未体験ゾーン
福田首相の辞任表明で揺れる日本の政局。
経済の世界でもこれまで経験したことのないような事態が続きます。
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数年前は20ドルだった原油が100ドルを超えるようになる。
これまでは先進国10億人が原油を燃やして便利な生活を享受していたが、もはや10億ではなく、これにBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の28億人を加えた38億人が石油をエネルギーとして消費するようになっってきた。
原料価格は上がるが製品価格は下がる。
スタグフレーションかと思えば、賃金は上がらない。
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このように世界各地でこれまで経験したことが無いようなことが起きてきていますが、一見関連性の無いような一連の出来事の裏には何か共通の原因があるのではないでしょうか?
上図はアメリカの貿易収支と経常収支を1981年以降2007年までグラフ化したものです。
実はこのグラフは1981年よりもずっと昔まで遡って描くことも出来ます。
建国以来1997年までアメリカの貿易収支、経常収支はずっと
2000億ドル以下でした。
それが1998年頃から加速度的に赤字が膨らみ、貿易収支の赤字はついに8000億ドルを超えてしまった。
これだけの赤字の裏側にあるのは中国などによる対アメリカへの輸出増です。
(1) 『8000億ドルを超える貿易収支赤字』は、(4000億ドルを超える財政赤字と相俟って)通貨としてのドルの価値を下げた(原材料の価格上昇)
(2) 『8000億ドルを超える貿易収支赤字』は、BRICsにとっては輸出増加であり新興諸国の経済を発展させることにつながった(原油などの需要増)。
まさに風船が膨らむように過大となったアメリカ人の消費が世界景気拡大に役立ってきた様が見て取れるグラフです。
今後アメリカの貿易収支、経常収支が縮小に向かえば、ドルの復権には繋がるでしょうが、一方で新興諸国にとっては、これまでのように経済を急ペースで発展させることが難しくなることを意味します。
良くも悪くもアメリカ人の過大とも言える消費がBRICsの成長を牽引してきた。
そんな時代がそろそろ終焉をむかえつつあるのかもしれません。
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コメント
岩崎先生、こんばんわ。
>良くも悪くもアメリカ人の過大とも言える消費がBRICsの成長を牽引してきた。
>そんな時代がそろそろ終焉をむかえつつあるのかもしれません。
日本株の保有の比率を減らして、BRICsの投信を買った個人投資家が、多数、いるそうですが、今後は楽観していられないようですね。
僕は、メインに日本の製薬会社の株を保有しているので、株価は大して上がりもしないし、下がりもしないといったところです。
ところで、トヨタの株価、岩崎先生が本を出版された頃は、1万円に迫る勢いで上がりましたが、サブプライム、原油高、若者のクルマ離れなどの要因で、最近、パッとしません。
今、不動産や建設の業界で、悲観的な見方が広まっていますが、逆張り思考で、これらの内需型の株式を保有するのも良いかもしれませんね。
投稿: まさくん | 2008年9月 3日 (水) 21時14分
岩崎様
大変興味のあるグラフ、コメントを
拝見しました。米国・国民の膨大な消費、
ローン体質がまたはじけているのでしょうね。
大恐慌が起こらないのを祈ってます。
シギー
投稿: シギー | 2008年9月 5日 (金) 16時01分