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2020年9月14日 (月)

バブルの足音

日本がバブルだった1988~90年の頃、私は日本興業銀行にいた。

取引先との接待は2次会、3次会になることも多く、都心ではタクシーがなかなか捕まらない。

やっとのことで空車を見つけて、行き先(比較的近い場所)を告げると、運転手さんの殺気を感じた。

「この時間帯、若い女性は絶対に乗せないんだよ。夜の店で働く女性に当たってしまうことが多く、彼女たちは近くに住んでいるからな」。

「お客さんを見たとき、こいつは千葉、もしくは横浜に違いないと思って乗せたんだが、何だってんだよー」。

「これじゃあ今晩は台無しだ」。

企業はワラント債などでゼロコストで資金を調達し、その資金で他社の株式を買って儲けていた。

株価は上昇を続け、平均株価指数のPERは60を超え、瞬間的には80を付けた。

バブルの特徴は、

(1)渦中では誰もがハッピーである(とくに傷つく人はいない)

(2)誰もがおかしいと感じていても、それがバブルであると確信が持てない

ことにある。

1999年にはインターネットバブルが米国を襲った。

ドット・コムと名前がつけば、実態がさほど伴わなくとも、高い株価がついた。

1999年から2002年にかけて、NTTドコモは 総額1兆9000億円を投じて、AT&T Wireless など海外の携帯電話会社に次から次へとマイナー出資をしていった。

これらの投資に対して、2002年3月期と2003年3月期の二期だけで合計1兆6000億円の評価損を計上した(この損失を負担したのはドコモの株主であり、高い携帯電話料を払わされた利用者だった)。

さて次に起こったバブルといえば、2006年から07年にかけての証券化商品のバブルだろう。

回収の見込みが殆どないサブプライムローン債権を通常債権と混在させ、CDOなどの証券化商品に仕立て上げる。そして格付け会社の無知に付け込んでAAA格をつけさせる。これが世界中の金融機関にばらまかれた。

投資銀行は活況に沸き、債券部を中心に高額のボーナスが社員に支払われた。

歪な形のビジネスは長くは続かない。

07年6月の段階でベアー・スターンズ傘下のファンドが危機に瀕し、08年3月には本体に波及、J.P.モルガンに救済される形で買収された。

そして同年9月にはリーマン・ブラザーズが破綻した。

繰り返しになるが、バブルの渦中では、誰もがおかしいと感じる。こんなことが永遠に続くはずがないことが分かるからだ。しかしバブルの渦中ではとくに傷つく人はなく、誰もが潤う。

現在の日本の状況はどうなんだろう。

財政の赤字は日銀が国債を引き受ける(形式的にではなく実質的にという意味)ことによって面倒見てくれる。

政府が借金をして税収以上のものを国民に便益を与える目的で支出し続けることは「誰もが潤う」ことだ。

いまはコロナ禍で異常事態なので致し方ない面もある。

しかし時計の針をコロナ前に戻してみよう。

昨年12月閣議決定ベースの政府予算案(つまりコロナ以前)で見ると、

政府は収入(税収63.5兆円)の1.5倍以上の支出(歳出100.9兆円)を予算として計上。

税金の1.5倍もの金額を国民の為に支出してくれる政府。

そして、それを国債購入という形で支える日銀。

国民は「払う」以上のものを「貰える」形になっている。

しかし、こんなことが永遠に続くはずがないーと私は思う。

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コメント

私もそう思います。いつかハイパーインフレになると思います。

投稿: 笹山周作 | 2020年9月15日 (火) 22時56分

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