パイプス(PIPEs)
最近良く耳にするパイプス(PIPEs) という言葉。(まだ余り金融の教科書などには載っていません。)
投資銀行やプライベート・エクウティの仕事に従事されている方は、ご存知なんでしょうが、パイプス(PIPEs) とは、Private Investment in Public Equity の略です。
一般に、プライベート・エクウティと称されるファンド(特に企業再生を得意とする再生ファンド)は、上場会社を100%(か、それに近い形で)買収して、非公開化してから経営を立て直し、再び上場させて上場益を得ます。
例えば、2000年11月に Silver Lake を中心とするファンドなどが Seagate の経営陣と共に22億ドル(2600億円)を投じて、Seagate(ハードディスク・ドライブで有名です)を買収。非公開化して経営を強化した後、2002年12月に再上場し、更に2003年7月に株式のsecond offering (増資)を実行しています。
これに対して、パイプスとは、相手先企業の上場を維持したまま、(ファンドが)上場企業に資本参加し、役員を送り込むなどして経営に関与する。そうして、企業価値を高めた上で株式を売却するといった形で Exit を図ろうとする手法です。
例えば通販会社のニッセン。
東証一部上場会社ですが、上場を維持したまま、アドバンテッジパートナーズは15%の出資をし、非常勤取締役も派遣しています。
あるいは家電量販店大手のラオックス。
MKSパートナーズが傘下の投資会社を通じてここに投資しており、ラオックスの会長にはMKSの社長が就任しています。
ファンドの方からすれば、100%に近い形でコントロール下に収め、しかも非公開化してしまった方が、企業再生はやりやすいのでしょうが、相手先の企業としては、そこまでの手術は望まないし、従業員や顧客も動揺するかもしれない。とりあえずはファンドの持つ経営ノウハウと資金力を必要な範囲で利用させてもらう形で経営をサポートして欲しい。
そういったケースも現実的には多いでしょうから、パイプスが頻繁に見られるようになってきているのだと思います。
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