2022年6月10日 (金)

株価には下限がある?

今年に入ってダウ平均株価は▲16%下落(6/8の値を昨年末と比較;以下他の指数も同じ)。

ナスダックは▲23%下落。

ドルベースの日経平均は▲16%下落(円ベースだと▲2%)。

株式市場の行き末に気を揉んでいる方もいるかもしれません。

米国の場合、市場で取引される株価が安くなり過ぎると、

「プレミアムを払ってでも全株を購入して自分が経営しよう」

と考える買収者が出現するようになります。

それはイーロン・マスク氏のように富裕な個人かもしれないし、買収ファンドかもしれません。

今回の日経ヴェリタス紙「マネー研究所」はM&Aの持つ「株価是正機能」について書きました。

『こちら』で日経新聞(電子版)の記事をご覧いただけます。

日経ヴェリタス紙の方は、今度の日曜日(6月12日)号に載ります。

      Ma

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2022年6月 7日 (火)

円安とは、日本の労働力が低く評価されること

【1】インフレ率の差

AFSで留学した米国Corona del Mar High School の50周年同窓会が今夏あります。

先日幹事から来たメールには:

「急いでください。当地のハイアットホテルの宿泊代は1晩279ドルから700ドルに値上げになっています(The Newport Hyatt went from $279 per night to now $700 per night)」

とありました。

米国のインフレ率が日本のインフレ率よりも高ければ、通貨としてのドルの価値は本来であれば日本円に比して下がっていくはずです。

しかし最近時はインフレ率の差(=円高要因)以外の要因で、為替が(ドル安ではなく逆に)円安に振れてきています。

その結果、日本から米国に行く場合、(1)米国の物価が高い、(2)円安ドル高の為、円ベースにすると更にもっと高く感じる、とダブルに厳しさを実感するようになってきています。

それでは、インフレ率の差以外の「別の要因」とは何でしょう。

【2】日米の金利差

一つには、金利差。この金利差ゆえに現在は円安になってきています。

このところ米国は金利を上げ続けてきています。

(1)22年3月16日に0.25%利上げして、利上げ後:

0.25~0.50%(Fed Funds Rate target rate)

(2)22年5月4日に0.50%利上げして、利上げ後:

 0.75~1.00%(Fed Funds Rate target rate)

FRBは今後も少なくとも6月と7月に0.50%ずつ利上げすると考えられており、更に、9月、11月、12月にも利上げがあるかもしれません。

仮にこれらの月も0.5%ずつ上がるとすると、22年末のFF金利は:

3.25%~3.50%

となります(もちろん、そうなるかどうかは、今後のインフレ次第)。

一方で、日銀は金利を上げる気がなく、長期金利でさえ、指値オペで0.25%以下に抑え込んでいます。

その結果、為替は円安に振れやすくなっています。

【3】日本の経常収支の悪化

もう一つの要因は今年の2月と3月に発表になった日本の経常収支の悪化。

2/8発表 ▲    3708億円(昨年12月分)

3/8発表 ▲1兆1887億円(今年1月分)

2ヵ月続けてマイナスとなり、しかも3月発表分はマイナス幅が大きかったことから為替が円安に振れました。

しかし経常収支はその後、プラスに転じ、

4/8発表 +1兆6483億円(今年2月分)

5/12発表 +2兆5493億円(今年3月分)

となっています。

そもそも、

「長い目で見れば、経常収支はマクロ的な貯蓄・投資バランスで決まる(貯蓄超過ならば経常黒字)。日本は、政府の投資超過を家計・企業の貯蓄超過が上回ることによる、貯蓄超過構造となっている」

(山口範大氏、週刊エコノミスト22年4月26日号、36頁)

とのことなので、

今年2月、3月のような形での経常収支赤字が恒常的に続くことは考えにくいかもしれません。

従って、3月の頃はともかくとして、6月現在の円安は、もっぱら金利差によって引き起こされていると見ることも出来そうです。

【4】円安は輸出企業にとってプラスだが・・

ところで円安は輸出企業にとってプラスに働きます。

同じクルマを1台45,000ドルで米国に輸出しても、為替が1ドル=100円ならば売上は450万円。

しかし1ドル=130円だと売上は585万円になります。

では円安になれば輸出はどんどん伸びるかと言うと、現実の世の中は、それほど単純でもありません。

第一に日本の自動車や電気機械のメーカーは海外生産の比率を高めており、従来ほど円安のメリットを受けづらくなっています。

また国内で生産している場合も、円安になったからと言って(円ベースの輸出金額は増えますが)企業は設備投資をしてまでして輸出数量を増やすことには慎重な姿勢を取ります。

