マイノリティ出資
先日、ドコモは、ファミリーマートにマイナー(約3%)出資すると発表しました。
狙いは、業務面での提携強化にあるようで、ドコモの提供する「おサイフケータイ」やケータイクレジット「iD」を、ファミリーマート(全国7000店舗)で利用しやすくするところにあるのでしょう。
ドコモはこの種のマイナー出資をこれまでにも積極的に行なってきておりますが、果たして、この出資にどれだけの意味があるのでしょうか。
もちろんドコモのような会社ですから、このマイナー出資に際しても、おそらくは投資銀行をアドバイザーにつけて理論武装をきちんと固めているのだと思います。
更に付け加えますと、海外でも、この種のことは行なわれています。すなわち、何らかの資本関係を構築して、業務上の提携をより強固なものに固めようする(cement するいう表現をよく使います)試みです。
にもかかわらず、私は次のような疑問を感じざるを得ません。
①ドコモとファミリーマートとの業務提携が本当に両社の為に望ましいものなら、業務提携だけで足りるはず。(セメントは必要ありません。結び付こうとする力が十分強いですから。)
②『ドコモがファミマの株式3%を買って、何とか提携できる程度』 の関係というのであれば、そもそもドコモがファミマにオファーしている業務上の提携内容が今ひとつ魅力に乏しいものなのでしょう。
たとえは悪いですが、持参金を持って、漸く結婚してもらえる「性格の悪い金持ち女性」と、「持参金目当てに結婚する男性」とのカップルのように思えます。(持参金付きで漸く結婚出来たからといって本当に幸せになれるのでしょうか。)
③ファミマとしても、ドコモは3%の株式を持つ株主に過ぎず、ファミマの経営者は他の97%の株主のことを考えて経営せざるを得ない。
例えば、au と提携することがファミマの利益になるのにもかかわらず、ドコモに 3%持たれているがゆえに au とは提携できないという判断は本来できない筈。
だとすればドコモによるマイナー出資にどの程度の意味があるのでしょうか。
④ドコモの株主としての立場からしても、移動体通信の事業を行なう会社の株式を買ったのであって、コンビニ・チェーン店のリスクなど取りたくない。
余分の金があれば、本業に投資するか、本業での投資対象がもはや無くなってきているのであれば自己株消却をするとか、増配をして、余った金は株式市場に返して欲しい。