死者ゼロのベトナム
昨日のグラフからベトナムが抜け落ちていました。
実はベトナムの新型コロナウイルス関連死者数はゼロなのです。
感染者は328人が確認されています(ジョンズ・ホプキンズ大学)。
人口1億人弱(正確には97百万人)のベトナムでなぜ死者ゼロをキープできているのか。
海外メディアでも注目されていて、下記のワールド・エコノミック・フォーラム(毎年ダボスで会議を開催)の記事(『こちら』)によると、
大きな理由として2つ挙げられています。
(1)迅速な検査(rapid testing)
(2)積極的なコンタクト・トレーシング(aggressive contact tracing)
そもそもアジア、オセアニアに新型コロナウイルス関連死者数が他地域に比して少ない理由として、
イェール大学のAkiko Iwasaki教授とNathan Grubaugh助教授の論文(これは日本が少ない理由を考察したもの)を昨日紹介しました(『こちら』)が、
そのうちの第2~第4の要因のエッセンスを以下に和訳すると:
(2)すでに新型コロナウイルスの弱い形のものに晒されていた可能性(were exposed to a milder version of SARS‐CoV‐2 that conferred herd immunity)
(注)これは東大の児玉龍彦教授の考えに共通するもの(教授のYouTube(『こちら』)を参照。なおYouTubeの画面の一部を下記にスクリーンショットします)。
(3)原因ウイルスがヒト細胞に侵入する際に結合すると考えられるヒト細胞側のタンパク質「ACE2」の気道における発現が何らかの理由で低く、結果としてウイルスに対する感受性を減らしていた可能性(have reduced susceptibility due to ACE2 receptor expression)
(4)新型コロナウイルスに対して免疫耐性を与える明確なヒト白血球型抗原を有していた可能性(have distinct HLA that confers immune resistance to CoV2)
* * *
いずれにせよ、すべてが仮説であり、今後の研究を待たなければなりません。