2026年3月 1日 (日)

イランの話

昨日、新宿の高層ビルの一室で、セミナー講師として講演をしていました。

「何が起こるか分からないのが金融の世界です。投資家としては、『まさか』といった事態を想定し、それがどのくらいの蓋然性なのかを常に意識しておくことが重要です」

「いまこうして話していますが、数時間後にはアメリカがイランを攻撃していることもあり得る訳です」

これを話した1時間後、イラン現地時間で土曜日の午前8時10分、イスラエルと米国によるイランへの大規模攻撃が始まりました(NYタイムズなど複数のメディア報道による)。

イランでは、金曜日がイスラム教の礼拝日で、全国的に完全な休日・公休日です。

そして木曜日は、多くの場合半休または完全に休み。

オフィスなどの職場は、土曜日から始まり、木曜日までが主な勤務日です。

つまり、イラン時間土曜日の朝8時10分は、日本で言う「月曜日の朝8時10分」に相当します。

昭和の日本企業では、月曜朝8時過ぎに朝礼や会議が始まるのが当たり前でした。

まさに「平日スタートの勤務時間帯」に、攻撃が仕掛けられたわけです。

通常、空爆は夜間に行われ、ステルス性や奇襲効果を最大化するのがセオリーです(過去の米軍ベネズエラ攻撃などもそうでした)。

ところが今回は違う。

米メディアによると、攻撃側は数ヶ月前から標的リストを作成しており、特に「政府高官や軍幹部が一箇所に集まるタイミング」をピンポイントで狙ったと言われています。

* * *

話は少し変わりますが、約10年前、私は日経ヴェリタスに「Money Never Sleeps」というコラムを連載していました。

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(写真はイラン・イスファハン(Esfahan/Isfahan)にあるシャー・モスク。『the diary of a nomad』さんのサイトより拝借しました。『こちら』です)。 

その中で、イランからアメリカに移った友人のエピソードを書いたことがあります(以下、2016年9月11日発売の日経ヴェリタス・コラムの文章を一部掲載)。

「先日、米国での高校時代に一緒だったイランからの留学生ミミ(英語のニックネーム)から44年ぶりに近況報告と題するメールを受け取った。

『米国の高校を卒業した後、私はテヘランに戻り、現地の大学を出て結婚しました。

しかし1979年にイラン革命が起きるとイランにいられなくなりました。

私の父がパーレビ朝の皇帝(シャー)の下で軍の幹部を務めていたからです。

私たち家族は命からがら米国に逃げてきて、以来ずっと米国で暮らしています。

7年前のことですが、私は30年ぶりに祖国を訪れました。

テヘランの街はすっかり変わっていました。

革命政府は、通りの名前さえも変えてしまっていたからです』」

ミミには、イランで生まれた長女と、アメリカで生まれた二人の娘――合計3人の娘さんがいます。

3人ともアメリカ人と結婚し、アメリカで暮らしています。

時々、娘たちや孫たちに囲まれた幸せそうな写真が送られてきます。

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2026年2月25日 (水)

危機の予兆はあるのか?

数か月前のことです。日本に観光で来ているAさんご夫妻から連絡が入りました。

「あなたの友人のBさんからお土産を預かっています。明日にはグアテマラへ帰るので、今晩ホテルで会えませんか?」

Bさんは、高校時代に出会ったAFS留学の仲間。グアテマラから来て、隣町の高校に通っていました。

Aさんご夫妻とはこのときが初対面でしたが、ホテルのロビーで40分ほど立ち話。

私はグアテマラについてほとんど知識がなく、「大西洋に面しているのですか?」などと恥ずかしい質問を連発してしまいました。

実際には、グアテマラは太平洋とカリブ海の両方に面しています。

気候も想像していたほど暑くはなく、首都グアテマラシティは年間を通じて20〜25℃前後の穏やかな「常春」の気候だそうです。

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ところで、話はガラリと変わりますが、最近の市場で話題となっている Blue Owl Capital(『こちら』)。

