2022年9月23日 (金)

なぜウォーレン・バフェットは市場を予測しないのか?

元々はペプシの愛飲者だったウォーレン・バフェット。

なぜ彼はコカ・コーラにスイッチしたのか。

そしてバフェットが「そもそも市場がどうなるかを予測したことがない」と語る真意とは・・?

本日の日経新聞(電子版)に寄稿しました(明後日の日経ヴェリタス紙にも掲載されます)。

『こちら』です。

Coca-cola

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2022年9月21日 (水)

投資信託(続き)

以下、質問とそれに答える形で書いていきます。

* * *

1.なぜ米国では投資信託が普及してきたのか?

401Kの存在が大きい。

米国の就業者の3人に1人が401K(年金資金積立制度)で「積み立て」をしている(『こちら』及び『こちら』)。

日本でも日本版401Kと呼ばれる確定拠出年金が導入されたが、企業型とiDeCoOを合わせても就業者の14%を占めるに過ぎない。

制度の充実ぶりも違う。

米国の401Kでは年間、約300万円まで非課税で積立可能(50歳以上は約380万円)。

これに対して日本では企業型の場合、上限が年66万円、iDeCoの年間上限は自営業者の場合で81.6万円。

2.分配金の出る投資信託と、出ない投資信託 ー どちらが良いか

人によって好みの違いはあるのだろうが、分配金でもらってしまうと、複利効果は期待できない。

分配金を払わないもの(無分配型)はその分、分配金相当額が運用され、基準価額に反映される。

また分配金には約20%の税金が源泉徴収される。

「無分配型」では、少なくとも今は税金がかからないという、「課税の繰り延べ効果」も期待できる。

3.バフェットがオマハでファンドを始めた時に投資した人は相当のリターンを上げていると聞くが・・?

バフェットがバークシャー・ハサウェイ社を買った後のバークシャーの株価推移で見てみる(それ以前に投資した人はもっと巨額のリターンを上げていることになる)。

バフェットがバークシャーをコントロールした後の株価を追うと、約36,000倍になっている。

つまり1965年当時100万円を投下した人は、現在364「億円」を手にしている(為替の影響は考慮せず)。

92歳になった今でもバフェットは機敏に投資判断を下している。

新型コロナが蔓延すると見るや、ただちに持っているエアライン(航空会社)株を全額売却。

今年に入ってからは石油会社(Occidental Petroleum)の株を積極的に買っている。

* * *

なお昨日出演した日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』ですが、『こちら』で動画をご覧頂けます。

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2022年9月19日 (月)

投資信託

日銀の資金循環統計によると、家計部門の金融資産は2005兆円(『こちら』)。

日本人の人口(8月発表分)122,444千人で割ると1人当たり1637万円。

これを多いと見るか、少ないと見るか・・。

ところで、何回も報じられてきたことですが、日本人は金融資産を現預金中心にして持っています。

すなわち2005兆円の金融資産のうち、現金預金が54.3%。

株式は204兆円で全体の10.2%。

投資信託(91兆円)は4.5%を占めるに過ぎません。

* * *

『株式は単一銘柄で持つと値下がりリスクが怖いけど、投資信託なら複数銘柄がパッケージにされているので、幾分安心、しかし手数料は?』

一般的には、投資信託に対して、こういった印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

投資信託の手数料には(1)購入する時に取られる「購入時手数料」、(2)保有している間ずっと取られる「信託報酬」、(3)解約(売却)時に取られる「信託財産留保額」の3つがあります。

しかし(1)と(3)については、これをゼロとする投資信託も出現するようになっています。

とくに(1)についてゼロとする販売会社(証券会社など)は、ノーロードと称して積極的にPRしています。

しかしこれは彼らにとって、報酬ゼロでの販売を意味している訳ではありません(慈善団体ではないので)。

実は、(2)の「信託報酬」は、委託会社、販売会社、受託会社3者に対して分け前が配分されます。

つまり販売会社は信託報酬の中から自分たちの分け前をきちんと得ています。

ところで、最近では「野村スリーゼロ先進国株式投信」のように、

「(1)、(2)、(3)とも全てゼロにする」といった投資信託も出てきています(『こちら』)。

3つともゼロだとすると、販売する金融機関や運用する金融機関は「いったいどこで収益を上げるのか」、疑問に思われるかもしれません。

野村スリーゼロの場合は(2)がゼロなのは2030年末までと期間限定となっています。

* * *

さて投資信託を購入する場合、どこに気を付けるべきでしょうか。

(A)過去の実績を見て、納得がいくものかをチェック

株価指数(TOPIX、S&P500など)に連動する運用を目指すインデックス・ファンド(パッシブ・ファンドとも言います)については、ベンチマーク(運用する際に目標とする指数)にきちんと連動しているか。トラッキング・エラー(ベンチマークに対する「運用誤差」「乖離度合い」)がないか。

