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2018年11月25日 (日)

日産・ルノーの今後

【1】 ルノーは日産の43.7%の株式(議決権)を持っています(今年9月30日現在、日産有価証券報告書)。

しかしこの他にもルノーに親密的な日産の株主がいるかもしれません。

ちなみに日産の外国人持ち株比率は、62.8%(会社四季報ONLINE 2018/11/22)。

日産もルノーの株式を15%保有していますが、ルノーが日産の大株主であるため、(日産が持つルノー株式に対しては)議決権が与えられていません。

つまり現状はルノーの日産に対する影響力の方が、日産のルノーに対する影響力よりも、かなり強いものとなっています。

【2】 しかし、ここで日産にとっては一つの大きな打開策があります。

日産がさらにルノー株を10%買い増す。

これです。

すると、どうなるでしょう。

今度はルノーの持つ日産株(全体の43.7%)の議決権が停止してしまいます(日本の会社法第308条第1項および会社法施行規則第67条;なお『こちら』に分かりやすい解説があります)。

つまり日産がルノー株を10%買い増して、25%株主になると、

日産の持つルノー株25%も、

ルノーの持つ日産株43.7%も、

どちらも議決権が行使できない株式となってしまうのです。

【3】 しかも2015年12月、日産はルノー、仏政府との間で経営の自主性を維持することで合意しています。

それ以前は、日産はルノーの取締役会の事前承認なしにルノー株の売買をすることが認められていませんでした。

しかし2015年12月の合意を機に、日産としてはルノーから不当な干渉を受けたと判断した場合、ルノーへの出資比率を引き上げることが可能になりました。

【4】 さて、以上を踏まえて、これから先、日産・ルノーの覇権争いはどうなっていくのでしょう。

ルノーとしては日産がルノー株をプラス10%持つことだけは、なんとしても避けたい(でないと自分がいま持つ日産株43.7%の議決権がなくなってしまう)。

一方、日産としては、ルノーが株主権を行使して取締役会をコントロールしてしまうことは、どうしても避けたい。

両社とも水面下では投資銀行やM&A専門の弁護士のアドバイスを得ながら対応策を練っているものと思われます(もっとも日産の方は、少なくとも数ヶ月前から先行して本件の検討をじっくり重ねてから、本事案を検察に持ち込んだと思われます。これに対して、ルノーとしては、現在のところ慌てて対応策を練り始めたというところでしょうか)。

【5】 なおロイター通信は22日、ルノー側が日産自動車の取締役会に追加の取締役を指名する意思を示したと報じています(『こちら』)。

ちなみにカルロス・ゴーンとグレッグ・ケリーは会長職や代表権を解かれただけであり、引き続き取締役です。ロイターの報道が正しければ、ルノーとしては純粋に『プラス・ワン』の取締役ポスト増員を求めてきたということになります。

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