2025年6月23日 (月)

証券コードの末尾「01」の銘柄について考える

本日は、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。

トピックスは『帰ってきた第1走者、 資産・技術に潜在力 分析ゼロイチ銘柄』。

ということで、「証券コードの末尾「01」の銘柄について考える」特集。

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時間の関係で、番組内でお話することができなかった点を中心に以下を記します。

【1】証券コードとティッカーシンボル

外資系投資銀行の日本株トレーディングルームには外国人のトレーダーたちもいます。

彼らが仕事で会話する際は、日本の会社名ではなく、証券コードが良く使われます。

たとえば「7203は〇〇円で寄り付いた」といったように話すのです。

外国人のトレーダーにとっては、三井とか住友とか、日本語の名前は発音しづらいし、瞬発力が重要視されるのがトレーディングの世界なので、コード番号が好まれます。

ちなみに米国ではコード番号ではなく、ティッカーシンボルが使われています。

アップルは、AAPL。

コカ・コーラは、KO。

キャタピラーも想像しやすくて、CAT。

黄色い車体は猫の色でもあるので、キャタピラーの建機は時にCatと呼ばれることもあります。

フェラーリのティッカーシンボルは、RACE。

F1の自動車レースを想起させる粋な名前が付いています。

再び日本に帰って、その昔、私が働いて日本興業銀行は、8302。

8301 は、どこかと思って調べたら、日本銀行でした。

ちなみに下図は過去5年間の日銀の株価チャート。

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本日の日銀株の出来高は500株でした。

【2】長い社歴の会社

社歴の長いゼロイチ企業でも、100年前とか、80年前とか、創業の時は、今でいうベンチャー企業に近かったはず。

それが長い歴史の中で社員の間に大企業意識が芽生え、官僚主義、事なかれ主義が、はびこってしまったとしたら、残念です。

そういった企業が(もしあるとすれば)もう一度、原点を思い出してみることが重要なのではないでしょうか。

ゼロイチ企業ではなく、ゼロ2企業の例なのですが、全日空は国際線の便名コードにNHを使っています。

何の略かというと、日本ヘリコプターの略で、この会社は、1952年にヘリコプター2機を所有し運行する会社として設立されたのです。

以下、全日空のホームページからの引用です。

『1952年、ANAの前身となる日本ヘリコプター輸送株式会社は設立されました。

当時、世界では国主導の航空会社経営が多くを占める中、役員12名、社員16名、ヘリコプター2機という小さな“純民間航空会社”としてのスタートは世界的にも珍しく、まったくゼロからの挑戦でした。

そして、創業時に掲げられた「高潔な企業」「権威に屈することのない、主体性を持つ企業」「独立独歩できる企業」という経営理念に込められた創業者の想いは、現在もANAに“努力と挑戦のDNA”として息づいています』 

【3】PBRについて

番組内で、PBRについて話が出ましたが、東証が23年3月にPBR改善要請を発出してから、これが意識されることが多くなりました。

ちなみに、アップルのPBRは45倍、エヌビディアは42倍です。

当然のことながら、米国ではPBRが意識されることは、ほとんどありません。

企業に求められるのは、将来に向けての投資を行い、株主ときちんと対話して、中長期的に株価を上げるための体制を築くこと。 

目標とすべきは、中長期的に見たCash Flow の拡大(およびCash Flow 創出力の強化)。

やることをやれば、その他の数値は自ずとついてきます。 

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2025年5月30日 (金)

SMR

人工知能が広く使われるようになると、これを動かす膨大な電力が必要になります。

データセンターの消費電力は2030年までに現在の2倍以上に膨らむとの試算もあります(『こちら』)。

そこで注目されているのが、SMR(『こちら』)と呼ばれる小型モジュール型原子炉。

たとえばカイロス・パワー(Kairos Power)の小型モジュール式原子炉は、従来の水冷式原子炉とは異なり、溶融フッ化物塩を冷却材として使用することで、安全性が格段に高まるとしています。 

(溶融フッ化物塩については『こちら』の山脇道夫教授の資料~経産省第13回 高速炉開発会議 戦略ワーキンググループ~が参考になります)。

昨年10月のTechCrunch(『こちら』)によると、グーグルはカイロスとの間で7基のSMR建設に関する契約を締結。

これにより2030年を目途に500メガワットの電力供給を得るとしています。

以下の概念図はカイロスのウェブサイト(『こちら』)から。

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どうしたら安全性の高い原子炉を作れるのか。

カイロスのアプローチは、今までのような水による冷却ではなく、溶融フッ化物塩を使用するというものです。

これに対して、別のアプローチを考えるところもあります。

たとえば掘削によって直径76センチほどの穴(ボーリング孔)を地中深く(1.6キロ)まで開けて、この穴の中に原子炉を埋め込むというアイデア。

これは、Deep Fission という会社が進めており、4年後(2029年)には1号機を完成させるとしています(『こちら』) 。

いずれにせよAIが本格的に使われるようになると、膨大な電力需要が発生します。

これにどう対応するかは既に喫緊の課題と言えます。

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2025年5月22日 (木)