独自の運用を目指すアクティブ系のファンドの場合、指数以上のリターンを上げているかどうか(例:米国株式を多く組み入れるファンドであれば、S&P500以上のリターンを上げてきたかどうか)

なお過去の実績をチェックする場合、10年間といった長期だけでなく、例えば今年2月以降の基準価額の変化をチェックすることもお勧めします。

過去10年は米国のアップルなどテクノロジー株を組み入れたところが高いリターンを出しました。

しかし今年に入っての下げ相場で、そういったファンドはどういったパフォーマンスを上げているのか。

アクティブ系の場合、少なくとも(例えば今年の2月1日以降で見て)S&P500以上のリターンを上げていることを期待したいところです。

ちなみにS&P500の場合、2月1日 4546.54 → 9月16日 3873.33 ですが、円ベースでは523,580円 → 554,312円と7か月半で 5.9%上昇しています。

(B)手数料はどうか

とくに上記(2)の信託報酬は、投資信託を保有している間ずっと取られるので注意が必要。

たとえ年率1%であっても10年持てば10%になります。

この手数料ゆえに、多くのアクティブ系ファンドは指数に負けてしまうといった結果に陥ってしまいます。(もちろん指数以上のパフォーマンスを上げている投資信託もたくさんあります)。

なお手数料としては上記(1)、(2)、(3)のほかに、「その他の費用、手数料」もかかります。

具体的には保管費用、監査費用、株式売買手数料などですが、これは目論見書においては具体的金額が明示されていません。

運用報告書を見て、これまでの実績値として、どのくらいかかったのか、頭に入れておいた方がいいと思います。

(c)ETFも検討してみる

投資信託は買う時も売る時も、注文を出してから幾らの基準価額で約定できたのか、マーケットが終わって数時間しないと分かりません(翌日や翌々日に報告されてくるケースも多くあります)。

一方、ETF(上場投資信託)の場合は、普通の株式取引と同じように相場を見ながら売買出来て、指値も出来ます。

指数に投資することを目的にインデックスファンドを選ぶならば、ETFに投資することを考えてみても良いと思います。

ETFは幾つもありますが、例えば米国株の指数に投資する場合、ファンドの純資産額やGross Expense Ratio(経費)などを考えて、ティッカー・コードで、SPYや VOO (いずれもS&P500に連動)、DIA(ダウ平均に連動)などが良いかと思います。

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2022年9月 8日 (木)

海外株への投資

少し前の記事ですが、今年6月6日の日経新聞(『こちら』)。

『日本の個人マネーが海外株に殺到している。

国内の投資信託を経由した海外株への投資額は2021年に8兆3000億円に膨らんだ。

日本株への投資額(280億円)の300倍近くにのぼる。

資本効率などで優れる海外企業を選好しているためだ。

家計の資金が海外に逃避する「キャピタルフライト」の気配もあるようで、危うさが見え隠れする』

さらに記事は続けて、

『21年の日本国内の株式投信を通じた海外株投信への純流入額のうち、米国株はその9割程度を占めるとみられる』

たしかに今後の成長力という点からすれば、日本への投資よりも米国企業への投資の方がリターンを生みそうです。

なによりも日本の人口は21世紀末には現在の半分以下の5972万人(高齢化率38.3%)になると予想されます(令和2年国土交通省「国土の長期展望」資料、『こちら』)。

