2026年6月 5日 (金)

本との出会い

本日配信のYouTubeでは、「株式投資を学ぶ上で役に立つ本」をご紹介しています。

興味のある方は、ぜひ『こちら』からご覧ください。

さて、話は少し変わりますが、最近の若い方々と話をしていると、「受験勉強や部活が忙しくて、これまであまり本を読む時間がなかった」という声を耳にすることがあります。

これは非常に、残念なことだと感じます。

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスは、「本を読むことで、主人公がたどった人生を追体験できる」と語り、自身が深い感銘を受けた一冊として、カズオ・イシグロの『日の名残り』を挙げていました。

私の人生を変えた1冊の本は中学生の時に出会った種田輝豊さんの『20ヵ国語ペラペラ』

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当時の私は英語が苦手で、中学校の教科の中でも一番成績が悪かったのですが、この本を読んで、世の中には20ヵ国語も話す人がいるということを知りました。

そして、著者の種田さんが高校時代にAFSでアメリカ留学をされたことを知り、私も行きたいと思いました。

ところで、この『20ヵ国語ペラペラ』は1969年に出版された古い本なのですが、実は2022年に文庫本として復刻されています。

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懐かしくなってページをめくってみると、編集者の方のあとがきに「著者が故人であることから……」という記述がありました。

種田さん、お亡くなりになられていたのですね。

改めて有難うございました。

ご冥福をお祈りいたします。

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2026年6月 4日 (木)

エージェントAI時代のメモリー需要

2025年までは「実験・試用」段階が多かったAI Agent(エージェントAI)ですが、2026年に入り、業務適用が加速している段階へと移行してきました。

この変化に伴い、ハードウェア需要(特にメモリや演算チップ)も連動して急拡大しています。

その背景には、従来の生成AIとエージェントAIの「動き方の違い」があります。

◆生成AI(Generative AI)

 ・主な性質: 受動的(Reactive)

 ・動作の仕方: ユーザーが質問 → 1回回答して終了

 ・1タスクあたりの推論:回数少ない(1〜数回)

◆エージェントAI(Agentic AI)

 ・主な性質:能動的・自律的(Proactive)

 ・動作の仕方:目標を与えられると自ら「計画→実行→検証→修正」を繰り返す

 ・1タスクあたりの推論: 非常に多い(数十〜数百回の推論ループ)

【メモリが「AIのボトルネック」になる理由】

エージェントAIの普及により、AIが答えを導き出す「推論(Inference)」の需要が爆発的に増加しています。

AIトレーニングや推論では、GPUが毎秒何兆回もの演算を行うため、データを供給するメモリの速度が追いつかない「メモリからのデータ供給」が大きなボトルネックになります。

このボトルネックを解消するために設計されたのが、高帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)です。

一方、SSD(Solid State Drive)はHBMやGDRAM(Graphics Dynamic Random Access Memory)の補助として使われます。

巨大なモデルをSSDからHBMにロードして計算する、という階層構造になっているため、直接計算には使えません。

当然、その価値と価格には大きな差があります。

 ・HBM: 1GBあたり約10〜17ドル程度(2025-2026年時点の推定)。2026年現在はHBM3E/HBM4移行で価格がやや変動。

  NVIDIAの最新GPU「Blackwell」などでは、HBMだけでチップコストの半分近くを占める場合もあります。

 ・SSD: 1TB(1000GB)あたり数ドル〜数十ドル(企業用でもHBMの1/100〜1/1000レベル)。

  最近のAI需要でSSD価格も上がっていますが、それでもHBMとは比べ物になりません。

現在のAIシステム構築においては、HBMを積んだGPUをできるだけ多く確保し、SSDはデータストレージとして補完する形が標準となっています。

将来的にもHBMの重要性はさらに高まると予想されます。

【HBM市場をリードする3社と日本】

この重要パーツであるHBMを生産できるのは、世界でサムスン(韓国)、マイクロン(米国)、SKハイニクス(韓国)の3社しかありません。

AI特需の恩恵を一身に受けるこの3社は、(2026年6月時点では)いずれも時価総額が1兆ドル(160兆円)を超えて、時価総額世界ランキングの11、12、13位を占めています。

