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2006年3月25日 (土)

カトリーナは二極化社会に対する見方を変えたか

スタンフォード大学からは定期的に教授たちの書いた学術論文のエッセンスがe-mail で卒業生たちに送られてきます。

この辺は、日本の大学も見習うべきではないかと思います。

昨日送られてきたレポートに興味深いものがありました。以下にそのサマリーを書きます。

多くの被害をもたらしたハリケーン『カトリーナ』は、同時に、テレビ映像によって、『こんなに貧しい人たちがアメリカにはいるんだ』ということを全世界の人たちに知らしめました。

社会学教授のDavid Grusky(写真右)と博士課程のEmily Ryo(写真左)は、ハリケーン『カトリーナ』によって貧困や不平等に対するアメリカ人の見方が変わったのかを調査しました。

Katrina_ryo_grusky_1

調査結果の一部ですが、左の数字がカトリーナ以前(2004年10月)、右がカトリーナ直後(2005年10月)です。

              2004     2005

Activists    58%       60%

Realists       6%       11%

Moralists     0%        1%

Deniers      21%      25%

ここで、Activists とは、貧困や不平等を減らす為、国や州が積極的に介入すべきだと信じる人、

Realists とは、貧困や不平等を減らすことに対する国や州の能力や責任に対して懐疑的な人

Moralists とは、貧困や不平等をさほど重要な問題とは考えない人

Deniers とは、「貧困や不平等が拡大していることや、これらの問題が重要であること」を強く否定する人たちと、

このレポートでは定義しています。

カトリーナのニュースには米国の7割の大人が大変な注意をはらった(have paid very close attention)という調査結果が出ています。(過去20年間で5番目に注目された出来事とのこと。)

テレビを中心とするメディアはこの機会にアメリカが抱える貧困や不平等の問題について盛んに報道しましたが、上の表のように、アメリカ人の見方はあまり変わりませんでした。

スタンフォードから送られてきた、この論文のエッセンスをこちらにアップしておきましたので、ご興味のある方はクリックしてみてください。

論文の全文はDu Bois Review というSocial Sciences の雑誌の春の号に掲載される予定です。

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