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2007年2月24日 (土)

投資の定義

投資 (investment) とは、一体 どういうことでしょう。

投機との違いは何でしょうか。貯蓄とはどう違うのでしょうか。

ノーベル賞学者のウィリアム・シャープ教授が書いた 『Investment』 という教科書の一番最初に、投資についての定義が記されています。

Investment is the sacrifice of certain present value for (possibly uncertain) future value.

日本語に訳すと、『投資とは、(往々にして不確かな)将来の価値の為の、現在の(確かな)価値の犠牲である。』ということになります。

シャープのこの定義は別に絶対的なものではなく、投資については、いろいろな定義があるのでしょうが、ポイントは、投資という行為は将来に向かって行うというところにあります。(しかもその将来というのは必ずしも確実なものではないということです。)

将来を読む。

これから先、どうなっていくのか。

投資の醍醐味は不確実な将来を全知全能をかけ見通そうとするところにあります。

ところで、我々は往々にして過去に固執しがちです。

経営者の多くは、よく、『俺たちはこんなにがんばった』と、過去の栄光を語りたがります。

しかし投資を行う上でのポイントは、将来の予測です。過去は将来を予想する上でのみ意味を持ちます。

ともすると、我々は 「過去」や「現在」ばかりを見て、「将来」を正面から考えることをしない傾向にあります。

過去に学ぶのは、もちろん重要ですが、より大切なのは過ぎてしまったことではなく、これから先のことです。

賢者は未来を見据え、愚者は過去を吹聴する。

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2007年2月18日 (日)

日本は一時のアルゼンチンのようになってしまうか

ジョージ・ソロスと二人でクォンタム・ファンドを立ちあげたウォール街の伝説の投資家ジム・ロジャーズ。

『インベストメント・バンカー』ならず『インベストメント・バイカー』という本の著者としても知られています。

彼が7年ほど前に日本に来た時に一緒に食事をする機会に恵まれました。

私は、日ごろ思っていた問題意識を彼にぶつけてみました。

『日本企業は未だに決断のスピードが遅く、年功序列の色彩も強い。欧米に比べて若い人が実力を発揮できないでいる。また、日本の公的セクターは非効率で、財政赤字はどんどん積みあがっていく。このままでは、日本は一時のアルゼンチンのようになってしまうのではないか。』

その後、ジム・ロジャーズとは、彼が日本を去った後も、何回か、メールのやり取りをしましたが、彼から、次のようなメールが来たのが印象的でした。

『確かに日本は多くの問題を抱えているが、people like yourself のような人たちが、それに気づきがんばっている。この状況が続く限り、私は、日本は一時のアルゼンチンのようにはならないのではないかと思います。』

* * * * *

いつまでも既得権益にしがみつき閉鎖性の壁を築いている日本。先日、経済同友会代表幹事の北城恪太郎さんが発表した『イノベーションを阻害するもの』と題する文章を読んで、私は、7年前のジム・ロジャーズとの上記のやり取りを思い出したのでした。

残念ながら日本が抱える問題は7年前に比べてみてもあまり改善されていません。

ただ国債残高だけが、この7年間の間に、324兆円→675兆円へと約2倍に増加してしまっています( 注: 内国債のみの数字;平11年9末→平18年9末の7年間の比較)。

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2007年2月15日 (木)

イービットだぁ~

このブログでは、昨年から、日産自動車について、やや厳しめに書いてきています(2006年7月21日付けブログ、7月29日付けブログなど参照)。

今月に入って(2月2日)、日産自動車が今年度業績見通しを下方修正したことを受け、同社株価は下落基調に推移してきています。

もっとも私には、日産の問題は、マスコミ各社が報道している『営業利益見通しの下方修正(8800億円→7750億円)』だけではないように思えます。

そもそも営業利益の額は、設備投資を控えることにより、減価償却費を減らせば、短期的には増加します。

会社四季報から、トヨタと日産の減価償却費と設備投資額の水準を拾ってみましょう。

  • まずは減価償却費の水準。

    トヨタ:減価償却費(売上高の4.2%)

    日産:減価償却費(売上高の3.3%)

  • 次に設備投資です。

    トヨタ:設備投資額(売上高の7.3%)

    日産:設備投資額(売上高の5.0%)

もしも日産自動車が営業利益の額に執着するあまり、必要な投資を怠っているとしたら、現在の決算数字は良くなっても、その『つけ』は、ボディーブローのようになって、将来にわたって効いてきます。