SSDのフラッシュメモリで健闘している日本のキオクシアも、時価総額は42兆円に到達。

日本で第3位ですが、サムスンの6分の1、世界ランキング67位です。

かつて日本企業はDRAM生産で一時世界シェア8割以上を占めていましたが、2012年のエルピーダメモリの破綻を契機に、事実上の全社撤退となった歴史があります。

その当時の勢力図の激変が、現在の「HBM特需」の恩恵を日本が直接受けきれていないという、今の形に大きく響いています。

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2026年5月31日 (日)

2026年ハーバード大学卒業式でのコナン・オブライアンのスピーチ

ハーバード大学の第375回卒業式が2026年5月28日に開催され、コメディアンのコナン・オブライアン(Harvard Class of 1985)が首席スピーカーとして講演を行いました。

スピーチの全体は約25分で、公式映像はハーバード大学のYouTubeチャンネルなどで視聴可能です(『こちら』)。

後半部分を中心に日本語字幕付きで編集された動画もいくつかアップされており(『こちら』)、英語が苦手な人にもおすすめです。

全体を通じてウィットとユーモアに溢れ、聴衆を何度も笑わせながら、人生についての深いメッセージを伝えています。

例えば、こんな言葉があります:

「人生には多くの方向転換(Pivots)があり、『運』が大きな役割を果たす。手にした成功に固執せず、さらりと受け流すことができれば、優しさ、独創性、勇気、ユーモア、そして人間性といった、より大切なものが自然と現れてくるようになる」

こういったスピーチが聞けるのも、さすがハーバード大学だと思いました。

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2026年5月29日 (金)

「インテルを6ドルで買ったのよ」から28年 — インテルがAgentic AIで大復活

先ほど配信したYouTubeは、個別株投資についてでした(『こちら』)。

個別株投資というと、私がすぐに思い浮かべるのが、ある映画の一場面です。

1998年公開の『ユー・ガット・メール(You've Got Mail)』。

トム・ハンクスとメグ・ライアンが主演したロマンティック・コメディです。

この映画の中で、メグ・ライアン演じるキャスリーンが経営する小さな本屋が、大型書店チェーンの出店で閉店の危機に追い込まれます。

そんなとき、彼女の古い友人バーディが、信じられないような支援を申し出るのです。

「もっと必要なら言って。私、実はとても裕福なの。インテルを6ドルで買ったのよ」

インテルが上場したのは1971年。

映画が公開された1998年当時は、「ウィンテル(Windows+Intel)」の時代と呼ばれ、PC市場を完全に支配する当社は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

しかしその後、インテルは順風満帆とはいきませんでした。

モバイル時代への対応が遅れ、生成AIの初期ブームでも存在感を発揮できず、2024年11月にはついにダウ工業株30種平均の構成銘柄から除外されてしまいました(代わりに採用されたのはエヌビディア)。

この頃、株価は一時23ドル台まで下落していました。

ところが、物語はそこで終わりませんでした。

2026年4月、インテルは劇的な復活を遂げます。

株価が1ヶ月で114%上昇という、同社史上最高の月間上昇率を記録。

そして現在、株価は120ドルを超えるまでに大復活を果たしています。

何が、この老舗半導体巨人をここまで劇的に変えたのでしょうか?

その最大の要因が、「Agentic AI(エージェント型AI)」の台頭です。

従来の生成AIブームは、主にエヌビディアのGPUによる「学習(Training)」が中心でした。

しかし2026年に入り、AIの主戦場は実用段階である「推論(Inference)」と「Agentic AI」へと大きくシフトしました。

生成AIが「プロンプトに対して答えを返す」反応型(reactive)であるのに対し、Agentic AIは与えられた目標に向かって、自律的に計画を立て、行動し、結果を評価・修正する主体型(proactive)なAIです。

この「Agency(主体性)」を持った次世代AIシステムでは、従来のGPUだけでなく、強力なCPUが大量に必要とされるようになりました。

映画のセリフ「インテルを6ドルで買ったのよ」から約28年。

一時は時代遅れと見なされた巨人が、AIのパラダイムシフトによって再び主役の座に返り咲いたのです。

個別株投資の醍醐味、そして歴史の大転換期に立ち会うロマン——それが、インテルのこの復活劇に詰まっています。

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2026年5月25日 (月)

