メドゥーサ(その14)
19日(月)のブログに神保町さんから、コメントを頂戴しました。
『以前はイスラム社会は保険契約を禁じていたようですね。
金銭のやりとりがある商契約行為では、できるだけ不確定要素を排除することが義務づけられていますから、保険契約のような、起こるか起こらないかわからないことを前提としたものは馴染まない。
保険の買い手は金銭を受け取れるかどうか、わかりませんから。
また、生命保険であれ、損害保険であれ、死亡や損害が発生すれば保険契約者は保険会社からそれまで支払った金額を超える金銭を受け取るわけですが、
このことがイスラム法が禁じている「利子取得行為」に当たるのだそうです。
そして、死亡も損害も起きなければ、支払い金額は保険会社のものになる。
契約の際に、保険会社が金を取るのか、契約者が金を取るのか確定できていないわけですから、
これはまた、イスラム法で禁じられている「賭博行為」に当たるそうです。
そのこと以上に、イスラム法では不確定事項を人間が取り扱うこと自体が神に対する冒涜行為。
生命保険はその最たるものだそうですね。』
このように従来型の保険契約には、リバー(利子)、ガラール(不確実性)、マイシール(投機)の概念が内在しており、イスラム教では問題とされてきていました。
しかしこれらの3つの概念を排除した新しい形の保険が生れてきています。
タカフルです。
タカフルは相互扶助の仕組みで、加入者が所定の金額を 『相互扶助ファンド』 に拠出します。
そして、相互扶助ファンドに蓄えられた資金は加入者に帰属するといった形を取ります。
この画期的とも言うべくタカフルの開発に際し、先駆的役割を果たしたのが東京海上です。
この辺の事情は吉田悦章『イスラム金融入門』の第5章に詳しいので同書に譲りますが、
日本の金融の地盤沈下が叫ばれる中で、パイオニア精神を発揮している方たちが健在しているのは嬉しい限りです。
明治時代にロンドンで活躍したという各務鎌吉の話を思い起こしました。
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