そもそも日産の『リバイバルプラン』とか、『日産180』、『バリューアップ』といった(営業利益率を中核とする)『目標』の設定自体が適切なものだったのでしょうか。

たとえば、日産のハイブリット車の開発状況はどうなんでしょうか。

2月12日の日経新聞は日系自動車各社のインドでの生産計画を報じていましたが、スズキ、ホンダ、トヨタに比し、日産は遅れをとっているのではないでしょうか。

投資銀行で企業価値を評価する時、EBITDAという数値をよく使います。

(注:欧米人は『イービットだぁ~』と発音します。)

Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization の略です。(詳しくは『こちら』をご覧下さい。)

会社が発表する営業利益や営業利益率の数字を鵜呑みにせず、時として、こうしたEBITDAのような数字を使って、同業他社比較を行ってみますと、その企業の実力がより一層的確に見えてきます。

もしも将来の成長を犠牲にしてまで、現時点で良い数値を上げようとしている企業経営者がいるとしたら、私はそういった経営者が経営している会社には投資をしたくありません。

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2007年2月12日 (月)

十河さんの教え (仕事術・勉強法⑮)

最近、日興コーディアル証券の事件についてご質問を受けることが多いのですが、現在発売されている月刊『現代』に町田徹さんが詳しい記事を書いていますので、ご関心のある方はこちらを読まれてみると良いと思います。

この種の事件が起こる度に私が思うのは、

『お金に近いところで働いている人ほど、お金に対して潔癖でなくてはいけない』

ということです。

実は、この言葉を再三再四、口にして、私に教えてくれたのは、興銀時代の上司であった十河一元さんです。

1992年から97年までの5年間、私は興銀の営業第3部で課長を務めました。

この間、十河さんには、営業第3部長(92-94年)として、そして常務取締役(94-98年)としてご指導頂きました。

以下は、十河さんがよく私に教えてくれた言葉です。

『率先垂範。若い人たちは君達管理職の背中を見て、大きくなっていくんだ。』

『若い人たちには、箸の上げ下ろしまで指導しなくては駄目だ。僕だってそうしてもらって来たんだ。』

『僕が(岩崎君のような)課長の頃には、大きな鞄に資料を入れて持ち帰り、毎日必死で読んでいたよ。』

『常務室に入ってくる時の君達の顔を見れば、この問題でどれだけ君達が真剣に悩み苦しんできたか分かるよ。』

十河さんは、98年に興銀の常務を退任されました。 当時、私は十河さんをお送りする言葉を興銀の社内報に書きました。

その一節(一部のみ)です。

『・・・・・・

ピーンと張ったピアノ線のような「緊張感」が、常に十河さんからは伝わってくる。

同時に、十河さんは、弱者に対するやさしさ、思いやりに溢れた方でもある。

・・・人間の持つ「痛み」を理解し、大きく包み込んでくれる。

十河さんの祖父は、国鉄総裁として新幹線の建設に尽力され、日本経済発展の礎を築かれた。

十河さんは、「戦後政治の三大課題」の一つと称された水俣病問題に、メインバンクとしての立場から対峙し、経済発展の歪みから生じた「悲劇」の解決に腐心された。

そして、高度経済成長の終焉により、興銀が大きな舵の切り返しを余儀無くされる中、永年の蓄積の中で山積みされた問題の一つ一つに正面から取り組まれ、大きな足跡を残された。

常に全力投球、獅子奮迅の活躍であった。

「後は君達に任せたからな。」

興銀を去る十河さんの背中は、こう語っているように思えてならない。』

   *  *  *

2002年11月、十河さんは62歳の若さで返らぬ人となりました。

当時の日経新聞に掲載された記事です。

(→「NikkeiShimbun.jpg」をダウンロード

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2007年2月 7日 (水)

ひるまない (仕事術・勉強法⑭)

