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2008年3月30日 (日)

仕来たり

組織は長く続くうちに、数多くの仕来たり、習わしを作るようになります。藤原氏による摂関政治の時代などには、そういった仕来たりが多かったのかもしれません。

もう20年近く前のことですが、興銀にいた時に私は職員組合の副委員長を務めたことがあります。

当時の興銀は役職員全員でも、総勢5千人の(銀行としては)比較的小さな組織であり、職員組合はそのうちの組合員を対象とする組織でしたので、家族的な雰囲気を残す組織でした。

それでも長い歴史のある組織だけあって、数多くの仕来たりがありました。

委員長1名、副委員長2名、書記長1名の計4名で執行部を形成していましたが、我々が執行部を務めていた時は、このうちの委員長、副委員長の計3名が全員海外勤務経験者。

とくに副委員長は組合専従でなかったこともあり、仕来たりに捉われずに比較的自由に発言していましたので、書記長は組織をまとめる上で苦労しただろうと思います。

(副委員長) 『経営協議会の場で、頭取・副頭取など経営陣に提出する資料には、グラフとか表をつかって視覚に訴えるようにしよう。』

(書記長) 『勘弁してください。そんなこと、今までの組合活動の中でしたことがありません・・。』

そういった会話が職員組合の小さな部屋の中でなされていました。

当時は例えば組合の資料一つとっても、敢えてわら半紙のような紙を(その方が普通紙よりも既にコスト的に高くなっていたにもかかわらず)使っていた時代でした。

なかなか前例や仕来たりを変えることが出来ないでいたのです。

ところで、現在の国政の場でも法律や規則には書かれていない、仕来たりは数多くあるようです。

例えば『権力の道化』『さらば財務省!』などの本に登場する『事務次官等会議』。

閣議に諮られる案件はすべて事前に、各省庁の事務次官等が集まって協議する『事務次官等会議』で了承されなければならないということで、明治時代から連綿と続く慣行とのことです。

『さらば財務省!』によると、それを戦後初めて破った総理が安倍晋三だったとのこと。

仕来たりはそれなりの合理性があったからこそ、仕来たりとなって続いてきたのだとは思います。しかしそれは、あくまでも人間が作ったものであり、それに人間が縛られてしまうというのは、おかしな事だと思います。

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2008年3月27日 (木)

Turbulence

米経済がこのような Turbulence にある中、我々としては出来るだけ優良な情報を入手しておく必要があります。

ルービン元財務長官はどう見ているのか。

スティグリッツ(ノーベル賞受賞者でクリントン政権の経済顧問)の意見は?

今、発売中の『ニューズ・ウィーク日本版』の2つの記事、『ベア・スターンズ破綻の波紋』と『識者8人が語る米経済の処方箋』はどちらも参考になると思います。

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2008年3月26日 (水)

National Geographic

息抜きに・・

National Geographic の中にVideoというページがあります。

http://video.nationalgeographic.com/video/player/animals/index.html

上記をクリックして、上段のAnimals Video のタブをクリック。

次に左側の Mammals をクリックして、Bears and Pandas をクリックします。

すると右側に9つの窓が現れますので、その中で、

『Baby Panda Debuts』

というボタンを押すと、パンダの可愛いビデオがご覧になれます。

(1分16秒。英語の勉強にも最適です。時折、最初の十数秒ほどコマーシャルを見させられるかもしれませんが・・)

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2008年3月25日 (火)

買収価格を10ドルに修正

JPモルガンとベアのディールですが、フォローしていくと結構面白かったです。(今後もまだ紆余曲折が続くのでしょうが・・)

2ドルで買収すると発表した後、昨日(と言ってもほんの数時間前ですが)、モルガンは買収価格を10ドルに修正(厳密には株式の交換比率を修正)。

この買収価格修正のプロポーザルは、ベアによるモルガンに対しての95百万株の第三者割当増資とパッケージになっています(詳しくは『こちら』)。

これによりベアの株価は2倍以上に上昇(下のグラフ)。モルガンの株価も上げています。

(このブログの書いている時点は米国時刻 3:30PMなので市場はまだオープンしていますが、株式市場全体も上げています・・)

Photo_2

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2008年3月24日 (月)

