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2020年8月 1日 (土)

アップル株4分割

アップル株の4分割。

8月24日を基準日として、8月31日に実施されます。

基準日前の段階でアップル株を1株持っていた人は、分割後4株を持つことになります。

一方、株価の方も4分の1になることが予想されることから、経済的効果は変わりません。

では、なぜ株式分割をするのでしょうか。

会社側の説明は、「もっと広い範囲の投資家層に株式を持ってもらえるようにするため」( to make the stock more accessible to a broader base of investors )というものです(『こちら』)。

そうは言っても、分割前で1株425ドル(昨日の終値)。

米国株は1株から買えますので、4万5000円ほどで買えて、誰でもアップルの株主になれます。

グーグル(1,487ドル)やアマゾン(3,164ドル)に比べても現状の株価は安いのに、「なぜ?」と思われる方もいるかもしれません。

本当の理由は(私の推測ですが)、アップルがダウ平均株価の構成銘柄であるため。

ちなみにグーグルやアマゾンはダウ平均株価の構成銘柄ではありません。

なぜアップルがダウ平均銘柄だと株式分割が必要となるのか、もう少し詳しくご説明しましょう。

まずダウ平均株価の構成銘柄ですが、これは30銘柄しかありません。

主なところを挙げると、アメリカン・エキスプレス、ボーイング、P&G、コカ・コーラなど。

その中で、アップルの株価は最も高くなっています。

同じダウ平均株価の構成銘柄であっても、例えばファイザーの株価は38ドル(昨日の終値)。

これはいったい何を意味するのでしょうか。

たとえば、ファイザーの業績が良くなり、株価が10%上がっても、3.8ドル上昇するだけです。

ところがアップルの業績が良くなった結果、仮に株価が同じく10%上がったとすると、株価は42.5ドルも上がることになります。

そして、ここで問題となってくるのが、ダウ平均株価算出の為の計算式。

ダウ平均株価は、30銘柄の株価の合計値をある除数(divisor)で除した(割った)数式で計算されます。

すなわち:

ダウ平均株価=30銘柄の株価合計÷「除数」 

(注)この除数は現在のところ約 0.146となっている(『こちら』)。

つまりダウ平均株価を決定づけるのは、30銘柄の単純な合計値に他なりません(単純合計値を単に一定の除数で割るだけなので)。

その為、アップルのような高株価銘柄は、ダウ平均株価に与える影響度が、他銘柄に比べて大きくなってしまいます(同じ1%の上昇でもダウ平均へのインパクトが全然違ってくる)。

こうした、ある種の「不都合」を是正するためには、30社の株価を出来るだけ近づける(少なくとも、ある一定のレンジ内に収める)必要が出てきます。

そういった目的もあって今回アップルは株式分割を決定するに至ったものと考えられます。

ダウ平均株価指数の特殊性(=単純平均がベース)に起因すると言ってもいい株式分割。

実はこうした性格の株式分割は、これまでにも何度か行われてきています。

そもそもアップルがダウ平均株価の仲間入りする時にも、当時のアップルの高株価が問題とされました。

2014年6月初めの段階でアップルの株価は600ドルを超えていたのです。

当時、アップルはダウ平均銘柄ではありませんでしたが、600ドルを超えるような水準では、そもそもダウ平均入りは難しいと考えられていました。

そこで同年6月9日、アップルは7分割を実施。

株価は7分の1(90ドル台)になりました(それ以前のアップル株所有者は所有株数が7倍に増加しました)。

こうして株価をある一定のレンジに落としたうえで、翌年3月、アップルはダウ平均銘柄に採用されるに至ったのです。

それから僅か5年です。

アップルはダウ平均株価採用後も株価を上げ続け、またしてもダウ平均銘柄としては、株価が高くなり過ぎてしまいました。

そのために今回また株式分割が実施されることになった訳です。

ところで、先ほど出てきたダウ平均株価を算出するための除数。

これはいったい何でしょうか。

除数は、ダウ平均株価の銘柄入れ替えや株式分割などがあるたびに、指数としての連続性を保つための調整弁として使われます。

たとえば、銘柄入れ替えの場合は、入れ替える銘柄間の株価差によって指数(株価合計がベース)が上がったり下がったりするので、その変化率に合わせて除数を上げ下げして、指数の連続性を保つようにします。

また今回のアップルのように採用銘柄が株式分割を行う場合には、分割後の株価が下がるため、それに合わせて除数を変化させます。

つまり算式的には次のような関係になります。

Djia

ここでPは採用銘柄の株価、dは除数。Σは30銘柄の株価の合計値。

銘柄入れ替え前や株式分割前は old で示し、入れ替え後や分割後は new で示しています。

これだけでは除数がどう変化するのか分かりにくいという方は、『こちら』の記事をどうぞ。

少し前の記事ですが、この辺を丁寧に説明してくれています。

いずれにせよ2013年6月の時点でアップルの株価は400ドルでした。

それが7分割された後、現在また同じ400ドルになってきた訳です。

つまり7年間で株価は7倍になったことになります(アップル株所有者は7倍の株数を持つようになったため)。

こうした環境下で今月末に実施される4分割。

これから先の数年後にかけて、いったいどんなストーリーとなって展開していくのでしょうか。

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