佐久の松下村塾

本日は、長野県佐久市にある「松聖村塾(しょうせいそんじゅく)」を訪問しました。

こちらは、地元・佐久市出身の松井聖(まつい せい)氏が主宰する、国語・英語の「論理力特訓」の専門塾です。

主宰の松井氏は、日本銀行に入行し、考査局や金融研究所、金融市場局などで金融政策の最前線に携わってこられた方。

その後、民間の金融機関を経て、45歳の時に故郷へUターンされました。

「佐久の松下村塾」たらんことを標榜してこの塾を開塾されたとのことで、今月まで佐久市の教育委員会委員も務められていました。

下記写真1は松井さん(左側)と私。「水萌えそば」の「らいあん・はぎわら」にて。

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下記写真2は、「らいあん・はぎわら」

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下記写真3は松聖村塾の入り口

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下記写真4は松聖村塾の教室内部

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車で40分ほど行くと、美笹深宇宙探査用地上局があります

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2026年5月24日 (日)

SpaceXによるテスラ買収の現実味——上場目論見書(S-1)で明かされたマスク氏のビジョン

早ければ2026年6月12日にも、SpaceX(スペースX)がナスダック市場へ上場します。

同社の2025年の売上高は186億ドル。

それに対して会社側が期待する時価総額は1.75兆ドル(約270兆円)とされています。

つまり株価売上高倍率(PSR)は94倍。

市場からは「さすがに割高ではないか」との冷ややかな見方もあります。

しかし、仮にこの時価総額で上場を果たせば、世界時価総額ランキングのトップ10(9位前後)にいきなり巨大企業が躍り出ることになります。

さらにいま、市場で大きな噂となっているのが「SpaceXによるテスラの買収(合併)」です。

現状、テスラの時価総額は約1.6兆ドル。

両社はほぼ対等な企業価値を持つことになります。

この噂を裏付けるように、アーク・インベストメントのキャシー・ウッド氏は、イーロン・マスク氏との過去の会話を次のように明かしています。

「マスク氏は私に、『自分の経営する複数の企業は、自分自身が理解していた以上に互いに融合(converge)しつつある』と語った」

実際、SpaceXはすでにxAIやX(旧Twitter)を傘下に収めており、単なる宇宙企業から「人類最大のAIインフラ企業」へと変貌を遂げています。

さらに今後の成長エンジンとして期待されているのが、

「Starlinkの次世代ネットワーク技術(インフラ)を活用し、新たに『AI計算専用のデータセンター衛星』を宇宙空間に大量に打ち上げてクラスター(群)を作る」

という計画。

つまり、SpaceXがテスラを吸収すれば、テスラの自動運転(FSD)や人型ロボット(Optimus)の進化に不可欠な「巨大な計算資源」が、SpaceXの宇宙・AIインフラとダイレクトに直結することになります。

2027年以降に囁かれる「SpaceXによるテスラの買収」。

それは単なる噂ではなく、マスク氏のビジョンが生み出す「ロジカルな帰結」として、いよいよ現実味を帯びてきそうです。

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2026年5月22日 (金)

資産運用における「もう一つの分散」とは?

株式投資の世界には「長期・分散・積立・低コスト」という4原則があると言われます。

その是非はさておき、ここで言う「分散」とは、多くの場合は「投資する銘柄」を分ける、つまり「銘柄分散」のことを指すのではないでしょうか。

しかし、リスクヘッジの観点からすると、もう一つ、重要な「分散」があります。

投資のタイミングをずらす「時間分散」です。

一度に全額を投じるのではなく、時期を分けることで高値掴みのリスクを低減させるーこれが時間分散の考え方です。

本日配信のYouTube動画では、この「時間分散」のメカニズムと具体的な活用法について解説しました。

ぜひご覧ください(『こちら』です)。

なお、時間分散についてさらに深く知りたい方は、拙著『人生100年時代の正しい資産づくり』の122〜130頁でも詳しく論じています。

米ヴァンガード社が実施した、1926年から2015年までの膨大なデータに基づく実証研究(一括投資と時間分散の成績比較など)も紹介していますので、プラス面、マイナス面、双方から時間分散について知ることが出来るようになります。

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2026年5月19日 (火)

AI時代に激変するDRP(Disaster Recovery Plan)と、BCP(Business Continuity Plan)の重要性

1990年代の終わり、私が外資系金融機関(モルガンなど)へ籍を移した時に驚いたことの一つが、当時から米国企業がDRP(ディザスター・リカバリ・プラン)やBCP(事業継続計画)を極めて重要視していた点です。

例えば関東大震災クラスの災害を想定し、東京のメインセンターが機能停止しても、地盤が強固な群馬県などのバックアップセンターへ即座にシステムを切り替える措置が取られていました。

