2021年5月 5日 (水)

決算発表後のGAFAM

GAFAMの決算(1-3月期)はどこも良かったのですが、29日以降の株価の動きをプロットしてみると次のようになります。

Gafam

上図で、マゼンダ色がダウ平均株価推移でこの間+0.9%。

これを上回ったのは黄色のフェイスブック1社で+3.7%。

後は軒並み総崩れで、

青のグーグルは-2.2%、

紫のマイクロソフトは-2.5%、

緑のアマゾンは-4.2%、

茶色のアップルは-4.4%。

決算が良かったにもかかわらず株価が息切れしたのは、

(1)「アナリスト予想を上回る好決算」を市場は「事前に」予想し株価が「すでに」上がっていた(Amazonなど)

(2)市場はもっと大幅な驚き(blow out)を期待していた(これに応えたのはFacebookのみ)

(3)マーケット全体に高値恐怖症が出始めている

この(3)のところを敷衍すると:

(3-1)「経済が良くなる」と期待するアナリストは多いのですが、これは米国の状況であって、ワクチンで遅れを取る一部の国が世界全体の足を引っ張るのではないか・・。

(3-2)バイデンの経済政策は景気にプラスだが、この後に出てくる増税が景気の足を引っ張るのでは・・。

(3ー3)5月1日に開かれたバークシャー・ハザウェイの年次株主総会でウォーレン・バフェットが指摘したように、「人々が6か月前に予想した以上にインフレが進行している。そして人々はインフレを受容している」。つまりこれは、いずれは金利上昇に繋がるのではないか。

こういった諸点が重なって高値恐怖症が出て、株価はちょっとしたニュースに過剰反応するようになっています。

昨日の市場はイエレン財務長官の「金利を幾分上げざるをえなくなることもあり得るかもしれない」との発言に大きく反応。

実際のコメントは下記のように例によって注意深く綴られたものでしたが、GAFAMを中心に売りが殺到しました。

 "It may be that interest rates will have to rise somewhat to make sure that our economy doesn't overheat, even though the additional spending is relatively small relative to the size of the economy,"

 "It could cause some very modest increases in interest rates to get that reallocation, but these are investments our economy needs to be competitive and to be productive (and) I think that our economy will grow faster because of them."

市場の過剰反応を見て、イエレン長官は慌てて、すぐに下記(とくに青字部分)のように火消しに努めましたが、あまり効き目はありませんでした。

 Yellen told a Wall Street Journal CEO Council event that she does not anticipate that inflation would be a problem for the U.S. economy and that any price increases would be transitory because of supply chain shortages and the rebound in oil prices to pre-pandemic levels.

Asked directly about her remarks on rates, Yellen said she was neither predicting nor recommending a rate rise.

"If anybody appreciates the independence of the Fed, I think that person is me," Yellen said.

"I don't think there's going to be an inflationary problem. But if there is the Fed will be counted on to address them," she added.

(3-1)のワクチンのところも問題です。米国では、「ワクチンが余ってしまい18万回分のワクチンが廃棄されている」との報道も(『こちら』)。

 米国スタンフォード大学近辺でも、

『Stanford Medical Center will have a lot of Pfizer vaccines leftover today at 505 Broadway in Redwood City.  Come before 3:30pm!  They will take anyone!』

といった案内が回ってきたり、『カリフォルニアに住む全ての16歳以上はワクチンが受けられるので受けるように』(『こちら』)との案内がなされる状況。

実際にワクチンによって新規感染者は下図の通り激減しており、カリフォルニア州では、かつては1日の新規感染者が6万人を超えることもありましたが、今やその 3% の1,824人(『こちら』)。

California

『しかしこれは米国の状況で世界経済は連動していることを忘れてはいけない。米国の状況を見て、経済は急回復すると過信してはいけない。(昨日の)株式市場はそういったことを我々に認識させてくれる』

昨日の米国の経済番組ではコメンテーターがこうコメントしていましたが、米国民がそう認識するのであれば、もう少し積極的にワクチンが他国に回るようにして欲しいと思ってしまいました。

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2021年4月29日 (木)