長期投資の落とし穴

スタンフォードのビジネススクールは2年制で、1年度を終えて、2年生になる前の夏休みに学生たちはサマージョブと呼ばれる仕事に就く。

6月下旬から9月下旬までの3ヶ月間、学生たちはコンサルティング会社や投資銀行などで就業経験を積むのだ。

卒業後、サマージョブで働いた会社に就職するケースも多い。

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80年9月、私より1年下の学年が2年生になった時、スティーブの姿がなかった。

「スティーブがドロップアウトしたと聞いたが本当か」

クラスメートたちの間で話題になった。

成績が芳しくなくて中退する学生は毎年何人かいるが、スティーブはトップクラスの成績を収めていたらしい。

「スティーブはサマージョブで親友が始めたソフトウェアのスタートアップ会社に行き、そのまま残ることにしたらしい。

あと9ヶ月学校に通えば、引く手あまたで大手に就職できたのにもったいない」

クラスメートたちはこんな会話を交わしたという。

さて・・

『日経ヴェリタス』に寄稿しました。

続きは『こちら』で。

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2025年5月19日 (月)

霧中の企業業績

本日は、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。

トピックスは『霧中の企業業績』。

時間の関係で、番組内でお話することができなかった点を中心に以下を記します。

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【1】個人投資家としてどこに資金を向ければよいか

(質問)ムーディーズによる米国債格下げなど、いろいろな動きが出てきている。先行きが不透明な中で、資金をどこに向ければ良いか迷っている個人投資家の方も多いと思う。

(答え)個人投資家の方はS&P500やオルカン(オールカントリーズ)に資金を入れているケースが多いと思う(『こちら』)。

これをいま敢えて変更する必要性はとくにないように思う。以下、詳しく説明したい。

【2】いま米国で起きていることは急に起きたことか

米国の双子の赤字、貿易赤字と財政赤字は未来永劫的に継続できない。

米国の貿易赤字は、GDP比4%であり、これはいわば米国が他国から借金をして他国のモノを買っているようなこと。

一方、米国政府の財政赤字はGDP比7%に迫る。

スコット・ベセント財務長官によると、2年前トランプ氏に呼ばれてフロリダの私邸(Mar-a-Lago)を訪れた際に、

トランプ氏から「リセッション(景気後退)にならないように気をつけながら、どうやって財政赤字の問題を解決するんだ?」

と聞かれたという。

詳しくは『こちら』の動画の22分45秒あたりをご覧いただきたいが、

トランプ氏は大統領になる前から、財政赤字と貿易赤字はともに持続不可能と考えており、放置すれば、もっと大きな問題に発展する可能性が高いと認識していた。

そして経済を後退させることなく、この問題を退治したいとの強い意向を持っており、彼のこの質問に対するべセント氏の答えに納得したからこそ、

大統領になった際に、べセント氏を財務長官に指名したのだろう。

この時のべセント氏の答えは上記動画に詳しいが、急激な変化は景気後退を誘発しかねない為、2028年をターゲットに財政赤字をGDP比7%から、3~3.5%にしたいと考えていることが分かる。

トランプ大統領やべセント財務長官の取り組みが成功するかどうか分からないが、このまま放置すれば財政赤字にしろ貿易赤字にしろ、unsustainable(持続不能)なのは明らかで、傷口が広がらないうちに、先送りせずに問題解決したいとの意向だ。

そのためには、ある程度の軋轢は生じようが、かと言って「景気後退は避けたい」とのスタンスは鮮明だ。

またべセント長官は上記だけでなくいろんなインタビューで述べているが、強いドルを望むとの立場。

しかしbilateral(二国間)の関係で、為替が貿易不均衡の要因になっているのであれば、その部分については是正が必要と考えている。

私は今でも鮮明に覚えているのだが、1981年にレーガン氏が大統領になった時、米国のインフレ率は約12%だった。この時、サプライサイド・エコノミックスの政策が取られ、これに対して多くの経済学者が反発、当時としてはかなり混乱した。

しかしその後インフレは収まり(83年1月3.7%)、株価もレーガン氏が大統領だった8年間で2倍以上になった。

今でもサプライサイド・エコノミックスは経済学的に間違いだとする説が多く、またインフレを退治したのは、ポール・ボルカ―氏(当時のFRB議長)だと主張する人も多いが、いずれにせよ1974年から続いていた高いインフレはレーガン大統領の時代に収まった。