当時はこうした危機管理面において、米国企業が一歩進んでいると感じたものです。

ここで改めて両者を整理すると、定義と役割は明確に異なります。

◆DRP(ITを復旧させる): 災害や攻撃で壊れた「ITシステムとデータ」を元通りに復旧させる技術的計画。

◆BCP(ビジネスを続ける): システムが死んでも、代替手段で「事業(業務)」を止めないための組織的計画。

さて現代においては、これらの前提を根底から覆すゲームチェンジャーが登場しました。

Claude Mythos(クロード・ミュトス)に代表される、サイバー攻撃・防御能力が不連続な進化を遂げた最先端AIの出現です。

AIの台頭により、これからのDRP/BCPは以下の変革を迫られます。

1. DRPの前提崩壊:国家レベルの攻撃が「秒単位」で自動生成される

これまでは既知のウイルスを想定していれば機能したDRPですが、AIは人間が見逃してきたバグを数十分で見つけ出し、未知の攻撃コード(ゼロデイ)を自律的に量産します。

さらに複数の脆弱性を組み合わせる「連鎖攻撃(攻撃チェーン)」も自動化されています。

「壁は一瞬で突破される」前提で、バックアップからの超高速復旧(DRP)を再構築しなければなりません。

2. BCPの役割変化:「数週間、システムなしで戦う」覚悟

AIによる攻撃が複雑化すると、復旧までに数週間から数ヶ月を要するケースが増加します。

過去にアサヒビールがランサムウェア攻撃を受けた際、FAXによる手動受注で事業を守り抜いたように、システム全滅という「空白の期間」をアナログな代替手段でどう持ちこたえるか(BCP)が、企業の生死を分ける唯一の砦になります。

実際、AIの脅威に備え、たとえばAWS内の隔離環境(Air-Gapped Vault)の活用や、ネットワークから物理的に遮断されたオフラインサーバーへのデータ保存を進める企業が急増しています。

BCPやDRPは、一度策定すれば終わりではありません。

進化を続けるAIという「見えない脅威」に合わせ、我々の防衛策も常にアップデートし続ける必要があります。

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2026年5月18日 (月)

インフレにどう立ち向かうか

ゴールデンウィーク中に政府・日銀による円買い介入があり、為替相場はいったん155円台まで押し戻されました。

しかし、介入の効果は徐々に薄れ(詳しくは『こちら』)、本日は159円台に戻してしまいました(18日、21時30分現在、158円82銭)。

こうなってくると、懸念されるのが輸入品の価格上昇です。

今後はナフサ関連をはじめ、さまざまな製品価格が一段と押し上げられるのではないかと危惧されます。

実際の数字(消費者物価指数(CPI)上昇率)を見ても、インフレの足音は確実に聞こえています。

◆日本のCPI(3月分):総合 1.5% / コアコア 2.4%

◆米国のCPI(4月分):総合 3.8%

物価が上がるということは、言い換えれば「持っているお金の価値が目減りしている」ということです。

銀行に預けておくだけでは、購買力は日々失われていきます。

では、この時代にどうやって生活と資産を防衛すべきなのか?

先ほど配信したYouTubeでは、まさにこの「インフレ時代を生き抜くための処方箋」についてお話ししました。

続きは、ぜひ動画(『こちら』)でチェックしてみてください。

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2026年5月17日 (日)

「記憶の価値」を意味するキオクシアの躍進

日本企業の時価総額ランキングで、1位トヨタ、2位三菱UFJ、3位ソフトバンクグループに次ぐ、堂々の第4位にまで急浮上した企業があります。

それが「キオクシア(Kioxia)」です。

この特徴的な社名は、日本語の「記憶(kioku)」と、ギリシャ語で価値を意味する「axia(アクシア)」を組み合わせた造語です。

◆苦難の時代から「1年半で株価31倍」への大逆転

同社の前身は「東芝メモリ株式会社」です。

親会社であった東芝の経営危機に際して分社化され、2018年に米投資ファンド「ベインキャピタル」を中心とする日米韓企業連合(Pangea)に全株式が売却されました。