さらに為替以外の要因も輸出には影響します。

例えば今年の初めには米国西海岸LAやロングビーチ港での入港待ちコンテナ船の数が100隻を超えるといった事態が生じました。

その先の米国内陸部での物流もスムーズに行かないといった状況で、米国のお客さんは日本の品物が欲しいのに、これを届けられないといったことが起きていました。

米国西海岸の港湾の状況は現在は改善しているようですが、実は今年の6月末に港湾労働者の労使交渉の期限を迎えます(これまで大凡6年に一度のペースで交渉が行われてきているようです)。

万が一、この労使交渉が上手くいかなくなると、また港が滞るといったことが懸念されます。

【5】円安を是正する政策

最後になりましたが、現在の円安は小麦やガソリンなどの価格高となって日本で生活する人の家計を直撃しています。

今後、政府・日銀は円安を是正するため利上げや為替への介入などを行うのでしょうか。

まず円安是正の為の利上げですが、

自国通貨が安くなることを防ぐために利上げをするというのは、発展途上国ではやられていますが、

先進国では為替レートを目的としての金融政策は行われていません。

金融政策の目標は、あくまでも物価の安定。

以下、日銀のホームページから。

『日本銀行の金融政策の目的は、物価の安定を図ることにあります。

物価の安定は、経済が安定的かつ持続的成長を遂げていくうえで不可欠な基盤であり、日本銀行はこれを通じて国民経済の健全な発展に貢献するという役割を担っています(日本銀行法第1条第1項、第2条)』 

次に為替の介入ですが、日本が現在これを行うことは可能でしょうか。

現在米国はインフレを退治しようと躍起になっています。

そういった中で日本がドル安(円高)方向に向かわせるような介入をすることを米国が認めることは考えにくいと言えます。

すなわち現在の米国にとってはドル高が望ましく、この逆にドル安になると輸入品の価格が上昇してしまいます。その結果、米国で、より一層インフレが悪化してしまうことになってしまうのです。

【6】今後の見通し

円安を是正するための利上げや為替への介入が難しいとすると、今後どうなるのでしょう。

日本で予想以上のインフレが起きて、これを抑えるために日銀が利上げを行えば円安も止まるでしょう。

しかし仮にそうならなかったとしても、いずれは沈静化するのではないでしょうか。

為替レートは日米の金利差だけで決まる訳ではありません。

当面は金利差が注目され、円安へのエネルギーが強いのでしょうが、行き過ぎた円安はいずれは是正されていくのではないかというのが私の個人的な見解です。 

円安とは一言で言うと、日本人の労働力が低く評価されること。

かつては「円安にして経済成長を図る」と(一部で)言われたこともありましたが、成長の手段としては健全とは思えません。

なお昨日出演した日経ヴェリタストークですが、『こちら』でご覧いただけます。

 Vt

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2022年5月 6日 (金)