当時と今回では情勢も全く違い、デジャブ(déjà-vu)であると考えている訳ではないが、米政権が考えていることを頭ごなしに否定するのではなく、これを理解しようとする姿勢は重要であるように思う。

【3】FRBパウエル議長とべセント財務長官の関係

トランプ大統領がパウエル氏に圧力をかけているといった情報が伝わり、FRB(パウエル氏)とべセント財務長官との関係はどうなんだろうと疑問に思う向きもあるかもしれない。

しかし『こちら』のインタビューからも明らかなように(注:12分53秒あたり)、パウエル議長とべセント長官は、毎週1回は必ず朝食を共にしていろんな問題を協議するという。

インタビュー動画では、べセント氏のこの発言を受けて、インタビュアーのAnnmarie Hordern氏がすかさず『それでは先週も朝食を共にしたのですね』と畳み込んだ。

この辺のやり取りはさすが・・。

これに対して、べセント氏は『もちろんです。先週は away game だったので、私がFRBを訪れました』と回答。

政権としてFRBと緊密に連絡を取り合っていることをアピールしていた。

* * *

(追加)

【4】バフェット氏の引退

なお本日の番組の最後に、突然バフェット氏引退の話が出て来て、ほとんど時間がなくて答えられなかったのだが、先週WSJ(ウォールストリートジャーナル紙)がCEO退任(今年中に退任)表明後のバフェット氏にインタビューした時のことに触れた(『こちら』)。

バフェット氏いわく:

『今年95歳になるが、90歳になった辺りから年齢を感じるようになった。

人の名前をよく「ど忘れ」するようになった。

グレッグ(注:後任CEOのグレッグ・アベル氏のこと)が10時間になしえることと、

私が10時間に出来ることとを比較すると明らかに違う。

こういった状況でCEOを務め続けるのはグレッグに対してフェアではないと考えた。

ただCEOは辞めるが、家にこもってソープオペラ(soap opera)を見る訳ではない。

投資の意思決定について年齢は関係ない。

人々が恐れる時、私は恐れない』

* * *

バフェット氏らしいコメント・・。

普通の人は60歳あたりから、時おり人の名前が出て来ないようになるだが・・。

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2025年5月 4日 (日)

ウォーレン・バフェット氏は総会で何を語ったか

【1】投資家の目で見た米国

(質問)かつて、あなたは「投資をする上では米国に生まれたことが追い風になり、resilience(困難を乗り越え回復する力)に恵まれた」と語ったが、今でもそう思うか。

(バフェット氏)米国に生まれることが出来るというのは、当時、たった3%の確率しかなかった。このチャンスをものにした日、つまり生まれた日こそが、私にとって人生で最も幸運な日だった。

