リーマンブラザーズ破綻の背景(3)
昨日見たリーマンのLevel 3 の Asset。
実は Mortgage and Asset-Backed Securities 252億ドルだけでなく他にもあって、全体で(Mortgage and Asset-Backed Securities も含めて) 420億ドルです(2007年11月末)。
これを他社と比べてみます([注]メリルのみ決算期が違い2007年12月末の数字)。
【Level 3 の Asset の額(単位:億ドル)】
GS 692
メリル 414
モルスタ 737
リーマン 420
ところでここで本当の意味で問題とされるべきは、各社が Level 3 の Asset を如何に厳密に(もしくは如何に甘く)評価していたかです。(残念ながら、これはチョッと簡単には分かりません。)
つまり上記のように Level 3 の金額のみを単純に比較しても実のところ余り意味はないのかもしれません。
しかし 『評価に際して経営陣の恣意性が若干ながらも含まれる資産』 が各社ともこれだけあったことはやはり注目に値するでしょう。
これを見ると、『なんだ、リーマンよりゴールドマンやモルスタの方が多かったのか』と思われる方があるかもしれません。
しかし資本勘定(Shareholders' Equity)の厚さが違いました。
【資本勘定の金額(単位:億ドル)】
GS 428
メリル 319
モルスタ 313
リーマン 225
各社のLevel 3 の Asset の金額がそれぞれ資本勘定の何倍であったかを見てみると、
GS 1.6 倍
メリル 1.3 倍
モルスタ 2.4 倍
リーマン 1.9 倍
となります。
ちなみにJP Morgan に救済合併されたBear Stearns の場合、資本勘定は 111 億ドルでLevel 3 の Asset の金額は、280億ドルを超えていました。資本勘定の 2.5倍強です。
要するに、各社とも資本の効率を高めようとレバレッジを高めた経営を行ってきた。これは株価を上げるには好都合だったのですが、今回のような危機に際しては脆弱さが一気に露呈することとなってしまった。
いわばハイリスク、ハイリターン型の経営であったのです。
今回の金融危機に際してポールソン財務長官やバーナンキFRB議長が再三再四にわたり各社に資本の充実(増資)を呼びかけましたが、現実は危機が起きてからの増資が如何に難しいかを証明するだけに終わりました。
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