「平和の配当」と「グローバリゼーション」の終焉

2月24日、ロシアがウクライナへ侵攻。

これ以降、世界は大きく変わってしまいました。

今から33年前のことですが、

1989年にベルリンの壁が壊されました。

そしてその2年後の1991年にソ連が崩壊。

この後、世界は軍事用だった予算や人員を民生用に振り向けました。

今は亡きジョージ・H・W・ブッシュ元大統領(父親の方です)が当時盛んに強調していた「平和の配当」。

これを享受することが出来るようになったのです。

米国の国防費は1980年代半ばには対GDP比で毎年6%を超えていました。

それをだんだんと低下させることが出来るようになったのです。

そして2017年にはとうとう3.3%台になりました。

これと同時に、経済の「グローバル化」も進展。

先進国で企画・開発された製品が、人件費の安い国や地域で製造されるようになりました。

そして完成した製品は、今度は世界各地の消費者を相手に売られるようになりました。

「平和の配当」と「グローバリゼーション」。

この2つのフォローの風を受け、米国の株式市場は概ね好調に推移していきました。

この間、リーマンショックなどがありましたが、1991年から2022年2月23日までの31年間で、S&P500種株価指数は11.6倍になりました。

年率平均にして8.2%を超える伸長率です。

しかしながら残念なことに、今年の2月24日以降、状況は一変してしまいました。

もはや「平和の配当」は望むべくもありません。

また「グローバリゼーション」という言葉も今や「非グローバリゼーション(deglobalization)」という言葉に置き換わってしまいました。

こういった中で、我々個人投資家の投資戦略は如何にあるべきか・・。

日経新聞(電子版)と日経ヴェリタス紙への今回の寄稿記事は以上のような観点から書きました。

『こちら』で日経新聞(電子版)の記事はご覧いただけます。

日経ヴェリタス紙の方は、今度の日曜日(5月8日)号に載ります。 

 なお記事の中に出てくるキプロスですが、以下に幾つかの写真を載せておきます。

1_20220504214101

(キプロスのガバナーズ・ビーチ。英国のガバナーがここで泳ぐのを好んだことから、こう呼ばれるようになった)

2_20220504214101

(キプロスの銀行。2013年にキプロスでは預金封鎖が行われた)

3_20220504214101

(キプロスは日本の四国の約半分の大きさ。レンタカーであちらこちらに回ることが出来る)

 

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(日経の記事に書いたS氏と)

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2022年5月 2日 (月)

インフレ耐性の強い消費関連銘柄

本日のNHKニュース7。

大手パンメーカーの「フジパン」と「敷島製パン」が、輸入小麦の価格高騰などを受け、食パンなどの一部の製品をことし7月から値上げすること決定したとのこと。

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 (注:画像はNHKのサイト『こちら』より)

パンの値上げは、いずれも、ことしに入って2回目(『こちら』)。

このように最近、様々なモノの値段が上がるようになってきました。

一方、企業の方から見ると、値段を上げるというのは一大事です。

輸入原料や物流費などのコストが上がってきたからといって、安易に製品価格に転嫁すると、場合によっては消費者に逃げられてしまうことも懸念されます。

* * *

本日の日経ヴェリタストークでは、現在の難しい状況を念頭に置きながら『インフレ耐性の強い消費関連銘柄』を次のように3分類して議論しました。

(1)明確な値上げをしなくても、コストを吸収し増益を続けられる『成長力』を有する企業(例:ワークマン)

ご存知の方も多いと思いますが、ワークマンの日本国内での店舗数は今やユニクロを上回ります。

キャンプ場でバーベキューを楽しんだり、焚火を囲んだりするとき、ワークマンの服は焚火の火の粉が飛んできても焦げにくい。

あるいは撥水性や防水性に優れているので、雨に降られてもビショビショにならない。

こんな理由で、ワークマンはアウトドア志向の人に受けてきました。

(2)「そこでしか手に入らないモノやサービス」を提供し、ファンとなる消費者をつなぎ留められる企業(例:マクドナルド)

マクドナルドは、3月にハンバーガーなど全体の2割にあたる商品の価格を10~20円引き上げました。

にもかかわらず、3月の月次売上高は13.5%増を維持しています。

ところで、マクドナルドと言うと、2014年12月期と15年12月期に2年連続で赤字に転落したことが思い出されます。

しかしその後、カサノバ社長(当時)のリーダーシップの下、見事に復活していきます。

株価も当時に比べると現在では2倍強になりました。

いったい全体、どうやって復活させたのでしょうか。

この復活劇については、すでに各方面で報じられていますが、その一つが「マクドナルド復活の仕事人たち」と題する特集記事。

日経新聞が2018年12月に5回にわたって連載したものです(第1回は『こちら』)。

この連載を読むと、これといった大きな種明かしは存在せず、『企業はやはり人なんだな』と実感できます。

(3)海外に活路を見いだすパターン(例:スノ―ピーク)