歴史を振り返ると、米国はいろんなことを経験してきた。大恐慌、世界大戦、原子爆弾の開発などだ。

現在、いろんな問題が山積みされているからといって悲観的になることはない。

もし生まれてくるのが95年前でなくて現在だったとしても、私は米国人に生まれたことを幸運に思うだろう。

【2】関税の問題について

(バフェット氏)250年前、米国はタバコとコットン(綿花)を生産していて、それを他国と交換することによって成長してきた。

そのことを忘れて、75億人の人たちの犠牲のもとに3億人の米国人を優先するのは間違いだ。

貿易は戦争になり得る(Trade can be an act of war)。

しかし貿易を武器として使うべきではない(Trade should not be a weapon)。

米国以外の世界ももっと繫栄するようになれば、世界は安全になり、我々の子どもたちは安全と感じるようになる。

3億人を擁する国が成功したからといって、残り75億人に対して「こうしろ」と教え込むようなことはすべきではない。

【3】日本の商社株への投資

(バフェット氏)6年前だったか、日本の商社株への投資を始めた時、株価がとんでもなく安かった(ridiculously cheap)。

商社株は(後任の)グレッグ次第だが今後50年間売るつもりはない。

我々は商社株に $20 billionほど投資したが、ほんとうは $100 billion くらい入れたかった。

バークシャーは巨大になり過ぎてしまって、サイズが大きいことが我々にとって最大の敵となってしまった。

【4】安易に金を儲ける人たちについて

(バフェット氏)あなたの周りで、真っ当でないことが起きていたとしても、それに参加すべきではない。

借金をしてお金持ちになっている人がいたり、大したことのない証券に投資して金を儲けている人たちがいたとしても、彼らは将来傷つく可能性がある。

こうした人たちのことを気にせず、自分の道を行くべきだ。

【5】為替リスクについて

(バフェット氏)10年先、20年先のことを考えてバークシャーを経営してきた。

つまり今期の業績とか四半期の業績を考えたことは無く、為替のことも短期では気にしない。

日本の商社に投資しているが、日本円が地獄(hell)に落ちるように落下していくと考えるのであれば、最初から日本に投資などしない。

心配なのはむしろ米国かもしれず、これは世界共通のことなのだが、政府というのは、どこも「お金を使いすぎる」ことが多い。

その結果、通貨は弱体化する傾向にある。

財政赤字とか通貨の価値というのは一般的に言って scary things(怖いもの)だ。

【6】自動運転が普及することの影響

(Ajit Jain氏)自動運転車の普及によってバークシャー傘下 GEICO の自動車保険ビジネスは大きく変わるだろう。

自動運転車は人間が運転するよりも事故率が圧倒的に低い。

事故数は減るが、1件の事故当たりの修理代は増えるだろう。

今後は製造物責任保険が重要なビジネスになるかもしれない。

【7】アップル株投資と自社株買い

(バフェット氏)税法の改正により、自社株買いをすると1%の税金を取られるようになった。

これによりバークシャーによる自社株買いはコスト高になったが、もっと気の毒なのはアップルだ。

アップルは年に1000億ドルの自社株買いをしているが、これに1%の税金がかかるので、年10億ドルのコスト(税金支払い)になる。

負担しているのはアップルの株主であり、バークシャーもアップルの株主だ。

更に付け加えると、この1%の税金を増やしたいという動きも出てきている。

【8】最近の株式市場の乱高下について

(バフェット氏)株式市場はもともとvolatile な(変動率が高い)ものだ。

私が生まれた時、ダウ平均株価は240だったが、2年後の1932年には41まで落ちた。8割以上の下落だ。

【9】DOGE(政府効率化省)について

(質問)DOGE(政府効率化省)についてどう思うか。

(バフェット氏)官僚主義というのは contagious なものだ(伝染する)。

これによってプライベート・セクター(民間分野)は窒息してしまう。

民間の会社は効率に経営することを考えていて、バークシャー傘下の保険会社 GEICO は、かつて5万人の従業員がいたが、3万人に減らした。

そこで浮いた資金を technology に投資した。

財政赤字を考えると、このままでは続かない。Sustainable(持続可能)ではないのだ。

どこかの時点で制御不能になってしまう(uncontrollable at some point)。

合衆国の歳入と歳出を見ると、現在7%のギャップがあるが、恐らくは3%のギャップが持続可能(sustainable)な水準のはずだ。

これを埋める仕事はたいへんで私個人はそんな仕事はしたくはないが、ギャップを埋めるのは必要なことだと思う。

通貨価値が堕落していく(debased)のは避けなければならない。

【10】バフェット氏の後任

(バフェット氏)明日の取締役会でグレッグ・エイブル氏を次期バークシャーの CEO(最高経営責任者)にするよう提案したい。

グレッグにはこのことを話したことは無く、彼はいまここで初めてこれを知ったはずだ。

取締役会が承認すれば年末にはグレッグが CEO になる。

「政府が困難な状況に陥ったとき、バークシャーは liabilities(重荷、障害)であるよりも、assets(強み)である」との評価を受けてきた。

そういった意味で、これから先も私がグレッグの助けになる局面が出てくるかもしれない。

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2025年3月30日 (日)

日経ヴェリタス(紙版)最終号と「青い壺」

もう10年以上も前のことですが、日経ヴェリタス編集長(当時)からお昼をご馳走になり、その席でヴェリタス紙への寄稿を求められました。

そこで始めた連載が「Money Never Sleeps」。

14年12月の第1回から17年6月まで、19回にわたって、金融の世界で私が出会った人たちを中心に記事を書きました。

アベノミックスが始まると耳にして、突然来日して面会を求めてきたアフガニスタンの富豪とか、

キプロス島に来ないかと誘ってきたロシア人のヘッジファンド創始者などの話です。

20年3月からは「投資力を磨こう」とのテーマで、51回にわたって連載を続けました。

そんな日経ヴェリタスも紙版は今日が最終号です。

すでに電子版がスタートしていますので、私の連載記事もこれからは電子版の方に引き継がれます。

ということで、「たまたま」なのですが、栄えある(?)最終号に私の寄稿記事が載りました。

題して、『「青い壺」で読む、支配されない運用』。

「青い壺」は有吉佐和子によって半世紀近くも前に書かれた小説ですが、「定年、相続、お金」といった現代にも通用する話が綴られています。

13の短い話で構成されているのですが、第2話では、デパートで壺を買い求めることになる定年退職後の夫と妻の話が出てきます。

夫、寅三68歳と、妻、千枝。

千枝は若い頃は、舅と姑に叱られ、それでも彼らに尽くし、やがては順を追って見送りました。

やっとのことで老後は寅三と二人きりの静かな暮しができると思っていたのですが、実際は違っていました。

「寅三が会社をやめて半年たつと、千枝は遂に音をあげてしまった。夫がくる日もくる日も毎日家にいるという生活は、千枝が結婚して以来、初めての経験であったし、おまけに寅三は家の中ではガスに火ひとつ点けることもできないほどの役立たずなのである」。

