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2006年11月12日 (日)

漂流する日本

トヨタの株価がまだ4000円台であった昨年の夏頃から、私は、セミナーや雑誌のインタビュー、あるいは著書などで、トヨタを例にして『DCF法によって株価を算出することの効用』について、説明してきました。

そんなことも影響したのでしょうか。

最近お会いする方から、良くこんな言葉を頂戴します。

『岩崎さんに勧められて(注:別に私は勧めた訳ではありません。念のため)、トヨタの株を買いました。まさかと思ったのですが本当に7000円台をつけてしまいました。ありがとうございます。』

もっとも結果はともかくとして、『多くの方々にDCF法を紹介する』という、本来の目的がどの程度果たせたのか、反省することも少なくありません。

今思い返してみますと、例えば、もっと簡単に、こんな風に(↓)説明することから始めた方が分かりやすかったのかなと思えてきたりします。

『ほぼ5年前(2003年3月末期)、トヨタの年間営業利益は、1兆2700億円でした。

それが今年度には、トヨタは、ほぼ倍の営業利益 2兆2000億円を見込むというのですから、

株価が当時(3500円前後)のほぼ倍をつけたとしても、

何となく納得して頂けますよね。』

ところで、最近お会いする多くの方から続けて受ける質問は、『今後どうなるか』についてです。

『トヨタ(の株価)は今後1万円をつけるでしょうか』

『日本株は来年はどうなるでしょうか』

今の日本は景気は良くなってきているものの背後に隠された問題は山積みです。

地方公共団体の財政の問題(『自治体の破綻は夕張市の問題だけではない』といった多くの新聞記事が思い起こされます。)

更には多くの地方銀行の問題(優良な融資先がなかなか見つからない為、これまで主として国債を買ってきた多くの地方銀行にとって、市場金利の上昇は、彼らが保有する国債の価格下落を意味します。)

そして高齢化社会、少子化の問題、格差問題。。。

消費税はどうするのでしょうか。

『再チャレンジ政策』と称して、1691億円(各省庁の再チャレンジ要求総額)をばら撒いてもどの程度効果あるのでしょうか。

とりあえず来年の参議院議員選挙までは小手先の対応で進む・・・本来そういった余裕は我々には無いように思えます。

投資家として、冷静な立場で考えれば、残念ながら日本リスクを意識せざるをません。

すなわち、投資戦略としては、日本株のポートフォリオを少し落として、BRICs諸国への投資のウェートを高めるという結論になってしまいそうです。(ちなみに日経平均は10ヶ月前とほぼ同レベルですが、中国や香港のハンセン指数やA株は日本円ベースにすれば、ここ10ヶ月間で50%程度上昇しています。)

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コメント

> すなわち、投資戦略としては、日本株のポートフォリオを少し落として、BRICs諸国への投資のウェートを高めるという結論になってしまいそうです。

やはりそうなのでしょうか。仕事柄、外資系企業(欧米系)と話すことが多いのですが、どうも最近、アジア地域の拠点として、インド・中国はまず押さえるが、日本は後回し、あるいは興味がない、という話をよく聞きます。それだけ、日本が投資対象としての魅力を失っているということなのでしょうか。
また、BRICs諸国への投資をする場合、どのような株式市場に、どの証券会社経由で、どのように企業情報を収集することで、より確度の高い投資ができるのかも是非勉強したいと思っております。岩崎先生のお勧めはどのような方法でしょうか?

投稿: Yasu | 2006年11月12日 (日) 06時29分

私自身は、BRICsの個別企業について勉強する時間がなかなか持てないことから、とりあえず、『全体をおさえる』との意味合いで、株価指数や(一部)投信に投資しています。

一つは、『ハンセンH株指数ETF』といった、これも一種の投信ですが、株価指数とほぼ同じ値動きになるよう運用される為、手数料も一般の投信に比べ、安めに設定されています。

また例えば『ハンセンH株指数ETF』として上場している為、価格を指定して売買することも出来ます。

これらは日興など大手の証券会社でも扱っています。

この他、手数料は若干嵩みますが、外資系のピクテなど実績あるところが運用するBRICs中心のファンド(投信)に投資をする(これらも日本の大手証券会社で販売を扱っています)といった方法もあるかと思います。

投稿: 岩崎 | 2006年11月12日 (日) 08時56分

岩崎先生、こんばんわ。
お久しぶりの、記事のご投稿ですね。
新しい、チャレンジは、順調に進んでいるのでしょうか?
うまく、軌道にのっていたら、良いですよね。
ところで、この記事の中で、気になったのですが、岩崎先生にトヨタ株や、今後の日本株の値の動向について、いろいろと聞かれる方が多いみたいですね。
僕は、「投資はあくまでも自己責任」という考えを持っているので、他の人に聞いて、株の売買をすることは無いです。
僕は、日本にせよ、BRICs諸国にせよ、今後の株価の動向を完全に占うのは、おそらく、不可能だと思いますから、マア、自分のやりたいように、勝手にするのが、投資主体の本人にとって、一番、気が済むやり方だと考えます(^○^)。
ところで、”金融商品”というものは、おしなべて、曲者が多いみたいですね。
商品である以上、それが買われた場合、一番トクをするのは、売り手である金融機関ですよね。

投稿: まさくん | 2006年11月19日 (日) 20時44分

例えば、『為替レートが○○円になったら、金利を××にします。ならなければ、金利はこうです。』といったような商品は、オプションを利用しており、購入するヒトは、オプションのコスト、プラス、金融機関の利鞘を、目に見えない形で、払わされています。

投稿: 岩崎 | 2006年11月19日 (日) 22時42分

岩崎先生、こんばんわ。
お返事を、有難うございました。

「金融商品」なるものは、凡人が資料を読んでも、意味が不明瞭なものが多いですよね。
買い手にとっての、リスクに関わる重要な事項は、非常に小さい文字で印字されています。

僕のように、数年後の経済情勢を正確に見極めるようなアタマもなく、かつ、大きな度胸もない、言わば「その他大勢」に属するグループは、やっぱり、「自分が良く分からないモノは、絶対に買ったらダメだ!」と、深刻に考えてしまいます。

投稿: まさくん | 2006年11月26日 (日) 19時48分

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