仕事術・勉強法④
再び、『仕事術・勉強法 』について書いてみます。
今日は、『自分の作ったもの・書いたものに対して、愛着を捨てろ』ということです。
私が興銀の審査部にいた時代。1ヶ月かけて、一つの企業を審査します。
沿革・経営者、業界事情、生産・販売、収支・財政、収支予想といった具合に、審査の調書を取りまとめていき、最後にA4版の紙2枚に結論を書きます。
審査の調書は時として100ページを超える分厚いものになります。しかし、それと同じくらいに重要なのが、このたった2枚の紙にまとめられる『結論』の部分です。
私が興銀の審査部にいた時代には、この『結論』は、頭取、副頭取、そして常務取締役全員に配布されていました。
1ヶ月の審査の集大成がたった2枚の紙に凝縮されるわけですから、書く方は相当力を入れて書きます。
この時だけは、私は大抵徹夜をして、たった2枚の紙を書いていました。
裁判官が判決文を書く時、例えば、「『○○○等』といったように『等』という言葉を使って曖昧に書いてはいけない」といった話を聞いたことがありますが、
銀行の審査の『結論』も時として、企業の命運を決することにも繋がりかねません。曖昧さを排除し、緻密なロジックのもとに議論を展開していきます。
私は、結論を書くに際しては、もう一度、1ヶ月前の審査の出発点に立ち戻って、心を真っ白にして(1ヶ月間の審査の作業をある意味で忘れて)書くようにしていました。
ただ、こうして苦労して書き上げた結論も、多くの場合、上司である審査役に真っ赤になって直されてしまいます。
我々はみな、多かれ少なかれ、自分の書いたものを気に入ってしまったり、悦に入って眺めてしまうようなところがあります。
そういった気持ちを拭きって、冷静に第三者から評価してもらうことが必要です。集中すれば集中するほど、自分では見えなくなってしまったことが、第三者の目を通して、見えてくることがあります。
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コメント
独り善がりにならず 謙虚に人の意見を受け入れることによって 視野がさらに広がると言うことですね
投稿: ミエコ | 2007年1月21日 (日) 19時18分
私はそのDNAを引継ぎたいと思っている人間の一人です。かつてのK銀は古きよき時代だったのでしょうか?
同じものを復活させようとは思いませんが、新たな伝統を気づいていきたいと願います。
投稿: DNA | 2007年1月22日 (月) 22時51分