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同社の株価は、ここ1か月で約31%下落(『こちら』)。

さらに先週、同社が運営するプライベートクレジットファンドについて、解約請求の受け付けを停止すると発表しました。

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このニュースを受け、市場関係者の間では、

「パリバ・ショックの再来ではないか」

「炭鉱のカナリアではないか」

といった声が急速に広がっています(『こちら』)。

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時計の針を戻して、2007年8月。

今から約19年前、私は仕事でプラハに滞在していました。

ホテルに戻りテレビをつけると、BNPパリバ が傘下ファンドの解約・償還の凍結を発表。

いわゆるパリバ・ショックです。

その時点では、これが世界的な金融危機の序章になるとは、ほとんど誰も想像していませんでした。

ところが、その約1年後、リーマン・ショック へと発展していきます。

では今回の「青いフクロウ」は、炭鉱のカナリアなのでしょうか。それとも、心配しすぎなのでしょうか。

正直なところ、答えは分かりません。

ただ、現在の市場を見渡すと、プライベートクレジット問題に加え、中東情勢の緊張(ホルムズ海峡封鎖リスク)、政治・地政学リスクなど、不安材料は少なくありません。

それにもかかわらず、株式市場は高値圏にあります(本日の日経平均は史上最高値を更新)。

これは市場の底力と見るべきなのか、それとも、別の何かを示唆しているのでしょうか。

2007年8月9日、パリバ・ショック当日の ダウ平均株価 の終値は13,270.68ドルでした。

その後、株価はむしろ上昇を続けます。

8月31日:13,357.74ドル

9月28日:13,895.63ドル

10月9日:14,164.53ドル(当時の史上最高値)

しかし、この高値を更新するには、2013年3月5日まで、約5年半を待たなければなりませんでした。

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2026年1月 2日 (金)

超高齢社会のエキスパート12人に聞いた  老いと向き合う生き方

大晦日を目前にしたある日、編者の相川さんから一冊の本が届いた。

『超高齢社会のエキスパート12人に聞いた 老いと向き合う生き方』――少し長いタイトルだが、正月休みはこの本を読んで過ごすことにした。

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本書には、樋口恵子さん、上野千鶴子さん、和田秀樹さんなど、よく知られた論者が名を連ねている。その中で、私にとって最も「腹落ち」したのは、高齢者住宅などに詳しい濱田孝一さんの話(本書第5章)だった。

濱田さんは、高齢者問題の核心をこう言い切る。

「(問題の本質は)85歳以上の高齢者が増えることなんです」

なぜ85歳以上がポイントなのか。

実は、75〜84歳では要介護者は全体のわずか13%にとどまるが、85歳以上になると46%にまで跳ね上がる(本書178頁)。

現在、85歳以上の人口は約696万人(『こちら』)。

それが2035年には1,000万人を超える見込みだという。

思い返せば、私の母も86歳までは一人暮らしを続けていた。しかし、その年に骨折をきっかけとして、介護付き老人ホームへの入所を余儀なくされた。2008年のことだ。

今日では多様な事業者が高齢者住宅市場に参入しているが、濱田さんの見方は厳しい。

「サービス付き高齢者向け住宅は、フロントに人がいて、簡単なお世話をするぐらいのものが中心。最期まで住み続けられるみたいなことをPRしているところが多いけれども、介護サービスは外部に頼むので、自宅に住んでいて、外部に介護を依頼するのと基本的には何ら変わらない」(本書180頁)。

さらに現在整備されている高齢者住宅の「8割ぐらいは自立した人や要支援者(岩崎注:要介護者ではない)向けの住宅」であり(本書181頁)、

「(実際に)介護が必要になった時にきちんと介護サービスが受けられる高齢者住宅は、実は全体の2割ぐらいしかない」という(本書181~182頁)。

2008年に母の入居先を探した際、私は多くの施設を回り、現場を見て、職員とも話を重ねた。その体験からしても、濱田さんの指摘は実感とぴたりと重なる。

そして、ここからが最も重要な点だ。 

濱田さんはこう続ける。 

 「要介護者向けの住宅として必要なのは介護付き有料老人ホームなんです。ただ、介護付き有料老人ホームは、この数年で30%くらいしか増えていないんですよ。逆にサ高住は8.9倍ぐらいに増えている。住宅型有料老人ホームも、3倍から4倍ぐらいに増えている。だから、要介護高齢者に適した住宅ではなくて、適さない住宅ばかりを作ってきた」(本書185頁)。

2034年、――今から8年後、団塊の世代は全員が85歳以上になる。

テレビのワイドショーやCMで目にする「高齢者住宅」に、私たちは本当に身を委ねて大丈夫なのだろうか。

本書の出版社名は「ジャーナリストの魂出版」。その名には、事業者やCMスポンサーに忖度せず、現実をありのまま伝えたいという覚悟が込められている――読み終えて、そんな思いが残った。

なお本書は1月15日に発売予定で、紀伊國屋新宿本店やジュンク堂書店池袋本店、アマゾンなどで販売されるという。

(注)キンドル版はすでにご覧になれます(『こちら』)。

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2026年1月 1日 (木)

明けましておめでとうございます

Happy New Year!