このとき、東芝自身も40.2%の出資比率で再出資を行っています。

その後、2024年12月に東京証券取引所へ上場を果たしました。

当時の初値は1,440円でしたが、先週末の株価はなんと44,450円。

上場からわずか1年半ほどで、株価は約31倍にまで大化けしたことになります。

なお、大株主であるベインキャピタルや東芝は、キオクシア株を段階的に市場で売却してきており、直近の東芝の出資比率は18.52%にまで縮小しています。

しかし、キオクシアの時価総額自体が桁違いに膨れ上がったため、東芝にとっては保有株の価値が高まり、自社の財務改善を加速させる原動力となっています。

◆「HBM(短期記憶)ばかりが注目されたAI市場で、ついにスポットライトが当たったNAND(長期記憶)」

現在、AI普及のゲームチェンジャーとなっているのは、エヌビディア(NVIDIA)などが手掛けるGPU(画像処理半導体)ですが、それとセットで動く「メモリ」の重要性も日増しに高まっています。

メモリには、超高速でデータを処理する「短期記憶のDRAM」と、データを保存する「長期記憶のNAND」の2種類があり、キオクシアは後者のNAND型フラッシュメモリの専業メーカーです。

もともとAI分野では、DRAMチップを垂直に積み上げた「HBM(高帯域幅メモリ)」ばかりが注目を浴びていました。

しかし、処理すべきデータ量が爆発的に増加した結果、昨年秋頃から、NANDを組み合わせた大容量・超高速ストレージである「SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)」の需要にも火がつきました。

AIデータセンター向けにキオクシアの製品が引っ張りだこになり、これが株価高騰の決定的な引き金となったのです。

◆世界のメガキャップ企業と肩を並べる存在へ

先週末に発表された決算数値は、市場を驚かせる驚異的なものでした。

第4四半期の売上収益1兆29億円に対し、営業利益は5,991億円。

営業利益率は驚異の59.7%に達し、前年同期比で1499.5%増益という異次元の数字を記録しています。

現在の時価総額24.27兆円は、米ドルに換算すると約1,520億ドル。

これは世界時価総額ランキングで130位前後に位置する規模であり、欧州の航空大手エアバスや、スイスの金融大手UBSグループといったグローバルメガキャップ企業とほぼ同格の市場価値を手に入れたことを意味します。

AIビジネスの変化は、「超スピード」で進んでいきます。

かつて東芝の屋台骨であり、荒波を乗り越えて独立したキオクシアが、この世界のスピードをどこまで乗りこなしていけるのか。

日本の半導体産業の未来を占う意味でも、同社の動向から目が離せません。

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2026年5月14日 (木)

投資信託、とくにオルカンについて

オルカンとは、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』のことですが、証券会社の窓口では買えません(一部の対面型銀行や証券会社のオンライン専用コースでの取扱はあるようです)。

オルカンは、インターネット取引に限定されているので、買うには通常、ネット証券で買う必要があります。

一方、証券会社の窓口で買えるもので、似たような投信(投資信託)に、『eMAXIS全世界株式』があります。

つまり、『eMAXIS Slim 全世界株式』と『eMAXIS全世界株式』。

名前の上では、Slimの字がつくか、つかないかの差なのですが、両者は手数料が違います。

本日配信のYouTubeでは、投資信託、とくにオルカンやS&P500について説明しました。

『こちら』です。

間違ったものを買ってしまって、後になって「損をした」と後悔してしまうのを避けたいものです。

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2026年5月13日 (水)

ミュトスの出現とプロジェクト・グラスウィング

2026年4月7日午前10時(米国東部時間)、アンソロピック社の公式ウェブサイトに一つのブログ記事が公開されました。

タイトルは「Project Glasswing: Securing critical software for the AI era」(和訳は「プロジェクト・グラスウィング:AI時代における重要ソフトウェアの防衛」)。

アンソロピック社はこの中で、最新モデル「クロード・ミュトス・プレビュー」(Claude Mythos Preview)を用いたサイバー防衛計画「プロジェクト・グラスウィング」を発表しました。

1. 避けられない現実の宣言

アンソロピック社は、AIモデルのコーディング能力が急速に進歩しており、ソフトウェアの脆弱性発見や悪用の分野で、「熟練した専門家を除く大半の人間を上回る段階」に近づきつつあるとの認識を示しました。

核となるメッセージはこうです。

『本日発表するクロード・ミュトス・プレビュー(Claude Mythos Preview)は、アンソロピック社がこれまで開発した中で最も強力なモデルだが、その能力は世界のサイバーセキュリティに重大なリスクを及ぼす可能性があるため、一般公開は行わない』