もちろん日本の企業も海外市場に活路を求めるところが多くなっているのですが・・。

* * *

ところで、一部には、米国株のインデックスに投資しておけば大丈夫とばかり、盲目的に米国株インデックスを信仰している人もいます。

おそらくは長い目で見れば、株式投資の中では米国株インデックス(S&P500、またはダウ平均)がいちばん安心できるのだとは思います。

しかし投資とはやはりリスクを伴うもの。

リスクを伴うからこそ、リターンを(おそらくは)望めるのです。

以前、日経新聞(および日経ヴェリタス新聞)に寄稿しましたが(『こちら』)、

大恐慌(1929年)の時に米ダウ平均株価は下落しましたが、

元の水準に戻るのに25年間もかかりました。

リーマンショックの時は5年半かかっています。

こう書くと、

「大恐慌とリーマンショック、この2つは特別でしょう」

という人もいるかもしれません。

たしかにこの2つは特別なのでしょうが、株式投資に盲目的信仰は禁物です。

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(Sun Valley Lake and Bald Mountain. PHOTO: NILS RIBI)(Photo from Travel & Leisure

* * *

ウォーレン・バッフェトは1999年に「サン・バレー会議」(『こちら』)で次のように説明しました。

『1964年末のダウ平均:874.12

17年後の

1981年末のダウ平均:875.00』

『この17年間、経済の規模は5倍になりました。

フォーチュン500の売上は5倍以上成長しました。

それなのに、17年のあいだ、株価はほとんど動いていないのです』

(以上、A・シュローダー著『スノーボール(ウォーレン・バフェット伝)』(『こちら』)より)。

ちなみにバフェットのサン・バレーでのスピーチは後に語り継がれるようになりました。

ご関心のある方は上記著作に目を通しておくことをお勧めします。

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2022年9月 3日 (土)

民衆の勝利

伝統にあぐらをかいていては、やがては衰退する。

求められるのは常に革新を呼び起こし前進すること。

コカ・コーラの経営首脳はこう考えて結論を下したのかもしれない。

(以下、キーオ著 The Ten Commandments for Business Failure より)

* * *

当時、アメリカでペプシの販売数量が増えていた。

なぜか。

広告費や物流の問題でないのはたしかだ。

問題は何か別の部分にあるはずだ。

もしかすると100年近い伝統のある商品そのものに問題があるのではないか。

すぐに20万人(!)を対象に味覚テストが実施された。

製品名を示さずに、2種類の飲料を飲んで比較してもらう。

1つは現状のコカ・コーラ。

もう1つは甘みを濃くしたもの。

テストの結果は明らかだった。

甘みを濃くした方が評価が高かった。

当時のゴイズエタ会長も私(キーオ社長)も、原液の配合を一新する根拠は十分にあると考えるに至った。

コンサルタントと専門家の意見もこの考えを後押しした。

もちろん、それだけでは足りない。

さらに大量のテスト、そしてさらに大量の専門家。

フォーカス・グループ(マーケティングリサーチの一手法)、試験販売、ランダム・サンプル調査・・。

どの調査でも甘みを濃くした方が、いつも勝者になった。

そうして鳴り物入りで発売されたニュー・コーク。

1985年のことだ。

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  (From Wikimedia Commons)

街には楽団をくりだし、空にはアドバルーンを浮かべ、その他、あらゆる広告手段を総動員して、ニュー・コークの発売を後押しした。

メディアも積極的に取り上げ、世界的な大ニュースとなった。

その結果・・・

発売直後から、コカ・コーラのアトランタ本社には抗議の電話が殺到するようになり、その数が増え続けて、回線が一杯になった。

数週間の間に、40万を超える電話と手紙が殺到し、すべてがニュー・コークに反対するものだった。

ここで動揺してはいけない、方針を堅持すべきだと、専門家は助言した。

しかし、85歳のおばあさんが老人施設から電話をかけてきた。

たまたま会社のコール・センターを訪問していた私(キーオ社長)が電話を受けた。

「お若い方、わたしが若かったときの記念の品をもてあそんでいるのです。

コークが私にとってどんな意味を持っているのか、お分かりですか」

はっきり分かった。

問題は味覚ではないし、マーケティングですらない。

あれだけの専門家、あれだけのデータはすべて、誤解のもとだったのだ。

これは人びとの心の奥底の問題だ。

* * *

間違ったら、すぐにそれを認め、それを正す。

それがリーダーにとって必要なことだ。

ABCテレビでは人気番組が放送されている最中に、これを中断して、アンカーのピーター・ジェニングスが登場。

「コカ・コーラがもとの成分に戻る」

と報じた。

以下、再び、上記著作から。

『大企業が決定を下し、民衆が抗議し、大企業が間違いを認め、民衆が勝利したのだ。

消費者は競ってコカ・コーラを買い、売上は急増した。

われわれの間違いを許してくれただけでなく、ますます好きになってくれたのである』

* * *

ドナルド・キーオ著『ビジネスで失敗する人の10の法則』

面白かったです。

なぜこんな面白い本にもっと早く気がつかなかったのだろう・・。

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2022年8月27日 (土)