今年もよろしくお願いします。

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2025年12月17日 (水)

5.2の衝撃

先週出たChatGPT 5.2はまさに衝撃的。応答速度は速いし内容も的確。間違いが殆どありません。

今のところ性能面ではグロックを抜き去ってしまったというのが、私の感想です。

ところで話は変わりますが、エクセルやワードで入力する時、Copilotのサインが出てくるのが煩わしいと思ったことはありませんか?

このサインをクリックするとCopilotが何か言ってきますが、内容がフィットせず、まったくの徒労に終わってしまうことが少なくありません。

そこで5.2に質問してみました。

『このCopilotのサインを(どのエクセルやワードでも)常に非表示にするにはどうしたらいいでしょうか?』

5.2の答え。

『分かります。あの Copilotのアイコン/提案表示 は集中して入力したいときに邪魔ですよね。

実質オフに近づける方法はあります。

方法①:Copilot自体を無効化する(最も効果的):

Word / Excel 共通(Windows):ファイル→オプション→Copilot→「Copilot を有効にする」をオフにする→再起動(Word / Excel 両方)』。

私:『「Copilotは使えない」という声を私の周りからよく聞きます。もちろん人によっては重宝している人もいるのでしょうが・・』。

私:『ところで、マイククロソフトはブラウザーの競争でもInternet Explorer(IE)が、グーグルのクロームに敗れました。

クロームは改善を繰り返したのにInternet Explorerは改善をしっかりしなかったように思います』。

5.2の答え:『その見方はかなり本質を突いています。

結論から言うと、「技術力の差」よりも「改善の思想とスピードの差」が勝敗を分けました。

Internet Explorer(特にIE6〜8)のスタンス:「Windowsに標準で入っているから十分」

結果:「動くが遅い・古い・危ない」

Chrome:最初から「高速化・更新」を競争軸に設定。

6週間ごとの自動アップデート

また、開発者にとっても、Chromeは:Web標準重視、開発者ツールが圧倒的に優秀、バグ修正が速い、といった利点がありました』。

私:『マイクロソフトは音声入力のCortana(コルティナ)も止めてしまった』。

5.2『そうですね。Cortanaを止めたのも、今の話題ときれいにつながります』。

5.2『Cortanaは当初、PC操作、リマインダー、音声検索を狙っていましたが、「音声でPCを操作したい瞬間」がほとんどなかった。また改善速度で負けた。標準に胡座をかいてしまいました』。

* * *

私はマイクロソフトの株を(少しですが)持っているので、マイクロソフトには頑張ってほしいと思います。

Copilotの煩わしさと、ChatGPT 5.2の優秀さがあまりにも違うので、敢えて辛辣ことを書いてしまいました。

もちろん両者は用途も何もかも全然違うものなので、両者を比較した訳ではないのですが・・

いずれにせよ、

頑張れ、マイクロソフト!

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2025年11月20日 (木)

君の名は? チャッピー?

年末近くになると、2025年の『新語・流行語大賞』が発表されるようになります。

先日発表された「現代用語の基礎知識 選『2025T&D保険グループ新語・流行語大賞』」のノミネート語30は『こちら』

この中の、(30語の1つとして載っている)「チャッピー」とは「チャットGPT」のことです。

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ちなみに、この画像は、私がチャッピーに創らせた(描かせた)ものです。

チャッピーの競争相手には、グロック、ジェミニ、Claudeなどがあります。

私は通常チャットGPT(チャッピー)に聞いていますが、怪しいなと思った時には、グロックなどに確認するようにしています。

先日は新しく買ったiPhoneへのデータ移行に関して聞きました。

【チャッピーの答え】
物理 SIM(nano-SIM)を使っている場合:古い iPhone から SIM を抜き、新しい iPhone に差し替えれば電話・モバイルデータは通常すぐ使えます。

eSIM を利用している場合:eSIM はキャリア側の手続きが必要な場合があります。iPhone 同士の「クイック転送」で eSIM の移行を自動でサポートするケースもありますが、確実に移行できるかは契約内容に依存します。

