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2008年9月27日 (土)

リーマンブラザーズ破綻の背景(6)

昨日は米系投資銀行の日本での住宅ローンビジネスについて書きました。

それだけではありません。

破綻したリーマンブラザーズを例に見てみましょう。

サンライズファイナンス。

1998年に設立されたリーマンのグループ会社です。

金融機関からの債権買取、事業資金貸付を手がけていました。

負債総額3,639億円で民事再生法申請。

東京新聞の記事から引用(抜粋)します(詳しくは『こちら』)。

2008年9月18日 夕刊

米大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)の余波が、東京・高輪の老舗ホテル「京品ホテル」に及んでいる。

経営者が十月の廃業と解雇を従業員に通告。

これに反対する従業員側が交渉を求めてきたのが、ホテルの債権を持つリーマン日本法人系列のファンド会社だったからだ。

本体の破綻で、このファンド会社も民事再生法の適用を申請。交渉の糸口を失った従業員側は不安を隠せない。

JR品川駅高輪口の真ん前にある京品ホテルは、一八七一(明治四)年に旅館として創業。

レトロな建物は一九三〇(昭和五)年築で、ホテルでは都内でも有数の古さだ。

ホテルと直営の飲食店を合わせ、パートも含めて約百三十人が働く。

しかし、バブル期の多角経営に失敗して借金がかさみ、ホテルを経営する京品実業の小林誠社長が五月初旬、十月二十日の廃業と全員の解雇を告げた。

これに先立ち、従業員は労働組合を結成。

京品実業が昨年の決算で約八千万円の営業利益を出していることなどを訴え、ホテルの営業継続と解雇撤回を求めている。

交渉の中で、リーマン系のサンライズファイナンス(港区)が債権を握っていることが判明。

七月からは、サンライズ社にも交渉を要求してきた。

サンライズ社は交渉を拒絶したが、組合側は「団交拒否は不当」だとして都労働委員会に不当労働行為の救済命令を申し立てた。

その審査が続く中でリーマンが破綻した。

サンライズ社も九月十六日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。

サンライズと同じ日に民事再生法の適用申請をしたリーマンブラザーズ・コマーシャル・モーゲージ。

こちらは不動産担保融資を手がけ負債総額3,844億円。

以下はリーマンのホームページからの抜粋([注]一部鍵括弧をつけて読みやすくしました。オリジナルは『こちら』)。

リーマン・ブラザーズ・コマーシャル・モーゲージ株式会社(旧ニュー・センチュリー・ファイナンス株式会社)は、リーマン・ブラザーズ・ホールディングズ・インクを中核の持ち株会社とするリーマン・ブラザーズグループによる100%出資会社で、不動産担保融資を専門とする金融会社です。

2001年の設立以来、特に賃貸アパート・マンションや大型のオフィスビル等の商業不動産向けのノンリコースローン(責任財産限定型)など、不動産担保の中でも新しい形態のローン商品を積極的に取り扱っており、貸し付けたローン債権を定期的に証券化することでお客様に対して恒常的かつ安定的に融資商品を提供し続けることを企図しております。

なお、2006年度には、年間累計約2,680億円の不動産担保融資を実行しております。

【アパートローン・グループ】

2001年にノンリコース特約付きアパートローンを国内初の標準定型商品として商品化して以来、日本全国の賃貸アパート・マンションを対象に最長30年のノンリコースローンを提供しております。

個人のお客様にも(特別目的会社を設立いただかずに)直接融資できる商品なども用意しており、実績も多数あります。

【コマーシャルローン・グループ】

ノンリコースローンを中心に、1億円規模の個人向け小規模ローンから1,000億円規模の大型ローンまで幅広く取り扱っております。

オフィスビル、商業施設、賃貸マンション、倉庫、ホテル等の収益物件向けのローンの他、更地へのブリッジローンなど、様々なファイナンス・ニーズに対応しております。

テレビのCMで有名なウィークリーマンション。

これを買収して傘下に収めたのもリーマンブラザーズでした。

詳しくは『こちら』

以下その抜粋。

再建への道のりは厳しかった。不動産物件を1つ、また1つと手放しながら営業を続けたが、巨額の負債は容易には減らない。

99年に外資系のリーマン・ブラザーズから買収の話をもちかけられると、川又代表は大切に育てた事業を手放す覚悟を決めた。

10棟の物件と合わせて営業権も売却するという内容で、「ウィークリーマンション」の名称も、知名度抜群のコマーシャルソングも使えなくなる。

それでも川又代表はこの買収話を朗報と捉えた。

「170人いた社員のうち140人を引き取ってもらい、借金も800億円ほどに圧縮できました。まさに助け舟だと思いましたね。社員が路頭に迷うことなく事業を整理でき、私自身も再びスタート地点に立てることから、感謝の気持ちでいっぱいでした」(川又代表)

ところでこのような形で積極的に不動産関連事業を自ら主体となって展開していたのは何もリーマンだけではありません。

モルスタによる全日空ホテル買収、ゴールドマンによる銀座ティファニービル買収などなど。

投資銀行はどこも積極的に資産を積み上げていったのです。

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コメント

このたびの株価急落に関して、政治・政策の観点からのレポートを書きましたので、興味がありましたら当方のBlogをご一読ください。

投稿: harepanda | 2008年10月13日 (月) 05時36分

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