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2008年6月 1日 (日)

メドゥーサ(最終回)

6月です。

先週ニューズウィーク誌が、『原油200ドル-世界経済はこう変わる』との特集記事を出していました。

            Newsweek_2

『まもなく日本を抜いて世界2位の石油輸入国になりそうな中国は、アメリカの(製品に対する)需要減とコストの増大というダブルパンチを食らう』

『思わぬ恩恵にあずかる産業もある。原油高で息を吹き返しつつある日本の石炭産業がいい例だ』

以上は何れもニューズウィーク誌からの抜粋です(カッコ内は私が加えたもの)。

石炭と言えば、夕張の炭鉱が閉山に追い込まれたのが1990年。以降夕張市は財政的に厳しい状況になり昨年財政再建団体に指定されるに至っています。

夕張の石炭を再開発しようという動きが今後出てくるのかどうか、私には予測がつきませんが、いずれにしても原油200ドル時代になればこれまでとは違った世界が出現することになりそうです。

原油高、資源高、穀物高。

今、世界の根底に流れるのはマネーからモノへの潮流です。

この中で加工型を主軸に事業展開してきた日本企業は、両者(原料=インフレ、製品=デフレ)からスクウィーズされ、利益を上げにくくなっています。

1500兆円という日本の個人の金融資産。

これについても、マネーからモノへの潮流の中で、どう減価を防ぎ、逆に有効に生かしていくのかが課題となってきています。

私は先週一週間スイスのある会社の社長に同行して東京、札幌などを回りました。

数ヶ月前にアブダビ、ドバイ、カタールなど中東各国を歴訪してきたというこのオーストリア人の社長は

『ドバイなど街の外観は大きく変わった。でも変わったのは外観だけではないかという気もする。』

と話していました。

見たもの全てを石にするというギリシャ神話のMEDUSAの目。

我々は真実を見抜こうとする目をもってして、これに対抗するしかありません。

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コメント

岩崎先生、こんばんわ。

>原油200ドル時代

化石燃料は有限な資源なので、製品の素材として活用するならともかく、燃料として使うのは、根本的に間違いではないかと、僕は常々思っていました。
フィルム→デジタルへと大きな変革が有ったカメラ業界と同様に、クルマの業界でも、近いうちに革命が起きそうです。
エネルギー源として、太陽電池、風力などを活用しているヨーロッパに歩調を合わせて、これから先進国は低炭素社会に移行するだろうと、僕は予測しています。
「加工型を主軸に事業展開してきた日本企業」のうち、今後とも有望なのは、人間が健康に暮らすために必要な製品を提供する、環境、医薬、食品の分野に関わっている会社のように思います。
(「見たもの全てを石にする」で、僕は「石」となったHD DVD規格を思い出しました。資源は有限という当然のことを、企業のトップが真面目に認識すれば、規格戦争は起きないと思います。)

投稿: まさくん | 2008年6月 1日 (日) 21時46分

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