« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »

2018年3月28日 (水)

相場の下落(3)

人類が経験した、リーマンショックを上回る「悲惨な相場」。

それは1929年の大恐慌のときです。

株価は、1929年9月3日につけた高値381.2ドルに比して、なんと、その9分の1にまで下落してしまいます(1932年7月8日、41.2ドル)。

そしてもとの水準(1929年9月3日の高値381.2ドル)にまで回復するのに、25年(!)もかかってしまったのでした(1954年11月23日、382.7ドル)。

この間、人類は第2次世界大戦を経験。

そして戦後の復興の時期を迎えても株価はすぐにはもとの水準に戻らなかったのです。

大恐慌とリーマンショックの違いを表にまとめてみました。

Photo_2

これを見ると大恐慌が如何にひどかったがお分かりいただけるかと思います。

仮に大恐慌と同じことが起こると仮定すると、30歳のあなたが行った株式投資は33歳まで下落を続け、その後、元の水準に戻るのは55歳の時。

サラリーマン人生の大半を、含み損を抱えたまま過ごすことになってしまいます。

定年退職で65歳の時に退職金をもらい、株に投資した人は、90歳になるまで含み損を抱えたままです。

80代で死んでいれば、後悔のまま死ぬことになります。

大恐慌のときの相場展開をグラフ化してみました(下記)。

1929119551_3

大恐慌が起きたのは1929年の10月24日。

「暗黒の木曜日」と呼ばれています。

このときニューヨーク株式市場は大暴落となり、絶望のあまり自殺する人も現れました。

しかしながらこの日、午前中には株式市場は確かに11%の下落となったのですが、午後になると相場は急回復します。

結局のところ1日を通じて2%しか株式相場は下落しませんでした。

2%というのは今日われわれが、ほぼ日常的に、と言っていいほど、頻繁に経験する株価変動です(昨日のニューヨーク;ダウ▲1.43%、ナスダック▲2.93%の下落)。

大恐慌のときは、結局、株価がボトムに達するのは、1932年7月8日(41.2ドル)。

つまり3年近くかかって下落していった結果、株価は9分の1になったのでした。

この辺のことは拙著「金融資産崩壊」に書きましたので、ご興味のある方はご覧になってみてください。

株式投資をする以上は大恐慌のことを知っておく必要があると思います。

ところで、大恐慌のようなとき、いったいどうしたら良いのでしょうか。

相場が上述のような動きを示すと予め分かっていれば、リーマンショックのときに2兆円を稼いだジョン・ポールソンのように「ぼろ儲け」することができます。

しかしこういった動きになるとは、誰にも分かりません。

このような時にも有効な投資法とは・・・。

次回ご説明します。

| | コメント (0)

2018年3月25日 (日)

相場の下落(2)

ダウ平均株価は1週間で1,413ドル下落。

昨日の日経新聞の夕刊によると、1週間でここまでの下落は、リーマンショック以来なのだとか・・・。

ところで、リーマンショックのときの株価の下落とは、どのようなものだったのでしょう。

リーマンショックの約1年前、2007年10月9日に、ダウ平均株価はそれまでの史上最高値14,163ドルを記録します。

その後、ダウは下落を続け、2009年3月9日、6,547ドルになります。

それまでのピークの46%の水準です。

この時点をボトムとして、その後は、ダウは上昇基調に転じます。

そしてリーマンショック前の高値を更新し、再び史上最高値を達成したのは、2013年3月5日(ダウ:14,253ドル)。

つまり5年半かけてリーマンショック前の高値を更新したことになります。

もし今回リーマンショック時と同じことが起きるとすると、いったいどういうことになるのでしょうか。

これまでの最高値は1月26日の26,616.71ドル。

この46%というと、12,243.69ドル。

現在の23,533.20ドルよりも、これから更に52%も下落するということです・・・(参考までに、現在はピーク時の12%安です)。

如何に10年前のリーマンショックがひどかったが分かります。

新聞の見出しは人目を引くのが重要ですから、「リーマンショック以来」といった表現になりがちです(しかも、これは下落率でみると正しくはありませんが、絶対額として見れば事実です)。

しかし、たとえ米国と中国の貿易戦争が本格化したり、泥沼化したりしても、私は今回の下落はリーマンショックのようには「なりえない」と思います(米朝戦争勃発なら話は別ですが・・・)。

いずれにせよ、リーマンショック時にはそれまでの高値を更新して元の水準に戻るのに5年半もかかりました。

たとえば65歳で退職金が2000万円出て、これで2007年10月9日に株を買った人のことを想像してみましょう。

この人の2000万円の投資元本は2年後920万円になってしまい(為替の影響を捨象しての議論)、5~6年間、含み損を抱えたまま嫌な老後をおくることになります。

やっとのことで投下資金が元の2000万円に戻ったときには、この人は70歳とか71歳になっていたという話です。

こういったことが起こり得るからこそ、一気に全額投資するという投資手法については、私としてはあまりお勧めできません。

実は相場の歴史では、これ以上に、もっとヒドイことも過去には起きているのです。

次回、お話しします。

| | コメント (0)

