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2017年9月 5日 (火)

全固体電池

一昨日に続いて電池の話です。

もしも電気自動車の航続距離が現在の3倍、フル充電に要する時間もたったの数分、そんな夢の電池が開発されたら・・。

今から7~8年後。

2025年にもこうした電池を搭載した電気自動車が出現する可能性が出てきました。

夢の電池は一般に次世代電池と言われるもの。

幾つか候補があるのですが、実用化に向けて期待されている最右翼が全固体電池。

それがどういうものか。

現在のリチウムイオン2次電池からご説明した方が分かりやすいかもしれません。

実はリチウムイオン2次電池はわずか4つの部材から基本的には成り立っています。

正極材、負極材、電解液、セパレーター(絶縁材)です。

このうち電解液は、電気を通しやすいが揮発・引火も引き起こしやすいという特性を持っています。

そのことが原因かどうか、専門家ではないので詳しいことは分かりませんが、サムスンのスマホ爆発事故、全日空787バッテリー発火事故などが思い起こされます。

このため電解液を使わない全固体電池の開発については、以前から各方面で試みられていました。

以下は一昨日のブログで紹介したノーベル賞候補の1人と言われる吉野彰氏の発言です(週刊エコノミスト17年2月14日号)。

『2016年に東京工業大の菅野了次教授が、リチウムイオンの伝導率(イオンが移動するスピード)が液体の2.5倍という画期的な電解質を開発した。

この電解質を使うと出力は25倍になることが分かった。

これまで全固体電池は「電解液を固体にするので、液漏れがなくて安全だ。しかし、イオンが動きにくいので出力は低い」と言われていた。

しかし、菅野教授が開発した電解質を使って作ってみると、逆の結果となった』

菅野教授たちの研究グループはNature Energy 16年4月号に論文を発表(『こちら』で全文をご覧になれます)。

これを受け、Nature Japan は菅野教授および加藤祐樹博士(トヨタ自動車)にインタビューを実施。16年7月22日付のハフィントンポスト(日本)の記事となって掲載されています(『こちら』)。

さらに菅野教授たちは今年の7月10日、米国科学誌「Chemistry of Materials」に論文を掲載(『こちら』)。

これまでの固体電解質材料は、高価な元素であるゲルマニウム(Ge)を用いたり、塩素(Cl)などを用いた特異な組成に限られていて、電気化学的な不安定性も抱えていたのですが、新しく電解質として、スズ(Sn)やケイ素(Si)という元素を組み合わせて組成することに成功したことを発表しました(『こちら』)。

『30年以上、全固体電池の研究を続けてきた』と語る菅野教授。

お蔭で人類は夢の電池を手にするまであと少しのところまで来ました(実は全固体電池はセンサー用など超小型の分野ではすでに実用化されています)。

なお昨晩は日経CNBCテレビの『日経ヴェリタストーク』に出演しましたが、全固体電池にも話が及び、個人的にも楽しむことが出来ました。

ご関心のある方は『こちら』をご覧になってみてください(約13分間の動画です)。

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