2.ミュトス (Mythos)の圧倒的な性能

アンソロピック社および関連報道によれば、ミュトスはテスト段階で次のような成果を示したとされています。

 ◆27年越しの発見:極めて堅牢とされるOpenBSDで、27年間誰にも気づかれなかった脆弱性を特定(リモートからのクラッシュ攻撃が可能でした)。

 ◆ゼロデイの量産:主要な全OS(Windows, macOS, Linux)および主要ブラウザにおいて、数週間で数千件の深刻な脆弱性を自律的に発見。

(注:ゼロデイとは、修正パッチが存在しない無防備な脆弱性のこと。開発者が問題に気づく「前(0日目)」に攻撃可能なため、この名がある。ミュトスはこれを大量生産する能力を持つ)

 ◆多段階攻撃(チェイニング):単一のバグではなく、4つ以上の異なる脆弱性を組み合わせ、サンドボックスを突破してOSの管理者権限を奪取する複雑な攻撃コード(エクスプロイト)を、人間の介入なしで自律的に作成。

ただし、これらの性能評価の多くはアンソロピック社自身の説明や一部メディア報道に基づくものであり、独立した第三者機関による全面的な検証が完了しているわけではありません。

この点には留意が必要でしょう。 

3. プロジェクト・グラスウィングの設立目的

アンソロピック社は、「もし攻撃者が同等のAIを利用する時代が来れば、現在のサイバー防衛体制では対応できなくなる」との認識を示しています。

一方で、防御側がAIを活用しなければ、将来のAI駆動型攻撃に対抗できない可能性があります。

このジレンマに対応するため、防御目的に限定して設立されたのが「プロジェクト・グラスウィング(Project Glasswing)」です。

 ◆初期パートナーシップ:Apple、Microsoft、Google、AWS、J.P. Morgan Chaseをはじめとする12組織(アンソロピック社自身を含む)。

 ◆防御へのコミットメント:アンソロピック社はミュトスを営利目的で開放せず、世界のサイバー防衛強化にリソースを集中する。

  アンソロピック社は、参加する12社の主要パートナーおよび約40の重要インフラ組織に対し、合計1億ドル相当の「使用クレジット」を提供。

(注:ミュトスのような最先端AIの運用には膨大な計算コストがかかる。アンソロピック社による1億ドル相当クレジットの提供により、これら12の主要組織および約40の重要インフラ組織はコストを気にせず、自社システムや社会インフラの脆弱性を徹底的に調査し修正することが可能になる。)

 ◆透明性の象徴:名前の由来である「Glasswing(透明な翼を持つ蝶)」のように、これまで不透明だったソフトウェアの脆弱性を可視化し、修正することを目指す。

4. 未来への責任

執筆者(Jared Kaplan氏、Dario Amodei氏らをはじめとする公式チーム)は、今後のフロンティアモデルがすべて「High Risk」として扱われる時代の到来を予見。

政府や国際機関との連携を強調して記事を締めくくっています。

* * *
このブログは公開から比較的短時間で制限がかかり、公式サイトでの閲覧が難しくなりました(ただし、現在もアーカイブや公式ページで確認可能です)。

しかし、制限がかかる75分程度の間にReddit、X(旧Twitter)、Hacker Newsなどで爆発的に拡散され、GitHub Gist、匿名掲示板、IPFS上などに全文や技術詳細のコピーが多数アップロードされました。

なおプロジェクト・グラスウィングの主な構成メンバーは:

当初の12組織(公式発表に基づく):

Anthropic(主導)、Apple、Microsoft、Google、AWS、NVIDIA、Broadcom、Cisco、CrowdStrike、Palo Alto Networks、JPMorgan Chase、The Linux Foundation。

追加の40組織超には以下が含まれると報じられています:

金融・決済:Mastercard, Visa, Goldman Sachs, HSBCなど

セキュリティ・インフラ:Cloudflare, Akamai, Check Point, Okta, Splunkなど

オープンソース・学術:Apache Software Foundation, Internet Systems Consortium (ISC), Stanford University, MITなど

政府機関(アドバイザリー):CISA(米)、NCSC(英)など

日本としては、プロジェクトへの参加またはミュトスへのアクセス権を積極的に求めるべきでしょう。

一部報道(5/13日、午後7時のNHKニュースなど)では日本のメガ銀行3行がミュトスのアクセス権を取得する方向で調整しているとも伝えられています。

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