2018年3月24日 (土)

相場の下落(1)

一週間の相場の動きをチャートで見るとはっきりとわかります。

Frb_2

ニューヨーク時間『3月21日、午後2時ジャスト』が、下落の始まりでした。

上図は、ダウ平均株価の今週1週間のチャート。

この図で「Wed, Mar21, 2:00PM」と記されたポイントが、この時です。

この時を境に株価が下落を始めたのです。

何が起きたのでしょうか。

FRBがFOMC Statement を発表したのが、3月21日、午後2時ジャスト(『こちら』)です。

Statement で発表されたのは、政策金利の引き上げ。

実は、これは市場が予想していた通りでした(その意味では下落には繋がりません)。

しかし・・・

ポイントは2019年以降の見通し。

パウエル議長の記者会見は『こちら』ですが、これを聞いて、2019年は従来予想よりも利上げ回数が増えるのではないか―。

こう感じる人が多くなりました。

今週後半にはこれだけではなく相場を下落に導くニュースが相次ぎました。

  • 米中貿易戦争の様相を呈してきたこと
  • フェイスブックによる情報流出

といったメジャーなものから、

  • アマゾンが買収したWhole Foods の幹部たちが会社を退社している(『こちら』

といった内容のものまで・・。

ところで、相場の下落に際して、我々はどうすればいいのでしょうか。

絶好の買い場と見ればいいのでしょうか。

しかし、ウォール街に伝わる格言に

『落ちてくるナイフはつかむな』

というものもあります。

これから2~3回かけて、相場の下落に関連する記事を書いていきたいと思います。

| | コメント (0)

2018年3月17日 (土)

ビル・ゲイツ:『これらのスキルが将来もっとも有望だ』

ニューヨークのハンターカレッジで行われたパネル・ディスカッション。

出席者は左からリン=マニュエル・ミランダ、メリンダ・ゲイツ、ビル・ゲイツ。

Cnbc

(写真の出所:CNBC MAKE IT;『here』

ビル・ゲイツいわく

『①科学、②プログラミング、③生物学、④画期的なエネルギー源に関する分野が将来もっとも有望だ。

医療コストが爆発的に増大していて、これに対する唯一の解決策はイノベーションだ』

『こちら』で1分9秒の動画をご覧になれます。

| | コメント (0)

2018年3月14日 (水)

「おもてなし」4000万人

今週月曜日夜、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

『こちら』でその録画をご覧になれます。

| | コメント (0)

2018年3月13日 (火)

日本と韓国、どっちが好き?

Quora のサイトに載った『日本と韓国、どっちが好き?』という質問。

ロンドンとパリ、どっちが好き?

とか、

ドイツとフランス、住むならどちら?

と同じような、たわいもない話で、目くじらを立てて語るような話ではありません。

オーストラリア出身のIainさん。

韓国に2年半住み、日本には14年も住んでいるけど、日本の方が好き。

その理由が:

「日本の方がサーファーのコミュニティが出来ている」(へー、そうなんだ!)

バーバラさんの答えは:

It’s six of one, half dozen of the other.

というもの。

五十歩百歩、大差ないという意味の英語なんですが、

1が6個なのと、1ダース(12)の半分は、ともに6。

面白い表現ですね。

全部で12人の人が答えを寄せています。

ちょっと想像もしなかったような答えが出てくるので、読んでいて、結構興味深かったです。

こちら』です。

| | コメント (0)

2018年3月12日 (月)

candid opinion (率直な意見)

観光庁の資料(『こちら』)を読んでみました。

これによると、

『我が国において、いわゆる五つ星ホテルのような高級なホテルは、海外諸国と比較する と数が少ない』(上記資料7頁)

として、政府として、「これを何とか改善したい」、そして「欧米からの観光客を増やしたい」との立場であることが読み取れます。

欧米からの富裕層があまり来ないから五つ星ホテルが少ないのか、

あるいは逆に

五つ星ホテルが少ないから欧米からの富裕層があまり日本にやって来ないのか―

この辺はニワトリが先か、卵が先か、のような議論です。

昨日も書きましたが、欧米の富裕層が期待する『おもてなし』は、我々が考える『おもてなし』と、時として、微妙なズレがある・・・。

これはTripAdviserの米国版サイトやQuoraなどを見ていると気づかされます。

例えば、以下は、Quoraのサイトから(航空会社のファーストクラスに関するものです):