こんな魅力ない男と、よくも五十年連れそって来たものだと、千枝は嘆きます。

それでも夫妻は、連れ立ってデパートへ買い物に行きます。

寅三が会社で世話になった上司への贈答品を求めるためです。

そして買い求めた青い壺を持って、寅三は久しぶりに会社を訪れるのでした。

しかし、問題はその後です。

上司だった副社長に壺を届けた後、寅三は会社の階段を下りて、以前いた自分の席に戻ってしまいます。

そして右手で印を取り、伝票をゆっくりめくりながら判を押し始めるのでした。

「印を取って、伝票に判を押す」というあたりは、まさに昭和の小説であり、現在ならば「端末のキーを押す」となるのでしょうか・・。

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なお今回の寄稿文は、日経ヴェリタスの電子版にも掲載されています。

『こちら』です。

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2025年3月24日 (月)

真の「配当貴族」を探せ

本日は、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。

トピックスは『真の「配当貴族」を探せ』。

時間の関係で、番組内でお話することができなかった点を中心に以下を記します。

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トランプ大統領による矢継ぎ早の政策発表で米国の株式市場が混迷しています。

これまで相場をけん引してきた米国の大手テクノロジー株は、3月19日現在、最高値に比して2割前後も下落しています。

具体的には、エヌビディア(▲21%)、アマゾン(▲19%)、アルファベット(▲21%)。

なおテスラに至っては▲48%も下落しています。

そういった状況を受け、日経平均株価も年初の39,307円から本日37,608円と、年初から比べると 4%ほど下落。

こうした相場環境のもとでは確たるキャッシュが欲しいという人が増えてきていて、高配当株が注目を集めるようになってきています。

とくにシニア世代、年金世代にとっては、定期的にきちんと配当金がもらえるというのが、結構大事なポイントになっているように思います。

【1】そもそも配当貴族とは?

配当貴族という言葉は、S&P Dow Jones Indices 社が使い始めたことで急速に広まりました。

英語でDividend Aristocratsと言います。

指数を開発しているS&P Dow Jones Indices 社は、25年以上、連続して増配を続ける企業を集めて、「S&P 500 配当貴族指数」という名をつけて指数化しました。

2024年の資料によると、この指数を構成するのは67社。

こういった指数に投資したいという方には、この指数に track する ETF もいくつか開発されていて、日本のネット証券でも買えます。

たとえば Ticker Code が NOBL というETF。

貴族のことを英語でNOBLEとも言うのですが、恐らくはその理由で、Ticker Code(Ticker Symbolともいう)を NOBL と名付けたのでしょう。

ちなみに話はそれますが、米国には、このように粋な Ticker Code が結構あって、たとえばフェラーリ社の Ticker Code は RACE です(恐らくはカーレースから来たものと思われます)。 

話がそれたついでに、もう1点追加しますと、(25年ではなく)50年以上増配を続ける企業は、Dividend Kingと呼ばれています。

日本には該当する企業はありませんが、米国では、Procter & Gamble 社(P&G)や Johnson & Johnson 社など、Dividend King の会社は結構あります。

【2】高配当株をどう評価するか

株式投資に何を求めるかは、投資家によって違うので、一口に「高配当株がいい」とか「配当を出さないキャピタルゲイン狙いの株の方がいい」と結論づけることは出来ません。

無配の会社であっても、たとえばアマゾンは世界第4位の時価総額を誇り(2.1兆ドル)、株価は10年間で11倍になっています。

(1)高配当株の利点

配当という形でキャッシュを実際に手に入れることが出来る。

(2)高配当株のマイナス面

現金で配当金をもらってしまうと、その分(キャッシュで貰ってしまった分)、投資先の会社での再投資効果(複利運用に近い発想)が期待できない。

税金面でも(NISAで運用している人は、配当金が非課税になるが)NISAの枠をはみ出して投資している人にとっては、配当金に20.315%の税金が発生してしまう。

もちろんキャピタルゲイン狙いで投資しても売る時には税金が発生するが、退職して収入の少ない時に株を売るなどして、(税金を意識しながら)売るタイミングをある程度コントロールできる(と言っても株価が下がってしまえば、元も子もありませんが・・)。(注:株式の譲渡所得は分離課税なので他の収入が少ない時に売ってもそれで税金が少なくなる訳ではありません)。