GAFAM1-3月期決算

先陣を切ったのはグーグル(アルファベット)とマイクロソフト。

27日(日本時間28日の朝)に発表しました。

グーグルは純利益が前年同月比2.6倍。

ネット広告の売上高は447億ドル。うちユーチューブの広告が60億ドルと全体の13%を占めました(『こちら』)。

グーグルの業績は市場予想をかなり上回り、株価は史上最高値をつけました。

マイクロソフトの決算は、純利益が前年同期比44%増(『こちら』)。

市場予想を上回ったのですが、この程度では市場は満足せずに株価は若干下落。

さて、第2陣はアップルとフェイスブック。

28日(日本時間29日の朝)に発表がありました。

アップルは純利益が前年同期比2.1倍(『こちら』)。

どのプロダクト・セグメントでも増収を果たしています。

ちなみに売上構成は

iPhoneが54%

Macが10%

iPadが9%

アップルウォッチその他が9%

サービスが19%。

市場予想をかなり上回り、after market で株価は4%ほど上昇しています。

フェイスブックは純利益が前年同期比1.9倍(『こちら』)。

こちらも市場予測をかなり上回り、株価は after market で5%以上も上昇。

グーグル同様、史上最高値を更新しています。

さてGAFAMの残る1社はアマゾン。

こちらは 29日(日本時間30日の朝)に発表となります。

AWS(クラウド事業)の伸びはどうか、CEOの変更(今年後半)は業績にどう影響しうるのか、などなど

気になるところが多いのですが、さて・・。

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2021年4月24日 (土)

キャピタルゲイン課税

バイデン大統領は、選挙期間中から大統領に選ばれれば、株式売却益(キャピタルゲイン)課税を強化し、格差是正を図ると訴えていました。

株式市場はこのことをじゅうぶん予測してはずなのですが、やはり増税のニュースには敏感に反応します。

22日、木曜日(米国時間)ブルームバーグなど複数のメディアが「増税案が来週にも議会で説明される。この案では富裕層へのキャピタルゲイン課税は最大で43.4%にもなるかもしれない」と報じました(『こちら』)。

するとマーケットは下落に転じ、木曜日のダウは結局321ドル安。

しかし、よく考えてみると、

(1)このこと自体は選挙戦中からバイデンが訴えていたことだ

(2)バイデンの素案が議会でそのまま通る訳ではない(最初は高めのボールを投げて落ち着きどころを見つけるのだろう)

(3)対象となるのは年収百万ドル(1億800万円)以上の富裕層なので限られている

という諸点が改めて認識されて、23日(金曜日)の市場は上昇。22日の下落分(▲321.41)を7割ほど取り戻しました(木曜日比+227.59)。

年収百万ドル以上の富裕層が対象と言っても、彼らが課税強化になる前に持ち株を売れば、市場に対する相当の下落圧力にはなります。

しかし売った後、現金で置いておく訳ではなく、彼らは再び株式に資金を振り分けるものと思われます(結果、簿価は高まり、今度売るときの税金は低下)。

つまり売って買い戻すというオペレーションに近くなりますから、市場に対する売り圧力は言われているほど大きくないのかもしれません。

現状の米国のキャピタルゲイン課税はベースレートが20%。

日本と同じです。

米国の動向は日本にも影響を与えうるでしょうから、日本の富裕層にとっても対岸の火事では済まされません。

本件に関するWSJの記事は『こちら』

『こちら』『こちら』の動画も参考になります。

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2021年4月16日 (金)

10年後を考える

2つの表があります。

最初の表は、約10年前の世界時価総額トップ10社。

2010

次に現在の世界時価総額トップ10社。

2021

気がつくことが2つあります。

(1)10年前のトップ10社のうち、現在もトップ10社の表に残っているのは2社だけ。

(2)トップ10社のハードルが凄く高くなった。10年前は、204(十億ドル)でリストに入れた(ネスレ)が、現在の最低ラインは588(十億ドル)。ナンバー1に関していうと、10年前の369(十億ドル)から現在の2,051(十億ドル)へと5.6倍になっている。

10年前、エクソンモービル(当時のナンバー1)といえば盤石に見えたのですが、現在は35位。

これから先、10年、このリストはどう変化しているのでしょうか。

そんなことを考えながら、本日の記事(『こちら』)を書きました。

紙で読みたい方は、明後日に発売の日経ヴェリタスでどうぞ。

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2021年4月 7日 (水)

脱炭素アクティビズム

昨年のみずほに続き、今回は三菱UFJが標的となりました。

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3月29日、「特定非営利活動法人 気候ネットワーク」が、「マーケット・フォース」、「レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)」、「国際環境NGO 350.org Japan 」の支持を受けて、三菱UFJに株主提案を提出(『こちら』)。 

提案の文書を読むと:

『MUFGは(略)今なお国内外の化石燃料や森林破壊に関連する事業に多額の資金提供を続けており、石炭産業への過去2年の融資総額は世界3位、化石燃料部門への過去5年の融資・引受額は世界6位、パーム油産業への過去4年の融資・引受額は世界7位と、気候変動を加速する事業に世界最大規模の融資・引受を行っています』

