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2007年5月21日 (月)

Market without religion

みなさん、今晩は。

今日、夕方、米国から帰ってきました。

インターネットの時代で、日本にいても、世界中どこの情報にもアクセスすることが可能ですが、やはり直接、人と会って話を交わすことに優るものはありません。

ということで、今回の出張では、出来るだけ、いろいろな方たちと会って意見を交換するようにしました。

まず、スタンフォード大学ビジネススクールの Donor Appreciation Event というのに招かれて参加しましたが、この会の key-note speaker である Hayagreeva Rao 教授が、パーティーの席で私に話しかけてきました。

『Infinity Corporation の業況は最近どんな感じですか。』

Donor Appreciation Event には、世界中から約100人の同窓生たちが招かれていましたが、一人一人がどこの会社の人なのか、恐らく教授は事前にリストを事務局から渡されていたのだと思います。

とはいえ、私の顔を見て、(リストのメンバー表を思い出して)『Infinity Corporation は・・・』と、教授の方から話しかけてくるあたりは、『さすが』としか言いようがありません。(教授とはこの時が初対面でしたので、私はびっくりしました。)

Rao 教授は、Organizational Behavior と、Human Resources の権威ですが、教授が『4月に中国に行ってきた』というので、最近の中国マーケットの動向について話が及びました。

『中国経済の成長ぶりには、まさに目をみはるものがある。』

との教授のコメントに対して、私は、

『日本では中国市場が過熱していると心配する向きもあるが・・・』

と質問してみました。

これに対する教授の答えは以下のようなものでした。

『私は中国の専門家でもないし、マーケットの専門家でもないので詳しいことは分からない。中国の驚異的な成長は素晴らしいものだ。

しかし市場主義は万全ではなく、市場への参加者にはモラルが求められる。欧米では宗教がはたす役割が大きいが、宗教の無い市場(Market without religion)というのは、いったいどうなるのだろうかと疑問に思う。』

もちろん中国の方の多くには仏教や儒教などの教えが根付いているのでしょうが、(そして、おそらくはインド生れの Rao 教授は、当然そのことを知った上での、日本人の私への発言なのでしょうが)、教授が懸念するところも、何となく分かるような気がしました。

 

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コメント

岩崎先生、お帰りなさい。

楽しいお時間を過ごされたようで、何よりですね。

>しかし市場主義は万全ではなく、市場への参加者にはモラルが求められる。
>欧米では宗教がはたす役割が大きいが、宗教の無い市場(Market without religion)
>というのは、いったいどうなるのだろうかと疑問に思う。』

岩崎先生がご指摘のように、中国は古くから宗教が興った国の一つですが、中国産の
食品や薬品が危険だと、大々的に問題になっているようです。
ブランド製品やキャラクタのコピー問題に加え、ひょっとしたら、Rao 教授は、
このことも念頭に有ったのでしょうか。

http://www.asahi.com/international/update/0521/TKY200705210079.html

僕も中国産のウナギの蒲焼きや椎茸を食べたことがあるので、とても心配です。
スーパーに並んでいる中国産の食品は、日本の商社を通じて輸入されたものなので、
当然、検査されているのだと思いますが、とてもイヤな気分です。
毒性の有る成分を、平気で食物に添加する行為は、到底、モラルが有るとは言えませんよね。
何だか、水俣病を思い出すようです。

「宗教(=モラル)の無い市場」が跋扈する国は、僕は滅んでいくと思います。

投稿: まさくん | 2007年5月22日 (火) 20時47分

岩崎先生、こんばんわ。

同じマーケットでも、株式市場は油断も隙もありませんね!

僕が以前保有していた日本板硝子が、今日、ストップ安になりました。

価格カルテルの疑いが気になり、早いうちに利確して良かったと思う反面、改めて、株式市場の恐ろしさを実感しました。

株式市場には、神も仏も在りませんね!

投稿: まさくん | 2007年5月23日 (水) 22時25分

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