金属加工の町、燕三条の職人技術による高品質を武器に発展してきたスノーピーク。

実は、日本の『地方の地場産業』には高い技術力を持っているところが多く、海外の消費者にも広く知られているところが結構あります。

燕三条のスノーピークは一つの例ですが、ほかにもメガネのフレームで有名な、福井県鯖江市。

2008年の米国大統領選挙で副大統領候補となったサラ・ペイリンが鯖江の眼鏡をしていたこともあって、その名を一躍世界に広めました。

今治のタオルも有名で、海外の富裕層が東京に来た時、デパートで今治のタオルを買い求めていくことがあります。

ところで、鯖江の眼鏡にしても、今治のタオルにしても、海外に住む人がサイトから簡単に購入できるように、Shopifyなどを使ってECサイト化してみては如何でしょう。

『こちら』をご覧になると、今やだれでも海外の顧客相手にECサイトを作れることが分かります。

なお本日のテレビ番組、日経ヴェリタストークですが、『こちら』で録画をご覧いただけます。

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2022年4月20日 (水)

「平和の配当」と「グローバリゼーション」の終焉

昨日(4月19日)のニューヨーク市場は3指標が全て上がり、ホッとした個人投資家も多いかもしれません。

しかし私は「今年の2月24日以降、世界は変わってしまった」との認識を持っています。

ひとつは、「平和の配当」の時代の終焉。

これはブッシュ大統領(父親)が好んで使った言葉ですが、

1989年にベルリンの壁がなくなり、

91年にはソ連が崩壊。

これにより、その後、世界は「平和の配当」を享受出来るようになったというもの。

米国の国防費(対GDP比)の推移を下記に載せます。

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これを見ると(クリックすると大きくなります)、この言葉の意味が実感できます。

国防費がGDPの40%にも上った第二次世界大戦中のみならず、

朝鮮戦争の時も15%に迫り(統計によっては15%超えを示すものも)、

80年代は6%を超えていました。

それが94年以降08年まで5%を下回るようになったというもの。

この間、人々はグローバリゼーションの恩恵も受けてきました。

ユニクロ(ファーストリーティング)の服は人件費の安い国や地域で作られ、そのメリットを日本を初め世界の消費者が受けることが出来るようになってきたのです。

しかしトランプ政権以降、世界は「グローバリゼーション」から「非グローバリゼーション(deglobalization)」に行くのではないかと言われるようになりました。

それが今回の2.24で更に一層進んでしまった・・。

そんな認識を持っています。

もっともウクライナ避難民の人たちを助けようという輪が世界に広がっていることも事実。

そんな複雑な思いで、一昨日のテレビ(日経CNBC)に出演しました。

『こちら』で録画をご覧いただけます。

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2022年4月17日 (日)

ウクライナを横断するパイプライン

2021年、欧州諸国(EU)が使う天然ガスの45%がロシアから来たものでした(『こちら』および『こちら』)。

ドイツに至っては55%のガスがロシア産(『こちら』)。

これらのガスはパイプラインでロシアからEU諸国に運ばれていて、

主なルートは:

(1)バルト海を経由してドイツへ(ノルドストリーム1は稼働中、2は完成したものの認証作業停止)

(2)ベラルーシを経由してEUへ

(3)ウクライナを経由してEUへ

といったものになっています(下図参照。なお下図の出所は『こちら』)。

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このうちウクライナを経由するものが、ロシアからEUに運ばれる天然ガス全体の3分の1(『こちら』)。

なお、話は少し脱線しますが、ウクライナ自身の天然ガスの産出と消費を見ると、以前は天然ガス輸出国でしたが、1975年をピークに生産量が減少、現在では輸入国になっています(『こちら』)。具体的にはロシアがEUに輸出したものを再輸入して自国生産では足りない分の天然ガスを調達しています(『こちら』)。

さて話をパイプラインに戻しましょう。

ロシアからウクライナを通ってパイプラインでEUに運ばれる天然ガス。

これは、タダでEUに運ばれるのではなく、通行料(transit fees)がロシアからウクライナに支払われています(以前、私が日本の商業銀行に勤務していた時、パイプラインのファイナンスをしたことがあり、その時のことを思い出しました)。