パウエル議長のスピーチ

マス釣りで有名なワイオミング州ジャクソンホール。

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1982年、FRBカンザスシティは、ポール・ボルカーFRB議長(当時)がフライ・フィッシング好きであることを知り、ここで会議を開けば議長に来てもらえると考えました。

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そして首尾よく議長を招くことに成功しました(詳しくは『こちら』)。

以来、毎年、ここでFRB議長がどんなスピーチをするのか、注目されるようになりました。

* * *

今年のパウエル議長のスピーチは、8分53秒という短いもの。

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『こちら』でスピーチの動画を再生し、ご覧いただくことが出来ます。

「英語が苦手だ」という方にお勧めなのは、スピーチの原稿が公開されていますので、原稿を目で追いながらスピーチを聞くという手法。

ただ単に英語の原稿を読むよりも(目と耳の両方ですので)頭の中に効率的にメッセージが入ってくるような気がします。

原稿は『こちら』でご覧いただけます。

(YouTubeの動画で英語字幕を出すことも出来ます。)

以下、ポイントとなる箇所を順を追って記しますと:

(1)今日の私の発言は従来よりも短く、焦点を絞ったもので、メッセージは直截的なものになるだろう。

Today, my remarks will be shorter, my focus narrower, and my message more direct.

(2)高い金利は家計やビジネスに痛みをもたらすだろう。残念なことに、これらはインフレを低下させる上でのコストだ。しかし物価安定を取り戻すことの失敗は、はるかに大きな痛みを意味することになるだろう。

they will also bring some pain to households and businesses. These are the unfortunate costs of reducing inflation. But a failure to restore price stability would mean far greater pain.

(3)7月の消費者物価指数はインフレが低下していることを示すもので歓迎されるものだが、1ヶ月の改善だけでは、FRBとしてインフレが低下していると確信するには、ほど遠い。

While the lower inflation readings for July are welcome, a single month's improvement falls far short of what the Committee will need to see before we are confident that inflation is moving down.

(4)7月のFOMCミーティングは(6月に続いて)2回目の0.75%利上げを決めたものだった。このとき私は次の(9月の)会合でももう一度このような通常以上に大きな利上げ(unusually large increase)が適切になるかもしれない(could be appropriate)と述べた。

 July's increase in the target range was the second 75 basis point increase in as many meetings, and I said then that another unusually large increase could be appropriate at our next meeting.

(5)どこかの時点で、つまり金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれて、金利増加のペースを遅くすることが適切になりそうだ。

At some point, as the stance of monetary policy tightens further, it likely will become appropriate to slow the pace of increases. 

* * *

スピーチの内容としては至極妥当なもの。

『9月の利上げ幅は、今後のデータや見通しを踏まえ、総合的に判断する』(Our decision at the September meeting will depend on the totality of the incoming data and the evolving outlook)とも述べていて、あくまでも「現時点で言えることはこれだけ」とのスタンスでした。

そうすると、益々『今後のデータ』に注目が集まってきます。

8月の米国CPI(消費者物価指数)は9月13日(08:30 AM、米国時間)に発表されます。

そしてFOMCが9月20日-21日に開催されます。

はたしてパウエル議長は、景気を後退させずに物価を沈静化させるという、針の穴に糸を通す(going through the eye of a needle)ような難しいオペレーションを成功裡に成し得るでしょうか。

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2022年8月21日 (日)

