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2019年4月15日 (月)

ゼロヒャク

数年前のこと。

車を運転していて、右側のビルの中に入って駐車しようと思い、右折のシグナルを出して一旦停止した。

そこへ対向車線を向こうからタクシーがやってきて、あっという間にタクシーの後ろの右側ドアが私の車の先端に当たった。

なんとこのタクシーは左右両サイドから客を乗せた後、右側のドアは閉めずに開けたまま走行してきたのだ。

開いたままの右側ドアは車線をはみ出して、運悪く私の車の右側ヘッドライトを直撃したのである。

「ゼロヒャクですから」

タクシーの運転手はこう言って詫びてきた。

このとき初めて「ゼロヒャク」の意味を知った。

これは保険でいう過失割合(0:100)のことを指す言葉で、私は停止していたので過失割合はゼロ。

タクシー会社の保険ですべてカバーしてくれるので「心配しなくてよい」とのことだった。

そうは言っても警察を呼んで調書を作ってもらたっりしたので、実際には結構手間暇がかかった。

ただその時に知った「ゼロヒャク」という言葉は、結構良い言葉だと思った。

というのも、現実の社会ではすっきりと「ゼロヒャク」と認定されないことが多いからだ。

その昔、日本の銀行で働いていた時。

元本を返さず利息も払わないでいることを当然だと思っている会社(債務者)があった。

返してもらおうと強く対応すると、難癖をいろいろとつけてくる。

銀行の上司や役員のところに行って、有ること無いこと、担当する銀行員の悪口を言って回ったりするのだ。

どんなに悪口を言われようと、銀行が組織として「ゼロヒャク」をきちんと認定してくれるのであれば、現場の行員は安心して回収に専念できる。

しかし「あそこまで取引先を追い詰めたのは担当の銀行員の方にも少しは問題があったのではないか」とばかり、

「10:90」とか「20:80」くらいに判断されてしまうとなると、

現場の行員はやってられない。

最悪、「回収の手を緩めた方が得だ」といった間違った判断をしてしまう。

* * * * *

「和を以て貴しとなす」国に生きる我々は、往々にして「足して2で割る」とか「喧嘩両成敗」的な発想に立ってしまうことがある。

「ゼロヒャク」ではなくて、「10:90」とか「20:80」くらいに判断してしまうのだ。

しかしそれでは(大げさな言葉でいえば)社会正義が実現できないことが多い。

言うべきことは言う。

守るべきは守る。

その結果、相手が理不尽な対応をしてきたり牙をむいてきたときには、

組織としては正しい行動をした人を守るべきなのだ。

組織の上に立つ人は、安易に「足して2で割る」とか「喧嘩両成敗」的な発想に立つことを慎むべきだと思う。

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