Sense of ownership
私は22年間も興銀にいてから外資系投資銀行に移ったものでしたから、移った当初は驚くことが沢山ありました。
一番の違いは、『自分たちの給料は自分たちで稼ぐ』という意識の深さの違いでした。
特に私は興銀で職員組合の副委員長を経験していたこともあり、外資系に移っても当初は『日本の従業員もこのくらいのペイが欲しい』といったスタンスで、イギリス人の上司とよく話をしていました。
その結果、返ってくる答えが、『・・で、そのカネは一体どこから出てくるのかい?』というものでした。
私は、『ニューヨークの本社では、「今こそ日本にインベスト(投資)すべきだ」と言っていたじゃないですか。今年は確かに当初思っていたほどは稼げないかもしれませんが、かと言って(オフィサーたちに)出すカネを抑えれば優秀な人材は引き抜かれてしまいます』
などと抗弁したのですが・・・
無駄でした。
外資系の投資銀行では
『自分たちの給与や賞与くらい自分たちで稼げ(本当は株主に還元されるべき価値の分もチャンと稼げ)』
そういった意識が徹底していました。
人事部(HR)などの間接部門の人たちも『君達が稼いでくれないと我々の職がなくなる。だからしっかり稼いでくれ。』と真顔で言います。
興銀は戦前は政府の全額出資で、戦後数十年を経ても未だに給与はどこからか降ってくるという意識が従業員の間に根付いていました。そうした組織から来た私には、『自分の食う分くらい自分で稼いで当たり前』という意識が欠落していました。
『Sense of Ownership』-ここは自分たちの会社なんだ。
そもそもはパートナー制が敷かれていた欧米の投資銀行には、こういった意識が幹部社員全員の間に深く染み付いているように感じました。
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コメント
岩崎先生、こんばんわ。
>『・・で、そのカネは一体どこから出てくるのかい?』
おそらく、外資系の投資銀行だけじゃなく、大多数の日本の民間企業でも、同様なことを言われるんじゃないのかな?と思いました。
当時の興銀の行風が、行員にとても優しいものだったのだなあと、思いました。
投稿: まさくん | 2007年4月24日 (火) 21時04分