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2016年10月 2日 (日)

国債買入れ量の減額

1日の朝日新聞(『こちら』)によると、先月30日の市場調節で日銀は、満期10年を含む5年超10年以下の国債の買入れ量を減らしたとのこと。

日銀が買ってくれる量が減れば、市場では国債がだぶつき、価格は下落(金利は上昇)。

この結果、長期金利は一時、マイナス0.070%まで上昇し、前日終値より0.020%幅マイナス幅を縮めました(金利上昇;国債は値下がり)。

市場では「マイナス0.1%」が日銀の許容限度(それ以上のマイナスにはさせない)との見方が強く、今回の市場調節はそれを裏付けるものであったと見られています。

なお日銀が先月30日に発表した『当面の長期国債等の買入れの運営について』(『こちら』)。

これによると、10月初回の購入額は5年超10年以下の国債が4,100億円程度。

これは従来(『こちら』)に比して▲200億円、10年超25年以下が1,900億円程度(従来比▲100億円)。

このように10月の運用でも日銀は長めのものの国債買入れ額を減らしていくことを打ち出しています。

つまりこうしたオペレーションによって日銀は10年金利をゼロに引き上げようとしているのです。

一方で、1年以下の国債、1年超5年以下の国債については10月の初回買入れ量を従来同様にそれぞれ700億円、8,200億円としており、短めの国債については従来方針を維持。

この結果、日銀はイールドカーブが右肩上がりに立つことを期待しているわけです。

しかし、このオペレーションは5年以下の部分については従来同様の緩和、5年超の部分は緩和縮小ですので、トータルとしてみればテーパリング(緩和縮小)ということになってしまいます。

つまり長期金利(10年)をマイナス圏からゼロへと引き上げつつ、国債保有残高を従来同様の年約80兆円をめどに増加させるという、2つの相反する目標が達成できるのかどうか・・・。

これに対して日銀は「マネタリーベースの残高は、上記イールドカーブ・コントロールのもとで短期的には変動しうる」と述べており(『こちら』)、(緩和の)量を犠牲にしてでもイールドカーブ・コントロールを優先して行う旨を鮮明にしています。

ただ一方で(それだけでは市場で緩和縮小ととられてしまうので)マネタリーベースの残高については、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続することを約束。

2%超過型の約束であることから日銀はこれを“オーバーシュート型コミットメント”と呼んでいます。

そしてこうしたコミットメントによって市場にフォワード・ルッキングな期待形成がなされる(下図)ことを目指すとしているのです。

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    (上図は29日付の日経新聞第29面、『こちら』です)。

以上が今回の日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策なのですが、現実には長期金利の世界では、テーパリング、すなわち緩和の量の縮小(あるいは場合によっては引き締め)になりうるだけに、日銀の思惑通りに期待形成がなされるのかどうか・・・。

ところで下図は誰が日本国債を保有しているかの図で過去10年間のトレンドを示すものです。

このままの状態が続けばあと2年もすれば2つの曲線が交わると予想されています。

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当初短期決戦を予定していた日銀の金融緩和も今回の検証を経て、長期戦の様相を呈してきました。

しかし時間が経てば経つほど政策のオプション(選択肢)は限られてきてしまいます(例えば日銀が買える国債がだんだんとなくなってしまう)。

日銀に過度な期待はできません。

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