【3】ニッチトップ戦略など

以上のほか、番組では(1)中堅企業のニッチトップ戦略、(2)日本で唯一35年間連続増配を続ける花王がOasisに狙われた背景、(3)バフェットによる商社株購入、(4)高値掴みの避け方などについてカバーしました。

是非ご覧になってみてください。

再放送は、水曜 12:10~12:25、および同じく水曜日 21:00~21:15 です。

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2025年2月28日 (金)

アップル、20年の軌跡と奇跡

日経新聞(電子版)と日経ヴェリタス紙に寄稿しました(『こちら』)。

スティーブ・ジョブズのようなカリスマ経営者の後を継ぐというのは、想像を絶するような大変なことに違いありません。

2019年、ティム・クックは、スティーブ・ジョブズとまったく同じ場所に立って語り始めました。スタンフォード大学の卒業式です。

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(以下は記事の方をご覧ください)

* * *

それにしてもジョブズがスタンフォードでスピーチをしてから、ちょうど20年。

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当時に比べてアップルの株価は200倍を超えています。

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2025年2月26日 (水)

最高益 開花前線を読む

昨日は、日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました(『こちら』)。

トピックスは『最高益 開花前線を読む』。

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日本企業の12月決算の発表が一巡。

時価総額300億円以上で上場後5期が経過した企業の3割が、25年12月期に最高益を予想するとのことです。

こうした企業にスポットライトを当てながら、市場全体の動向を把握しようというのが番組の趣旨でした。

詳しくは、番組をご覧になるか、日経ヴェリタス紙の特集記事をお読みいただきたいのですが、

以下、キャスターの曽根さんに答える形での私の発言のエッセンスを下記【2】~【5】に記しておきます。

その前に、番組内容とは変わってしまいますが、スポーツシューズやスニーカーの業界について簡単に触れておきたいと思います。

【1】スポーツシューズ・スニーカーの業界

グローバルの市場では、ナイキ、アディダスなどの企業が存在感を持ちますが、日本のアシックスも健闘しています。

時価総額の世界ランキングで見ると(25年2月26日現在)、

ナイキ   143位(時価総額$121 billion)

アディダス 443位(時価欧額  $46 billion)

アシックス 1,160位(時価総額 $16 billion)

そもそも業界トップのナイキは、1962年に当時スタンフォードのビジネススクールを卒業したばかりのフィル・ナイト青年が神戸の鬼塚株式会社(現在のアシックス)を訪問したところから始まります。

鬼塚の創業者、鬼塚喜八郎氏は、ナイト氏のことを気に入り、「鬼塚の靴の米国での販売権を欲しい」と懇願するナイト氏の要望を聞き入れ、米国西部地域における販売権を彼に渡します。

こうして誕生したのが現在のナイキなのです。

この辺のところは、過去にNHK BS スペシャル「経済フロントライン」で放映されたことがあります。

YouTubeで現在でもご覧いただけるようですので、ご興味のある方はどうぞ(『こちら』)。

オニツカ(アシックス)が無ければ、現在のナイキはなかった訳で、そういった歴史を知ると、業界トップのナイキといえども、じゅうぶんにアシックスの射程距離内であるように思えてきます。

ナイキの創業から上場までは本にもなっています。

2018年のビジネス書大賞を受賞し、発売後わずかな期間で21万部を売り上げた本ですので、お読みになった方も多いかもしれません(『こちら』です)。

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ナイキとアシックスの話はここまでにして、以下は番組のキャスター、曽根さんからの質問に対する私のコメント(一部抜粋)です。

【2】最高益の企業の顔ぶれを見て、どういった感想を持つか?

ブランド力が重要なのが分かる。

例えばアシックス。実はこの会社は売上の80%以上が海外で、ドイツのアディダスとか米国のナイキといった世界の強豪と競争している。

そもそもナイキは1962年に、アシックスの前身のオニツカの靴を米国で販売することでスタートした会社(フィル・ナイト氏)。

その後、世界のトップに躍り出た。

そういった会社と競争しているアシックスだが、現在、株価は、上場来の高値を続けていて、1年間で約3倍、5年前に比べて15倍近くになっている。

PERは31倍と高いが、それでも時価総額はナイキ(18兆円)に比べて7分の1しかない(2.6兆円)ので、上がる余地はあるように思える(ナイキやアディダスとの闘い如何だが)。

逆に数年前のアシックスが何で株価が低かったかというと、ブランドを大切にしなかったと言われている。

売り場で品切れを起こすことを気にし過ぎて、商品を作り過ぎた。

結果、余った商品がディスカウントで売られてきたといったことがマイナスに働いた。

それを、たとえ品切れを起こしても、ブランドを大切にしようとの戦略に変えたとのことだ。

【3】選択と集中、成長市場へのアプローチが重要ということか? 

