十河さんの教え (仕事術・勉強法⑮)
最近、日興コーディアル証券の事件についてご質問を受けることが多いのですが、現在発売されている月刊『現代』に町田徹さんが詳しい記事を書いていますので、ご関心のある方はこちらを読まれてみると良いと思います。
この種の事件が起こる度に私が思うのは、
『お金に近いところで働いている人ほど、お金に対して潔癖でなくてはいけない』
ということです。
実は、この言葉を再三再四、口にして、私に教えてくれたのは、興銀時代の上司であった十河一元さんです。
1992年から97年までの5年間、私は興銀の営業第3部で課長を務めました。
この間、十河さんには、営業第3部長(92-94年)として、そして常務取締役(94-98年)としてご指導頂きました。
以下は、十河さんがよく私に教えてくれた言葉です。
『率先垂範。若い人たちは君達管理職の背中を見て、大きくなっていくんだ。』
『若い人たちには、箸の上げ下ろしまで指導しなくては駄目だ。僕だってそうしてもらって来たんだ。』
『僕が(岩崎君のような)課長の頃には、大きな鞄に資料を入れて持ち帰り、毎日必死で読んでいたよ。』
『常務室に入ってくる時の君達の顔を見れば、この問題でどれだけ君達が真剣に悩み苦しんできたか分かるよ。』
十河さんは、98年に興銀の常務を退任されました。 当時、私は十河さんをお送りする言葉を興銀の社内報に書きました。
その一節(一部のみ)です。
『・・・・・・
ピーンと張ったピアノ線のような「緊張感」が、常に十河さんからは伝わってくる。
同時に、十河さんは、弱者に対するやさしさ、思いやりに溢れた方でもある。
・・・人間の持つ「痛み」を理解し、大きく包み込んでくれる。
十河さんの祖父は、国鉄総裁として新幹線の建設に尽力され、日本経済発展の礎を築かれた。
十河さんは、「戦後政治の三大課題」の一つと称された水俣病問題に、メインバンクとしての立場から対峙し、経済発展の歪みから生じた「悲劇」の解決に腐心された。
そして、高度経済成長の終焉により、興銀が大きな舵の切り返しを余儀無くされる中、永年の蓄積の中で山積みされた問題の一つ一つに正面から取り組まれ、大きな足跡を残された。
常に全力投球、獅子奮迅の活躍であった。
「後は君達に任せたからな。」
興銀を去る十河さんの背中は、こう語っているように思えてならない。』
* * *
2002年11月、十河さんは62歳の若さで返らぬ人となりました。
当時の日経新聞に掲載された記事です。
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コメント
岩崎先生、こんばんわ。
十河一元さんを、初めて知りましたが、親分肌で、とても心の優しかった方のようですね。
>『率先垂範。』
>『若い人たちには、箸の上げ下ろしまで指導しなくては駄目だ。』
これらの言葉から、当時の興銀の行風が偲ばれるかのようです。
過去の記事で、「どんな組織にも問題点がある。そこを指摘し『冷笑する批評家』は、リーダーにはなれない。リーダーとは、そういった問題点を『チャレンジ』と考えて、解決しようとする、実行力のある人。回りを元気づける(energize)人だ。」とご紹介頂きましたが、十河一元さんは、きっと、そのような方だったのだと思います。
そして、十河一元さんの残されたDNAは、今も、脈々と生き続けているのだなあと思いました。
投稿: まさくん | 2007年2月12日 (月) 21時38分