24      2

2013年 ▲88     151

2012年 ▲19          28

ここへ来て「外人の買いが目立つ」と言っても、2014年の外人による買いは、2013年に比べると、大したことがないことが分かります。

上記「日経ヴェリタス」のデータには月別の数字も載っているのですが、外人は10月全体で見れば売り越していた(8月も売り越し)ことも分かります。

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2014年11月 9日 (日)

老人漂流社会 “老後破産”の現実

現在日本の高齢者(65歳以上)人口は推計3300万人。

全人口の26%に達します(総務省統計局「人口推計」平成26年10月20日;『こちら』)。

このうち独り暮らしの人が約600万人。

その半数、およそ300万人が、「生活保護水準以下の年金収入」しかないと言います(『こちら』)。

NHKではこうした人たちの状況を「老後破産」と呼び、その実情を9月28日のNHKスペシャルにて放映しました(『こちら』)。

番組は大きな反響を呼び、その後数週間にわたって週刊誌上では「老後破産」の記事が賑わいました。

* * * * *

番組で紹介された田代孝さん、83歳。

ビール会社に23年間正社員として勤め、40代半ばで独立、飲食店を経営してきました(店はその後上手くいかなくなり倒産)。

田代さんの年金は会社員時代の厚生年金もあるため合計10万円(国民年金だけだと満額でも6万4400円/月)。

東京・港区のアパートで暮らしています。

家賃6万円を払うと残りは4万円。

家賃の安いところに越そうにも「引っ越し代も捻出できない」と言います。

ついには電気代も払えなくなり、電気も止められてしまったとか・・・。

番組ではこうした高齢者の実情を何件か紹介した後、こう結んでいます。

「老後破産、けっして人ごとではない現実です」

* * * * *

さて、こうした「老後破産者」を救済するには、社会保障をいまよりも更に充実させればいいのでしょうが、ことは簡単ではありません。

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上図のとおり国の予算の32%は社会保障に充てられています。

国債費を除くベースでは、実に42%が社会保障費。

社会保障費は、下図(クリックするとかなり大きくなります)のとおり、過去24年間で約19兆円増加(平均すれば年7900億円の増加)。

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これから先、増加のペースを押さえていかないことには、国の財政(赤字)のつけを、将来世代に対して、いよいよもって「過大に回す」ことになってしまいます。

年金にしても、現在の年金制度は賦課方式。

つまり高齢者が現在受け取っている年金は、若い世代が払っている保険料でまかなわれています。

働く若い世代の人数が減り、高齢者が増えていっている現在の日本。

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上図(クリックするとかなり大きくなります)のような人口ピラミッド推移を考えますと、社会保障を充実させるにも、①財源がない、②これ以上の負担を若い世代に強いるのは難しい、という状況に行きつきます。

* * * * *

解決策の一つが、比較的豊かで恵まれている高齢者が受け取る年金に対する課税(「公的年金等控除」額)の見直しや医療費負担の見直し(平成26年4月1日以降に70歳に達する人は、70歳になった月の翌月以後の診療分から自己負担が2割となります)でしょう。

もちろんこれですべて解決するはずもなく、年金の支給開始年齢を諸外国並み(米および独;67歳へ段階的に引き上げ中、英;今後68歳へ)にするなど更なる施策も必要になるでしょう。

いずれにせよ他の先進国が経験したことのないような少子化・高齢化社会を迎える日本。

「若い人の活力を維持しつつ、老後の不安をなくすにはどうしたらいいか」

国民の英知を結集して、この問題に対処していくことが必要になります。

* * * * *

以上は総論であり制度論ですが、もう少し具体的に、「では、我々はどうするか」を考えてみましょう。

最低限できることは、我々国民の一人ひとりが「自分の生活は自分で守る」との意識を徹底させることです。

これから先、ますます難しい時代になります。

インフレが進むかもしれませんし、為替も予想以上に動く可能性があります。

どんな状況になっても「自分の生活くらいは自分で守る」意識が重要。

当然のことながら、高齢者になると、働いて稼ぐことがだんだんと難しくなっていきます。

予想外の支出があるかもしれません。

そういった想定外のシナリオもある程度視野に入れておく必要があります。

実際のところ、「なんとかなる」と思って、早めに退職したものの、「そうでもないらしい」ことが分かって、あわてて再就職先を探すことにした、といった人の話もよく耳にします。

さらに退職金を運用に回したところ、かなり減らしてしまったという人もいます。

高齢者になって、働いて稼ぐことが難しくなると、頼りになるのは「年金」と、これまで蓄えてきた「預金」、なかんずく「退職金」です。

とくに退職金については、これが銀行預金に振り込まれた途端に、銀行などから「投資信託にしませんか」といったアプローチを受けます。

見慣れない大きな数字が通帳に載ると、誰でも気が大きなったり、戸惑ったりしてしまうもの。

「失敗して、減らしてしまった」ということのないように、ある程度の知識を身につけておくことが必要でしょう。

なお最近、興銀時代の後輩で学界に転出した塚崎教授が『退職金貧乏』という本を書きました。退職金を守る、失敗しないための「運用術」が語られています。

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2014年11月 4日 (火)