【私の印象】知りたいのは、物理SIMからeSIMへの移行。チャッピーの答えは、「物理SIMから物理SIM」もしくは「eSIMからeSIM」のケースのみ。ポイントは「クイック転送」で「物理SIMから eSIM への移行」が問題なく行われるかどうか。

そこでグロックに聞いてみました。

【グロックの答え】 

iPhone 17 Proは日本でeSIM専用なので、古いiPhone の物理nano-SIMからeSIMへ変換します。 ドコモはeSIMクイック転送対応で、追加手続き不要。 Quick Start中に統合可能ですが、別途行う場合のステップをテーブルで示します。(以下、略)

と、より丁寧で分かりやすい答えが返ってきました。

このようにAIはときに競争させる(複数のAIに質問しながら、私が求める「答え」に導かせる)ことによって、より上手に使いこなせるような気がします。

上の問題ではグロックの答えの方が、私には使い勝手が良かったのですが、もちろんチャッピーが勝つこともあります。

また今日と明日ではAIの性能が違っていて、昨日よりも今日、今日よりも明日の方が賢くなっていると感じることも少なくありません。

実は、今日もチャッピーとグロックの両方に質問して、ノートPCとモニターを結ぶ「Mini‑DisplayPort ↔ DisplayPort ケーブル」を購入しました。

以前だったら、いろいろと調べて的確な製品にたどり着くのにずいぶんと時間がかかりましたが、大幅な時間短縮。

便利な時代になりました。

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2025年10月20日 (月)

アマゾンの現在地

最近ではGAFAという言葉があまり聞かれなくなりました。

スコット・ギャロウェイ教授の『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』が日本でも翻訳出版されたのは、2018年。

この4社の動向から時代を読み解けたのは、せいぜい2020年代初めまでだったように思います。

2022年にChatGPTが一般公開されると、人々は「AIが将来の我々の生活を一変するのではないか」と考えるようになりました。

そして株式市場もAIの視点から企業を評価するようになります。

それはあたかも産業革命の時代に、どの馬車や馬具が有能かを競うよりも、来るべき鉄道や自動車の時代に活躍することになる企業を評価するような動きでした。

すでに時価総額のランキングを見ると、GAFAの一員ではなく、エヌビディアが世界第1位になっており、ブロードコムも第7位にまで順位を上げてきています。

またGAFA4社の間でも、AIに対してどう取り組んでいるか、AI時代にどう力を発揮できるかといった視点で、評価されるようになっているように思います。

その結果、過去5年間の株価推移を見ると、

グーグル 3.3倍

メタ   2.7倍

アップル 2.1倍

アマゾン 1.3倍

(注:S&P 500  1.9倍)

と、かなりの優劣の差が出てきてしまいました(上記は2020年10月20日の株価と現在の株価との比較です)。

この数字の意味を探る前に、アマゾンという会社の価値はどこから来るのかを見てみましょう。

ネット販売やプライムビデオで知られるアマゾンですが、企業価値という視点で見ると、クラウド事業のAWSが、会社全体のOperating Income の約6割(25年Q1、Q2の合計値をベースに算出)をあげています(『こちら』)。

Free Cash Flow(FCF)のセグメント情報は公表されていませんが、アナリストの分析などから、AWSが会社全体のFCFの70~90%を占めると見なされています。

つまりアマゾンの企業価値は「AWSから来る」と言っても過言ではないような状況にあります。

そのクラウド事業(AWS)ですが、AWSはいまなお世界最大のシェア(推定31%)を誇るとはいえ、下図が示すように、背後から、マイクロソフト(Azure)やグーグルがひたひたと追い上げてきています(なお下図はSynergy Research Group社のサイトから転載したものです)。

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アマゾンの株価が市場平均以下のパフォーマンスしかあげてこられなかったのは、この辺に要因があるものと考えられます。

そしてその背景にあるのが、AIインフラとしてのクラウド事業です。

たとえばマイクロソフトはオープンAIと提携し、『Azure OpenAI Service』というクラウドベースのAIサービスを提供することで、クラウド業界におけるシェアを着実に拡大してきています。

一方のAWSは、以前はどちらかというと守勢に回っていたと見る向きが多かったように思います(それが株価にも反映されていました)。

しかしながら、近年はAIインフラ面で攻勢を強めています。

AWSは「AIの土台となるクラウドサービス」である AWS Bedrock を通じて、Anthropic Claude、Meta Llama、Stability AI など、多様なファウンデーションモデルを提供しています。