『Service in first class is generally more attentive, but can also get annoying in some airlines - particularly JAL and Singapore - when attendants, in order to be polite,  become almost obsequious.』(『こちら』)。

一所懸命やっているつもりでも、obsequious (こびへつらう)と思われてしまうのであれば、ちょっと悲しい・・そう思われないようにしたいものです。

日本の五つ星高級ホテルのルームサービスでオレンジジュースを頼んだら、

「絞りたてのジュースではなかった」

との指摘も(以下は、TripAdviserの米国版サイト;『こちら』の頁の最下部まで進んで、国の表記を日本から米国に変えると出てきます)・・・。

『Regarding the room service the Orange juice not fresh squeezed. Coffee stale and pancakes rubber. Both arrived cold. Yuk!』

もちろん両者のサイトとも、ポジティブな評価の方が多いのですが・・

いずれにせよ、観光庁、ホテル、エアラインの方々はこうしたサイトに投稿される『candid opinion(率直な意見)』に目を通されることをお勧めします。

| | コメント (0)

2018年3月11日 (日)

インバウンド

インバウンド関連の本を立て続けに3冊ほど読みました。

この中ではアトキンソンさんの本がいちばん面白かったです。

私は2年半ほど前のブログで、彼の書いた「新・観光立国論」を紹介したことがあります(『こちら』)。

今度の本はその続編との位置づけ。

日本を訪れる外国人の数は2869万人(17年)。

順調に増加してきていますが、下記の通り、

Visitors_2

世界で16位。

アジアでも6位。

訪日客が落とすお金、すなわち国際観光収入は、250億ドル(15年)で、タイ(446億ドル)の56%、中国(1141ドル)の22%。

これは一つには訪日客の85%がアジアからで、結果、滞在期間が短いことが影響しています。

また富裕層へのアプローチも必ずしもうまくいっておらず、Five Star Alliance の5つ星ホテルの数は、日本全体で29。

一方、タイは110もの5つ星ホテルを擁しています。

ということで、アトキンソンさんのこの本には前作に続き観光立国になるためのヒントが満載。

これは要するにそれだけ伸びしろがあるということだと思います。

私の個人的感想は、(アトキンソンさんの本にも出てきますが)、日本のおもてなしは外国人に通用しにくいケースも多いということ。

たとえば日本の航空会社による過剰とも思える接客。

先日ネットで、『ファーストクラスに乗ったところ、誕生日を祝ってもらえなくて嘆いた男性の話』が載っていました(『こちら』)が、ファーストクラスに乗るからこそ、出来るだけ静かに放っておいて欲しいという人も多いと思います。

| | コメント (0)

2018年3月 8日 (木)

宇宙で創る通貨

少し前の記事ですが、

ビットコインの本質は「信用を必要としない」(trustless)というところにあります。

Bitcoin is trustless because the system was designed so that nobody has to trust anybody else in order for the system to function.

(原文は『こちら』から)。

その結果、国家という枠組みを超えた存在になっているのですが、

一方で、世界のマイニング(㊟追記作業のために膨大な計算処理をし、結果としてビットコインでの報酬が支払われる;ビットコインの新規発行)の8割は、

電気代の安い中国で行われているという数字もあります(『こちら』)。

つまり国家を超えたと言いつつも、実際には中国という国の政策などに影響されてしまう?

そんな質問をビットコインに詳しいAさんにぶつけたところ、

「だからこそ宇宙空間でマイニングという話が出ています」。

なるほど宇宙空間なら電気代がかからない。

昨年のフォーブスに『こんな記事』を見つけました。

『こちら』の記事も(ビットコインからはそれますが)興味深いです。

| | コメント (0)

2018年3月 7日 (水)

アマゾン・チェッキング(当座預金)

一昨日、「アマゾンが銀行に近い領域にも進出」と書きましたが、次のようなニュースがいま飛び込んできました。

ウォールストリート・ジャーナルによると、アマゾンはJP Morganと組んで、「個人へ当座預金口座を提供する」(launching Amazon-branded checking accounts)業務に進出するかもしれないとのこと(『こちら』)。

クレジットカードが持てないような人にも気軽にアマゾンでの買い物を楽しんでもらおうというのが、アマゾンの狙いのようなのですが・・・。

アマゾンは、「Amazon Lending」と呼ばれる小規模、短期の融資サービスを、Amazonマーケットプレイスに参加している法人販売事業者を対象に提供していますが、この融資の実行額は昨年の夏の段階で、12か月間で10億ドル(1050億円)を超えたのだとか・・・(『こちら』)。

だんだんと銀行の領域に入ってきています。

| | コメント (0)

2018年3月 6日 (火)

試行錯誤

『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』を読むと、アマゾンはいろいろなことを試しながら、ときには失敗もして、大きくなってきたことが分かります。