Happy Easter

AFSでアメリカに留学していた時(なんと37年前です!)の友人が昨日送ってくれたもの(↓)です。

Easter Egg Hunt をしたことのある方なら、思わず 『そういえば・・』 と思われるかもしれません。

Easter_egg 

次(↓)は、日本の方には少し分かりづらいかもしれませんが・・。

Doggyeaster

次(赤字↓)は昨年のEaster に送られてきたもの。

White House Egg Roll の模様です。

どこまでが本当なのか分かりませんが・・(現副大統領が起こした『ある事件』をご存知でいないと何のことか分からないのかもしれません・・。)

「SurpriseVisitorattheWhiteHouseEasterEvent.wmv」をダウンロード 

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2008年3月21日 (金)

日銀特融

1965年、当時の蔵相田中角栄と日銀の宇佐美洵総裁が記者会見し、

「 証券業界が必要とする資金は日本銀行が無制限・無担保で融資する。 山一證券については興銀、富士、三菱の3行を通じて融資を実施する」

と発表しました。(実際には貸出枠は240億円と設定されていたようですが・・。)

これが最初の日銀特融です。

ところで現在の米国。

1930年代以降で最も大胆な貸付プログラムと称されている 今回のFed の emergency lending program。

投資銀行(証券会社)が、investment-grade mortgage backed securities を担保として『Fed より直接融資を受ける』と言うものですが、

19日(水曜日)一日だけでその額は$28.8billion(約2兆9千億円)に達したとのことです。

その他にも7兆4千億円の財務省証券を使った資金供給のメカニズムとか(詳しくは『こちら』)、

Fed はいろいろな方法を使って証券業界にカネが回るように手配し始めました。

これらの矢継ぎ早の対策を取りあえずのところ市場は率直に好感。

昨日のダウは 2%上昇。ゴールドマン、モルスタ、メリル、リーマンはそろって 8%~15%上昇。

今日はGood Fridayで(日本時間の今晩から始まる)米国の市場は休みとなります。

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2008年3月19日 (水)

1日で倍になった株

米5大投資銀行の一角、リーマンブラザーズ(4番目です)。

一時はベアに続くのではと噂され、一昨日は、20.25 ドルまで下げましたが、昨日は市場がオープンする前に発表された同社の決算(第1四半期)を受け、Pre-market trading で大幅に上昇。

その後、FEDの利下げ発表も追い風となり、前日引値比46%高(前日の安値比 130%高)の 46.49 ドルで取引を終えています。

これが切っ掛けとなって米国の金融市場は少しは落ち着きを取り戻すかどうか。

ポールソン財務長官は昨晩ネットで流れた記者会見で、5~6月(一部については8月)頃には政府の一連の対策が効果を現す筈と述べていました。

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2008年3月17日 (月)

15分の1の値段での買収

1時間ほど前に入ってきたニュース。

JPモルガンによるベアスターンズの買収。

1株2ドルですので、金曜日についた30ドルの

『15分の1』での買収ということになります。

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今週前半

先週金曜日はベアスターンズの株価が約半分(▲46%)になると同時に、リーマン(▲15%)、メリル(▲6%)、モルスタ(▲5%)も軒並み下落。

しかも今週前半にはこれらの決算発表(第1四半期)が集中します(更にFRBのCommitteeも開催)。

加えてチベットの問題で改めて国際社会が中国問題(リスク)を懸念するようになってきました。

株式市場(更には、より大きく経済・政治の状況)は、まさに今週前半に大きな山場を迎えることになります。

17日 ベアスターンズ決算発表

18日 ゴールドマン、リーマン決算発表

18日 FOMC(FRBのミーティング;恐らくは金利引き下げ;問題は下げ幅)

19日 モルスタ決算発表

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2008年3月15日 (土)

1日で株価が半分になった

米5大投資銀行の一角ベアスターンズです。

昨日は 54.24 ドルで始まり、一時は半分の 26.85 ドルまで下落。

最終的に前日の終値 57.00 ドルに対して、46%安の 30.85 ドルで引けました。

ベアに対してはJPモルガン・チェースがFRBと協調しながら資金供与をするとのことですが、最終的にJPモルガン・チェースが救済のための吸収合併をするのではと噂されています。

それにしても昨年1,000億円強を投じてベアの株式を1株100ドル前後の価格で購入した富豪のJoe Lewis。(→『こちら』の記事)

あるいは同じようにベアに1,000億円を投下する(した?)と言われていた中国のCitic。

彼らは結構な含み損を抱えてしまったことになります。(Joe Lewisの場合、その後、売却していなければ約700億円の損失。)

