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2008年9月28日 (日)

リーマンブラザーズ破綻の背景(7)

昨日の続きです。

投資銀行は急速に資産を拡大してきました。

資産というのは果実(利益)を産む木のようなものです。しかし資産には必ずこれに見合う負債か資本が必要となります。

会計的にはバランスシートの左側に資産があるとすると、それに見合う負債もしくは資本(あるいはその合計)がバランスシートの右側になければ、左と右がバランスしません。

負債や資本はコストです。借金をすれば負債となり、この為の金利支払が生じ元本を返済していかなければなりません。

資本家から投資を受け入れれば資本が増えますが、配当金を支払うとか企業価値を上げて投資家に報いることが必要となってきます。

昨日見てきたように投資銀行はここ数年急速に資産を拡大してきました。

リーマンブラザーズを例にとると、2003年から2007年の4年間で同社の総資産は、3,121億ドルから6,911億ドルへと2.2倍も増加。年率平均22%で資産を拡大させてきたのです。

(特に2006年から2007年にかけての1年間で総資産は37%も増加。)

ここから先はちょっとしたファイナンスの知識が必要となってきますが、資産の増加を可能にさせる負債もしくは資本の増加のうち、負債の方がコストは低く資本の方がコストが高いのです。

(詳しくは『サバイバルとしての金融』をお読みください。)

すなわち

資本コスト>負債コスト

です。

よって投資銀行はどこもコストの安い負債を使って(カネを産み出す木であるところの)資産を拡大してきました。

その方が株価も上がるからです。

リーマンブラザーズを例にとると2003年には2269%(23倍)あった負債比率(負債÷資本)が2007年には2973%(30倍)にまで上昇しています。

すなわち資本勘定の30倍以上にまで資産を膨らませてしまった。

その結果レバレッジ効果(テコの原理)により株価は上がりましたが、ご存知の通りあまり無理をするとテコは折れやすくなります。

リスクがその分高くなりテコが折れてしまった。

今回の金融危機の背景にあるのは極めて単純なことのように思えてなりません。

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