金融サバイバル
投資銀行やマーチャントバンクの出発点は何だったのでしょうか。
かつてベアリング商会と共に19世紀の金融を支配したと称されるロスチャイルド商会。この創始者のマイヤー・ロスチャイルドは、1744年、ドイツ・フランクフルトの片隅のユダヤ人ゲットーに生まれました。当時ユダヤ人たちはゲットーと呼ばれる特別の区画でしか生活を許されず、市民権さえも与えられていなかったのです。
投資銀行のルーツを遡っていきますと、こうした差別の中で細々と両替商を営みながら力をつけてきたユダヤの金融業者(ロスチャイルド、ゴールドマン、リーマン、ラザール、ソロモン)と彼らをライバルとしてきた勢力(ベアリング、モルガン)とが浮かび上がってきます。
いかなる戦乱や迫害があっても「貨幣を確保し知恵と知識を磨いていけば生き残れる」という民族の言い伝えのようなものが、投資銀行のカルチャーの中には脈々と息づいているように思えてきます。
「最後に頼れるのは自分だけだ。したがって常に最高レベルの知識とノウハウを身につけておかなければならない。」「国の後ろ盾など期待しない。自分で考え自分でリスクを取る。」投資銀行の中に流れるこうした企業文化は、何かあったら公的資金に頼ろうとする日本の金融機関とは全く異質のように思えます。
投資銀行は永い歴史と伝統を持つがゆえに、常に進取の精神をもって道を切り開いていかないことには生き残れないことを学んできました。
後に金融帝国を築くことになったマイヤー・ロスチャイルドにとっては、金融サバイバルとは、まさに自分の命が生き延びること、そのものを意味したのでした。
進取の精神を持たなければ生き残ることさえ難しくなる。年の初めにこんな風に決意を新たにしました。
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