日産
このところ、日産自動車の不調振りが伝えられています。
トヨタと日産の有価証券報告書(平成18年3月期)をベースに両社を比較しますと、上の表のように、日産の売上高、営業利益は共に、トヨタの45~46%であるにもかかわらず、株主価値は、トヨタの25%と評価されています。
ということは、少なくとも現在の財務諸表をベースとする限り、日産の株価の方が割安に評価されているということです。
はたして、日産の株は、『割安なので買い』でしょうか?
株価は、過去の実績をベースとするのではなく、企業が将来にわたって生み出すキャッシュ・フローを、現時点に引きなおして得られる企業価値をベースに、算定されます。
上の表は、あくまでも過去12ヶ月間(平成17年4月~平成18年3月)の実績をベースとしたものにすぎません。
日産の平成18年3月期の営業利益は、前年度の861 十億円に比し1.2%増の872 十億円を記録しています。ただ、月ごとの販売実績を見ていくと、年度後半の平成17年10月以降は、毎月のように前年同月比のベースで、販売実績は、減少を記録し続けてきています。
特に平成18年1月~3月の第4四半期のベースでは、日、米、欧の全ての市場で、日産は前年同期比マイナスの販売実績を記録することを余儀なくされてきています。
日産自動車:連結ベース販売台数
日産の販売不振状況は平成18年4月以降も続いてきています。
ちなみに、平成18年1月-6月の日本の自動車メーカー各社の国内販売状況は下記の通りとなっています(軽自動車を除くベース)。
日産は、特に個別車種のブランド力の低下が著しく、平成18年1月-6月の車種別の日本国内販売実績では1位~3位が、トヨタのカローラ(1位)、ヴィッツ(2位)、そしてホンダのフィット(3位)と続き、上位10位の中に、日産はわずかにセレナが7位でランク・インするのみに終わっています。
米国における平成18年6月の新車販売実績でも、トヨタが販売を伸ばす中、日産の減少ぶりが際立っています 。
米国での日産は、現在、丁度モデルチェンジの端境期となっています(平成18年秋には、アルティマ、セントラなどが全面改良の予定)が、トヨタやホンダに比べますと、ハイブリット車を出せておらず、技術力に差をつけられているとか、環境への取り組みでも劣後しているとのイメージが、米国内でもあるようです。
日産がどうなっていくのか、GMとの提携の帰趨を含め、予断を許さない状況になってきました。
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コメント
こんばんわ、岩崎さん。
日産の業績が、かなり危ぶまれているようですね。
そういえば、トヨタ、ホンダは自動車以外に、「ロボット開発」においても、知名度が高いですよね。
少子化、高齢化社会に備えて、人間の代りに働いてくれるロボットの潜在需要は、非常に大きいと思います。
自動車メーカの中で、トヨタ、ホンダは先々の潜在需要を見据えて、事業展開しているグループに属する会社だと思います。
でも、投資をするに当たって、最終製品を供給する、「川下企業」は最終製品の出来の当たり・外れのリスクがありますよね。
それに比べて、ガラスなどの素材を供給する「川上企業」は、供給する素材が広範囲な分野に使われるので、いわば、会社の事業自体がポートフォリオを組んでおり、(特に弱小個人投資家は!)安心して投資できるように思います。
このブログを読んで、あらためて、川下企業への投資のリスクについて、考えさせられました。
投稿: まさくん | 2006年7月21日 (金) 22時27分