Giving Back
もう2年以上前になりますが、卒業25周年記念ということで、スタンフォード大学のビジネス・スクールの卒業生たちが集まる会合に出席した時の話です。
約300人の同級の卒業生のうちほぼ半数がこの同窓会に出席。出席者の大よそ3分の2が現役、3分の1がすでに実質的には退職している人たちであったと記憶しています。そして出席者の大半がすでにFinancial Freedom(残りの人生を働かなくても良いだけ稼ぎ経済的に自由な身)を獲得している人たちのように思えました。
同窓会といってもキャンパスに何日か泊りがけで講師を呼んだりパネル・ディスカッションを行ったりするものですが、この時の会の統一テーマが「Giving Back」。
自分たちがこれまでに獲得してきたもの、培ってきたものを、今度はどうやって社会に返して(還元して)いくかを考えようというものです。
『これから先の人生をどう過ごすかを考えていくとこの言葉にぶつかる』というのが出席者全員の共通認識でした。
「なるほど若いうちから自分のキャリアをどう積み上げていくかを客観的に分析してきた人たちは、人生のどの段階になっても、これに意味合いを持たせる方法に長けているんだ」-こう感心したのを私は今でも覚えています。
ところで日本でも防衛省の事務次官を経験された方など、役所のキャリアや大企業の重役の方たちなどは(年金制度が手厚いこともあって)、実はすでにFinancial Freedomを獲得されている方たちです。
そういった方たちが残りの人生を如何に意義深く過ごすかをもう少し客観的に分析することが出来るようになれば、村社会のボスがいつまでもはびこるといった組織の老害は減り、社会はもう少し変わっていくのかもしれません。
若い頃からキャリア・コンサルティング(や人によっては精神分析医までも!)を利用し、常に自分のキャリアを客観的に見ることに慣れている米国のエリートたち。
一方で組織の中での競争に揉まれながら、その中で頂点を極めることを中心に考えてきた日本のエリートたち。
気がついたら、いつまでもボスでい続けること、そして国からもらえる勲章とゴルフのことしか頭の中に残っていなかった、というのでは余りにも寂しい気がします。
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