といった内容。

昨年のみずほへの株主提案は、賛成34.5%で否決(『こちら』)されていますが、さて今年は・・。

金融機関も地球温暖化に対して責任を問われる時代になっています。

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2021年3月24日 (水)

世界および日本の半導体関連会社

世界の時価総額ランキングというサイトがあります。

時価総額の大きい順に世界の会社を並べているのですが、毎日アップデートされるため、私はよくこのサイトを眺めています。

『こちら』のサイトです。

昨年、急速にこのサイトの上位に登場し、ことし2月末にはとうとうトップ10にランク入りした会社があります。

Mkt-cap-1

TSMCという台湾の半導体を受託製造する会社です(現在は世界ランキングで11位)。

ちなみにインテルは30位、NVIDIAは23位。

日本勢は半導体関連では上位に見当たりません。

日本最大の時価総額を誇るトヨタ自動車は世界47位につけています。

TSMCの急成長に象徴されるように世界の半導体業界では大きな変化が生じています。

昨晩出演した日経CNBCテレビ『日経ヴェリタストーク』では世界および日本の半導体業界について話しました。

『こちら』です。

なお番組内の私のコメントで、NVIDIAの売上がインテルの21%と言うべきところを6%と言ってしまいました。

あとで制作スタッフの方に文字スーパーを入れて対応頂きました。

謹んでお詫び申し上げます。

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2021年3月21日 (日)

半導体不足による自動車減産

本来、景気を牽引することが期待されていた自動車産業。

にもかかわらず、ここにきて各社が減産発表を余儀なくされています。

たとえばトヨタだけを例にとっても:

【1月10日】米南部テキサス州の工場で1車種の生産を減らす方針。世界的な半導体不足を受けた措置(『こちら』)。

【2月19日】福島県沖地震に伴う部品の調達不足。8工場の稼働停止延長。減産3万台(『こちら』)。

【3月17日】米ケンタッキー、ウエストバージニア両州とメキシコの計4工場で減産。「石油化学製品の不足」と「最近の悪天候」が原因(『こちら』)。

とくに車載半導体の不足は自動車各社共通の悩みのようで、例えば本日発行の日経ヴェリタス紙はこう報じています。

『「半導体不足がなければ昨年度を上回る営業利益を報告できた」。2月9日、ホンダの倉石副社長は決算会見で悔しさをにじませた。』

そのほか、半導体不足に起因する減産、操業停止など、主なニュースだけを拾ってみても次のような状況(『こちら』)。

フォルクスワーゲン:北米やヨーロッパでの生産を調整

ホンダ:鈴鹿および米、カナダ、中国の工場で減産。英の工場、操業一時停止。

日産:神奈川の工場で減産

SUBARU:群馬の3工場で操業一時停止

フォード:オハイオ州及びケンタッキー州の工場を減産、もしくは操業一時停止(『こちら』

GM:北米4工場で減産(『こちら』

  Eqc

(日経ヴェリタス最新号によると1台1000個以上の半導体を搭載する高級車も。

なお写真は電気自動車なので搭載される半導体は更に一段と多い模様)

* * *

さて、そんな中です。

昨年10月に旭化成の延岡(宮崎県)の半導体工場で火災が発生(『こちら』)。

延岡の操業の目途は今になっても立っていないのだとか・・(『こちら』)。

そして3月19日、今度はルネサスの那珂工場で火災が発生(『こちら』)。

そもそも何故、車載用半導体が世界的な供給不足に直面するようになったのでしょうか。

諸説ありますが、昨年9月にトランプ政権は中国のSMICへの制裁を本格化させました(『こちら』)。

これを受け、SMICへ生産を委託していた半導体メーカー各社(欧米勢)は、委託先を台湾のTSMCとUMCの2社、そして米国のグローバルファウンドリーズなどに変えます。

そしてこの結果、これら台湾、米国勢などのファウンドリー(半導体製造受託会社)の操業が能力的に余裕のないものとなってしまった、といった事情があるようです(週間エコノミスト3月23日号)。