顧客企業の開発者は、BedrockのAPI(AIとやり取りするための窓口)を利用することで、自社のアプリやシステムにチャット、検索、要約、画像生成などのAI機能を簡単に組み込むことができます。

また、AWSは自社開発チップ『Trainium』シリーズを展開しており、特に最新の Trainium 2 は、エヌビディアのハイエンドGPUに比べて単体性能では劣る面もあるものの、トレーニング時の電力効率やトータルコストで優位性を狙っています。

最近ではAnthropicが、AWSの自社開発チップ(Trainium 2)を用いた超大規模トレーニングクラスタの稼働を開始したとも伝えられており、AIインフラとしてのクラウド事業において、最終的に誰が勝者となるかは、まだ未知数のように思います。

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2025年8月13日 (水)

メタ、AI事業の現在地(その3)

(続きです)

AIの賢さを高めるうえでは、単調で地道なラベル付け作業が欠かせません。

スケールAIは、こうした単純なラベリング業務をアフリカや南アジアなどの労働者を安価に雇って行わせてきました。

なお単純なラベリング業務の実態については、NHKが『BS世界のドキュメンタリー』で『AIの不都合な真実』と題して報道したこともあります(『こちら』)。

スケールAIが行うのは、単純なラベリング業務だけではありません。

AIが進化するにつれて、より高度で専門的なトレーナー業務も必要となります。

これには先進国の大学院生やエンジニアたちが当たってきました。

彼らの時給は比較的高く、日本の場合で約4600円の例が報道されています。

彼らはアルバイトとして雇われ、すき間時間を使ってトレーナー業務に従事します。

こうしてスケールAIは、マイクロソフトやオープンAI、トヨタ自動車などの顧客企業に対して、ラベル付けやAIトレーナー業務を提供してきました。

そしてAIインフラの中核を担う存在として評価されてきました。

スケールAI社は、22年5月の段階で未公開企業としての評価額が70億ドルに到達。

ワン氏は25歳にして「ビリオネア」(資産10億ドル以上)になったと報じられました。

そして25年6月、メタは約2兆円を投じてスケールAIの株式49%を取得しました。

このディールによって、ワン氏はスケールAIのCEO(最高経営責任者)職を配下のジェイソン・ドロージ氏に譲ります。

そして、自らは「スケールAI社」の取締役に退きつつ、「メタ社」のチーフAIオフィサーに就任したのです。

これまで(5月末まで)メタのAI開発を率いてきたピノー氏は、査読付き論文200本以上を発表してきた世界的なAI研究者です。

対するワン氏は、ラベリングを中心とするAIインフラ分野で実績を上げてきた起業家。

メタのCEO、ザッカーバーグ氏としては、AI事業のテコ入れを図る上では、学者ではなく、起業家としての突破力と実行力が必要だと考えたのでしょう。

2兆円を投じたメタの「大胆な一手」は、はたして成功を収めるのでしょうか。

株式市場はまだその行方を見定めている段階です。

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2025年8月 8日 (金)

朝日新聞東京本社本館

朝日新聞東京本社ビル(本館)1階に本社受付があるのですが、

そのすぐ脇の写真。

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なんか変です。

この画像をチャットGPTに見せたら、画像を読み込んで違和感の原因を指摘してくれました。

【以下はChatGPT-5(早速使ってみました!)の答え】

はい、この画像には英語の文法的な不自然さがあります。

窓に書かれている文は:

We accelarate your business to make the world better.

ですが、"accelarate" は誤字で、正しくは accelerate です。

正しい文章例:

We accelerate your business to make the world better.

つまり、スペルミス("accelarate" → "accelerate")があるのが一番目立つおかしな点です。

このままだと「世界を良くするためにビジネスを加速する」というかっこいいスローガンが、ちょっと惜しい感じになってます。

【以上がChatGPT-5の答えです】

朝日新聞は自社の玄関の脇ですので、早く直すように手配した方がいいです。 

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English translation of Aug. 6 entry

This is English translation of my August 6 entry.

* * * * *
Eighty years ago, on August 6, the first atomic bomb in human history was dropped.

Over a hundred thousand lives were taken in Hiroshima.

Today is August 6.

And on this day, I am reminded of a story from my youth.

