« リーマンブラザーズ破綻の背景(4) | トップページ | リーマンブラザーズ破綻の背景(6) »

2008年9月26日 (金)

リーマンブラザーズ破綻の背景(5)

日本橋住宅ローン

ジパング住宅ローン

リベルタス住宅ローン

これらは米系の投資銀行が2006年から2007年にかけて日本でこぞって設立した住宅ローン会社。

上から順にメリルリンチ、モルスタ、リーマンの住宅ローン会社です。

こちら(↓)はリーマンブラザーズの2006年のアニュアル・レポート。

Leh2_2

2006年11月にリベルタスが日本で住宅ローンの証券化(112億円)を行ったことを華々しく謳い上げていました。

上図の左側の写真は六本木ヒルズの住居棟に似ていますが、さてどうなんでしょうか。

2006年12月22日の『J-CAST ニュース』(詳しくは『こちら』)を以下引用してみます。

外資系証券の証券化住宅ローン:結局リスクは地銀に“付け回し”?

2006/12/22  モルガン・スタンレー証券やメリルリンチ証券が、地方銀行と提携して「住宅ローン」市場に参入する。

ターゲットは地銀の審査基準から外れた信用力の低い顧客で、長期的に安定した収入が見込みづらい自営業者や派遣社員などを想定している。

そのため、適用金利は変動金利で年2~5%程度と通常の住宅ローンよりも割高に設定する。

マイホームを手にしたいのに、ローンの申し込みを断られ続けた顧客にとってはありがたい話だが、従来はその地銀ですら「リスクが高い」と手を出さなかった顧客層である。

メリルリンチ日本証券は2006年12月14日、福岡市に本店を置く地方銀行の西日本シティ銀行と提携して、日本で住宅ローンビジネスを展開する、と発表した。

07年3月の発売を予定している。

同グループが出資するローン子会社を設立し、提携した銀行が実行した住宅ローンの債権を買い取る。

「顧客へのサービス部分は提携銀行にお願いすることになる」(メリルリンチ日本証券広報部)とし、ローン子会社が譲り受けた住宅ローン債権は証券化して機関投資家などに販売する計画で、そのために「20~30行程度の地銀と提携したい」と話している。

モルガン・スタンレー証券も住宅ローン進出

住宅ローン債権を証券化して機関投資家に販売する、その考え方は先のモルガン・スタンレー証券もまた同じで、これより先の06年11月20日に、八十二銀行(長野市)や親和銀行(長崎県佐世保市)などと提携して債権を証券化する手法を活用した住宅ローンを共同開発。

07年1月29日からの販売を発表している。

やはり、今後数年間で提携先を20行程度見込んでいる。

いずれにしても、メリルリンチ日本証券とモルガン・スタンレー証券による地銀の囲い込み合戦が今後激しくなることは間違いない。

外資系金融機関のリテール業務だが、実際のところはシティバンクのように自前で店舗展開するわけではない。

地銀の“ひさし”を借りての展開であるから、この囲い込みしだいで成否が決まるともいえる。

一方、住宅ローン市場が飽和状態になりつつあるなかで、「リスクの高い顧客層を狙う作戦がどこまで通用するのか、見ものではある」(大手地銀の幹部)と、洞ヶ峠をきめ込む地銀もある。

また、別の地銀幹部は、「競争が激しいこと、また借り換え需要も一巡して住宅ローン市場も先細り観がある。なにか新たな手を打たなければ、という焦りがある」と説明する。

住宅ローン債権を購入するのもまた地銀?

この商品は、提携している地銀にとっては貸し倒れリスクを気にすることなく、信用力の低い顧客にも住宅ローンを提供することができるメリットがある。

一方、外資系証券のメリットは地銀のネットワークを使って自社が組成する住宅ローン商品の販売が可能になるほか、住宅ローン債権を証券化し販売することで機関投資家から手数料を得られることにある。

ただし、外資系証券は銀行でさえ引き受けるのを避ける、貸し倒れリスクの高い債権を許容できる機関投資家をさがしてこなければならない。

もっとも、「デフォルト・リスクは低いものの、住宅ローン債権を購入するのもまた地銀あたりになる」(地銀関係者)というから、ある地銀で売った住宅ローンの債権が結果的に、廻り廻って他の地銀の手に渡ることになる。

地銀業界でリスクを分かち合うといえば美しいが、リスクの付け回しというと、誰がジョーカーを引くか、の争いでもある。

これを読むと何だか日本でもある種のサブプライム・ローンのビジネスに関与しようとしていた投資銀行の姿が見え隠れしてきます。 

|

« リーマンブラザーズ破綻の背景(4) | トップページ | リーマンブラザーズ破綻の背景(6) »

コメント

リベルタス(リーマン)、ジパング(モルスタ)、日本橋住宅ローン(メリル)、晩年はいわゆる住宅ローンと言うよりは投資用マンションローンに力を注いでいたようですね。
恐らく地銀提携住宅ローンに妙味が無いのを早々に感じ取ったのではないでしょうか。
そして証券化と言う意味では最初に店じまいを決めたリーマンと大型リストラを敢行したモルスタは投資家が見つからなかった事が考えられますね。
メリルは出来た様な事をここの審査部長が吹いて回っているので出来たのでしょう。
とはいえ、メリルも驚く程審査基準が厳しくなった事から想像出来るのは、投資家探しに相当苦労したと言う事でしょうか。
大人数でやって残高も積み上げ、かつ3社の中では一番業歴が長いリーマンは本社もろとも廃業、同様に大人数でやっていたモルスタは相当な痛みを伴ったリストラを実施、一番少人数で固定を落としてやっていたメリルはかろうじて生き残り。
でも、モルスタもメリルも時期に廃業ですね。
なぜならしばらくはそもそも証券化してリスク分散というビジネスもであるが機能しないし、仮に債権の質を上げて証券化につなげるにしても、こう調達金利が上がってはオリックス、ジャックス等の老舗には太刀打ち出来るはずも無いし。
おまけにモルスタがMUFGとくっついたら存続は理由が無いですね。
唯一の可能性はメリルがバンカメの資金を安い金利で調達出来れば何だけど、難しいかなー。

投稿: | 2008年10月 7日 (火) 23時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« リーマンブラザーズ破綻の背景(4) | トップページ | リーマンブラザーズ破綻の背景(6) »