エコエティカ(Eco-ethica, 生圏倫理学)
きょうは本来ならばオリンピックの開会式が催されていたはずでした。
残念なことに新型コロナウイルスは収束の気配を見せていません。
ただヨーロッパ諸国の新規感染者数(1日あたり)は、ドイツ569名、イタリア280名、英国560名といった具合に、日本を下回るようになってきています(『こちら』)。
またニューヨーク市が「ようやく死者ゼロの日を迎えた」といったニュース(『こちら』)も報じられ始めています。
さて、本日は、多摩大学の紺野先生にお招き頂き、エコシスラボ「構想力の倫理」研究会(第5回)に参加しました。
ちなみに2月に開催された第3回のテーマは、 伊東俊太郎先生による『創造の論理はあるか』。
この時の講義内容についてはかなり詳しくこのブログに記しましたので、ご関心のある方は『こちら』をご参照ください。
第5回にあたる今回のテーマは、橋本典子先生による『エコエティカ』。
エコエティカ(Eco-ethica)とは、哲学者『今道友信(1922-2012)』によって唱えられた概念です。
『生圏倫理学』と訳されるもので、FISP(国際哲学連合)において、哲学の最重要課題の一つとして採択されています。
「人類の生息圏の規模で考える倫理」ということで、
科学技術の連関から成る社会という新しい環境の中で、
人間の直面するさまざまな新しい問題を含めて、
人間の生き方を考え直そうとするものです。
1981年に第1回「エコエティカ国際シンポジム」が開催され、以来、毎年1回、エコエティカの国際シンポジウムが開催されてきています。
いま何故エコエティカの考えが注目されているのでしょうか。
橋本先生の話を聞きながら、私が感じたことを一つ、二つ。
(1)混迷の時代だからこそ思想の原点とも言うべき哲学に立ち返る必要がある
投資家ジョージ・ソロスは哲学者としても有名です。
ロシアの著名なファンド・マネージャー、グレブ・シェスタコフもオックスフォード大学哲学科博士課程の出身。
話はそれますが下の写真はシェスタコフを訪ねて5年前キプロスを訪問した時の写真(『こちら』)。左側がシェスタコフです。
ソロスにせよ、シェスタコフにせよ、ロディッティにせよ、
金融の世界の成功者に共通しているのは、考えが深いということ。
自分自身の思索を深めるうえでも、哲学を学ぶというスタンスは重要だと思います。
実践の学問、ハウ・ツーものだけでは、欧米(とくにヨーロッパ)の知識人たちと接していると限界を感じるかもしれません。
(2)エコエティカの根底にあるのは、実践に繋がる哲学、未来志向の哲学である
橋本先生が話されていたエピソードですが、
1945年5月22日、東京大学哲学科の学生であった今道友信は西田幾多郎を鎌倉姥ケ谷の自宅に訪ねます。
西田幾多郎が逝去する16日前でした。
このとき西田幾多郎は今道友信にこう言い残します。
「君は予言的哲学者になりなさい」。
今道友信は生前の西田幾多郎に会った最後の学生となりました。
そして西田の言葉に導かれるが如く、今道は予言的哲学者を目指します。
今道は生前
「私が常に未来に向けて考えるのはこの影響でしょうか」
と語っていたとのことです。
アリストテレス、プラトン、デカルトなど過去の哲人を学ぶのはもちろん重要ですが、
いまの時代であるからこそ、実践に繋がる哲学、未来志向の哲学が求められるのだと思います。
なおエコエティカについてもう少し学びたいという方には、今道友信の『こちら』の本がお勧めです。
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