When I was in high school, I studied abroad in the United States for one year through AFS program.

I often spoke at community events, as I was “an exchange student from Japan”.

After each speech, people would ask questions.

Some were lighthearted:

“What’s your favorite American food?”

When I once answered, “Rice,” the room burst into laughter.

But there were other questions as well.

“What do you think of HIROSHIMA, the atomic bombing?”

I told them—

The horror of the atomic bomb is not only in the instant destruction,

not only in the hundred thousand lives taken in a flash,

but also in what comes after.

For the survivors, the risk of leukemia and other cancers rises for years to come.

For those exposed while still in the womb, disabilities could appear later in life.

And almost always, the response from the audience was the same:

“I never knew that.”

And I realized something.

We Japanese must do more to share the truth—

the full truth—

about the horror and the cruelty of the atomic bomb.

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2025年8月 6日 (水)

晩発性障害

『メタ、AI事業の現在地』の続きを書こうと思ったのですが、8月6日ですので、これに関する話題をひとつ・・。

AFSで留学していた高校時代の話です。

私が留学していたニューポートビーチ市は全米有数の富裕層が住む地域でした。

ボランティア活動などの社会的活動も活発で、寄付を募るためのランチやディナーも数多く催されていました。

「日本から来た留学生」ということで、当時の私は、これらの会合に招待され、スピーチを求められることもよくありました。

スピーチの演題は様々でしたが、多くの場合、終わった後で質問が寄せられます。

『あなたが好きな米国の食べ物は何ですか』と問われ、『Rice』と答えると、みんな大笑い・・。

中には『米国による原爆投下をどう思うか』といった質問も寄せられました。

『原爆がもたらす恐ろしさは一瞬にして10数万人の命を奪ってしまうことだけではない。

たとえ生き延びても、白血病やその他の癌が、何年か後に襲ってくる可能性が高くなる。あるいは胎内で被爆した場合にも障害が現れることがある』

こうした晩発性障害や胎内被爆の説明をすると、米国人からは異口同音に、

『それは知らなかった』

といった反応が返ってきました。

我々日本人は原爆の恐ろしさ、残酷さについて、もっときちんと発信していかなければならない。

高校生としてそんな感想を持ったのを思い出します。

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2025年8月 5日 (火)

メタ、AI事業の現在地(その2)

今年4月に予定されていた「ラマ 4」の最上位モデル「ビヒモス」の発表延期。

いまメタ社のAI開発の最前線で何が起きているのでしょうか。

メタ社で起きている幹部社員の大胆な入れ替えも話題を呼んでいます。

今年5月30日付にて、メタのAIリサーチ部門のトップだったジョエル・ピノー氏(バイスプレジデント)が退社。

後任として6月30日付で28歳のアレキサンダー・ワン氏が新たにチーフAIオフィサー(CAIO)に就任しました。

彼は、新設のスーパーインテリジェンス研究所のトップにも就いています。

メタのAIを新たに率いることになったワン氏とは、どんな人物なのでしょうか。

アレキサンダー・ワン氏は中国系移民の両親のもと、米国で生まれました。

両親は共に原子核物理学者で、ロスアラモス国立研究所で勤務しています。

ワン氏は幼少期から英才教育を受け、幼稚園に入るころには大学レベルの物理学を学び始めたとのこと。

MIT(マサチューセッツ工科大学)に進学するも1年で中退し、2016年、19歳で「スケールAI」を創業しています。

スケールAIは、AI開発に不可欠な「データへのラベル付け」を専門に行う企業です。

例えば、自動運転車の開発では、AIが歩行者と路上の紙袋を正しく識別できるようにしなければなりません。

そのために、大量の映像データに対して「これは歩行者」「これは紙袋」と人手でラベルを付け、これをAIに学習させることが必要とされてきました。

この単調で労力のかかる作業を事業として確立させたのが「スケールAI」社です。

同社は早期にこの分野へ参入し、人員を大量に確保することで競争優位を築いてきました。

ネット上で、単発ベースで仕事を請け負う人のことをギグワーカーと言っていますが、

スケールAIはギグワーカーを積極的に利用。

「リモタスクス」と「アウトライヤー」という2つの子会社を通じて、なんと世界中で24万人以上のギグワーカーを雇用しているのです。

この事業を19歳で始めて、成功を収めてきたのが、現在28歳のワン氏なのです。

(以下、次回に続きます)

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