不都合な事実

残念なことだが、最近、いろいろなところで「日本の地位が低下している」と報じられる。

正直、こういったニュースはあまり目にしたくない。

しかし事実から目を背ける訳にもいかない。

OECD(経済協力開発機構)の調べによると、高学歴労働者にとって魅力ある国のランキングで、日本は35ヵ国中、25位。

スロバキア(20位)や韓国(23位)よりも下位に甘んじる。

つまり日本が来て欲しいと思うような外国人は他国を選んでしまい、なかなか日本に来てくれない。

「日本の片思い」に終わってしまう可能性が高いのだ。

しかし・・

何も外国人に頼る必要もないだろう。

日本人で頑張ろう。

そう思っても、

実は・・

日本人の労働生産性が最近はぐんと低くなっている。

OECD38ヵ国中、28位。

トルコ(21位)、韓国(24位)、ポーランド(27位)よりも下だ。

これは、ひょっとすると病巣は意外と深いのかもしれない。

よく言われることだが、日本ではいったん大学に入ってしまえば卒業するのはさほど難しくない。

日経新聞(8/15号)によると大学を標準年数で卒業する比率は、米国38%、仏国41%。

これに対して日本は何と93%!

それでも昔は企業が新卒者を、お金をかけて教育してくれた。

だから、まだ良かったんだ。

それが実は・・・。

最近では、この辺も違ってきているらしい。

* * *
そんなことをいろいろと考えながら、日経新聞(電子版)と日経ヴェリタス紙(本日発売号)に寄稿しました(『こちら』でご覧いただけます)。

(注)下記画像は日経新聞社の出版権に配慮し敢えてお読みいただけないようにしています。『こちら』でお読みいただければ幸いです。Veritas_20220821001701

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2022年8月19日 (金)

ドキュメンタリー映画『ウォーレン・バフェット氏になる』

2017年1月にHBOから配信されたドキュメンタリー映画、『ウォーレン・バフェット氏になる』

アマゾン・プライムの『こちら』でご覧になれます(1時間28分)。

映画を観たからと言って、バフェットになれる訳でもなく、観た人の投資にそれほど役に立つわけでもありません(もちろん役に立つ金言は出てきますが・・)。

映画が撮影されたのは2016年。

ウォーレン・バフェットが86歳の時です(彼は今月末で92歳になります)。

毎朝、ネブラスカ州オマハ市の自宅から自分でクルマを運転してオフィスに出勤するバフェット。

彼は54年間、毎日、これをやり続けていると言います(注:新型コロナが猛威をふるっていた時は自宅で仕事をしていたそうです)。

映画が撮影された86歳の時、バフェットが保有する個人資産は673億ドル(1ドル130円換算で8兆7000億円)。

にもかかわらず彼が住む家は特段の豪邸でもなく、普通の家で、オフィスも普通(オフィスは人と人がすれ違えないほど廊下が狭い)。

運転するクルマもベンツやレクサスではなく、普通のアメ車(GM車、まぁ一応キャデラックでしたが・・)。

もちろん運転手が別にいる訳でもなく自分で運転。

オフィスに着いて、誰かが出迎えてくれる訳でもありません。

日本では年収1億円以上の報酬を得ている上場企業役員が652人いると言いますが、

恐らくは、その多くは毎朝運転手が自宅に迎えにきてくれて、

会社まで送っていってもらうという生活をしているかと思います。

さて、バフェットですが、

毎朝、自宅から会社へ向かう途中、地元のマクドナルドに寄ります。

そしてマックのドライブスルーで朝食を注文。

日によって選ぶメニューが違い、2ドル61セントだったり、2ドル95セントだったり、3ドル17セントだったりするのだとか。

これを袋に入れてもらって、オフィスに持ち込み、自分の席でマックの朝食を食べます。

現在、時価総額6,700億ドル(87兆円)、世界第7位のバークシャー・ハサウェイ社には、昔も今も25人のスタッフしかいない(オフィスで働いている人数)と言います。

広報部や人事部などなく、コミティ―(委員会)という名の組織も一切ない。

「形式的なものは肌に合わないんだ」とバッフェト。

映画は、地元の高校生のクラスに招かれ、そこでのバフェットによるスピーチを軸に進められていきますが、バフェットが住む家、働くオフィス、そして家族や会社の仲間を見ることが出来て、興味深いものでした。

13歳の時にすでに所得税の確定申告をしていたというウォーレン・バフェット。

やはり常人ではありません。

映画を観終わっての感想ですが、バフェットにとっては、投資こそが、もっともフェア(公平)な戦いの場であったのだと思います。

そして彼はその戦いを見事に勝ち抜いてきたのでした。

金額の多寡、プロアマを問わず、少しでも株式投資の世界に触れている人には一見に値する映画だと思いました。

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2022年8月13日 (土)