みなさんは、「絶対に勝てる」と分かっている勝負をするのと、「ほぼ負けるに違いない」勝負をすることの、どちらを好みますか。

「絶対に勝てる」と分かっているような勝負って、はたして面白いでしょうか。

2~3日前だったと思いますが、小泉孝太郎さんが、新聞社(だったと思います)のインタビューに答える形で、

『この業界(芸能界)はもの凄いチャンスが目の前をビュンビュンと通り過ぎていく。それを捕まえることが出来るかどうか分からないが、この不安定さが自分は好きだ』

といった趣旨の話をしていました。

芸能人やタレントの方たちの話を聞いていますと、

『数年間、全く売れなくて不遇の思いをしたが、ひるまずにチャレンジを続けて、たった1回のチャンスをものにしてブレイクした』

といったことをよく耳にします。

もう少し身近な話をしましょう。

A社はこれまでもっぱらD社に広告・宣伝を依頼してきました。

このA社のアカウントを担当することになった広告代理店H社のBさん。

何をどうやってみてもA社におけるD社の牙城を切り崩すことが出来ません。

なかなかプレゼンの機会さえ与えられず、やっと与えられたプレゼンでも常にD社に対して敗退を余儀なくされる・・・

広告の業界に限らず、例えば投資銀行でも似たようなところがあります。

N社のビジネスはこれまで外資系投資銀行のG社が殆ど獲得してきていました。

『G社は第一級のリサーチ・アナリストを抱え、N社との間ではこれまで、○件の大型M&Aを成功裏に完了させ、N社トップのG社に対する信任も厚いのです。』

と、このような説明を聞くまでもなく、G社が強いのは分かっています。

かといって手をこまねいている訳にはいきません。

こういった状況をチャレンジと捉えて積極果敢に攻めることができるかどうか。

圧倒的に強いG社やD社にぶつかっていくのは大変です。

でも2勝8敗、いや1勝9敗でもいいではないですか。

全知全霊を使って真っ向勝負すれば、10回のうち1回位は勝てる可能性があります。

立ちはだかる『壁』の大きさにひるんで、挑戦を諦めてしまえば、永遠に「不戦敗」のままです。

『いつ勝てるか分からない。

しかし、この不安定さが好きだ。』

そういってチャレンジを続ける人を運命の女神がいつまでも放っておく筈がありません。

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2007年2月 6日 (火)

ひとのマネをする (仕事術・勉強法⑬)

興銀に勤務していた時、一年間だけ職員組合の副委員長を務めたことがあります。

「絶対に勝てる」と分かっているような勝負って、はたして面白いでしょうか。

2~3日前だったと思いますが、小泉孝太郎さんが、新聞社(だったと思います)のインタビューに答える形で、

『この業界(芸能界)はもの凄いチャンスが目の前をビュンビュンと通り過ぎていく。それを捕まえることが出来るかどうか分からないが、この不安定さが自分は好きだ』

といった趣旨の話をしていました。

芸能人やタレントの方たちの話を聞いていますと、

『数年間、全く売れなくて不遇の思いをしたが、ひるまずにチャレンジを続けて、たった1回のチャンスをものにしてブレイクした』

といったことをよく耳にします。

もう少し身近な話をしましょう。

A社はこれまでもっぱらD社に広告・宣伝を依頼してきました。

このA社のアカウントを担当することになった広告代理店H社のBさん。

何をどうやってみてもA社におけるD社の牙城を切り崩すことが出来ません。

なかなかプレゼンの機会さえ与えられず、やっと与えられたプレゼンでも常にD社に対して敗退を余儀なくされる・・・

広告の業界に限らず、例えば投資銀行でも似たようなところがあります。

N社のビジネスはこれまで外資系投資銀行のG社が殆ど獲得してきていました。

『G社は第一級のリサーチ・アナリストを抱え、N社との間ではこれまで、○件の大型M&Aを成功裏に完了させ、N社トップのG社に対する信任も厚いのです。』

と、このような説明を聞くまでもなく、G社が強いのは分かっています。

かといって手をこまねいている訳にはいきません。

こういった状況をチャレンジと捉えて積極果敢に攻めることができるかどうか。

圧倒的に強いG社やD社にぶつかっていくのは大変です。

でも2勝8敗、いや1勝9敗でもいいではないですか。

全知全霊を使って真っ向勝負すれば、10回のうち1回位は勝てる可能性があります。

立ちはだかる『壁』の大きさにひるんで、挑戦を諦めてしまえば、永遠に「不戦敗」のままです。

『いつ勝てるか分からない。

しかし、この不安定さが好きだ。』

そういってチャレンジを続ける人を運命の女神がいつまでも放っておく筈がありません。

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2007年2月 5日 (月)

不都合な真実

昨日は立春。

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2007年2月 3日 (土)

こじつけ (仕事術・勉強法 ⑫)

『今年は2007年ですが、さて平成では何年?』

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2007年2月 2日 (金)

Energize (仕事術・勉強法 ⑪)

同じような状況下にあっても、それをポジティブに捉えることが出来る人と、どうしてもマイナス面ばかりに目が行ってしまう人がいます。

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2007年2月 1日 (木)

客が客を呼ぶ (仕事術・勉強法⑩)

学生時代、いろんなバイトをしていました。

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