マーケットでは『ベアに続いて、もう一社くらい同じような状況になるのでは』とのコメント(シカゴ大学ビジネススクールAnil Kashyap教授)も注目されています(詳しくは『こちら』)。

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2008年3月13日 (木)

窓ぎわのトットちゃん

日本でもっとも売れた書籍(一般書)は『窓ぎわのトットちゃん』であると言われています。

日本国内で750万部以上が売られ、世界35ヶ国で翻訳されました。

私も英語版をアメリカの母親(といってもAFS留学時代のアメリカ人の母親で血はつながっていません)にクリスマス・プレゼントとして送ったことがあります。

さてこの窓ぎわのトットちゃんを超える書籍が戦前に発行されていました。

福沢諭吉の『学問のすゝめ』。

北康利さんの『福沢諭吉 国を支えて国を頼らず』(講談社)によると、『学問のすゝめ』は第17編まで発刊され、全部をあわせると実に340万部以上が売れたとのこと。

「当時のわが国の人口は約3480万人と言われているから、国民の10人に1人の割合で流布した勘定になる。」と北さんは書いています。

「『学問のすゝめ』をきっかけとして庶民の学習熱が高ま」ったとのことです。明治時代の日本人が真面目で高い向学心を持っていたことがうかがえます。(注:「 」内は北さんの上記書籍からの引用です。)

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2008年3月12日 (水)

TAG Heuer

先週 TAG Heuer 社の幹部の方とお会いする機会があり、TAG Heuer のホームページを覘いてみました。その中の記事が、(→)『これ』です(クリックしてみて下さい)。

約150年の歴史を誇るスイスの時計メーカーが、日本のデザイナーとのコラボをホームページで世界に発信している。

何となく元気が出てきます。

ジュネーブでk.o7を見逃した方は、4月7日から始まるバーゼル・ワールドの時計フェアでこのクルマを見ることが出来ます。

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2008年3月11日 (火)

犯人を捜せ

私のパソコンはNorton などの最新のウィルス対策ソフトを入れています。

それでも私のPCのメール・アドレスには毎日10数件もの迷惑メール(スパムメール)が送られてきます(皆さんの中にはもっと沢山受け取っている方もおられるかもしれませんね)。

こうした迷惑メールは誤って開けてしまわないように注意しながら毎日削除していますが、昨日はその中にひとつに、

『送信者のメールアドレスが受信者である私自身のメールアドレスになっている』メールを発見。

私が私自身に迷惑メールを送っている!?(少なくともそういった形になっている。)

早速、何人かのパソコンに詳しい方に相談してみました。

その結果、これは『なりすましメール』と言われているものであることが分かりました。

誰がこれを送っているのか?

犯人はどこに?

そう思いながら、問題のメールのアウトルック(Outlook)、『表示』のところをクリックしてみます。

そして『オプション』の項目を開きます。

そうすると『メッセージ・オプション』のボックスが出てきて、そこに『インターネット・ヘッダー』が記されています。メールの経路情報(IPアドレスの経路)が明らかになりました。

次に契約しているプロバイダーに電話連絡。

メールの経路情報(IPアドレスの経路)をベースに調べてもらったところ、迷惑メールは中国のプロバイダーから送られてきているとのこと。

誰かが、私のメールアドレスを勝手に使って、中国のプロバイダー経由、私になりすまして迷惑メールを送ってきていることが分かりました。

私が契約しているプロバイダーの話では、

『中国のプロバイダーに対して、こうした迷惑メールへの対処・警告を要請しても、まず聞いてもらえないだろう』

とのこと。

結局、自分のメール・アドレスを変えるしか方法がないとのことです。

しかしそれでは多くの人に手間ひまをかけることになるし・・と頭を悩ませています。

ところで迷惑メールについては

『迷惑メール対策』

『これを減らす為のテクニック』

『(出来るだけ)迷惑メールを受け取らないようにするには』

及び『迷惑メール対策を講じているプロバイダーの一覧表』

などのページも一部参考になります。

しかしいったん受け取り始めてしまった以上はメールアドレス(あるいはプロバイダー)を変えるしか抜本的対策は無いようです。

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2008年3月 9日 (日)

投資銀行のCEOたち

サブプライムで揺れた投資銀行のCEOたちの賞与がニュースになっています。

メリルリンチ:CEOのStanley O'Neal は辞めさせられた(ousted)