今ではアマゾン最大の収益の柱となったクラウド・サービス(AWS)。

本からは、AWSもこうした試行錯誤の過程を経て、巨大な事業へと育っていったことが窺われます。

* * * *

本には書かれてありませんが、例えば、旅行代理店事業のケースを見てみましょう。

2001年、アマゾンは オンライン旅行代理店業務(OTA;Online Travel Agent)のExpedia とチームを組み、さらに 2006年には同じくOTA(Online Travel Agent)のSidestepとアライアンスを締結。

ちなみにこの2つの提携はいずれも上手く行きませんでした。

そこで、2015年4月。

アマゾンは単独でOTA(Online Travel Agent)事業に進出すべく、「Amazon Destinations」を設立。

旅行代理店としての一歩を踏み出します。

しかし半年後の10月には、この事業から撤退してしまいました(『こちら』)。

Expedia などの OTA 専業相手に、勝ち抜いていくだけの力が備わっていなかったのかもしれません。

まぁ、これは恐らくは上手く行かなかった方の事例なのでしょうが、いずれにしてもアマゾンは trial and error を繰り返し、失敗の経験さえも次の事業展開の際に活かして成長してきたのです。

* * * *

さて、現在アマゾンは日本で貸金業登録をしていて、「Amazon Lending」と呼ばれる小規模、短期の融資サービスを、Amazonマーケットプレイスに参加している法人販売事業者を対象に提供しています(『こちら』)。

アマゾンは、このように今では銀行に近い領域にも進出し、さらにはこれから先、「アマゾンは保険の分野にも関心を持っているのではないか」、と考える人も出てきています(『こちら』)。

* * * *

書店から始まり、ついには高級車のBMWさえも売るようになったアマゾン(『こちら』)。

これからも成功・失敗の試行錯誤を繰り返しながら、

本 → モノ → サービス

と事業領域を拡大していくものと思われます。

| | コメント (0)

2018年3月 5日 (月)

2018アカデミー賞は、シェイプ・オブ・ウォーター

Best Picture: The Shape of Water

Best Actress: Frances McDormand

Best Actor: Gary Oldman

Best Director: Guillermo Del Toro

Best Supporting Actress: Allison Janney

Best Supporting Actor: Sam Rockwell

| | コメント (0)

2018年3月 3日 (土)

鉄は国家なり

『鉄は国家なり』。

これは、かつてNHKが放送していた「その時歴史が動いた」の第278回のタイトル。

2007年のことです。

さて・・・

『一国に製鉄業がなければ、それはもはや国じゃない』(原文は:IF YOU DON’T HAVE STEEL, YOU DON’T HAVE A COUNTRY!)

こう昨日ツイートしたのは、米国のドナルド・トランプ大統領。

『こちら』が、そのツイートです。

その結果、何が起きたのかというと、アメリカの株、とくに自動車株が下がりました。

2週間ほど前ですが、2月16日。

このときに

『ウィルバー・ロス商務長官が鉄とアルミに関税を課すことを提案する』

との話が伝わると、株式取引時間中にGMやフォードの株が下落を開始しました(下図)。

Ford_gm_2

(グラフの出所はブルームバーグ、『こちら』の記事)

結局、この時から昨日までに、株価は次のように下がりました。

GM  42.2→37.4 (▲8.90%)

Ford 10.8→10.4 (▲0.96%)

Fiat Chrysler 22.6→20.0 (▲0.88%)

(注:GMの下げがきついのはバフェットやヘッジファンドのデイビッド・アインホーンが売却しているとのニュースもこの間に伝わったため)

関税によって米国に入ってくる鉄やアルミの価格が高くなれば、自動車製造コストの上昇に繋がります。

関税によって守られる業界と、逆に厳しいことになる業界・・・。

米国の経済界や働く人々の反応は割れていますが、ネガティブな意見の人の方が多いようです。

『米国の鉄鋼業界などに勤めるのは20万人の人たち。

対して自動車業界など負の影響を受けるのは、650万人の労働者たち。

米国の労働者にとって決してプラスになる政策ではない』

といった反応とか、(上記の数字とは違いますが)

『マイナスの影響を受けることになる鉄を「消費する」業界に勤める人たちの数は、鉄を「供給する」側の人たちの16倍もいる』

といった反応です。

選挙のときに投票することになる有権者の数が重要なのか、それとも、鉄は国家なりとのビスマルク時代からの価値観が優先するのか・・・

トランプの昨日のツイート、 

IF YOU DON’T HAVE STEEL, YOU DON’T HAVE A COUNTRY!

に続くのは、いったいどんなツイートなのでしょうか。

| | コメント (0)

« 2018年2月 | トップページ | 2018年4月 »