Money Never Sleeps 第8回
ほぼ月1回のペースで『日経ヴェリタス』に連載しているコラム「Money Never Sleeps」。
第8回(今週号の『日経ヴェリタス』)は、エクイティの力について書きました(以下、一部を抜粋)。
『クレディ・スイスが先月発表したグローバル・ウェルス・レポートによれば、世界には5,000万ドル(62億円)以上の個人資産を持つ人が123,838人いる。
このうち約半数の58,855人が米国にいるという。
アメリカンドリームとは煎じ詰めれば、スコットやビノッドのように巨万の富を得て、社会的にも発言力を増していくことなのかもしれない。
そしてその際に大きな力となるのが「エクイティ(株式)」である』
宜しかったらヴェリタス紙面でご覧になってみてください。
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ところで、話はヴェリタスの記事とはそれてしまいますが、上掲のクレディ・スイスのグローバル・ウェルス・レポートは、Databookだけで158頁もある大作です(『こちら』でダウンロードできます)。
毎年このレポートは興味深い分析を掲載していて、たとえば昨年版では主要国における所得格差の記事(『こちら』の33頁ほか)が話題を呼びました。
これによると、ロシアでは所得上位10%の人たちが持つ資産が、国民全体の資産の84.8%にも及んでいるといいます。
ロシアを筆頭に、トルコ、香港、インドネシア、フィリピン、タイ、アメリカ、インドといった合計15ヶ国で、所得上位10%の人たちが国民全体の7割以上の資産を握っています。
日本はどうかというと、所得上位10%の人が握っている資産は48.5%にとどまっているとのこと。
これはレポートの調査対象であった46ヶ国中、ベルギーに次いで2番目に低い水準。
今のところ、日本での経済格差(特に資産格差)は、世界基準よりは低く済んでいるということが分かります。
とは言っても、これで安心するわけにはいきません。
日本の場合は1人当たりGDP額が世界27位(『こちら』)。
1位(ルクセンブルグ)~4位(スイス)と比較すると半分以下の水準。
しかも1992年以降、過去23年間、あまり増えておらず(1992年、392万円→2015年、394万円)、ほぼ一定の水準にあります。
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次回、第9回の「Money Never Sleeps」は新年1月3日発売の『日経ヴェリタス』に掲載の予定です。
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