上場はゴールか出発点か
『株式の新規上場(IPO)は、(経営にとっての)ゴールではなくて、出発点であるべきだ』 ということを、これまでの私の著作で書いてきました。
9月14日に上場予定のミクシィの株を(グループで)十数パーセント保有しているとして、鳴り物入りで上場した『ネットエイジグループ』。
公募価格 60万円
8/30 初値 120万円
8/31 当日高値 153万円
9/1 終値 100万円
上場3日目で早くもこれだけ暴落した(といっても公募価格をまだ上回っていますが)のは、ネットエイジグループの第2位株主のトランス・コスモスが大量にネットエイジ株を(上場後の)市場で売りに出したからです。
日本証券新聞によれば、これにより同社の持分比率は、20.28%から、6.17%に低下。
しかし第2位の株主といえば、創業者と一緒になって、会社発展の為に、努力してきた筈。
それが上場した途端に一気に持ち株比率を十数パーセントも低下させる売りを行うというのは、如何なものでしょうか。
彼らにとって上場は『出発点ではなくゴールだったのか』と思えてきます。
それに、これだけの売り物を、上場した当日や翌日に浴びせるというのであれば、上場前の公募の段階できちんとディスクローズして、公募・売り出しとして、事前に売り出しておくべきです。
公募・売り出しとして売り出すことはせずに、初値が高くなることを期待して、そこで売り浴びせる。可哀そうなのは、そんなことが行われるであろうことは、つゆ知らず、153万円の高値でネットエイジ株を掴んだ一般投資家です。
こういったことが行われ続けるようであれば、日本の新興市場は、いつまでたっても 『一般投資家を食い物にする』 市場ということになってしまいます。
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コメント
岩崎先生の本はいつも読ませて頂いています。今も『投資銀行』読んでいます。
ネットエイジ上場でのトランス・コスモスの件、IPOを食い物にした短期的投機と感じます。企業の長期的な成長を本当に考えて出資しているのでしょうか。残念です。
投稿: Yasu | 2006年9月 3日 (日) 12時15分
ネットエイジグループって、初めて知りました!
早速、企業のHPを見たのですが。。。
何をやっている会社なのか、僕には、良く分かりませんでした!(^○^)
上場直後に、トランス・コスモスが大量に売りに出したということは、この会社の将来性を見切ったのかな?と解釈できます。
そういえば、「会社の値段」(森生明 著、ちくま新書)に、つぎのような話が紹介されていました。
「バブルの絶頂期、六本木のベルファーレというディスコで行われたネット起業家のパーティで、一攫千金の投資先を探す金融機関の社員や、派手な女性を引き連れて起業家気取りをしている若者の異様な光景が目についた。」
新興市場のネット関連企業の株の売買は、基本的に個人投資家は手出し無用で、相場のプロに任せておけば良い!(^○^)という感じがします。
「世界一受けたい株の授業」での「このまま危うい投資を続けていたら、俺の人生そのものが危うくなってしまっただろう。」という、サンプラザ中野さんの巻頭のお言葉を思い起こしました。
投稿: まさくん | 2006年9月 3日 (日) 21時04分