追加緩和(その2)

本日は日経CNBCテレビ、日経ヴェリタストークに出演しました。

(1)追加緩和のタイミング

黒田総裁は28日(火曜日)に「前向きの循環メカニズムはしっかりと維持されて・・」と発言(『こちら』)。

その3日後の追加緩和発表だったことから、市場関係者には驚きの声が広がりました。

君子豹変、ということかもしれません。

(2)追加緩和の規模

長期国債の保有残高を年間で80兆円増やすというもので、規模についても予想以上に大きなものでした。

(3)展望レポート

以上から、市場関係者の間から「バズーカ砲」との声も聞かれましたが、「バズーカ砲」を打たざるをえないほど、戦況(日銀によるデフレとの戦い)が悪化しつつあった、というのも事実。

31日に発表された日銀展望レポートでは2014年度実質GDPの伸び率を+0.5%に下方修正(『こちら』

(4)本日のマーケット

以上、「バズーカ砲」は評価しつつも、「展望レポート」に謳われているように経済の実態はさほどは良くありません。

この両面をにらみつつ、本日のマーケットは大きく動きました。

出来高は5兆4000億円と大商い。

N225

日経225の1日の動きは上図のとおり。

一日の最初の10分間と後場の最初と最後に出来高が集中。

(5)追加緩和の評価

①追加緩和は、日銀が目標としている「デフレマインドの払拭」という点では効果あり。

これをやらなければ、円高、物価安という「かつて辿った道」に戻ってしまう可能性もあったかもしれません。

②マーケットの立場からすると、材料出尽くし感が見え始めてしまったといった側面も・・。

80兆の国債残高増は、(日銀が持っている国債が今後1年で30兆償還を迎えることを考えれば)日銀による110兆円の国債購入を意味します。

政府による1年間の国債市中発行予定額(平成26年度)が168兆円である(『こちら』)ことを勘案すれば、かなりの分の国債が日銀によって吸収されることになるわけで、「これ以上はもう無理」という水準に近づきつつあります。

いままではヘッジファンドなどは、「日銀による追加緩和」や「GPIFによる資産構成変化の実施」が怖くて、「日本株を売り込めなかった」といった側面がありました。

しかし、材料が全部出尽くしてしまう(日銀による更なる第3弾の追加緩和はかなり難しくなったし、GPIFの更なる資産構成変更も当面ない)と、日本株を売り込むことに対するヘッジファンド筋の恐怖感は剥落してしまうかもしれません。

(6)追加緩和の副作用

かなりのインパクトのある「バズーカ砲」だったので、薬で言えば劇薬。

長く飲み続けるものではなく、効いている間に構造改革、社会保障費削減などに取り組み、早く健康体に戻ることが重要。

(7)円安のマイナス面

原油価格が25%も下落(6月25日WTI102ドル→現在78ドル)。

たとえ円が10%下落しても、輸入原材料費のコスト増は、原油の下落で相殺される面も・・。

第一次小泉内閣時に1ドル=134円80銭(TTM;2002年1月25日)をつけたことを勘案すれば、最近のマスコミ論調は円安のマイナス面を強調し過ぎている面もあるかもしれません。

(8)その他

番組では米国の景気動向、利上げのタイミング、日本株と為替の見通しについても話しました。

再放送は11月6日(木) 21:15~です。

(9)パソコン・スマホで見れます

日経CNBCはケーブルだけでなく、パソコン・スマホでも見れます。

『こちら』から申し込む形になります(月額972円;最初の月は無料)。

10月31日の黒田総裁の記者会見(約1時間)なども今からでも見ることができて、意外と便利です。

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2014年11月 1日 (土)

追加緩和

2013年4月4日、黒田日銀総裁は「量的・質的金融緩和」の導入を発表(『こちら』)。

このときの記者会見では、

2% (物価目標)

2年 (達成期間)

2倍 (マネタリーベース)

2倍以上 (保有額・残存期間)

と、数字の「2」が並んだのが印象的でした。

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そして約1年半後の昨日。

プレゼンに使ったボードの色も前回と同じで、ブルーの背景色に赤のカギ括弧つき文字。

ただそこに並んだのは、

+30兆円 (長期国債残高増加額)

+3年 (平均残存期間の拡大期間)

3倍 (ETFなどの買入ベース)

と、数字の「3」が並んだのが目につきました。

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昨日の日本では日経平均は755円上げて、16,413円でクローズ。

米国ではもっと上げて、シカゴのCME日経平均先物(12月もの)は、17,025円で取引を終えています。

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  (CME;2日間のチャート)

来週月曜日(3日)は日本が祝日ですが、この日に海外で大きな動きがなければ、4日の日本市場では先物に近い形で現物市場も上げてくることが予想されます。

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