ロシアはウクライナ経由の輸送量を昨年から絞って他ルートにシフトさせてきていますが、昨年以前の段階ではウクライナ経由の輸送量は年間約800億m³。

ウクライナに支払われた通行料は年間30億ドル、ウクライナ政府の歳入の7%程度を賄っていました(『こちら』および『こちら』)。

さて、これは今、いったいどうなっているのでしょうか。

調べてみると、ロシアによるウクライナ侵略開始後の3月下旬の段階で、ロシアはウクライナに対して契約通り通行料を支払ってきているとのこと。

それもルーブルではなく、ユーロやドルのハードカレンシーで支払いがなされているとのことです(『こちら』)。

『ロシア軍はこれまでのところウクライナ国内を横断するパイプラインを損傷させるようなことはしておらず、ロシアはガスの輸送量を減らすようなこともしていない・・』

ウクライナ最大の国営石油ガス公社(NJSC Naftogaz Ukrainy)のCEOはこう語ります(『こちら』)。

もっとも、そう語るCEO自身は、ロシアからの砲撃が続く中、bunker(掩体壕)に身を隠しながら、ブルームバーグ記者とのインタビューに応じていたのだとか・・。

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2022年3月16日 (水)

GARP

一昨日は日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』に出演しました。

番組の最後の方でGARPが出てきます。

実はこの時、残り時間がほとんどありませんでした。

カメラの後ろで番組スタッフの方が『あと1分』の紙を掲げていました。

番組でお話しできなかった部分をこのブログで補足説明させて頂きます。

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GARPとは、Growth At Reasonable Price の略。

バークシャーが1972年に See's Candies を買収した時。

買収価額はPBRの3倍だったと言われています。

バリュー投資的な考えからすれば割高だったのかもしれないのですが、バフェットは次の言葉を残しています。  

It's far better to buy a wonderful company at a fair price than a fair company at a wonderful price.

(素晴らしい会社を適正な価格で買う方が、並の会社を素晴らしく安く買うよりもずっと良い)。

GARPはこの考え方で投資を行うもの。

金利上昇時にはハイテク株は将来キャッシュフローを現在価値に割り戻す際の割引率上昇の影響を強く受けるため(注:そもそも将来キャッシュフローが株式価値に占める割合が大きい)、株価が受ける下方圧力は通常株式に比べて大きくなります。

一方、同じGrowth株でもバフェットの言う a wonderful company はハイテク株とは少し違います。

彼が好きなのは、ブランド価値がしっかりあって、将来キャッシュフローがぶれにくいものです。

だからハイテク株に比べて、金利上昇に対する抵抗力が比較的強いと考えられています。

1972年、バフェットが See's Candies を買収した時、私はちょうど米国にいました(AFSで留学していた高校生でした)。

See's Candies のショップは私のいたカリフォルニア州 Newport Beach にはすでにありましたが、米国全体で見ると、それほど多くはありませんでした。

それが今では全米に200店舗ほどあり、米国外(香港やシンガポールなど)にも進出。

製品がしっかりしていて、ブランドに価値があれば、こういった横への展開(地域拡大)による成長が可能になるのです。

バフェットが最初にコカ・コーラに着目した時(1988年)、

『これを世界の人が飲み始めたら、この会社の企業価値は凄いことになる』。

こうバフェットは考えたと言われていますが、こうした考えに基づく投資手法はすでに See's Candies で実践済みだった訳です。

もっとも問題はこの種の美味しい話はそんなには多くはないこと。

素晴らしい会社が適正な価格でウロウロしていることは余りなく、たいていは高くなってしまっています。

なお一昨日出演したテレビ番組の方は『こちら』でご覧になれます。

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2022年3月13日 (日)

2014年のロシアによるクリミア侵攻後に行われたウォーレン・バフェットへのインタビュー

2014年のロシアによるクリミア侵攻後に行われたウォーレン・バフェットへのインタビュー(2014年3月14日)。

『こちら』でご覧になれます。

(上記インタビューでのバフェットの発言要旨)

・危機と言うのは必ず何年かに一度やってくる。

・バークシャーの株価(つまりバフェットの個人資産)が半分になったことが、これまでに4回もあった。

・しかしアメリカの経済は基本、健全なので長い目で見れば株価は上がってくる。

・ダウ平均株価はいずれは10万ドルになる(注:2022年3月現在は3万2000ドル)。

・私は年なのでそれを見ることは出来ないが(50代の)あなたたちは見ることが出来るだろう。

* * *

今回のロシアによる侵攻はウクライナ全土に対するもので2014年の危機とは次元が違います。

バフェットがいま何を語るのか、聞いてみたい気もします。

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2022年2月28日 (月)