日本の市場は少子化、高齢化なので、市場全体としては、そんなに成長していかない。

そういった中で、成長市場に打って出ていこうとすると、どうしても海外に目を向けざるをえない。

例えばアシックスは売上の80%が海外と述べたが、一方で、国内の市場で、採算の確保が難しい分野からは撤退を始めている。

具体的には来年の秋から体操服など学校指定用品から撤退すると表明。

すでに少子化などが響き学校指定用品の売上高は10年前に比して半減していたという。

なお今年の9月からは日本国内のグラブやバットなど野球用品の市場からも撤退することを表明している。

グローバルで戦う以上、撤退するところと、力を入れるところを見極める必要がある。

【4】ゲームなどエンタメ企業でも最高益が相次ぐが・・

ゲームの世界では何がどのくらいヒットするのか、予想するのが難しい。

ポケポケはわずか1ヶ月半で6000万のDLを記録した。

リリース日(昨年10月30日)1700円台だったDeNAの株価は、わずか3ヶ月半で2.4倍になり4000円超えとなった。

決算の数字も、23年度287億円の赤字から、24年度は9ヶ月で158億円の黒字となっている。

しかしゲーム業界全体で見ると、米国や中国勢の進出もあり、世界市場の中での日本勢は苦戦を強いられているところが少なくない。

ポケモンのような優れたIPをゲット出来るかがカギとなる。

個人投資家へのアドバイスとしては、まずゲームをやってみること。

ポケポケをやってみて面白いと思った人は、去年の10月、1700円台でDeNA株を買えていた。

逆に、日ごろゲームで遊ばない人は、流行るか流行らないかの見極めが難しいかもしれない。

【5】「建築・資材」の業界は?

清水建設など建設大手の株価は上昇基調が鮮明。

ただし投資家として気をつけたいのは、会社によっては無理して受注してしまうケースが散見されること。

たとえば麻布台ヒルズのレジデンスB棟は、23年3月に完成の予定だったが、2年以上遅れてしまって、まだ完成していない(25年8月完成見通し)。

大深度地下工事を伴う超高層物件で、地下工事が想定と違ったとか、工法の大幅変更もあったようだ。

いずれにせよ、これを請け負った三井住友建設は、麻布台ヒルズに関連する損失だけで累計で757億円に上ると発表している。

こうしたことが起きると株価を直撃するので注意が必要。

難しい麻布台ヒルズの案件は、長期的に見れば、会社の成長に大きく寄与したと思われるが、株式市場は直近の決算の数字を重視してしまうようだ。

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2025年1月28日 (火)

DeepSeek

DeepSeekは、中国のリアン・ウェンフェン氏(Liang Wenfeng;梁文锋)によって設立されました。

リアン氏は1985年、中国・広東省、湛江市の生まれ(今年40歳)。

浙江大学でエンジニアリングの学士と修士を取っています(米国で教育を受けた訳ではありません)。

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 (リアン氏;出所:Corriere della Sera)

2008年、彼は浙江大学(大学院)の修士課程在学中にクオンティティブ・トレーディング(以下、QT)に興味を持ち始めます。

QTは、コンピューターアルゴリズムや数学モデルを用いて、金融市場における利益の機会を見つけ出す投資手法。

級友たちと金融市場のデータ収集を開始し、更に機械学習をQTに組み入れることを試みるようになります。

その後、紆余曲折を経て、2015年に他のエンジニア2名と共にヘッジファンド『High-Flyer社』を設立。

数年後、High-Flyer社のside-projectとしてリアン氏が始めたのが、DeepSeekでした。

2023年5月にHigh-Flyer社が100%出資する形で、DeepSeekを株式会社として設立。

リアン氏が創設者となり、彼がCEOも務めています。

その2年前、すでに2021年からリアン氏はエヌビディアのGPU(中国向け廉価版)を買い集め始めていたとのことです。

23年5月の時点でDeepSeekは1万個のエヌビディアA100 GPUを調達。

その後、DeepSeek V2、V2.5、V3と矢継ぎ早に新しいVersionを発表。

1月20日公開のR1はV3の派生モデルと言われています。

DeepSeek-R1が如何に衝撃的であるかは、『こちら』のASCIIの記事をご覧ください。

米国のあるヘッジファンドマネージャーが

『AI時代では、どの会社(への投資)がsafeということはない』

『思わぬところから天才が出現して、ゲームをひっくり返す』

とコメントしていたのが印象的でした。

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2025年1月10日 (金)

投資に役立つ、読書の効用

 『シタデルなどのヘッジファンドは人工衛星からのデータを利用しながら投資判断を下しているという。

ウォルマートなど全米のスーパーマーケットの駐車場の衛星画像から、消費者の行動を把握。駐車場がかなり埋まっていれば景気はよく、

逆に空きが多くなると消費者は買い控えている証拠だ。

こうして彼らは政府統計が発表される前に消費者の行動や景気動向を入手、一歩先のトレーディングを行っている』

* * * * *

日経新聞(電子版)に寄稿しました(『こちら』)。上記はその一節です。

同記事が、日曜日に発売になる日経ヴェリタス紙にも掲載されます。

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2025年1月 8日 (水)

辰巳天井?

