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2007年8月23日 (木)

Quality of Life (生活の質)

外資(特に米系)の投資銀行では若い人は徹底的に働かされます。

これは日本だけでなく世界中どこのオフィスでも共通に見られる現象です。

『私はこのような生活には疑問を感じるようになりました。これからは、Quality of life (生活の質)を高めたいと思います。』

そう言って投資銀行を辞めて、日系の大手銀行・証券会社、あるいはバイ・サイドと称される機関投資家、ファンドなどに転職していく若い人たちを何人も見てきました。

当時の私は、『長い人生の中で、ある一時点は、Quality of life (生活の質)を忘れて、仕事に没頭した方が、その人の能力も急速に高まるし、自分が誇れるような良い仕事も出来る』などと言って慰留に努めましたが、殆どの場合、慰留には成功しませんでした。

ところで、話は変わりますが、多くの個人投資家にとって、『投資』というのは本業ではなく、会社勤めとか個人事業とか、別途本業を持った方が行っている場合が多いと思います。

そのような方たちにとっては、Quality of life (生活の質)を意識した上で、株式投資に従事した方が良いように思えます。

例えば、先週のような、Bloody Week (血まみれの、むごたらしい一週間)では、自分の持っている株式の値段が気になって、Quality of life (生活の質)が犠牲になってしまった方もおられるかもしれません。しかし、本業でもない株式投資によってQuality of life (生活の質)が翻弄されるというのは如何なものでしょうか。

プロのトレーダーやポジション・テイカーは、まさしくこれこそが本業なので、胃に穴が開くような思いをしながら、あれこれ考え、かつ実践して、先週のような一週間を過ごすのでしょうが、一般の方にとっては、

『株式投資を行うことが Quality of life (生活の質)の低下に繋がらないように留意する』

とのスタンスが重要かと思います。

ウォーレン・バフェットと親交の深いマクドナルド教授(スタンフォード大)がかつて我々学生に『読むように』と推薦してくれた本のタイトルは:

『Conservative investors sleep well.』

というものでした。

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コメント

>Conservative investors sleep well.

思わず笑ってしまいました。
たしかに!

寝る子は育つ、寝る大人は負けない、そんな気がします。
最大のストレス解消法は、趣味でもスポーツでもセックスでもなく睡眠である、と医者も言ってました。

投稿: らう | 2007年8月24日 (金) 00時16分

>本業でもない株式投資によってQuality of life (生活の質)が翻弄されるというのは如何なものでしょうか。

確かにその通りだと思います。

しかし、反面、生活の質が翻弄されないためにも、『質の高い投資』を心掛け、それを信じることが必要だと思っています。

私にとってこの度の下げ(調整)は正直きついですし、また様々な有識者らのご意見にも翻弄されかけているのですが、なんとか自分の投資に対する信頼によって心が折れないで済んでおります。

過信はいけませんが、信頼、つまり「自らリスクをとる」ということは、株式投資には当然必要なのだと思います。

まさにそれを実践している最中です。

投稿: しんしん | 2007年8月24日 (金) 01時40分

岩崎先生、こんばんわ!

今日も暑かったですね!

明日も、この暑さが続くようなので、僕は、クーラーの効いた自宅でうだうだしているよりも、図書館の自習室に行って、買ったまま、まだ、読んでいない本の読書を試みようかな?と思っています。

>『長い人生の中で、ある一時点は、Quality of life (生活の質)を忘れて、仕事に没頭した方が、その人の能力も急速に高まるし、自分が誇れるような良い仕事も出来る』

岩崎先生は、興銀時代に、水俣病の処理のお仕事で、大変な激務をこなされたので、きっと、そのご経験に基づいたお言葉なのだと思っております。

僕も、このように有りたいと、心から思いました。

投稿: まさくん | 2007年8月25日 (土) 20時53分

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