メドゥーサ(その4)
メドゥーサ(MEDUSA)と称される国々の間では、高騰する原油価格で稼いだ外貨の一部を国営投資ファンド(Soverign Wealth Funds) の形で運用しているところも少なくありません。
国営投資ファンド(Soverign Wealth Funds)で世界最大のものは、アブダビ投資庁(ADIA)。
運用資産は8,750億ドル(87.5兆円)。
1977年の設立なので既に30年以上の歴史を有しています。
シティグループ(75億ドル)、半導体の米AMD社(6億ドル)などに投資をして話題を呼びました。
ところで、アブダビ投資庁(ADIA)を持つアブダビ首長国は、ドバイ首長国などと共に、アラブ首長国連邦(UAE)を形成しています。
UAEが産出する原油の9割はアブダビ首長国からのもので、リッチなアブダビは、石油を保有しない(ドバイなど他の)首長国を財政的に援助し、ドバイなど他の首長国はアブダビのオイルマネーに依存してきました。
もっとも、このアブダビへの経済依存から脱却しようとしたことが、ドバイの発展の原点であるとも言われています(福田一郎『ドバイになぜお金持ちが集まるのか』(青春新書))。
ドバイ首長国が持つファンドは、ドバイ・インターナショナル・キャピタル(DIC)。
ソニー元会長の出井氏がアドバイザーを務め、またソニー株への投資(3%程度との一部報道)などでも知られています。
MEDUSAの国々のみならず、シンガポール、ノルウェー、中国なども国営投資ファンドを立ち上げていますが、
これら国営投資ファンドの全体の残高は年率24%で増大しており、2015年(7年後)には12兆ドル(1200兆円)に達すると見込まれています。
2006年のアメリカ合衆国のGDPが13兆ドルですので、これにほぼ等しい金額です。
民間のファンド、カーライル(330億ドル)やKKR(310億ドル)が360~380個集まったような大きさです。
私は外資系投資銀行に勤めていた時、日本企業の経営者の方たちと共に、欧米や香港などに出張し、企業のIR(Investor Relations)活動のお手伝いをしました。
これからの日本企業のIR活動は欧米の機関投資家を回るよりも、MEDUSA諸国を回ることが中心になってくるかもしれません。
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