トヨタの株はなぜGMの10倍もするのか(続き)
お叱りを頂戴しました。 『君のブログには、どうして トヨタが GM の 10倍の株主価値を持つのか、その理由が書いていない。』
始めたばかりのブログを関心を持って読んでくださる方がおられるというのは、嬉しい限りです。
さて、10倍の価値の理由を探ってみましょう。 一言で言えば、価値の源泉、すなわちキャッシュ・フローを生み出す力の差が、それだけあるということです。
簡略化した指標として、2004年度の当期純利益を比較してみますと、トヨタ 1.2 兆円に対し、GM 0.3 兆円(1ドル114円換算)です。 この段階で、既にトヨタはGMの4倍です。
興味を持たれている方の為に、もう少し詳しく見てみましょう。 (ファイナンスが苦手な方は今日は、どうぞ、ここでお読みになるのをストップして下さい。)
企業が、現在から将来にわたって上げるキャッシュ・フローの合計値が「企業価値」です(これを『A』と置きます)。 この「企業価値」から、債権者に帰属すべきもの(債権者への返済額、ここでは『B』と置きます)を引いて得られるもの、すなわち、『A』-『B』 が、株主価値です(『C』と置きます)。
トヨタは、GMに比し、『A』が大きく、『B』は小さい。 よって、『A』-『B』 で表される『C』の株主価値は、GMの10倍もの大きさになるのです。
キャッシュ・フローと言っても分かりにくい方には、やや乱暴ですが、両社の営業利益で比較してみると感じがつかめます(乱暴な分、厳密な意味での正確さに欠けるところはありますが)。
2004年度のトヨタの営業利益は、1.7兆円。 これに対して、GMは、1.5兆円。 ここから、各々につき、支払金利(これは先ほどの議論では債権者に帰属することになります)を引いてやりますと、借金の殆ど無いトヨタは、1.7兆円で変わりありませんが、GMの方は、支払金利が1.4兆円もあり、これを引いた後では、0.1兆円(1,360億円)しか残らないことになってしまいます。
営業利益から支払金利を引いた、この数字は、トヨタ(1.7兆円)の方が、GM(1,360億円)の 12倍も大きいのです。
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