企業投資情報部

昨日OCA TOKYO でミーティングを持ったこともあり、興銀時代のことを少し書いたのですが、その続きを少し・・。

私は(昨日書いた)営業第3部の後、企業投資情報部という部署に移り、2年近くいました。

当初は結構な大所帯だったのですが、直ぐに機構改革があり、私が担当することになったセクション(班)は、

私(班長)のほかに、総合職の担当者が3名というこぢんまりとした陣容。

3人とも優秀で、班長の私は随分と楽をさせてもらいました。

今となっては懐かしいサラリーマン時代の思い出ですが、振り返ってみると、サラリーマンというのは、どんな上司に仕えるのか、どんな部下がやってくるのか、自分では選べないことが多い・・。

つまり今風に言うと、ガチャ(運)に左右される要因が強いように思います。

当時、私の班にいた総合職3人のうち、

1人は、現在の「みずほ銀行副頭取」(副頭取執行役員)、

もう1人は、現在の「みずほ証券副社長」(副社長執行役員)

になっています。

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2022年8月12日 (金)

OCA

かつて興銀ビルが建っていた場所は、みずほ丸の内タワー(29階)と丸の内テラス(10階)になっています。

このうち丸の内テラスは1~2階と9~10階がレストラン。

3~7階がプライベートクラブの「OCA TOKYO(オーカトウキョウ)」。

本日はOCAメンバー、A氏のホストで、OCAでミーティングをしてお昼をご馳走になってきました。

A氏は、私が興銀出身であることを知っていて敢えてOCAでのミーティングをセットしてくれたのだと思います。

やはり懐かしかったですね。

ミーティングは5階で行われたのですが、かつて私がいた営業3部もたしか5階(?)にあったように記憶しています。

向かいのビルも生まれ変わっていましたので、5階から見る景色は、かつてとは違っていました。

それでも、通り(丸の内仲通り)からの高さとか、向かいのビル(永楽ビル)との距離感とか、以前と同じ!

なんとなく昔の雰囲気が感じられました。

ミーティング後、5階のフロアをうろうろ回りながら、

「たしか営業3部はこの辺にあり、私の席はこのあたりでした。部長は窓際で、この辺・・」

とAさんに説明。

営業3部にいたのは92年~97年ですので、今から25年~30年前。

時が経つのは早いものです。

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2022年8月 9日 (火)

人手不足

欧米ではリオープン(経済再開)と称して、空運やホテル、レジャーなどで「リベンジ消費」が本格化。

しかし一方でその足かせとなっているのが人手不足。

英ヒースロー空港では、チェックインカウンターに長蛇の列ができ、預け入れ荷物が大量に放置されるなどの事態がおきました。

ドイツでは、7月27日に、ルフトハンザ航空がフランクフルトやミュンヘンのフライトを殆ど全てキャンセル。

理由は、人手が圧倒的に足りていない状況下で、空港のグランドスタッフが「やってられない」とばかり、1日だけですが、walk-out する形のストライキに打って出たことにあります(結果、従業員たちはその後、昇給を勝ち取りました)。