モルガンスタンレー:CEOのJohn Mackは賞与をもらわなかった(passed up)

ベアスターン:CEOのJimmy CayneはCEOの地位をあきらめ(会長には留まる)、賞与はもらわなかった

以上がサブプライムでひどく傷ついた先です。

次は傷が浅かった先。

リーマンブラザーズ:CEOのRichard Fuld は23億円($22.1million)の賞与(正確には“compensation”)を得た

次はサブプライム関連のトレーディングでむしろ short position にしていたと噂される先。

ゴールドマンサックス:CEOのLloyd Blankfeinは71億円($68.5 million)の賞与を得た

ゴールドマンの発表したcompensation の計算方法は他社と違い、他社と同じベースにすると103億円($100million)になるという報道もあります。

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2008年3月 5日 (水)

CanCam.TV mobile

携帯でテレビを見るということが当たり前の時代になってきましたが、ワンセグで見れるのは既存の放送局が提供する番組です。

もっと自由に誰でもがテレビ放送局のように高画質な動画を配信することができないだろうか ― そう思われていた方も多いと思います。(既に今年1月から『YouTube』を携帯から見ることが可能になっていましたが・・。)

この考えを一歩進めたのが、『CanCam. TV mobile』。

Impress_watch_2

(写真:『Impress Watch』)

企業の広告戦略、メディア戦略を考える上で、携帯コンテンツの動画化、ある意味での『自社サイトのテレビ局化』が今後重要になってくると思われます。

詳しくはこちらのプレスリリース(「NextNinjaPressRelease20080304.pdf」をダウンロード) をどうぞ。

『ケータイWatch』で取り上げられた記事は『こちら』。

『Yahoo! ニュース』の記事は『こちら』です。

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2008年3月 4日 (火)

Chartist

株価の過去の動きのパターン(チャート)を分析して将来を予測する手法は経済学者たちの間ではあまり賛同を得ていません(2006年5月7日付けブログほかを参照)。

もう20年以上も前になりますが、シカゴで駐在員をしていた時に、シカゴの先物取引所の方たちとよく意見を交換する機会がありました。

その中で、当時は非常に著名だった『ある米国人トレーダー』の言葉です。

『チャーティストの言うことが理論的でないことは分かっている。同じチャートを見て、これから先、上がると結論づけることも出来るし、下がると理論付けすることも出来る。どうにでも読み取れるということだ。

しかし重要なのは、多くのトレーダーたちが今なおチャートを参考にしているという事実。

そういった現実がある限り、マーケットはチャートとは無縁ではいられないだろう。』

今年初め、日経平均が15,000円を切った後(年初の始値は15,155円でした)、あるチャーティスト(日本の機関投資家に勤める方です)は、

『チャート的には、5月が底で11,000円を切るかもしれない』

と話をしていました。

そのときはあまり気にもかけていなかったのですが、今日のニューヨークも今のところ下げています。

『マーケットは生き物だ。しかし株価は会社の価値を現したものであり、何れは正当とされる理論株価に収斂していく。』

言わずもがなですが、これが(Chartist とは相対峙する)ファンダメンダリストたちの考え方です。

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2008年3月 1日 (土)

MBA取得に係わるコスト

アメリカのビジネス・スクールに留学してMBAを取得するには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

スタンフォード・ビジネススクールのWeb site を覘くと、年間の授業料450万円、その他の住居費・生活費などを含めると、総計で年710万円、2年間で1420万円になると記載されています(2008年9月入学生の場合は更に12%程度上昇する見込み。MBAコースの学生の72%が奨学金などのFinancial Aidを受けています)。

一方で、大学側にとって学生1人あたりのコストは年1100万円に上りますので、授業料はこのコストの4割をカバーするに過ぎません。

卒業生向けの大学の Web site では、

『あなたが大学に通っている時に払う授業料は全体の半分でしかありません。残りの半分はあなたが卒業してから寄付の形で払う。これが何十年にもわたって行われている(我々の)ビジネス・モデルです』

と書かれています。

最近アメリカのビジネス・スクールでは日本人留学生の数が減って、代わりに中国、インド、台湾、韓国からの留学生が目立つようになったと言われています。

『半分は卒業してから寄付の形で払う』というビジネス・モデルが必ずしも日本で良く理解されていないことも、このことの一因になっているのかもしれません。

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