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2007年1月 5日 (金)

円キャリートレード(3)

福井日銀総裁は、2006年11月10日の衆議院財務金融委員会で、

円キャリートレードについて

『非常に膨れている場合には、先行きの金利観に急激な変化が生じれば、急激な巻き戻しが起こり、さまざまなひずみをもたらす。このリスクが非常に大きいため、大変警戒的にみている』

と警戒感を示しました(同日付ロイター)。

一方、財務省の渡辺博史財務官は、2006年12月4日、オーストリア、ウィーンでの会合の合間、ロイター記者に対し、

『円キャリートレードの影響は誇張されており、あまり懸念していない』

とし、

『注視する必要はあるが、現段階では脅威や危険とは認識していない』

と語ったと報じられています(同日付ロイター)。 

福井総裁と渡辺財務官の両者の見解の相違は、政治的な思惑から来ている面もあると思われます。

すなわち、出来るだけ早いタイミングで、再度の利上げを実施したい日銀と、これを遅らせたい財務省の立場の違いです。

昨日Quoteした、JPモルガンの菅野氏と佐々木氏は、

『日本の個人投資家の外債投資が30兆円』、その他を含めて円キャリー取引の規模は、『40兆円以上』

と推計しています(2006年12月1日日本経済新聞)。

みずほコーポレート銀行の本多秀俊氏によれば、

1500兆円に達したと言われる日本の家計資産に占める外貨建て資産運用の比率は『2.3% 』(35兆円)

と推測されるとのことです(2006年9月21日 Money Globe; 日経ビジネス オンライン)。

本多氏は、

『日本の家計資産に占める外貨運用の比率は、国際的な水準から比べると、まだまだ極端に低い』

とした上で、

『個人投資家の動向いかんでは、年金や生保など大口機関投資家の手を借りずとも』

『円高圧力を蹴散らして余りある円安圧力が市場に供給されることにもなる』

と論じています(2006年9月21日 Money Globe; 日経ビジネス オンライン)。

円キャリートレードをどう見るか。

『あなたの資産運用の巧拙を左右する重要なポイントになる』ことだけは、間違いないと言えましょう。

(次回は『不都合なシナリオ』と題した『円キャリートレードの第4回』を掲載します。)

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