プロには勝てない

誰もがプロの棋士になれるでしょうか。

あるいは誰もがオリンピック級のスキーヤーやスケート選手になれるでしょうか。

多くの人はそんなことは無理だと思っているでしょう。

ところが、こと株式売買の世界やFXの世界になると、自分はもしかするとプロ級なのではないかと錯覚してしまうことがあります。

そんな人たちのことを念頭に、先週金曜日の日経新聞電子版と昨日発売の日経ヴェリタス紙に記事を書きました。

『こちら』です。

 

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2022年2月13日 (日)

消費者物価の上昇

下のグラフは、セントルイス連邦準備銀行のオンライン・データ・ベース(FRED)による全米の消費者物価指数推移。

Fred

これは画像を貼りつけたものですが、実際にサイト(『こちら』)にいってグラフの上でカーソルを当ててみると、各月の数値が出てきて、結構使い勝手の良いグラフになっています。

これを見ると改めて最近の物価上昇の激しさが実感できます。

前年同月比7.5%の上昇というのは82年2月以来。

パウエル議長がインフレについて「transitory(一過性)という形容詞を使わないようにする(retire that word)」と述べたのは、昨年11月30日の議会での証言(『こちら』)。

ちなみに、これより27日前。

11月3日に公表されたFOMC statement (『こちら』)では

Inflation is elevated, largely reflecting factors that are expected to be transitory.

と一過性の言葉を使っていました。

この間のインフレ率の推移を見ると、

9月のインフレ率(対前年比)5.4% 

(10月13日発表→11月3日のFOMC statementへと繋がっていく)

10月のインフレ率6.2%

(11月10日発表→11月30日のパウエル氏議会証言へと繋がっていく)。

そして以降のインフレ率は、

11月 6.8%(12月10日発表)

12月 7.0%(1月12日発表)

22年1月 7.5%(2月10発表)

といった具合に上昇し続けてきています。

FRBの役割は雇用の極大化と物価の安定にあります(『こちら』)から、

FRBとしては何としてでもインフレを抑え込まなければなりません。

しかしロシア vs. ウクライナ情勢など不透明な要因は多く、今後については予断を許さない状況。

* * * * *

こうした状況下で、株価について昨年末あたりから質問を受けることが多くなりました。

transitory と診断を下した昨年11月3日に比して、「もはやこの形容詞はretireさせる」と11月30日には議会証言している訳ですから、

FRBの政策は、よりhawkish(タカ派的)になっていくことが予想されます(『こちら』)。

このため、株価的には厳しい状況が続くことが予想されますが、さて個人投資家としてどうするか。

昨年末から年初にかけてこの種の質問を受けるたびに、私は

「今年は結構厳しい年になりますよ」といったことを話してきました。

ブログでも

『金利が上がれば株は下がる』

といったようなことを書いてきました。

しかしこれは「耐える」ということであって「売ってしまう」ことを特に推奨している訳ではありません。

もちろんこの辺の判断は読者の皆さんにお任せしますが、

以下はチャールズ・エリスの「敗者のゲーム」からの引用です(38~42頁、なおカッコ内は私が書き加えた部分です)。

ご参考になるかどうか・・。

『運用の歴史を振り返ると、市場が大底から回復する最初の1週間に、

株式リターンのかなりの部分を得られることは明らかだ。

しかし、一般にタイミングに賭ける人々は、

(大底に至る過程で売ってしまっているので)その時にはすでに(株式の)手持ちがない

(よって)最もおいしい部分を手に入れられない。

(中略)36年間のデータに基づいて、

(中略)最も上昇したベスト10日(検証期間全体のわずか0.1%にも満たない)を逃すだけで、

リターンの平均水準は(年収益率)11.4%から9.2%へと低下する。

(中略)長期的に見て投資家が失敗する原因の一つは、

激しい下げ相場に遭遇しておじけづいて株から手を引いた結果、

先述のように、最大の上げ相場になった時に

参加する機会を逃してしまうことだ。

この教訓は明らかだ。

投資家は、「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければならない』

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