バンカーとは銀行員のことではない!?
ハリウッドの映画を見ていますと、時折、日本語の字幕が英語の意味するところと若干ニュアンスが違っていることに気づくことがあります。
Arnold Schwarzenegger が主演した James Cameron 監督の『True Lies』にもそんな一幕があります。
『今夜も退屈な銀行屋と億万長者のお相手かと。。』とパーティで知り合った女性がSchwarzenegger に言う場面があります。
Bankerを、銀行員ではなく、銀行家とした「訳者」はさすがです。
ただ、おそらくここでのBanker は、Commercial Banker(日本語で言う銀行員)ではなく、Investment Banker (投資銀行家)を意味するのだと思います。(注:もっとも「投資銀行家」と訳されても映画を見ている人には何のことか分からないのかもしれませんが。。。)
Commercial Banker は、与信先の credit risk を見極め、貸した金が返ってくるようなスキームを考えます。
Investment Banker は、『顧客の企業価値・株主価値を高めるには、どうすべきか』を常に考え、顧客企業のCEOやCFOにアドバイスを行い、これを実現する(M&A、株式発行などの形で)に際してサポートします。
私は、Commercial Bankの興銀で22年間働き、その後、外資系のInvestment Bankで5年間働きましたから、両者の違いを身をもって体験しました。
両者は、草食動物(Commercial Banker) と肉食動物(Investment Banker) くらいに、異なった性格を持っています。
欧米人が、Banker と言う場合、必ずしも銀行員のことではなく、『投資銀行家』を意味することもあるのです。
(2013年8月5日追記) なお『こちら』(←クリック)の記事もどうぞ。
| 固定リンク
コメント
広告プランナーのブログメッセージ
投稿: アホな企画サイト「BOTSU」 | 2005年10月30日 (日) 23時53分
Bankの元の意味はBench(腰掛け)と、以前に習った記憶があります。腰掛けに座って仕事をしているから。きっと、ここには「体を動かさない奴」という揶揄がこめられているのでしょう。座ったままで金を動かす人間、といったような。
けれど、投資銀行家は、きっともうひとつのBanker―砂丘の窪地―からボールを上手に平坦地に持ち上げる技術を持った人、といった意味に近いですね。ボールゲームの面白さは困難な状況からの脱出にあるのでしょうが、Bankerをものともしないプレーヤーが名プレーヤー。自分から動かなければボールをかき出すことはできませんから。
(世界で一番難しいBankerはセントアンドリュースのオールドコース17番)。
投稿: 神保町 | 2005年10月31日 (月) 10時43分