深刻な人手不足はなぜ起きているのでしょうか。

たとえば欧米の航空会社の場合、新型コロナのパンデミックが発生した際に、客室乗務員、空港のグランドスタッフなどの多くをレイオフしました。

その後、経済がリオープンするようになり、飛行機を再びどんどん飛ばすような状況になっても、レイオフした人たちは簡単には戻ってくれません。

この2~3年の間に(レイオフされた)多くの人たちはすでに他で職を見つけて、そこで働いているからです。

それでは新規の採用をすぐにかければ良いではないか。

こう思う方も多いでしょう。

しかし、新規の採用は即戦力になりません。

客室乗務員にしても、B-777に乗れるようになるには、トレーニングセンターでそれなりのトレーニングを積む必要があります。

研修とトレーニングの結果、B-777で勤務可能になっても、B-767やB-737にはまた別のトレーニングが必要。

もちろんエアバスに乗れるようになるにはエアバス用の研修・トレーニングが要求されます(エアバスも機種がいろいろある)。

こうした状況が背景にあり、しかも経済のリオープンのペースが速すぎた結果、

人の補充が追いつかず、人手不足が深刻化してしまったという訳です。

翻って、日本。

日本の場合は少し状況が違います。

新型コロナのパンデミックに襲われたとき、

たとえばJALやANAの客室乗務員はノジマやイオンリテールなどに出向させられました。

給与の差額分(もし生じた場合)は、JALやANAが払いました。

もう少し具体的に記しますと、

20年11月から、JALとANAからの出向者を受け入れていたノジマの場合、最大で約250人のJAL、ANA社員が働いていたと言います。

そして今年5月、航空需要の回復を受けて、ノジマは両社からの出向受け入れを終了させています。

経済が、いざリオープンする場合には、日本のやり方の方が即戦力を再配置させやすいような気がします。

昨日出演した日経ヴェリタストークでは、人手不足やインフレなど、リオープンに際して「立ちはだかる壁」について検証しました。

『こちら』で動画をご覧いただけます。

Hi

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2022年8月 6日 (土)

米国のインフレは終息へと向かうのか、それとも、まだまだなのか

【1】米国長期金利推移

米国の長期金利(10年もの国債利回り)は6月14日に3.483%をつけた後、下落に転じて、8月1日には2.606%をつけていました。

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【2】為替レート推移

これに呼応するように、為替相場も7月14日、139.39円/$から、8月2日、130.39円/$へと円高に推移。

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半月で9円も円高に振れたので、FXのトレードをされている方にとっては緊張する相場展開だったと思います。

こうした相場展開の背景には、FRBによる度重なる利上げで、米国は景気後退局面に入るのではないか(あるいはもうすでに入っているのではないか)との見方が台頭してきたことがあります。

【3】FRBによる利上げ推移

FRBによる利上げ推移を見ておきましょう。

Fed-fund-rate

(1)22年3月16日に0.25%利上げして、利上げ後:

0.25~0.50%(Fed Funds Rate target rate)

(2)22年5月4日に0.50%利上げして、利上げ後:

0.75~1.00%(Fed Funds Rate target rate)  

(3)22年6月15日に0.75%利上げして、利上げ後:

1.50~1.75%(Fed Funds Rate target rate)  

(4)22年7月27日に0.75%利上げして、利上げ後:

2.25~2.50%(Fed Funds Rate target rate) 

【4】原油価格推移

一時は120ドルを超えていた原油価格(WTI)も88ドルにまで落ち着いてきました。

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【5】消費者物価(CPI)推移

それでは肝心の消費者物価はどうなのかというと、7月のCPIは8月10日(8:30AM)の発表を待たなくてはなりません。

今年2月以降の推移は:

2月 7.9%

3月 8.5%

4月 8.3%

5月 8.6%

6月 9.1%

以下は2012年以降のCPI推移のグラフと表です。

Cpi

Cpi_20220806161101

【6】雇用統計

こうした中で昨日発表された米国の7月雇用統計。

非農業部門の就業者数は前月比で528,000人増加(事前予想250,000人)。

失業率も3.5%に低下。

以下、2012年以降の失業率推移のグラフと表です。

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新型コロナのパンデミックが始まる前、米国での就業者数は152.5百万人いました。

それがコロナの影響で22百万人減少しましたが、今や、コロナ禍前の水準に戻ったと解されています。

以下は昨日のNY Timesのグラフ。

Ny-times

【7】どう読むか

こうした雇用の強さはどう解すべきなのでしょうか。

米国経済はまだ景気後退には陥っていないのではないか。

だとすると、心配になってくるのはインフレ率の方です。

7月の平均時給は前月比0.5%増となり、事前予想の0.3%増を上回りました。

一昨日までの段階では、次回のFOMC(9/20~9/21)には、0.5%の利上げを予想する市場関係者が多かったのですが、上記雇用統計の発表を受けて、一転、0.75%の利上げを予想する人が増えてきました(大半が0.75%を予想)。

こうした結果を受けて、

昨日1日で、10年もの米国債利回りは2.84%に跳ね上がりました。前日は2.676%でしたので、0.164%の上昇、率にすると6.13%(=0.164÷2.676)になります。

S&P500は、0.16%下落し、為替は135円へと2円近くも円安に触れました。

さて、10日(米国時間)に発表される7月のCPI。

これはいったいどういったものになるのでしょうか。

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