世界の半導体メーカーの主流は、自らは工場を持たずに(ファブレス)、生産をファウンドリー(製造受託会社)に委託するというものでした。

しかし生産の委託先が一部の大手ファウンドリーのみに集中することで、今回のような世界的な供給不足の問題が出現しやすくなってしまったということなのでしょう。

ちなみにTSMCは世界のファウンドリーで過半の56%のシェアを握ると言われています(『こちら』)。

株価は19年末に比べて(約1年3ヶ月で)8割上昇。

時価総額は59兆円で、トヨタ(28兆円)の2倍。

時価総額の世界ランキングで11位を占めるに至っています。

自動車会社の視点で見ると、「下請け(半導体メーカー)の下請け(ファウンドリー)」と思っていた先が、いつの間にか超巨大化していたということなのでしょうか。

ところで、日本のルネサスは、世界的にファブレスが主流になる中で、ファブライト(工場軽量化)路線でやってきました。

那珂工場の迅速なる復旧を願ってやみません。

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2021年3月12日 (金)

イノベーションは企業価値を異次元にワープさせる

つまり、投資の世界では、イノベーションへの嗅覚が投資を異次元の世界へと引き上げる・・。

こうした観点から記事を書いてみました(本日の日経新聞『こちら』)。

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紙で読みたい方は14日の日経ヴェリタス紙に掲載されます。

(画像は出版権の関係で敢えて判読できないようにしています。すみません。上記のリンクをクリックしてお読みください。) 

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2021年2月28日 (日)

テレワークの生産性

内閣官房と経産省が取りまとめた資料がネット上に公開されていました(『こちら』)。

31枚のスライドですが、私の興味を引いたのは:

(1)米国では在宅勤務の生産性は職場と同じか、むしろ在宅の方が生産性が高いと考えられている(下図)。

(なお、図は全てクリックすると大きくなり読めるようになります)。

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(2)一方、日本では在宅の方が生産性が低いと考えられている(下図)。

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(3)なぜ日本では在宅の生産性が低いと考えられているのか、その理由は(下図):

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(4)米国で在宅勤務をしている人の割合が高く、しかも年収の高い人ほど在宅勤務の割合が高い(下図)

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(5)いちばん興味深かったのは次のスライドです。

米国での調査結果なのですが、コロナが収束するであろうと考えられる2022年に、在宅勤務はどの程度の頻度になっているだろうかとの問いに対する答え。

週5日(要するに毎日)との答えが27%。

全体の64%が(コロナが収束するであろう2022年に)週2日以上は在宅勤務になるだろう(もしくは、そうなることを希望する)と答えています。

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新型コロナを契機に働き方改革に取り組み、生産性の向上を図る企業と、在宅は取り入れつつも生産性向上に結びつくことが出来ない企業。

この両者の格差が広がっていってしまうような気がします。

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2021年2月23日 (火)

米国長期金利の上昇

米国の長期金利がじわじわと上がっている。

ここ1ヶ月間の動き(10年もの国債のイールド)。

 10-yr-t

さらに、先週水曜日以降の動き。

  10-yr-t-2

こうした動きはS&P500を売ることに繋がる。

S&P500のここ5日間の動き。

  Sp500_20210223104001

S&P500 と言っても、アップル、マイクロソフト、アマゾン、グーグル、フェイスブック、テスラの上位6社がS&P500全体の24%くらいを占める。

結局、これら6社は軒並み下落。

ひとつの切っ掛けはイエレン財務長官が先週木曜日CNBCの「Closing Bell」という番組でインタビュアーのサラ・アイゼンに対して次のように発言したことにある(『こちら』)。

『新型コロナの経済対策は大規模な方がいい。

規模を抑えることのマイナスの影響の方が(大規模政策によるマイナスの影響よりも)、はるかに大きい』

政府による大規模経済対策によって、市場がインフレリスクを意識するのは、ある意味、当然。

金利の調整機能が働き、株価が下落するのは、市場が健全に機能しているからでもある。

なお市場はイエレン氏のコメント(22日、月曜日にもスピーチ;『こちら』)のみならず、パウエルFRB議長にも注目。

パウエル氏は23日に上院銀行委員会で、翌24日には下院金融委員会で半年に1度の議会証言を行う。

話は変わるが、昨日はテスラの下げもきつかった。

先週末は781ドルだったが66ドル(8.6%)下落。

  Model-y

アフターマーケットでは更に下がり、710ドルになっている。

市場が期待していたモデルY。

コンパクトSUVで価格も4万1990ドルと、ガルフウィングのモデルX(10万ドルを超えるものが多い)に比べると購入しやすい。

そのモデルYのエントリータイプ(ベースタイプ)の注文画面がこっそりと消えた(『こちら』)。

「なぜだ」と騒がれたが、イーロンマスクは、「It is still available off menu, but I don’t think the range, in many drive conditions, yet meets the Tesla standard of excellence」とツイート(『こちら』)。

無理して販売するよりもテスラとしてのスタンダードをしっかり維持したいとのことのようだ。

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