今週月曜日は日経CNBC『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

トピックスは「2025『巳年天井』突き破る」。

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2025年はどんな年になるのか、今年のマーケットを予想するという番組でした。

以下、キャスターの曽根さんからの質問とそれに対する私の答えです(頭に残っている記憶に従って書いたものです。詳しくは『こちら』をご覧ください)。

【1】2025年のマーケットはどうなるか。その理由は?

日本企業の業績は引き続き良いと予想されるので、株価も堅調に推移すると予想される。

ポイントは3つ。

1)経営者は益々株価を意識するようになってきている。

自らの報酬も業績連動型で決められ、しかも自社の制限株式で報酬が支払われるケースが増えてきている。

2)ファンドの動きが引き続き活発。

非効率経営をしていた経営者もファンドの建設的な提案を無視できなくなってきている。

同意なき買収も出てくるようになってきた。

『このように経営した方が御社の企業価値はもっと価値が高まりますよ』というファンドの建設的提案は納得性が高く、無視できないものが多くなってきている。

3)日本企業にもAIを使ったデジタル化の進展の波が押し寄せてきた。

事業運営の効率化が期待される。

【2】日本の政策金利はどうなるか。

植田総裁はひじょうに手堅く、かつ慎重に政策を進めている。

今後も政策運営においては「サプライズが無い」ということが期待できる。

市場との対話も上手くいっていると思え、12月記者会見の『あともうワンノッチ(1段階)ほしいところ』とのコメントも分かりやすかった。

要は、利上げに向けて、もう少し判断材料があれば、利上げに踏み切れることを示したもので、その判断材料としては、(1)春闘の動向と(2)トランプ政権がどうなっていくかということだろう。

全体としてみると25年1年間にあと2回ほど利上げがあると見ている。

【3】為替はどうなるか。

ポイントは米国のインフレがどうなっていくかにある。

我々の多くは暗黙裡のうちに、米国のインフレが2%に向けて収束していき、FRBは今年1年間であと2回利下げすると考えている。

しかしコアCPIはなかなか下がっていかず、むしろ8月につけた3.2%に比して、現状若干上昇して3.3%になっている。

アポロという米国で著名な投資ファンド(NYSE上場)が2025年のリスクを発表したが、彼らは4割の確率で、米国のインフレが再燃しして、FRBは2025年中に利上げすることを余儀なくされると見ている。

4割の確率ではあるが、もしも仮にそういった局面に陥れば、為替はかなりのドル高に振れるかもしれない。

【4】トランプの政策は?

ポイントの1つは減税。

実は、現在の米国では2018年に施行された減税法(TCJA)が続いている。

これは第1期のトランプ政権で策定された時限立法で、本来、今年中に失効することになっている。(仮に失効すると70%の世帯で増税となる)。

トランプはこの時限立法を延長するか、恒久化させると考えられている。

ただそうなると向う10年で4.6兆ドルもの財政への赤字効果が出る。

つまり政府を効率化させて、支出を抑制して、減税を支える必要がある。

DOGE(米国政府効率化省)を率いるマスク氏は現在428もの政府機関があると発言して、政府のスリム化に意欲を示す。

マスク氏はツイッターを買収した後、従業員の7割以上を削減した。

はたして、どこまで連邦政府を効率化できるかがポイントとなる。

【5】日本の投資家に向けてのメッセージは?

世界を見渡すと、欧州や中国は問題を抱えており、引き続き米国1強の時代が続くと思う。

日本は、企業の業績は堅調で、株価的にはあまり心配していないが、昨年末、気になるニュースが2つあった。

1つは、昨年12月23日に内閣府が発表したニュースで、日本の一人当たりGDPが韓国を下回ったというもの。

もう1つはニッセイ基礎研究所が12月26日に発表したニュースで、日本全体のGDP(1人当たりではない)が、カリフォルニア州(人口3800万人)のGDPを下回ったというもの。

つまり日本の場合、上場企業は比較的元気だが、経済全体としてみると、基礎体力がなくなってきている。

民間の力を活性化させ、国全体として底上げを図る必要があるように思う。

 

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