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2005年10月14日 (金)

敵対的買収に対する防衛を『成功』させるには

ここのところ村上ファンドが新聞を賑わしています。

敵対的買収とはどういうものを言うのでしょうか。  敵対的買収が比較的頻繁に行われている米国の場合を例にとって見てみましょう。 買収しようとする『対象の企業』(ターゲットとなる企業)の取締役会が反対しているにも係わらず、買収者が直接ターゲット企業の株主に働きかけるなどして、その企業を買収しようとすることを敵対的買収と言います。

大規模な敵対的買収が行われる場合には、投資銀行が、それぞれ、買収者の側にも、防衛サイド(ターゲット企業)の側にも、アドバイザーとしてつくことが多いと言えます。

防衛サイドについた投資銀行が、ターゲット企業の防衛に成功すれば、成功報酬の手数料が、その投資銀行に支払われます。 ここで問題となるのは「成功」の定義です。 

例えば、買収者が1株3,000円で買収の提案をしてきたとします。 ターゲットの取締役会が安すぎるとして反対します。 投資銀行がアドバイザーとして雇われ、買収者(もしくは買収者のアドバイザーたる別の投資銀行)を相手に交渉をします。  その結果、買収価格が改定され、例えば1株3,900円になったとしたら、当初提示された価格に比して、3割も上乗せされたのですから、防衛サイドについた投資銀行は『良くやった』と評価され、成功報酬を獲得出来るケースもあります(そういった点も含めて事前に『成功』の定義を決めておくことも多いと言えましょう)。  ターゲット企業の取締役会も、投資銀行を雇って交渉させた結果、買収価格が3割も引き上げられたとしたならば、買収されることに賛成し、自信を持って、株主に対して取締役会としては買収されることを決断した旨、説明出来ます。  結果的には、ターゲット企業は買収されることになる訳ですが、防衛には『成功』したとされるのです。

企業は株主のものですから、高い値段で株を買い取ってくれる買収者は、一番分かりやすい価値の具現者です。

『株価が高騰してTBSの経営陣は喜んでいるのではないか』と村上氏が語ったと一部の報道は伝えていますが、皮肉でもなんでもなく、米国では当たり前のこととして理解されています。

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